竜が辿り着いた幻想郷   作:ベヘモス

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第百話 闇を斬り裂くもの

 

……さて、光すら届かない闇の中から如何やってルーミア(仮)を見つけ出すか。

周りは全て暗闇に覆われているし、気配を探ろうにも野生の動物並に息を潜めているから、そう簡単に見つけられそうにない。

俺が作った火球でこの闇を照らすことは出来るが、全体を照らすと為ると今の姿じゃ無理があるか。

そう思いながら手段を考えていると、闇の向こうから黒い矢の様なものが火球の灯りに照らし出された。

俺は迫り来る矢を愛刀で斬り払うが、コッチに飛んで来る矢は一本だけではなく、数えるのが面倒に為るほどの矢が一斉に降り注いでくる。

 

「……幾らなんでも多すぎだろ」

 

あまりの矢の多さに思わず呟いてしまうが、直ぐに気を取り直して迎撃の準備に入る。

直撃しそうなものだけを斬り払っても良いが、矢は次々と放たれているらしく、イチイチそんな事をしていてもキリがない。

だから俺は、握り締めた愛刀を力一杯振り払い、突風にも似た剣圧を前面に展開して矢を吹き飛ばした。

剣圧に負けて吹き飛ばされた矢は、地面に落ちる事無く闇の中へと溶けて消えていった。

 

「闇がアイツの能力だってのは分かってたけど、コレ全部がアイツの武器とはな」

「全部って……私達はアイツの巣にでも飛び込んだって言うの?」

「巣と言うよりは腹の中だろうな。とりあえず、火球の一つは霊夢に追尾するようにしておく。遠隔操作は苦手だからあんまり遠くに行くなよ」

「アンタが私から離れ過ぎなければ良いだけじゃない」

「それが出来れば苦労はしないけど…なッ!」

 

上の方から嫌な予感がした俺は、勘に従って直ぐにその場から離れると、頭上から闇で出来た巨大な大剣が振ってきた。

その大剣は一本だけではなく、俺達を引き離すように頭上から無数に降り注いできた。

落下するだけの剣なら簡単に回避する事は出来るが、避ける事に専念していた所為で霊夢と離されてしまう。

漆黒の暗闇の中、俺が渡した火球だけが霊夢の位置を知らせてくれるが、コレ以上離されると火球が霊夢を追尾しなくなってしまう。

コレ以上離される前に合流しようとするが、地面に突き刺さっていた剣達が独りでに浮き上がり、一斉に俺に襲い掛かってきた。

俺は迫り来る大剣を一つ一つ斬り捨てて行くが、襲ってくる剣の数も中々多い上に、斬られた剣には周囲の闇が纏わり付いて、直ぐに修復されてしまう。

相手にしても埒が明かないと、空を飛んで霊夢に近付こうとするが、大剣たちも空に浮かび上がって襲い掛かってくる。

 

「チッ。……来い、叢雲!」

 

俺は左手の中に叢雲を呼び出し、両手に握った剣に力を注ぎこみ、光の刃を創り上げる。

二つの剣を巧みに振るい、迫り来る大剣を次々と斬り裂いて行くが、剣の数と修復速度の所為で中々前に進む事ができない。

剣を斬り捨てて行きながら霊夢の方を見てみると、ルーミア(仮)と霊夢が戦っているところが眼に入った。

お互いに距離を保ちながら弾幕を放っているが、ルーミア(仮)は隙あらば接近しようと機を窺っている様に見える。

霊夢もその事に気がついてるのか、普段よりも放つ札の数を増やして近付かれないようにしている。

 

急いで霊夢の元に駆けつけてやりたいが、周りにある剣達が邪魔をして中々先に進む事ができない。

光の刃の長さを伸ばして、浮んでいる剣をより多く斬り捨てても良いが、余り長すぎると今度は振り回すのが面倒に為る。

それに、この手の相手は襲ってくる奴全てを倒しておいた方が後々の為にもなる。

空中に飛んでいると、前後左右だけではなく頭上や真下からも剣が襲ってくるから、刃の長さを伸ばしても余り効果は期待出来ないか。

 

「……………」

 

