竜が辿り着いた幻想郷   作:ベヘモス

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来週大事な試験があるってのに、Fateの新作を買ってきた。
いや、自分でもどうかとは思うけど、欲しかったんだから仕方が無いよね?


第百三十八話 ドラゴンズ・ティア

 

「…さて、如何したもんかな」

 

決して広くはない自室の中で一人、物が散乱している床を見ながら俺は困り顔で小さくぼやく。

別に荷物が散乱してる事に困っているわけじゃない。ただちょっと、霊夢を何を贈ろうかで悩んでいる。

ちょっと前にフランと三人で寝たときに霊夢が言って来たあの言葉。私はあんまり我が侭を聞いて貰った事がないって感じの言葉。

あんまりって部分は異議を申し立てたいが、言われて思い返してみると確かに霊夢の我が侭を叶えてやった回数は少ない。

俺としてはもっと甘えてくれても一向に構わないんだが、普段は恥かしいとかそんな理由で甘えられないんだろ。……酔っ払ってると全力で甘えてくるけどな。

まぁ、本人が何も言ってこないのに無理強いさせるのもアレだし、普段の感謝の意味も込めて何かプレゼントを贈ろうと考えたわけだ。

あまり高価な物を贈っても喜ぶか分からないし、とりあえずプレゼントできそうな物が無いかと手持ちの道具を漁ってみるが、此処である重要な事を思い出した。

一体何かと言うと……如何言う物を贈れば霊夢が喜んでくれるのか分からないと言う事だ。

 

二・三年一緒に暮らしてきて、こんな事を言うのも如何かとは思うが、本当に分からないのだから仕方がない。

第一霊夢は、俺と一緒に居られるだけで嬉しいと言ってくれる奴だから、物を贈るよりも一緒に居る時間を増やせば良い様な気もする。

……まぁ、言ってくれたのは夢の中の霊夢だけど、実際の霊夢も同じ事を思ってくれている筈だから多分大丈夫だろう。

…とは言っても、今でも霊夢とは四六時中一緒にいるようなもんだし、コレ以上一緒に居る時間を増やす事も出来ないのも事実だ。

やっぱりこう言う時は物を贈るのが一番だと思うが、何を贈れば良いのか皆目検討も付かん。

誰かに相談するって言う手もあるが、この手の事を相談できる知り合いなんて特にいないんだよな。

魔理沙なんて論外だし、アリスはきっと興味ないだろうから聞き流してくるに決まってる。

他の連中だって似た様なもんだし、誰か相談に乗ってくれそうな奴は…………一人だけ居たな、この手の話に詳しそうな奴が。

でも、そんなに親しい間柄って訳でもないんだが、この際だし四の五の言ってられないか。

そう決めた俺は、散乱した部屋を片付けて恐らく彼女が居ると思われる人里へと急ぎ飛んで行った。

 

人里に辿り着いた俺は、彼女を探すためにまずは大通りを歩いてみる事にした。

何時もと変わらない活気が溢れる大通りを歩いていると、道を少し逸れた所に目的の人物である緑の巫女を見つけた。

彼女は通りを歩く人に声を掛けて、あの二人の神の為の信仰集めに余念がないみたいだ。

仕事中に声を掛けるのも悪いとは思いつつ、俺は緑の巫女に近付いて声を掛ける事にした。

 

「お~い、守矢のちょっと良いか~」

「はい? ……貴方は確か…リュウさんとか言いましたか? 早苗に何か御用でしょうか?」

「ちょっとお前さんに相談したいことがあってな。今時間は大丈夫か?」

「そろそろ休憩にしようと思ってましたから、大丈夫ですけど……早苗に相談ですか」

「ああ。別に大したことじゃないんだけどな」

「はぁ。……あ、もしかして、貴方も守矢信仰に入信してくれるとかそう言う―――」

「そんな訳ねぇだろ。寝言は寝てから言いやがれ」

「―――ですよね……」

 

守矢のは露骨に肩を落として落胆するが、くだらない事を言って来たのは向こうだし気にしないでおこう。

 

「とりあえず、立ち話もなんだし近くの茶屋にでも行くか」

「はい、分かりました……」

 

