swordian saga second   作:佐谷莢

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 スペクタクルズとは、戦闘中に使用すると敵の詳細なパラメータを調べ上げて、モンスター図鑑に記載するアイテムのことです。(ゲーム内処理)
 売値は10、買値は40。近年のテイルズではアイテム無しで敵の詳細情報を知ることができるので、過去の遺物でもありんす。
 ここでなんとなんと、早くもジューダスの正体が、判明するようですよ? (フィオレだけにね!)


第二戦——地下水道での戦い~君は、もしかして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それまでほぼ平坦だった水路に、奇妙な波紋が生じる。

 小さな波紋はあっという間に肥大化し、やがて盛大に水を割って現れたのは、水竜にも見紛う大蛇だった。

 

「蛇の化け物……!」

「水棲生物ヴァサーゴ。河川などに生息し、分泌物で巣作りをする。また捕食用の罠にも用いられ、これを破る方法として加熱以外の有効策は見つかっていない……」

「そんな豆知識はいいから弱点教えてくれよ!」

「ヴァサーゴの外殻は非常に硬質で、鎧としても重宝されていた。そんなわけで、外殻の隙間を狙ってください」

 

 見やれば、ヴァサーゴなる大蛇の外殻は一枚岩ではない。

 俊敏さを失わないためなのか、関節のような継ぎ目があり、その内側には筋繊維を思しき生体組織が覗いている。

 そうこうしている間に、巣を完膚なきまでに破壊されたヴァサーゴは怒気すら感じられる咆哮を放った。

 体に比べて細く長大な尾がくねり、水面を叩いて水飛沫が発生する。

 視界を遮って逃げるつもり、ではなさそうだ。

 

「うわっぷ!」

「来ますよ、前方要注意!」

 

 水飛沫の煙幕を切り裂いて、巨体が迫りくる。

 余裕で、あるいは辛くも逃れた一同は半壊した整備用通路から離れて後退する形となった。

 その間に幾度かカイルやロニが攻撃を仕掛けるも、キンコンと刃が弾かれる音が響くのみである。

 

「足場は悪い、でかいくせにすばしっこい、殴っただけじゃ効かねえ……散々だな」

「外殻を殴っただけじゃ、そりゃ効かないでしょう。それに、そこまで素早いですか?」

 

 この場合正しいのは、「巨体の割には動きが滑らか」であって、愚痴るほどの俊敏さは感じられない。

 しかし、フィオレの発言はけして冷静でなかった彼の激情を招いた。

 

「ああ!? ンなこと言うならテメーが戦ってこい! 言っとくが前で戦うのと後ろで見てるのとじゃ全然違……!「わかりました。まずはこちらへ」

 

 胸倉を掴まれ凄まれるも、フィオレは動じていない。連れの激昂に慌てふためくカイルを促し、ロニの手首をひねって立ち位置を動かす。

 その頃、一人交戦を続けていたジューダスめがけてヴァサーゴは、大量の水流を吐き出していた。

 ヴァサーゴの喉が膨らんだ時点で何らかの意図を感じたジューダスはいち早く逃れているも、水流はそれまで三人がいた通路を直撃している。

 水流が失せた後、圧力に耐えかねたか、石造りの通路はべっこりとへこんでいた。人の身で受ければ、溺死の前に圧死していただろう。

 それを見たロニの手が緩み、フィオレはようやく胸元の手を払いのけた。

 

「下がっていてください。とばっちりで怪我をなさらないように」

 

 他のことに気を取られている人間は、何かと御しやすい。

 彼らに背を向け、コンタミネーションを発動。乾いた血の色を有する魔剣を取り出した。

 刀身は斧の形をした刃を背中合わせにしたような形状で、どのような鞘にも収まりがたい。

 強いて言うなら、フィオレ自身が鞘になるか。

 

「そ、そんなのどこに持ってたの!?」

 