色々と考えた結果、俺は空中を飛び回るのを止めて、地上に降り立つ事にした。

黒い大剣たちは、俺の後を追いかけるように降下して周囲を取り囲んでくる。

周囲を取り囲んだ剣達が一斉に襲ってくる中、俺は叢雲を逆手に握り直して剣を構えた。

 

「…真円『円舞陣』!」

 

剣を逆手で構えたままその場で一回転し、周囲に向かって円形の刃を飛ばした。

飛ばした刃と触れた黒い大剣たちは、一斉に切り裂かれて力なく地面に落ちて行く。

地面に落ちた剣にまたしても闇が纏わり付くが、一度に斬られた数が多い所為か、先程よりも修復速度が遅い。

闇が剣の修復に手間取っている間に、俺は霊夢の元へと向かって一気に駆け出した。

 

剣の群れを抜け出して、問題なく辿り着けるかと思っていたが……そう上手くはいかないらしい。

真後ろから巨大な何かが風を切る音が聞こえ、そっちに眼を向けてみると、今度は黒い大蛇が俺に向かって襲い掛かってきた。

黒い大蛇は俺を丸呑みにしようと大きく口を開いて襲い掛かってくる。

俺は直ぐに横に跳んで回避して、そのまま刃を纏わせた愛刀で大蛇の首を斬り裂いた。

何の抵抗も無く首を斬り裂けたが、この大蛇もさっきの剣達と同様に、斬られた部分に闇が纏わりつく事で直ぐに傷を修復してしまう。

 

「また修復かよ……。このデカさとなると、バラバラにしないと駄目かもな」

 

余りのメンドサに思わず呟いていると、修復の終わった大蛇が再び襲い掛かってきた。

口を開けて飛び掛ってくる大蛇を避けた後、双剣を振るって大蛇の胴体を斬り裂いていく。

巨大な身体に無数の斬り傷が出来るが、頭部に近い部分から次々と修復されていって、動きと止めるまでには至らなかった。

大蛇は傷を修復しながら、火球の灯りの届かない闇の中へと潜り、姿を隠してしまった。

周囲からは何かが地を這いずる音が響き、その所為で大蛇が何処にいるのか判断出来ない。

剣を握り締めて、周囲を警戒していると……突然這いずる音が聞こえなくなる。

暗闇の所為で眼が使えない以上、周りから聞こえてくる僅かな音を頼りにして戦うしかないが、その音すら聞こえないと為るとかなり厄介な事になる。

俺は僅かな音も聞き逃すまいと、両耳に全神経を傾けて周囲の様子を探る。

 

「…………ッ?! 其処か!」

 

耳を澄ましていると、闇の中から風を切る音が聞こえ、俺はソッチに向かって剣を振り下ろそうとした。

だが、俺が振り向いた先にあったのは、大蛇の頭部ではなく尾のほうだった。

それを見た瞬間コレが罠だと分かり、俺は振り下ろそうとした剣と止めて、直ぐに尾の反対側を見直す。

すると、直ぐ目の前には大蛇の顔があり、大きく口を開いて今にも俺を飲み込もうとしていた。

咄嗟に俺は、叢雲に纏わせた光の刃を長くして、飲み込まれる前に大蛇の口に突き刺して、つっかえ棒の代わりにしたてあげた。

これで飲み込まれる事は避けれたが、大蛇は覆いかぶさる様に俺を地面へと押し付けてきた。

 

「かはっ」

 

地面に押し付けられた衝撃で、肺の中に溜まっていた酸素を一気に吐き出してしまった。

その時の影響でか、叢雲に纏わせていた光の刃が消えかかってしまい、大蛇の口が一気に閉まってきた。

慌てて刃を再度纏わせるが、急ごしらえで作った所為か、大蛇の顎の力に負けそうになっている。

大蛇の顎を刃で貫ければ良かったが、此処で下顎を貫いても上顎で飲み込まれるだろうな。

愛刀を使って両顎を斬り裂いたとしても、大蛇の口から逃げられる訳でもないか……。

余りやりたくない手だが、この状況じゃ仕方が無いと割り切り、俺は目の前で火の力と風の力を出現させて、その二つを組み合わせる事で爆炎の力を創り上げた。

 

「喰らえ、『ドメガ』!!」

 

