リュウSide
今日も昨日と変わらず暑いですが、今日も今日とて元気に山道製作中のリュウです。
それと同時に茂みに落ちている道具も拾ってます。
……そしてふと考え込むと、俺は一体何をしているのかと考え込んでしまう。
いや、自分で言い出した事なんだし、最後まで責任持たないとな。
「でも、考え込んでしまうのも仕方が無いよな」
草刈りの方は終わったって、今度は道の制作に入ったんだけど……予想以上にめんどい。
当初の予定通り、魔法を使って地面を弄っているんだけど周りの木が物凄く邪魔。
根っこごと土を掘り返そうかと考えたけど、それをすると今度は掘り返した木を如何するかが問題に。
木の一本や二本程度なら燃やせば良いけど、此処は山の中で周りには木が沢山生えている。
そんな中で火を使おうものなら、山火事は確定だからそうすることも出来ない。
こう言った事情から、周りの環境を配慮して木の根を掘り返さない様に魔法を使うハメになった。
口で言うのは簡単だけどこの作業が中々に大変で、正直なところ草刈りよりも大変なんだよ。
手加減して魔法を使わないといけないから、思っていた以上に作業効率が中々上がらない。
……ほんと、こんな事ならずっと獣道のままで良かった気がする。
「……はぁ」
「こんな山の中で溜息を吐いて如何した?」
「ふぇ?」
誰も居ないと思って油断をしたいてから、掛けられて声に変な返事をしてしまった。
変なところを見せてしまったと思いつつ、突如現われた人物と向き合うことに。
其処に居たのは、青を基調にしたワンピース風の服を着た、青白い長髪の女性だった。
「それで、こんな所で如何したんだ?」
「いえ、ちょっとだけ自分のしている事を見つめ直していまして……」
「……詳しい事情は聞かないが、自分のしている事の正しさを信じられなければ、何も出来ない思うぞ」
「(正しいとかそう言うレベルじゃないと思うけどな……)」
「まぁ、それは兎も角。この山は妖怪が出るから襲われない内に帰った方が良い」
「そう言う貴女はどちらに?」
「わたしはちょっと神社に用があるんだ」
「博麗神社に?」
珍しい……と言うか、俺が居候してから初めての参拝客じゃないか?
でも、魔理沙や日傘を差していた女性の例もあるし、この人も参拝客じゃない可能性もあるな。
……まぁどちらにせよ、博麗神社久々の客って訳だ。
「でしたら俺も一緒に行きますよ。妖怪に襲われるかもしれませんし」
「いや、それには及ばない。わたし一人でも大丈夫だ」
「そうだとしても、俺はあの神社に居候してるので道は一緒なんですよ」
「あの神社に居候って……よく無事だな」
「……その言い方はなんですか」
「あまり良い噂は聞かないと言う事だ」
……一応、参拝客が来やすい様に道を整備してるけど、この人の言い方だと道があっても来るか分からないな。
色々と頑張っているのにこれじゃ空しくなる一方だな……。
「……はぁ」
「と、とりあえず、妖怪に襲われる前に向うとしよう」
「……そうですね」
空しさでテンションが下がっているのを自覚しつつ、俺はこの人と共に博麗神社へ向かう。
どうやら急ぎの用事らしく、神社へは空を飛んで行く事になった。
……この世界の住人って皆空を飛べるのかな? だとしたら、道を作る必要って何処にあるんだろ。
そんな事を考えると、さっきよりも空しくなって来た。……とりあえず、深く考えないようにしよう。
………
……
…
空を飛んで、最短距離で神社へと辿り着いた俺達。
境内には霊夢の姿はなく、神社は物音せず静まり返っていた。
まぁ、この時間なら縁側でお茶を飲んでいるか、昼寝しているかのどっちかだろう。
案の定、俺達が母屋の縁側に行くと、座布団を枕にして眠っている霊夢の姿があった。
「……一つ聞きたいのだが、博麗の巫女は何時もこうなのか?」
「大体こんな感じですね」
俺が来る以前の生活は知らないけど、少なくとも俺が来てからの霊夢はこんな感じだ。