 驚くカイルの突っ込みは無視、いさかいを余所に戦っていたジューダスの隣に並ぶ。

 先ほどの片手剣だけではなく、もう片手に小剣を構える彼はちらりとフィオレを見やっただけで、言及してくることはなかった。

 その代わり。

 

「……何を遊んでいるんだ」

「お詫びにすぐ、終わらせて差し上げますよ」

 

 彼の健闘を称える以前に、フィオレの都合のために。

 長い首を大仰に振って、真水の塊じみたものを吐き出すヴァサーゴから間合いを取る。

 真水どころか水ですらない、ねばっとした何かが水路へ落ちた瞬間。

 フィオレは魔剣を振り上げた。

 

「魔神剣!」

 

 振りかぶったその先に垂直の衝撃波が発生し、一直線にヴァサーゴへと迫る。

 その大きさゆえに速度は通常のものよりも遅いが、レンズを呑んだ大蛇にそれを避けるという発想はなかったようだ。

 以前までの攻撃と同じく、外殻で衝撃波はあえなく散らされる──と思われた矢先。

 奇妙な音を立てて、衝撃波はヴァサーゴの胴体を半ばまで切り裂いた。

 

「なっ!?」

「あなたに恨みはありません。せめて安らかに逝け」

 

 あっという間に水路が真紅に染まり、ついでに負傷した二の腕にも痛みが走る。

 負担が軽い初級の技でこれでは、通常剣技の行使すらままならないだろう。

 そんな中、ジューダスの驚愕を置き去りにフィオレは振りかぶった大剣をヴァサーゴの頭部へ叩きつけた。

 

「虎牙破斬!」

 

 断末魔も何もなく、大蛇は水路の底へと沈没する。それを確認して、フィオレは魔剣を水路に浸した。

 妙にねとつく血糊を払おうと悪戦苦闘していた矢先。

 

「すっげえーっ!」

 

 歓声が上がった。

 何事かと見やった先に、唖然としている兄貴分を押しのけてやってくるカイルの姿がある。

 燭台の仄かな明かりに、輝く瞳はキラキラと効果音すら放っていた。

 

「あんなでっかい蛇を一撃で倒しちゃうなんて、フィオレってすっごく強いんだね! その剣ってどこに持ってたの? ひょっとして伝説の魔剣か何か?」

「一撃で倒してはいません。すんなり倒せたのはジューダスのサポートあってこそです。タネも仕掛けもある手品で隠し持っていただけですので、特殊な逸話はありません」

 

 正確には、普通の剣でないだろうことは知っていても、どんな逸話があるのかは知らない。

 冷静に受け答えたにも関わらず、興奮してまくし立てるカイルの対応に困り、ロニを見やる。

 弟分を取られた気分にでもなっているのだろうか。彼の機嫌は急降下しているように見えた。そもそもジューダスに頼ろうとは思わないし、自分でどうにかしなければならないらしい。

 

「あの、カイル。私は先を急いでおりまして……」

「──追われてる、とか言ってたな。そんなに強いなら、なんで力づくで追っ払ったりしないんだよ」

 

 気を取り直してくれたのは嬉しいが、そんな重箱の隅をつつくようなことを聞いてくれなくてもいいような気がする。

 つっかかるように尋ねてくるロニに、フィオレは軽く肩をすくめて見せた。

 

「一筋縄でいくような相手じゃないと判断したからです。どこの誰かもわからないし、何より街中で刃物を振り回すわけにはいきません」

「ふーん……ま、一理あるか。おいカイル、落ちつけよ。まずはここから出ようぜ」

 

 一応納得したのか、鉄さび臭い空間から出たいだけか。彼はカイルを促して、鉄製の扉と向かい直った。

 鍵がかかっているとか、錆びて開かないとか、そういうことはなかったらしい。扉はロニによってあっさり開かれ、涼風が水道内に流れ込んでくる。

 

「もうすっかり夕方だな。おいフィオレ、俺が押さえておくからさっさと出ろ。レディファーストってことでな」

「……いえ、お構いなく。お先にどうぞ」

 

