目覚めたら某有名ゲームの悪役だったけど、正直言って困るんだが   作:プルスサウンド

27 / 29

はい、延長戦(おまけ)スタート!
なお今後、時系列が前後する場合はきちんと記載いたします。
じゃ、UCの大佐とバトルするアレいってみよー!
ギガの問題で小説版を参考にしてますが、まあゲーム版と大きく違うわけじゃないから大丈夫やろ!たぶん!

ベロニカはラクーンシティ壊滅から2ヶ月後っぽいので、世界線をIFにしないとむずいですね。少し考えときます。





延長戦
シベリアで生物兵器を数える簡単なお仕事 ①


 

 

 2003年 2月某日。

 

 

 

 皆さんお元気ですか。

 自分は今レオン氏と共に、北の大地にて寒風を全身に浴びております。つら。

 

「げろげろにさぶくて死にそう」

「アンタ耐寒テストは-40℃くらいまでクリアしてただろう」

「そちらカタログスペックとなっておりますゆえ…」

 

 つまり生き物としては耐えられても、寒さを感じている自分自身のしんどさはどうにもならんのですわ。

 というか同じ防寒装備で涼しげな顔してるレオン氏こそおかしいよ。あーたTの抗体があるってだけの人間でしょうが。

 それともなんだ?Tの抗体がある人ならそれくらい軽いってか?ハーブ噛れば重傷すら回復するもんな。もはや天然の超人だろ。

 

 ……なんか納得できる説になってしまった気がする。

 

「そんなにじろじろ見るなよ。俺の顔に何か付いてるのか?」

「眉毛が凍ってるのが面白いから観察してただけだが?」

「言えよ!」

「今言った!」

 

 というわけで自分たちは今回の監視役に任命されたレオン氏と共に、アンブレラのロシア支部が所有している研究所を兼ねた製造工場に、最も近い街に来ております。

 

 なんでこんな場所に居るのかと言いますと、アンブレラの悪事の証拠を差し押さえるためです。

 度重なるアンブレラへの調査により得られた情報というのが「ロシア支部での新型B.O.W.の開発疑惑」というわけでして。それをセルゲイ・ウラジミールというアンブレラ幹部さんが主導してるらしいんですね。

 そう、皆大好き?セルゲイ大佐です。

 

 我々のお仕事は、そこに突入してアンブレラのやべぇ記録を回収しまくる事です。できればセルゲイ氏の身柄も確保して欲しいなぁ…と上司は言ってましたが、UCの記憶がぼんやりとでも有るなら分かる。本人が生物兵器みたいなもんなので無理です。

 や、無理とは言わなかったけど、生物兵器も山ほど出てきそうなので、頑張るけど難しいと思います的な回答をしておいた。

 

 しっかし、大変だった。調査チームの皆で拾い集めた情報を分析し、ようやっとこの場所に辿り着いたのだ。

 何か凄いタレコミがあったわけじゃないからね。

 業界に流れるウワサやら何やらをかき集め、出所を探り、時に調査に乗り込み、時に深層ウェブに出回る真偽も怪しい生物兵器の映像を解析に回し…まあ色々とやった結果がコレだ。

 

 で、もしやコレはUCでは?と思いつつ現地入り。

 

 しかし合衆国所属の我々が、おそロシアで好き勝手に動くのは政治的に危険が危ないため、まず向かうのは現地のバイオハザード対策部隊の拠点である。

 彼らと合流したら、皆でアンブレラにのりこめー!する予定だ。

 

「あ、ジルさん」

「久しぶりね」

「先客が居ると聞いていたが、君たちの事だったのか」

「レオンに……お前かよ」

 

 そして案内人と合流し、拠点に招かれた自分たちの前に現れたのが、ジル・バレンタインとクリス・レッドフィールド(ゴリラではない)の二人。

 B.S.A.A.がまだ設立していないためか、個人で活動している対バイオハザード活動家としては最も有名な二人だ。この場に居るのは何もおかしな事じゃなかった。

 

 で、こちらの顔を見たクリス氏はむっすり。

 まあ当たり前だわな。

 

 自分が身柄を拘束されてから、ジルさんを含めて洋館事件の被害者である元S.T.A.R.S.メンバーと面会する機会はもちろんあった。ジルさんは共に行動した時間があったおかげで、こちらの複雑怪奇な状態に理解を示してくれているが、他の人がそう簡単に受け入れられる話じゃないのは当然。