まぁ、霊夢は霊夢で神殿周りの掃除をしてるんだけど、それも直ぐに終わるから後はだらけている事が多いな。……あ、他にも炊事洗濯と言った事もやってるか。
「まったく。当代の巫女がこんなにもだらしないとは思わなかったぞ」
「あ、あははは……」
何か言って否定すれば良いのかも知れないけど、だらしないのは事実だからな。
なんて言えば良いのか言葉が見つからないよ。
まぁ、それは兎も角として、今は霊夢を起こすとするか。
「お~い、霊夢~。起きろ~」
「……ZZZzz」
「……駄目だ、起きる気配すらない」
「退いてくれ、わたしが起こす」
そう言われたので、彼女に代わって貰うと……徐に霊夢の肩を掴んで身体を起こした。
すると、彼女は仰け反るように首を逸らしたと思ったら……そのまま強烈な頭突きを霊夢の額に叩き込んだ。
額同士がぶつかった時の音が〝ゴンッ〟じゃなくて、〝ガンッ!〟って感じだな。
……なんて言うか、骨と骨がぶつかった音じゃない気がする。
「いっっったぁ~ッ!?!?! 誰よ! いきなり頭突きなんて叩き込んだのは?!」
「漸く起きたか」
「……ちょっとリュウ。誰よコイツ」
「え~っとだな……」
「わたしの名は上白沢 慧音。今日は、博麗の巫女殿に妖怪退治の依頼で参った」
「依頼ねぇ……」
霊夢はやる気無さそうに呟くが、上白沢さんはそんな事お構い無しに依頼を説明しだした。
つい先日の事らしいが、人里の子供達が近くの川辺で変な人形を発見したそうだ。
その人形は土や木ではない素材で出来ており、一般的な人形と比べてもかなり変な形をしていた。
妖怪かと思った子供達は大人に知らせ、その人形を調べようとしたらしい。
調べに来た大人達が人形に触れた直後、何の前触れもなく人形は動き出し暴れ始めたとか。
この騒動で幸いにも死者は出てないが、調査に向った数人が怪我をしたみたいだ。
「アレがなんなのかは解らないが、このままでは被害が出る一方。そうなる前に退治して貰いたい」
「……妖怪退治じゃなくて人形退治とは、また変な依頼ね」
「それは解っているが、里の者ではアレを退治する事は出来ない。だから頼む、博麗の巫女殿」
「報酬は?」
「里で取れた野菜と、米俵一俵で如何だ?」
「まぁそんな所か。……それでソイツは今何処に居るの」
「里の者の話では、一頻り暴れた後『無名の丘』方面に逃げたとか」
「了解。それじゃちゃっちゃと終わらせますか」
「霊夢、俺も手伝おうか?」
「必要ないわ。それよりも、アンタはあのガラクタを霖之助さんの店に売りに行きなさいよ」
上白沢さんから話を聞いた霊夢は、それだけを言うと席を立ち上がり自室に向かう。
拾ってきた物に関しては置いておくとして、本当に霊夢の手伝いをしなくても良いのだろうか?
異変を解決したり、こう言う依頼が来るんだから実力があるのは確かだ。
……でも霊夢は人間だ、脆くて危うい人間なんだ。
人形にどれ程の力が有るのか分からないが、彼女一人を向かわせるのは危険なんじゃないのか。
……そんな風に考えてしまうのは、やっぱり俺が竜と言う存在だからなんだろうか?
「それじゃちょっと行って来るから、さっさと売りに行きなさいよ」
「……ああ」
「それじゃあね」
手早く準備を整えた霊夢は、俺と上白沢さんを神社に残してそのまま出かけていった。
『無名の丘』と言うのが何処なのか知らないけど、恐らくそっち方面に向かったんだろう。
あんまり良い予感はしないけど、霊夢の実力ならきっと大丈夫だよな。
「……………」
「君は随分と心配性なのだな」
「……そうでしょうか?」
「嗚呼。この幻想郷では確かに妖怪は人を襲うが、博麗の巫女を襲う妖怪など居やしない」
「……………」
「それに怠け者とは言え当代の巫女。ならば、その実力は確かなのだろう」
「そう…ですね」
確かに上白沢さんの言う通り霊夢は強い。
どんな相手でも物怖じしない彼女なら、たかが人形に負けたりしない筈だ。
しない筈……だけど、それでも不安が拭い切れないのは、俺が心配性だからだなんだろうか?