 口調こそ変わっていないが、妙に声音が上ずっているように見える。

 そう感じて不審に思ったのはロニだけではなかったらしく、カイルもジューダスも彼女を見やっていた。

 フィオレはといえば、魔剣を携えたまま。これまで歩いてきた方向を見つめて動こうとしない。

 

「どうしたのフィオレ、先を急いでたんじゃ……」

「……事情が変わりました。下手に移動するよりは、ここで待ち構えた方がよさそうです」

 

 彼らに背を向けたまま、フィオレは魔剣を構え臨戦態勢となった。しかし、何かが現れるような気配はない。

 それでも。フィオレは臨戦態勢のまま、断固として足を動かそうとしなかった。

 

「追手とやらか?」

「はい。さようなら、ジューダス。お世話になりました」

「勝手にさよならするんじゃない。こっちは少し聞きたいことがあるんだ」

 

 ちら、と視線を寄せれば、双剣を携えた彼が隣にいる。

 何を言っても聞く耳を持たないような。そんな予感がしつつも、フィオレは言葉を連ねざるを得なかった。

 

「……立ち去ってください」

「断る。お前に命令される謂れはない」

 

 それ以上彼と問答を重ねる気も起きず、振り返って未だ扉付近に立つ二人組を見る。

 彼らもまた、立ち去る気もフィオレの言うことを聞く気もなさそうだ。

 

「……死にたいなら、どうぞそこにいてください」

「それで脅してるつもりかよ。いっくらお前が気に食わなかろうと強かろうと、女盾にして逃げられるかっつの」

「そうだよフィオレ! オレ達も手伝うから、ストーカーなんて返り討ちに……」

「わかりました。逃げます」

 

 くるり、と踵を返し、未だにロニが開いていた扉から外へと出る。

 暗闇に慣れた眼に夕日が眩く映るものの、それはすぐに地平線の向こうへと落ち込んだ。

 整備用通路入り口は筒のような通路に続いており、通り抜けたその先は海岸に繋がっている。それを確認して、フィオレはくるりと振り返った。

 

「おいおい、いきなりどうし」

 

 残念ながら、すでにおしゃべりに興じている暇はない。

 これまで通ってきた地下水道の彼方から、整備用通路を駆ける足音が聞こえてきている。そのため急遽、戦術を変更せざるをえなくなったのだ。

 少しでも交戦を遅らせて、彼らを巻き添えにしない方向に。

 

「──見つけたぞ。ウロチョロと逃げ回りおって。今度こそそっ首、叩き落と「どっせい!」

 

 三人とも扉から出ていることを確認し、扉を蹴り閉めることで言葉を黙殺し。

 足元を流れる水流に左手を浸し、フィオレは譜術を発動させた。

 

「そなたが涙を流すとき群がりし愚者は、白に染め上げられし世界の果てを知る……セルキーネス・インブレイズエンド」

 

 発生した譜陣が展開し、冷気が発生したかと思うと鉄製の巨大な扉が氷塊によって開閉不可能となる。

 しかし、これでも十分だとは思わないフィオレは吹きぬける風に左手をゆだね、更なる詠唱を開始していた。

 その最中のこと。

 

「ぶるあああっ!」

 

 ビシリ、と音を立てて扉を閉じ込めた氷塊にヒビが生じる。氷塊が衝撃に耐えかね砕け散ったその瞬間、鉄製の扉は内側からへしゃげた。

 二度目の衝撃に、扉自体より蝶つがいが耐えられなかったらしく、地下水道と外界を隔てる分厚い扉が吹き飛ぶ。

 

「うわぁっ!」

「のわっ!」

 

 警告を発する間もなく、扉の近くに立って事の成行きを見つめていたカイル、そしてロニが余波を受けて吹き飛ばされた。そのまま動かない辺り、心配するべきなのだが今はその余裕がない。

 如何にして逃げるか、あるいは撃退を目論むか。

 とにかくこれ以上の巻き添えを出さないためにも、フィオレは詠唱を中断して部外者の排除を優先した。

 