 

 ジルさんやスタッフさんから事前の告知を受けていても、面会したクリス氏なんかはあからさまに疑ってます!という顔を止めなかったし、バリー氏は険しい顔でスタッフさんに「コイツを一生拘束しといてもらえるなら、俺としては安心だ」みたいな事を言っていたっけな。

 

 まだエージェントうんぬんの話をされていなかった自分も、たぶん良くて一生軟禁コース、悪けりゃ実験体として幽閉やろなぁ…と思っていたので、相手を刺激しないようにあまり口を開かなかった事もあり、まあアレな面会だったわけで。

 つまり向こうはまだ、少なくともこちらに隔意を持っているのだろう。

 

「ジル、もう良いだろ?」

「…分かったわよ」

「事情は聞いている。彼の事は俺がしっかり監視しておくから安心してくれ」

 

 ジルさんと積もる話にちょっとした花を咲かせていたのを中断すると、現地のバイオハザード部隊の隊員さんがやって来る。

 今から隊長と挨拶し、ブリーフィングを始めるとのこと。アイサツは実際大事。ウチアワセも大事。

 

 そんなブリーフィングの結果として、自分たちはアルファ隊の後ろにくっついていく事になった。ジルさん達はそれなりに彼らと協力していた期間があったようで、連携面で信用もある事から、アルファ隊に随伴しながらも遊撃手として動くという。

 

 

 

 とまあ、わくわくでウチアワセをしたのが一週間前のこと。

 

 我々は未だに拠点から出発できていなかった。

 単純にロシア政府からの許可が降りていないからだ。政府はこの作戦を秘密裏に終わらせたいし、許可を出した事すら記録に残したくない(見て見ぬふりをします)、という話は聞いていた。

 ならばその通りにすれば良いだろうと思うが、またぞろアンブレラの人脈が悪さをしているのか、他に何か原因があるのか、足止めは続いているのが現状である。

 

「まだ許可が出ないの?もう一週間待ってるのにふざけないで。こうしている間にも、奴らは悪辣な陰謀を進めているのよ。呑気にしていたら、第二のラクーンシティになるのは貴方たちの土地だって分かってるのかしら」

「我々としてもそこは承知している。君に脅かされるまでもない。しかしこのような、政治的にデリケートな問題に対して即答できない事を分かって欲しい」

 

 苛立ちを隠せないジルさんが詰め寄っている先は、政府とやり取りしている隊長さんだ。

 が、上手いもので、クリス氏がそれを諌める形で話を持っていき、隊長さんから「12時間以内に返答を」という約束を引き出している。

 あくまで個人として参加している彼らは、許可が出なくても堂々と突撃アンブレラをかませる。だからこそ強気に言えるのだろう。

 許可を出さなきゃ勝手に荒らし回るぞ、と。

 

「許可が出なかったら俺たちは帰るしかないな」

「公務員は勝手ができないもんねぇ。バイオハザードを阻止したら最終的に核戦争エンドなんて、文字通り草も生えないし」

「その独特の言い回しやめろ。俺にもうつるだろうが」

「おハーブ生えますわよ」

「マジでおやめになって」

 

 合衆国所属の自分たち(アンクル・サムの名前を使ってる立場)だと独断専行できないのでぇ…

 

 なーんて小声でしおらしい事を言ってはいるが、ぶっちゃけ許可が出なけりゃ、もしくはこれ以上待たされるならば、帰るふりして突撃アンブレラする気しかないのが自分たちエージェント組だ。つまりプランBやね。

 レオン氏がハニガンさんに連絡を取り、そのサポートを頼んでいたし、準備はバッチリ。

 

 長期化する裁判、つまりアンブレラとの泥仕合に終止符を打ちたいという考えを、最近の脱アンブレラが進んでいるアメリカ政府は持っている。だから自分たちとしては「許可」なんてとっくに出ているようなものなのだ。

 

「ま、ここの食堂の飯を一週間も食えたんだ。悪い休暇じゃなかったと考えるか」

「ロシア料理の旨さに目覚めてしまったな。昨日食べたスモークサーモンとチーズのブリヌイが忘れられそうにないし、タラのウハーも大変良かったです」

「ほんとに魚が好きだよな」

「肉も好きだが、旨い魚は毎日食べられるぞ」

 