リュウSide out
霊夢Side
上白沢とか言う人の依頼を受けて『無名の丘』にまで来たけど、相変わらず何も無い丘ね。
人の姿も無ければ妖怪の姿も無く、ただ草が生い茂っているだけの何も無い場所。
まぁ、春になれば鈴蘭が咲き誇るけど今は夏の終わり頃。
鈴蘭の見ごろはとっくに過ぎてるし、そろそろ季節も変わるから余計にそう感じるわ。
「まぁ、そんな事は兎も角。例の人形は何処に居るのやら」
今の時期のこの丘は、ただの広い草原だから直ぐ見付かると思ったんだけど……居ないわね。
彼女が嘘を付く理由もないし、こっち方面に逃げたんでしょうけど何処に行ったのやら。
何処に居るかも分からない人形を探すため、私は空から『無名の丘』に落ちている物を探し始める。
丘には時折風が吹き抜ける程度で、コレと言って目ぼしい物は落ちていない。
此処で見つけられないと少々面倒になりそうと思っていると、何処からか戦闘音が聞こえて来た。
私は音が聞こえる場所を捜していると、今の地点から南の方に煙が上がっているのを発見する。
他に手掛かりもないから、念のため様子を見に行く事にした。
………
……
…
煙が上がっている場所に辿り着くと、其処では腹話術で使う人形とはにわ……いや土偶かしら?
なんにしても、変な形の人形が誰かを襲っている光景が眼に入って来た。
襲っていると言っても、変な形の人形が周りなどお構い無しに暴れているだけなんだけど。
「土でも木でもない材質の人形。多分、人里で暴れた人形ってのはアレの事ね」
もう一方の人形は知らないけど、あの暴れているのはなんとかしないと。
このまま暴れさせてたら、人間だけじゃなく妖怪にも被害が出そうだし。
……いや、アイツ等なら多少被害が出ても問題ないか。
「ちょっと其処の暴走人形。コレ以上暴れるなら只じゃおかないわよ」
「わ、私の事ですか?!」
「……アンタじゃない。アンタじゃ」
最後勧告として声を掛けたが、反応したのはもう一方の人形だった。
例の人形は私の声など届いていないのか、今も暴れ続けている。
元から交渉する気は無かいけど、此処まで無視されると腹が立つわね。
多少の苛立ちを感じつつ、私は持って来た針と札を飛ばし、暴走している人形に叩き込んだ。
私の弾幕は確かに命中したけど、人形に大したダメージは無く、未だに暴れ続けている。
「まさか、効いてない?」
あの人形が何で出来ているのか知らないけど、針は突き刺さっても居ないし、札も風で吹き飛んでいった。
ただの妖怪だと思っていたけど、どうやら私の見当違いだったみたい。
アレはそこら辺に居る妖怪ではなく本物の人形。だから、弾幕ごっこのルールも適用されない。
なら今回は、相手を懲らしめるのではなく完全に駆除するだけね。
「……全く、こんな事ならもっと装備を整えれば良かった」
愚痴を言いつつも、私は持って来たスペカの一枚を取り出す。
そのスペカを発動させようとしたが、暴走人形は腕と思われる部分を私の方に向けて来た。
アイツの腕はどうも砲身の様な形になっていて、銃口から私に向かって何かを発射して来る。
咄嗟の判断で回避する事が出来たけど、人間の私があんなの喰らったら即お陀仏ね。
何処の誰が作ったのか知らないけど、面倒なものを作ってくれたわ。
「宝符『陰陽宝玉』!」
私はあの暴走人形に近付き、陰陽が描かれた宝玉を叩き込んだ。
宝玉を叩き込まれ奥へ吹き飛ばされた人形だが、顔の部分が少し凹んだ位でまだ立ち上がって来た。
『陰陽宝玉』であの程度なると、『封魔陣』も期待出来ないわね。
此処はやっぱり『夢想封印』しかないけど……発動するタイミングあるかしら?
私はスペカを取り出し攻撃を仕掛けようとすると、アイツはそれよりも早く射撃して来る。
アイツの弾は単発だけど、その速度が滅茶苦茶速い。
それを両手で交互に放たれれば、コッチは避けるので精一杯。
『夢想封印』は発動までに少し時間が掛かる。其処をつかれると中途半端にしか発動しない。
アイツに隙が出来るのを待つしかないけど、それも何時に為るか分かったもんじゃない。
コッチの通常弾幕が効くならガリガリ削るんだけど、コイツにはその手が使えない。
それなのに、アイツは遠慮なく攻撃して来るなんて卑怯よ!
