第一話 竜の目覚め
???Side
ある日の朝。私は何時もの様に神社の境内を掃除しようとしたら、境内に見慣れない服を着た青い髪の少年が倒れているのを発見した。
彼の服装は里の人間の物とは違い、袖の無い白い服に
里の人間はこんな服は着ないだろうし、彼から感じられる気配も人の物じゃない。だからと言って妖怪が放つものとも違う。
どちらかと言うと………龍に近い雰囲気すら感じられる。
でも、此処で龍と言えば最高神の龍神だけの筈。
龍神が下界に下りて来るまずありえない事だし、今私の目の前に居るのが龍神だとは思えない。
だったら彼は一体なんなのか。
幾ら考えても答えは出ないけど、もし龍神の血族だったらこのままにしておく訳にもいかない。
「……はぁ。メンドクサイな」
私は溜息を吐きながらも、倒れている彼を神社へと運んだ。
???Side out
……俺は今夢を見ている。
夢の内容は、俺が〝
もう一人の自分と戦い、その末に俺が選んだ答え。…あの世界には、もう〝うつろわざるもの〟は必要なかったから。
だから、あの選択に後悔はしていない。……でも、如何して俺はこんな夢を視ているんだろう。俺は他の竜達と一緒にあの世界から消えた筈なのに……。
「……ぅ、う~ん……」
眠っていた俺は、差し込んでくる光の眩しさで目を覚ました。
目を覚ました俺の眼に最初に入って来たのは、初めて見る内装の部屋だった。
今まで世界を旅して来たけど、こんな内装の部屋は初めてだ。
木で出来た家と言うのは確かにあったし、床で寝るのも初めてじゃないけど……建物の構造そのものが違う。
なんでこんな所で寝てるのか覚えてないけど、今は此処が何処なのか考えるのが先決か。
「あ、漸く起きた」
「…?」
半身を起した所でドア……と思うものが開き、腋出しの変わった形の紅白の衣装を着た黒髪の少女がこの部屋に入って来た。
あの子は一体誰だろう。この家の子かな? と言うか、腋を出して寒くないのかな?
……服の袖が無くて、腋を出してるのは俺も一緒か。
「アンタ、人の家で何日眠ってるのよ」
「……一体何日寝てたんだ?」
「三日よ三日。全く、死んだ様に眠ってるから既に死んでるのかと思ったじゃない」
「あ~、随分眠ってたんだな」
「…暢気ねアンタ」
黒髪の少女は、俺の発言に呆れているが……そんなに呆れる様な事か?
もう一人の自分だったアイツは、数百年間寝てた記憶があるし、三日くらいなら呆れる事もないと思う。
「まぁ良いわ。…それでアンタは一体何者なの?」
「…? それはどう言う意味だ?」
「言葉の通りの意味よ。見た目は人間だけど、気配は人のそれとは明らかに違う。でも、妖怪なんかの気配とも違うし……」
「……………」
彼女が言う妖怪ってのが何か分からないけど、人じゃないって事は…やっぱり俺はリュウが捨てた力なんだな。
だとすると、俺は自分の事を彼女になんて説明すれば良いんだろう。
かつて神と呼ばれていた者……は、少し違うかな。
俺の意識はどちらかと言うと、フォウルよりもリュウに近いみたいだ。
分かれていた力が一つに戻った事で、二人の力を使えると思うけど……今は関係ないな。
こうなると、本当になんて説明すれば良いのか分からなくなるな。
今の俺は竜の力が、肉体と意志を持って一人歩きしてる様なもんだし。
………ややこしく考えるより、一から説明した方が良いか。
「…少し長い話になるけど、良いかな?」
「出来るだけ手短にお願いするわ」
「え、えぇ~……」
あの旅を記憶を短く話すのって、結構大変な気がするんだけど……。
まぁ、俺の事を説明する上で話さなくても良い事も多いし、なんとか頑張ってみるか。
「…一番最初の始まりは、とある世界に一体の竜が召喚された事から」
こうして俺は話し始めた。二つの身体に分かれてしまった一頭の
二つに分かれた竜は世界を巡り、様々な人に出会い、様々な出来事に関わる。
…そして世界を巡る内に二人は違う答えに辿り着き、全ての始まりの地で二人は戦った。
「―――戦いの末、分かれた竜は元に戻り……そして神である事を止めた」
「……それじゃ、アンタは一体なんなの?」
「俺は、その神と呼ばれた竜の力そのものかな。だから君の言う通り、俺は人でもなければ、妖怪と呼ばれる存在でもないんだ」
「……それでアンタはこれから如何する積もり」
「如何もしないかな。この力を使って世界を滅ぼそうとは思わない。だからと言って、他に行く宛もないし」
「そう。……だったら暫く家に居なさいよ」
「いいのか?」
「良いも何も、アンタみたいなのを野放しにしてる方が危ないでしょ」
「……それもそうか」
さっき自分でも言ったが、今の俺は竜の力そのもの。
今は人の姿をして落ち着いているけど、何時暴走するか分からない。
そんな危険な存在を放置するよりも、傍に置いて監視してた方が良いのかもしれないな。
「でも、君の力で俺を止められるの?」
「舐めないで頂戴。こう見えても私は幻想郷のバランサーで、異変や妖怪退治は私の仕事なのよ」
「……つまり?」
「つまり、アンタみたいなのを退治する専門家って事よ」
「そっか。それなら安心だな」
「そう言う事。……それじゃ、ちょっと食事を持って来るから少し待ってなさいよリュウ」
「……リュウ?」
「アンタの名前よ。…さっきの話しを聞く限りだと名前も無さそうだし、竜の力そのものなんでしょ? だからそう呼ばせて貰うわ」
「…………」
彼女に〝リュウ〟と呼ばれた時、俺は戸惑いと懐かしさを感じた。
この名前はもう二度と呼ばれる事はないと思っていたし、俺はアイツじゃない。
……でも、そう呼ばれるのも嫌じゃなかった。
「それじゃ、持って来るから待ってなさいよ」
「その前に聞きたい事があるんだけど」
「ん? なによ」
「君の名前はなんて言うの?」
「…霊夢よ。博麗霊夢」
「そっか。…それじゃ、今日から宜しくな霊夢」
「……先に言っておくけど、アンタにも色々と働いて貰うからその積もりでいなさいよ」
「わ、分かったよ……」
俺がそう返事すると、彼女……もとい霊夢は部屋を出て行った。
霊夢は色々と働いて貰うって言ってたけど、一体俺に何をさせる積もりなんだろ……。
どうも初めまして、ベヘモスと言うしがない二次創作作家です。
以前はにじファンで投稿していたのですが、あちらのサイトが閉鎖するにあたって、此方のサイトに移転してきました。
この小説は、ブレスオブファイアⅣ(以下BOFⅣ)のエンディング後からの話に為ります。
八割方オリジナルのリュウになりますが、容姿や大まかな設定は原作基準に書いています。
文字数が安定しなかったり、キャラの出番に偏りがあったり、名前だけのキャラが登場したりもします。
誤字や脱字もあったりするので、見付けた時は教えてください。
ちなみに、この小説はかなりストックが溜まっているので、暫くの間はかなりのペースで投稿して行く事に為りそうです。
今現在150話ほどあるので、一日一話更新しても数ヶ月は掛かる計算に……。
まぁ、気長にのんびりやっていくので、どうか宜しくお願いします。
では、次回の更新をお楽しみに。