創り上げた爆炎の力を解き放ち、大蛇の口の中で爆発を引き起こした。

巻き上がる爆風と炎で俺も焼かれるが、コッチの狙い通りに爆発に驚いて大蛇が口を離した。

この僅かな隙を狙って急いで口の中から脱出し、蛇を見失わない程度の距離で双剣を構える。

大蛇は爆発で焼けた口を修復させて、もう一度俺を飲み込もうと飛び掛ってくる。

だが俺は、向こうが襲い掛かってくるよりも先に、二つの剣の刃を再構成を終えていた。

 

「剣舞『双刃乱舞』」

 

二つの剣を振るい刃を飛ばすことで、傷を修復させるよりも先に大蛇の身体を斬り裂いて行く。

新たに出来た傷を修復しようとするが、完治する前に別の傷が次々と出来ていく為、大蛇の回復が追いつかなくなってくる。

修復の追いつかなくなった大蛇は、俺の刃で身体をバラバラに斬り裂かれた後、闇に溶けるようにして消えていった。

やっと邪魔者がいなくなり、これで霊夢と合流することが出来る。

俺は休む間もなく、未だに戦い続けている霊夢の元に向かって急いで飛んでいった。

 

火球の灯りを頼りに飛んでいくと、丁度ルーミア(仮)が闇を纏った黒い爪で、霊夢を引き裂こうとしていた。

霊夢は結界を張って爪を防いでいるが、相手の力が異様に強いのか、少しずつ結界に皹が入り始めている。

それを見た俺は、空を飛ぶ速度を上げて、ルーミア(仮)の横っ腹を思いっきり蹴り飛ばした。

俺に蹴られたルーミア(仮)は、身体を“く”の地に曲げながら、闇の中へと吹き飛んでいった。

 

「よう、霊夢。無事か?」

「遅いわよリュウ。一体なにしてたのよ」

「いや、大剣と蛇に絡まれてまして……」

「そんなの一瞬の内に消し飛ばしなさいよね」

「無茶言うな……」

 

追い詰められてピンチなのかと思ったが、霊夢は何時もと変わらない様子だった。

その姿にホッとする気持ちもあるが、相変わらずの様子に呆れもしてしまう。

呆れ半分に溜息を吐いていると、闇の中から黒い爪を伸ばしたルーミア(仮)が襲い掛かってきた。

俺は左手に構えた叢雲で彼女の攻撃を捌き、反撃として右手に持った愛刀を振り下ろした。

振り下ろした愛刀は避けられてしまうが、ルーミア(仮)が距離を取った事で状況を仕切りなおす事が出来た。

 

「腹が減ってるところ悪いが、コイツを喰わせる訳には行かないんでな。此処は手を引いて貰うぜ」

「無駄よリュウ。そいつ相当飢えているのか、まともな理性が残ってないのよ」

「だったら、無理矢理にでも大人しくさせるだけだ」

 

そう言って双剣を構えると、ルーミア(仮)は爪に纏わせていた闇を解除してきた。

今度は何をするのかと注意深く見ていると、手の中に闇を集めて一振りの漆黒の大剣を創り出した。

その剣を握り締めたルーミア(仮)は、俺達に向かって迷う事無く襲い掛かってくる。

一気に俺達との間合いを詰めた彼女は、握り締めた漆黒の大剣を真っ直ぐ振り下ろして来た。

 

俺は振り下ろされた大剣を、叢雲を使って下から掬い上げる弾き、愛刀を使って彼女の胸を穿つ。

胸部を突かれて体勢が崩れたところに、叢雲で大剣ごと斬り裂こうとするが、ルーミア(仮)が握っている剣が予想以上に硬く、一撃で両断する事は出来なかった。

叢雲と大剣がぶつかり合う中、ルーミア(仮)は突如として間合いを取ってきた。

いきなり拮抗が崩れた事で俺はバランスを崩し、其処を狙ってルーミア(仮)が黒い弾幕を張ってきた。

俺に向かって飛んでくる弾幕だが、背後から霊夢が飛ばした札によって次々と相殺されていく。

霊夢は札だけではなく、追尾するアミュレットも何枚も投げて攻撃していくが、空から降り注いできた無数の黒い槍に貫かれてしまった。

 