こんな事に為るなら、リュウの奴を連れて来れば良かった……って、私は何を考えてるのよ!
神社を出る時にはっきり必要ないって言ったのに、ピンチになって居てくれればって何よ!
私は誰かに頼る事無く戦ってきた。今までもそうだし、此れからだってそう。
だから、アイツの力に頼る気は毛頭ないわよ!!
「たく、何を考えてるのよ私は……って、しまッ?!」
余計な事を考えていた所為で、アイツの射線上に入ってしまった。
弾は既に発射されているし、此処は結界を張って弾を防ぐしかない。
私は直ぐに目の前に結界を張るけど、アイツの弾は貫通して来た。
結界が破られるなんて思っていなかったから、次の手を考えていなかった。
アイツの弾は後30cmもしないで私のお腹を貫通する。今から回避なんて間に合う訳がない。
私は弾で貫かれることを覚悟し瞼を閉じたが……痛みは何時まで経っても感じなかった。
それどころか、誰かに抱き抱えられている様な感じがする。
私はゆっくりと瞼を開くと……其処には人と竜の中間の様な存在の姿があった。
「大丈夫か、霊夢」
「ぇ…ぁ……」
突然の出来事で困惑してるけど、この存在から感じる力でコイツが一体誰なのか直ぐに解った。
見た目なんかは完全に別人だけど、コイツは間違いなくリュウだ。
なんでコイツが此処に居るのか解らないけど、一つだけはっきりと解る事がある。
それは……私はリュウに助けられたと言う事だ。
「あ、アンタ…如何して……」
「悪いが話しは後だ。それよりも来るぞ」
それだけを言うと、リュウの奴は私を上空に放り投げた。
私を放り投げた直後に、人形の弾丸がリュウを貫くが……アイツはこの程度で怯んだりしなかった。
それどころか、貫かれた事などお構い無しにリュウは人形に殴り飛ばす。
殴られた人形の身体はその部分は凹むけど、この程度では止まりはしない。
殴り飛ばされた事で距離を取った人形は、その位置から私達に向かって弾を連射して来る。
だけど対象が私一人から二人に変わった事で、人形の弾幕にかなりの隙間が出来る。
そのお陰で回避が先程よりもずっと楽になった。
「霊夢、一気に決めるぞ!」
「私に命令するな!!」
私はつい悪態を付いてしまったが、リュウはそんな事は気にせず人形に突撃していった。
放たれる銃弾をかわし間合いを詰めると、人形を上空へ高々と殴り飛ばす。
飛ばされた衝撃で人形の動きが遅くなるけど、未だに停止する気配は無い。
けれど、私がコレを発動するには十分な隙が出来た。
「霊符『夢想封印』!」
私の周囲に出現した七色の光弾は、物理法則を無視し一斉に人形へと向かって行く。
人形は光弾を避けようとするが、空中では動けないのか、それともアイツの攻撃が効いたのか、まともに動く事が出来ず全ての光弾が直撃した。
被弾した人形は動きと止め、そのまま地面に激突し粉々に壊れた。
「ふぅ。…大丈夫か霊夢」
力を押さえ込んだのか、何時もの姿に戻ったリュウは何食わぬ顔で私の傍にやって来た。
それがなんだか気に入らなかった私は、リュウの顔を思いっきり引っ叩いた。
「いたッ?! なにすんだよ霊夢!!」
「……アンタ、一体何しに来たのよ」
「なにって、霊夢を助けに……」
「私を助けに来た? そんなの大きなお世話よ!!」
「なッ?! 助けに来たのにそんな言い方は無いだろ!!」
「うっさいわね! 誰が何時助けに来てくれって言ったのよ!!」
「俺が来なかったら危なかったのは確かだろ!!」
「お腹が撃ち抜かれた程度じゃ死なないわよ!」
「そう言う問題じゃないだろ!!」
こうして私達は、お互いに見っとも無く怒鳴り声を挙げて口喧嘩を始め、今まで感じていた不平不満を思いっきりぶつけ合った。
「大体、なんで境内の掃除は何時も俺なんだよ! 偶には霊夢がやれよ!!」
「アンタ居候でしょ! なら、文句言わないで家主に従いなさい!!」
「神社は霊夢の家だろ! だったら少しは自分でやれ!!」
「私だって色々とやってるじゃない!!」
「昼寝と茶を飲んでるだけだろ!!」
「うるさい! アンタだって、山道整備とか無駄な事に時間を費やしてるじゃない!!」
「無駄って言うなーッ!!」
自分でも驚く位に大声を出して、今まで溜めていた事をリュウにぶつけた。
最後にこんな風に喧嘩をしたのは一体何時だったか、そんな事も分からない位久し振りの大喧嘩。
ずっと大声を張り上げているからか、段々と喉が嗄れて声が出なくなり始めた。
それはリュウも一緒らしく、お互いに少しづつ声が小さくなっていった。
「大体、なんで助けに来たのよ…。必要ないって言ったじゃない」
「霊夢が心配だったから」
「それはさっきも聞いたわよ。なに?
