swordian saga second   作:佐谷莢

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 バチカル、闘技場。
 連れてこうか、どうしようか、悩みに悩んで……


第八十一戦——闘技場団体戦ぼっち出場~寂しくなんてないやい(棒)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 六つの触媒は揃った。これでようやく、惑星譜術を扱う資格が得られたようなものである。

 本来なら、惑星譜術の真髄を知る者が封印されているというシルバーナ大陸の最果ての地、とやらを探さなければならないところ、具体的な場所はセルシウスが把握しているという。

 だから後は、セルシウスの導きに従い、シルバーナ大陸へ向かえばいいものを。

 フィオレはバチカルへやってきていた。

 

「……は?」

「団体戦への参加を表明する、と言ったのです。登録手続きを」

「いや、しかし、見たところお一人……」

 

 闘技場規約に、団体戦への個人参加は違反に当たらないはずだが、闘技場側からすればいい迷惑、無謀もいいところだと言いたいのだろう。

 ここで押し問答しても始まらない。

 

「──連れが、後から参りますので」

 

 適当にでっち上げて、まんまとエントリーに成功する。個人戦だろうと団体戦だろうと、参加費が統一されているのはありがたかった。

 

「初回エントリーの方は例外なく初級からの挑戦となります」

 

 文句は無い。カイル達が起用されているのがどのクラスかわからないことだし、路銀稼ぎに制覇するのも悪くない。

 無論のこと。団体戦において、実質個人参加が目立たないわけもなく。

 

『割れんばかりの大声援と野次の波、闘技場は今や真冬のシルバーナ地方の荒波のようだ~!! 今から始まるのは、チームワークが物を言う、団体戦初級戦……なんですが』

 

 拡声器を手に観客を煽る司会者が、困ったように視線を寄越す。

 団体戦で一人しか選手が現れなかったら、困惑はするだろう。

 

「お気遣いなく。よくあることですので、始めてください」

『ん~……まあいいでしょう。危ないと思ったらすぐに棄権してくださいね。さあ気を取り直して小手調べ。一回戦目……れでぃ~ご~!!』

 

 現れたのは、剣士二人に軽装の短剣使い、そして後衛に譜術士というパーティである。

 数の上では不利だが、負ける気はしない。何せ戦いは、もう始まっているのだから。

 彼らが舞台に上がったその瞬間に突貫し、一息で距離を詰めた。

 剣を抜く暇も与えず、闘技場から借りた鉄棍で飛びかかり、無防備な首筋を容赦なく殴打する。

 そのまま返す刀で、真横に立っていた短剣使いの手首を狙った。

 

「痛ぇっ!」

 

 結果として、短剣を片方取り落とさせることに成功する。

 そのまま挑むと見せかけて、フィオレは後衛の譜術士を狙いにかかった。

 前衛を倒して悠々後衛を潰すのも魅力的だが、その間に譜術の一発も撃たれて被弾したら痛い。

 案の定、譜術士は前衛を盾に悠々と、詠唱を続けている。

 

「獅子戦吼!」

 

 それを吹き飛ばし、追い討ちで黙らせた後そのままその場所を飛びのいた。

 それまでフィオレがいた場所を、短刀が通過していく。

 残るは片手が痺れた短剣使いと、剣士。

 そのままフィオレは、一足飛びに接近した。

 

『強い、強すぎる! 私でさえ八百長ではないかと疑うほどに、一対多のハンデなどどこ吹く風。圧勝です!』

 

 団体戦だろうと個人戦だろうと、上級だろうと、要は三回勝ち抜けばその証が授与される。

 それら証は証を持つ者同士が互いに掛け金を出して挑み合うアンダーグラウンド戦への出場資格となるのだが、これは非合法。

 証を手に入れて名誉獲得がこの闘技場の醍醐味である。

 それらを抜きにしても、三回戦連続の勝ち抜きは容易くない。勝ち抜いた分、実力のある剣闘士が選出されるのだ。実力に問題がなかろうが、体力が尽きてしまえばそこで終わりである。

 団体戦であるから、その危険も倍増。仲間の一人でもスタミナが尽きればフォローに気をまわさねばならなくなり、そこから崩れていくことも珍しくはない。

 そんな事情がある中、フィオレはたった一人で団体戦を制覇した。

 三回戦において、その頑強さから最後まで立っていた重戦士を敢然と見下す。

 

『……この栄誉を称え、アナタには優勝賞金4万ガルド、次なる舞台、頂点の山脈、最高の頂き、団体戦上級の参加の権利を獲得っ! ですが、次からはちゃんと頭数を揃えて……』

「それはできかねます。何なら4万ガルド返すので、参加資格だけ下さい」

『へっ? あの、お仲間がいないのなら寄り合い所で募集をかければ』

「どこの馬の骨とも分からぬ輩に預ける背中はありません」

 

 フィオレとて、何もカイルらに会うためだけに闘技場に参加したのではない。厳しい戦いは避けられぬであろうこれからのため、少しでも極限状態に慣れておいたほうがいい。

 

『えー、確かにこのまま上級戦に申請をされるなら認められないこともないでしょう。となると、休息もなく再び連戦に……』

「それでいいです、これでお願いします。おつりは要りません」

 

 言うなりフィオレは、受け取ったばかりの賞金を司会者に押し付けて座りこんだ。

 大して消耗した覚えもないが、取れる休息は取る。格好つけた挙句、カイル達手前で倒れようものなら、笑い話にもならない。

 慌てて司会者が手続きに走る。それを見送り、フィオレはキャスケットを被り直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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