「ジューダス、逃げてください。下手に関わると死にますよ」

「……構わない。今の生は本来、ありえないことだからな」

 

 突如としてわけのわからない言葉を吐かれ、フィオレは困惑して彼を見た。

 ジューダスはフィオレの視線などものともせず、双剣を納めたかと思うとマントによって覆われた背中に手をやっている。

 そして取り出されたのは──曲刀(カトラス)の刃に細剣(レイピア)の柄を合わせたような、宝剣と称しても差し支えない優美な剣だった。刀身の付け根に丸い飾りが張り付いている。

 

「あっ!?」

「あれから十八年の時が経過して、世の中には新たな技術が浸透している。怪しまれたくないなら、平静を装うべきだ」

 

 今度こそ驚愕の声を漏らしたフィオレに剣を押し付け、ジューダスはくるりと背中を向けた。

 あの特徴的な剣の持ち主にして、フィオレの現状を知っているかのような物言い……

 似てる似てるとは思っていたが、まさか。

 吹き飛ばされた扉が発生させた土埃の向こうから現れたのは、うねる寒色の蓬髪に戦斧を抱えた巨漢だった。

 とうとうフィオレの姿を視認し、厳格な瞳に昏い悦びが宿る。

 しかし、フィオレの前に立ちはだかる仮面の少年を一瞥し、彼は小さく鼻を鳴らした。

 バルバトスと名乗っていたか。当然、その仮面に何らかのリアクションを示すかと思いきや、彼が口にしたのはただひとつの要求である。

 

「──どけ、小僧。ひねり潰されたいか」

「奴の言い分を呑んだ貴様が、何故ここにいる。何故彼女を狙う」

「しれたこと。俺は英雄と呼ばれる輩を、守護者共の手先を潰すだけよ!」

 

 それを邪魔する者もだ、と一方的に宣言し。戦いは唐突に幕を開けた。

 何故あの男が守護者の存在どころか、フィオレと守護者との関係まで──いや、それを考えることは後でもできる。

 彼が双剣を用いて足止めをしてくれている間に、フィオレは先ほど押し付けられた剣を見下ろした。

 

『シャルティエ、ですか』

『……うん』

 

 言葉少なく、脳裏に思念が言葉となりて響く。

 渡されたこれに、シャルティエの人格が宿っているのならば。

 

『彼は、リオンなのですか』

『……そう、だよ。坊ちゃん本人』

 

 海底洞窟にて、スタンとの一騎討ちに敗れ。そのまま没したと資料にあったリオン・マグナスが、相棒シャルティエと共にここに居る。

 事実は小説よりも奇なりとは、よくいったものだ。

 ともあれ、いつまでもこのままではいけない。

 

『あの、フィオレ。……怒ってないの?』

『その辺は、後でじっくりお話しましょうか』

 

 おしゃべりはここまでだ。鞘に納められたシャルティエをたばさみ、魔剣を仕舞う。

 その頃ジューダスは、けして引けを取ることなく堂々とバルバトスと交戦していた。

 積極的に攻撃を仕掛けることなく、振り回される斧の軌道を読み、回避し、合間を縫うように双剣による連撃を仕掛けている。

 バルバトスがジューダスを無視してフィオレへと向かうなら容赦なく攻撃を、そうでなければほぼ回避に徹するという、理想的な足止めだった。

 が、この方法は相手にフラストレーションを与え、溜め込ませてしまうという最大の欠点がある。

 事実、バルバトスは目に見えて苛立っていた。

 攻撃を仕掛け、ジューダスから気を逸らすか──いや、それよりは。

 

『シャルティエ、伝えてください。とっておきを使いますので、そのまま足止めをお願いします』

『坊ちゃん、フィオレからの伝言です』

 