「……確かにそれもある。だけど、俺に取って霊夢は大切な人だ。だから心配になるんだよ」
こ、コイツ。よくこんな状況でそんな台詞が言えるわね。
前にも同じ事言われたけど冗談……って事は無いでしょうね。
冗談なんかでこんな事が言えるとは思えないし、リュウはそんな事を言うタイプじゃない。
だとすると……コイツ、本気で言ってるの?!
あの時は異変解決を優先して適当に流したけど、改めて言われると結構困るわね。
「ちょっと、いきなり変な事言わないでよ」
「変な事ってなんだよ! 俺は真剣なんだ!」
「だったら尚更困るんでしょう!!」
「困るってなんでだよ! ……もしかして、霊夢は俺が居ると邪魔なのか?」
「それは……その……」
……如何、なんだろ。私、そんな事今まで考えた事なかった。
なんの前触れもなく突然現われた奴だけど、邪魔だとは思わなかったな。
今まで一人と思って生きてきたけど、気が付いたらリュウが隣りに居るのが当たり前になってた。
その事を邪魔だとか迷惑だとか感じなかったし、隣りに居る事をごく普通に受け入れていた。
……もしかして、コレってそう言う事なの?
いや、でも、私今までちゃんとした恋愛とかないから、そう言うのはイマイチ分からないし……。
「如何なんだ霊夢。もし、邪魔だって言うならはっきり言って欲しい」
「いや、その……アンタが嫌いって事はないんだけど、本当に好きなのか自分でも気持ちの整理が付かないと言うか……」
「……はい?」
「でもでも、リュウと一緒に居るのが当たり前だと思ってたから、今更何処かに行かれるのも困るって言うか……あ~もう! 何を言ってるのよ私は!!」
「いや、本当に何を言っているんだ?」
「兎に角! まだ気持ちの整理が付かないから、少し私に考える時間を頂戴!!」
「え、あ、うん。分かった」
「ホント?! ありがと、リュウ!」
イマイチ粛然としない返事だったけど、とりあえずコレで考える時間が出来たわね。
この間に自分の気持ちをはっきりさせないとね。……だけど、答え出すまでにどれ位掛かるかしら?
恋愛経験なんて皆無なんだし、誰かに興味を持ったのは今回が初めてだから、かなり時間が掛かりそうね。……でも、まぁ、コイツとは一緒に暮らしてるんだし、変に焦る必要はないわよね。
「え~っと、霊夢。俺は今まで通り博麗神社に居て良いのか?」
「何言ってるのよ。そんなの当たり前じゃない」
「そ、そっか」
「分かったんなら早く帰るわよ。人里で報告と報酬を貰わないといけないんだから」
「俺、荷物持ちですか?」
「当たり前でしょ」
リュウは私の返事が予想出来てたのか、やれやれと言った様子で溜息を一つ吐いた。
その【分かってますよ】みたいな態度に少しムッとなるけど、此処は我慢して先を急ごう。
コイツがこう言う態度を取るのは予想出来ていたし、今回はお相子だ。
「それじゃ行くわよ、リュウ」
「嗚呼、分かった」
ついさっきまで怒鳴り合っていたのに、今では並んで空を飛んでいる。
お互いに単純だなと思いつつも、こう言うのも悪くないと思う。
……少なくとも私は嫌いじゃないかな。
霊夢Side out
勘違いから始まる恋もあると思うんだ。