「呑気なもんだな」

 

 食堂で提供される、美味しいビーフストロガノフとマッシュポテトの組み合わせに舌鼓を打ちながら、ここでのご飯が食べ納めになる事を嘆いていると、いつの間にかこちらに来ていたクリス氏が腕組みして見下ろしていた。

 

 うん、何て返せば良いか分からんね。

 自分が何を言っても彼は気にさわるだろうし、助けてレオン氏。たのむ。

 

「こちらはそっちと違って勝手ができないからな。こういう状況に慣れてるだけだ」

「そうかよ」

「ああ、俺たちがこの状態で何もしていないと思ってるなら酷い誤解だな」

「なるほど。で、お前はだんまりか、ウェスカー」

 

 わーい!これどう返事すれば良いのか分かんねぇ!

 

「その名で彼を呼ぶのは余計なトラブルを招きかねない。止めた方が良い」

「……分かってるさ」

 

 何とも言えぬ雰囲気を出しながら、クリス氏は去った。

 

 ありがとうございますレオン氏。

 彼とは本当にどう会話して良いか分からんのじゃよ。

 

 洋館事件の犠牲者は決して少なくない。その犯人と同一人物なのに、中身が本人じゃないと言ってる自分が謝っても、向こうだって良く思わないだろう。

 とか考えていたら、なけなしの会話能力を失ってしまったのである。

 

 ぶっちゃけジルさんと和解できているのも、彼女が「自分がやってない事で謝るんじゃないわよ」と言ってくれているから成立している状態なのだ。

 つまり自分が人間関係をどうにかできた訳じゃない。

 

 うーん、難しい。

 なんというか、クリス氏と仲良くせにゃならん必要に迫られている訳でもないから、余計になぁ。

 自分に逃げが入っている事も否定できない。

 

 

 

 

 

 と考えたり、装備の整備をしているうちに、ロシア政府からの許可が降りた。

 

 ならば出発するしかあるまい。 

 

 

 

 

 

 




 
・おじさん
遮光用のメガネは手放せないので、せめてオールバックは止めているおじさん。現場任務はちょっとだけでも旅行気分が味わえるので嫌いじゃない。
お土産は空港で買うタイプ。海外出張するようになってから首輪は埋め込み式になるし、空港だと頚椎やっちゃってボルト入れてる人扱いになる。

日本での任務が来ないかな~と思いつつ、あんな生態系が豊かで山地が多くて人口密集不可避な国でバイオテロが起きたらやべぇので、半ば諦めている。

最近は、任務中にカロリーとハーブを効率良く摂取する方法を探るのが趣味。
ハーブ現地調達とか保険が無さすぎて無理。



・レオン氏
おじさんと会話してると緊張感が死ぬから困る。
良く手製のハーブ系食品をくれるなぁと思っていたら、普通に人体実験(ハーブの成分はどこまで加工に耐えられるか、また摂取方法や体質の違いでどれほど効きに差があるのか)されていたらしいのでどついたことがある。
でもハーブリキュールで作ったチョコのボンボンはかなり旨かった。ハーブ、カロリー、アルコールまで摂取できるが、手生産だと大変なのが惜しい。
ハーブ飴とかハーブチョコは良いと思う。生ハーブや煎じただけのハーブより食べやすい。



・ジルさん
飴ちゃんもらった。飴は最後まで舐める派。
アンブレラ関係でおじさんと連絡を取ることも普通にあったので、たまに会話している。
自分がしてない事で謝ると、いつの間にか自分がしたように感じてしまうし、下手すると記憶すら捏造されるという冤罪周りの知識から「ひっぱられる」事を懸念していた人。

もらったラクーンハーブソルトを調味料だと気付かずに、バスソルトとして使った前科がある。
逆じゃなくて良かったな。



・クリス氏(ゴリラではない)
状態の説明だけされて、面会しても必要な事しか回答しない対応をされたので、トンチキ映像を見てもふざけてるのか?という感想しか出なかった勢。

生産者を知らぬままジルさんから飴ちゃんを分けてもらった事がある。噛み砕いて食べる派。



生物系に限らず調べれば調べるほど新たな学説とかいっぱい出てくるから、少しでもマジになって何か書くなら生涯勉強なんやろな…と身に染みました。
置いてかれないようにしないとな!
(新学期の足音から目をそらす)



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。