俺はこの間にルーミア(仮)との間合いを詰めて、彼女の胴目掛けて愛刀を振り抜いた。

だが、俺が剣を振り抜く前にルーミア(仮)に空へと飛び上がられしまい、攻撃を当てる事は出来なかった。

ルーミア(仮)は俺の背後に回り込んで、握り締めた漆黒の大剣で斬り掛かって来る。

俺は直ぐに反転して叢雲で彼女の大剣を防ぐが、体勢が悪い所為で弾き飛ばすまでは出来ない。

剣が壊れる事はないだろうが、このままの体勢だとルーミア(仮)の力に押し切られてしまう。

なんとかして体勢を立て直さないと……そう考えていると、彼女の背後から霊夢が近付いているのが分かった。

 

「リュウ! 私に合わせて!」

 

霊夢がそう叫ぶと、アイツの掌の中に霊力の塊の様なものが現われた。

それを見て、何をしようとしているのか察した俺は叢雲を消して、ルーミア(仮)に斬られる前に後ろへと跳んだ。

攻撃が空振りして体勢が崩れている隙に、もう一度彼女との間合いを詰めて、空いた左手の中にどの属性にも当て嵌まらない力の塊を作る。

 

「宝符『陰陽宝玉』!」「気符『星脈弾』!」

 

ほぼ同時に繰り出した彼女の霊力の塊と、俺の竜の力の塊。

それをぶつけ合う形で繰り出した二つの力は、ルーミア(仮)を飲み込んで激突した。

回避する間もなく飲み込まれたルーミア(仮)は、碌な抵抗も出来ずに二つの力をまともに受ける。

力を放出し終わった塊は、空間に溶けるようにして消えてしまうが、ルーミア(仮)を倒し切る事は出来なかった。

直ぐに愛刀を振るおうとしたが、それよりも先に彼女の身体から噴出してきた闇に、俺と霊夢は押し飛ばされてしまう。

俺はなんとかして体勢を整え、愛刀を脇腹の辺りで構えて、ルーミア(仮)に向かって一気に駆け出した。

前方には彼女が出して来た闇が広がっているが、そんな事お構い無しに走る速度を上げて、闇ごと一気に斬り抜けた。

だがしかし、剣には誰かを斬ったと言う手応えは無く、闇を抜けた先には霊夢の姿しかなかった。

 

「霊夢、アイツは如何した」

「知らないわよ。アンタが斬ったんじゃないの?」

「そんな手応えはなかったが……また闇の中に逃げたのか」

 

忌々しげに呟くものの、逃げられた以上は文句を言っていても仕方が無い。

まだ何処かに潜んでいるとは思うが、気配の消し方が上手いから何処にいるのか判断出来ない。

それでも注意深く辺りを探っていたら、暗闇の中から突然何かが襲い掛かってきた。

襲い掛かってきたのを斬り捨てると、今度は別の場所から襲われてしまう。

そっちは霊夢が結界を張って防ぐが、それは直ぐに闇の中へと溶けて消えてしまった。

何に襲われているのかも分からないまま、相手からの強襲を防ぎ続けているが、ドンドンとその数を増していき手が足りなくなってくる。

コレ以上は捌き切れないと判断したのか、霊夢が自分の足元に札を設置して、俺達を取り囲む様に結界を展開した。

結界が張られても暗闇から次々を攻撃されるが、暫くの間はこれで安心できるだろう。

それよりも問題なのは、ルーミア(仮)が何処から攻撃してきているのかって事だ。

あの攻撃は全て彼女の物だろうが、相手が何処に居るのか分からないんじゃ、反撃の仕様がない。

俺の攻撃はどれもこれも追尾性が悪いし、頼りの綱は霊夢なんだが……この状況でいけるか?

 

「……一つ聞くけど、今の状況で『夢想封印』を当てられるか?」

「無理ね。この状況で発動させても、追尾しないでこの場に留まるだけよ」

「なら、この闇を晴らす事が出来れば当てられるか?」

「それは勿論。……でも、この暗闇をどうやって晴らすって言うのよ」

「…………手っ取り早く斬り裂くか?」

「アンタねぇ……それは〝空〟を斬る様なもんじゃないの」

 

霊夢は呆れ果てて溜息を吐くが、俺としても出来るとは本気で思っていない。

だけど、今の状況で暗闇を晴らそうとすると、竜の力に頼って大技を繰り出すしかない。

『ドギガ』や『バルハラー』程度で晴れるとは思えないから、使うとしたら『スーパーノヴァ』とかの技になるが、あのレベルの技となると被害がとんでもない事に為りそうだからあまり使いたくない。