 フィオレとて、できることならこの手で叩きのめして目的と理由を吐かせたい。しかしこの身のこなしを見るに、それができるほど簡単な相手ではなかった。

 加えてこの体調では、剣技をもって撃退する前にこっちがやられる。体術に関しては絶望的、残るは譜術しかない。

 問題は発動直後、意識を残しておけるかどうかだが。迷っていたところでジューダスの負担が増えるだけ。

 フィオレを背に一歩たりとも退かない彼を、バルバトスは鼻で嘲笑った。

 

「騎士気取りか。それとも、因縁はかくも貴様を縛るのか?」

「……」

 

 まるでリオン・マグナスがスタン・エルロンに何を言ったのかを、知っているかのような風情である。

 挑発に乗ることなく沈黙を貫き、ただただ双剣を振るう彼の後ろで。フィオレは悠々と譜陣を編んだ。

 

「天光満つるところに我はあり、黄泉の門開くところに汝あり。天の風琴は奏者たる我を欲し……」

 

 剣戟を聞きながら詠唱を手早く済ませるも、フィオレの視界はいともあっさり歪んだ。

 わざと患部に触れ、激痛で正気を手繰り寄せるも、睡魔に似た感覚がフィオレの意識を蝕んでいく。

 とはいえ、最早フィオレ自身にも止められるものではない。

 今のフィオレにできることといえば精々、完成しかけた術式に味方識別を組み込む程度だ。

 

「……生じて、滅ぼさん。響け、終焉の音……!」

 

 いかに化け物じみた身体能力の持ち主でも、譜術の標的にされた以上逃れる術はない。

 反射的に飛び退ったジューダスの眼前で、バルバトスが白光に飲み込まれる。

 断末魔すらかき消した轟音に鼓膜がやられると覚悟するも、耳に直撃するはずだった轟音は何故か、遠くで雷鳴が響く程度にしか感じられなかった。

 それに違和感を覚えた直後、彼にまとわりついていた光の膜がはがれ、宙に融けて消える。

 回復した視界に映るのは、黒焦げになって倒れ伏すバルバトス。

 燐光を失いつつある譜陣を中心に立ち尽くしたフィオレだ。

 沈黙は、訪れない。

 

「ぐ、うぅ……!」

 

 すぐに呻きを上げて、バルバトスは起き上がった。

 

「あれを受けて、まだ動けるのか……」

 

 思わずジューダスが呟くも、フィオレに一切の動揺はない。どれだけ威力の高い譜術を行使しても、こうなることは予想済みだった。

 とはいえ、無傷とは程遠い。

 体の至る箇所に重度の火傷を負い、そして四肢の末端などは一部炭化が見て取れる。どう見ても、戦える状態ではない。

 帽子で隠れてはいるが、フィオレはまんじりともせずその様を見つめていた。

 息を荒げたバルバトスはといえば……甚大な被害を受けたのに関わらず、歪んだ含み笑いを浮かべている。

 

「……なるほど。隻眼の歌姫が起こした奇跡、それが英雄と呼ばれる由縁か」

「……」

「彼奴らの加護によって浅ましくも命を繋ぎとめた貴様を、俺は絶対に逃さん。必ずやその命、貰い受ける。精々逃げ惑うがいい。ククク……」

 

 まるで泡が弾けたが如く、唐突にバルバトスの周囲を暗黒が漂う。

 そのまま巨体は闇に飲み込まれ、登場と同様空間を歪ませて消えた。

 とりあえずわかったことは──フィオレが持つ最大級の術を持ってしても仕留められる相手ではないこと、そしてフィオレの現存は守護者の仕業であるということ。

 ならば、やるべきはひとつ。

 

「フィオレ!?」

 

 前のめりにばったり倒れ、旅立つ意識を引き留める気力もないまま誓う。

 守護者達の聖域に乗り込み、直接問いただすまでだ。

 現在地から一番近いのは、風を司る守護者シルフィスティアの……

 

『フィオレ、大丈夫!?』

「……脈は安定している。呼吸も正常、寝ているだけだ。まったく、人騒がせな……」

「いってぇー……」

「ったく、一体何が……って、おい、ジューダス! 何やってんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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