ブレス系統の技でも被害は似た様なもんだし、此処はやっぱり愛刀で闇を斬り裂くしかないよな。

 

「まぁ、出来るか如何か分からないけど、やれるだけやってみるさ」

「……出来なかった時は如何するの」

「そん時は別の方法を考える」

「……はぁ。なら好きにやってみなさいよ」

「嗚呼」

 

頷いた俺は剣を構えて、内側に眠っている竜の力を剣に注ぎ込んで行く。

力を注ぎ込まれた剣が輝いていくのと同時に、俺の身体からも赤い光が漏れ出す。

その光すらも余す事無く剣に注ぎ込み、巨大な光の刃を作り出すが、俺は手を止める事無く力を注ぎ込んで行く。

普通の刃で〝空〟を斬れない以上、普段は手にしないような力もこの剣に使って刃を作り出すしかない。

俺は刃を形成しながら、内側に眠らせてある『アンフィニ』の力も引き出し、愛刀に注ぎ込んだ。

すると剣は白く輝く刃を纏って、今までに感じたことの無い様な強大な力を発し始めた。

 

「ちゃんと伏せてろよ、霊夢!」

「言われなくても!」

 

霊夢に注意を呼びかけてから剣を構えると、白い刃に触れた結界が跡形も無く消滅した。

それを機に、暗闇の中から何かが一斉に襲い掛かってくるが、俺はそんな事気にもせずに剣を握り締める。

 

「竜剣『ドラゴンブレード』!!」

 

最後にありったけの力を込めて、握り締めた愛刀を力いっぱい振り上げた。

創り上げた刃は空を斬るだけで、結局〝闇〟に触れることは無かったが、それでも何かを斬った手応えだけを感じた。

俺が刃を消して構えを解いたその瞬間、頭上を覆っていた暗闇が切り裂かれ、空から真夏の太陽が顔を覗かせた。

太陽の光は闇の中を明るく照らし出すと、俺達に襲いかかって来ていたのが、闇で出来ている真っ黒なルーミア(仮)の分身だと判明した。

闇で出来ていた分身たちは、太陽の光に照らされた事で消滅し、辺りを覆っていた暗闇も晴らす事が出来た。

しかし、闇が晴れてもルーミア(仮)の姿は見えず、何処にいるのかと辺りを探していると……丁度霊夢の真後ろに彼女の姿を見つけた。

俺は慌ててルーミア(仮)に斬り掛かろうとしたが、既に霊夢の手には一枚のスペカが握られていた。

 

「……神霊『夢想封印』」

 

霊夢の宣言と共に現われた無数の光球は、一斉にルーミア(仮)へと向かって飛んでいった。

彼女は闇を出して光球を飲み込もうとしたが、霊夢の『夢想封印』がそれだけで如何にか出来るほど甘いモノではない。

一度は飲み込まれたかのように見えたが、光球たちは直ぐに闇を突破してルーミア(仮)を逆に包み込んだ。

光に包まれたルーミア(仮)は、悲鳴を上げる事無く力尽き、そのまま地面へと落下していった。

俺は地面と激突する前に彼女の腕を掴み、そのまま優しく地面の上に横たえてやった。

 

「これで解決……って事で良いのか?」

「さぁ? この技であってるのか知らないし、一度神社に戻って古い文献でも調べないと」

「それなら、彼女を連れて行ったほうが良さそうだが、その前に……」

「その前に?」

「一度休憩しないか? 流石に今回は疲れた」

「……それもそうね。調べるのは今直ぐじゃなくても良いんだし」

 

そう言って空に浮んでいた霊夢は地面に降り、俺は愛刀を鞘に納めて、二人して地面に寝転んだ。

さっきの『ドラゴンブレード』の影響か、空には雲一つ無い気持ちの良い青空が広がっている。

俺と霊夢はその空を見上げたまま、二人揃って疲れた様に同じ言葉を呟いた。

 

「「…あ~疲れた」」

 




本当はこの後エピローグ的な話があるのですが、それはまた次の機会に……。(←単純に手直しが追いついて無いだけ)
しかし、気が付けばもう百話か……。また随分と遠くまで来たものだ。
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