俺は肩を落としたままの守矢の巫女を連れて、直ぐ近くに建っている茶屋に二人ではいる。

店員に奥のほうに在る席を案内された俺達は、そのまま三食団子と緑茶を注文しておく。

注文を受けた店員は一礼してから厨房に引っ込むが、それ程時間を掛けずに注文した品を持って来た。

俺は出されたお茶を一口飲んで喉を潤し、彼女も気を持ち直した辺りで本題へと入る事にした。

 

「……それで早速相談なんだが」

「はい、なんでしょう?」

「いきなり変な事を聞くけど、女性って一体どんな物を贈られたら喜ぶんだ?」

「女性が贈られて喜ぶ物…ですか?」

「ああ。霊夢にプレゼントでもしようと思ってるんだが、何を贈れば良いのか分からなくて困ってるんだよ」

 

俺がプレゼントを贈ろうとしている相手を告げると、守矢のは露骨に嫌そうな顔になった。

守矢神社に乗り込んだときに霊夢にコテンパンにされた所為か、どうもこの巫女は祭神が嫌っている俺よりも霊夢の方が嫌いみたいだ。

現に俺とは普通に話せているのに、霊夢の名前を出すと露骨に嫌そうな顔をになったからな。

 

「霊夢さんが喜びそうな物なんて、早苗が分かる訳ないじゃないですか。それほど付き合いもありませんし」

「別にアイツが喜びそうな物じゃなくて良いんだよ。ただ一般的には如何言う物が喜ばれるのかなって」

「そんな事言われましても、早苗の知っている常識と此処の常識は違うじゃないですか」

「まぁそうかも知れんが、お前さん以外に相談できそうな奴が居なくてな」

「相談だったらわたしに任せろ!!」

 

何やら突然喧しい声が聞こえてきて、そっちの方を見てみると俺達の話しに興味津々と言った眼の魔理沙がいた。

此処は茶屋なんだから、別に魔理沙が来ていても不思議はないんだが……とりあえず喧しい。

なんで話しに割り込んできたのか聞きたくは無いが、関わっても碌な事にならなさそうだし無視する事にしよう。

 

「……それでだ守矢の、何か良い案はないか?」

「えっ!? 此処で無視するんですか?!」

 

俺に合わせて無視してくれれば良いのに、守矢のには魔理沙を無視する事が出来なかった様だ。

真面目なのか人が良いのか分からんが、誰かが突拍子もなく現われるのに為れた方がいいと思うぞ。毎回驚いていたらこっちの身が持たん。

 

「そうだぜリュウ。折角わたしが相談に乗るって言ってるんだから、少しくらい話に混ぜさせろ」

「……テメェが関わると碌な事になら無いから相談したくないんだよ」

「ヒデェなおい。流石のわたしでも今のは傷付いたぞ」

「事実を言ったまでの事だ。自覚がないのはかなり性質が悪いぞ」

「其処まで言われたら流石に凹むって……。これは謝罪として話に混ぜさせて貰おう」

「……如何あっても話を聞きたいんだなお前は」

「おうよ!」

 

魔理沙は元気よく返事をすると、コッチの許可もなく空いてる席に座り込んでくる。

コイツが勝手なのは今に始まったことじゃないが、偶には遠慮ってものしてもらいたいもんだな。

俺は盛大な溜息を一つ吐き出すが、頭を切り替えるためにお茶を一杯飲んで気を取り直した。

 

「んで、相談ってのが霊夢の喜びそうな物だよな? そんなの簡単じゃねぇか」

「えっ? 魔理沙さんはもう分かったんですか?」

「早苗と違ってわたしは古い付き合いだからな。ずばり答えは―――」

「俺との時間って言ったら店の外までぶっ飛ばすぞ」

「―――…………神社の参拝客だ!!」

「「……………」」

 

先に答えを封じた所為か、別の答えが出るまでに若干の間があったが、出してきた答えが神社の参拝客……。

魔理沙が言ってきたその答えに、守矢のは困ったように苦笑いを浮かべて、俺は呆れ果てて頭を抱える。

確かに神社の参拝客が増えれば喜ぶだろうが、俺が参考にしたい答えはそんなものじゃない。

わざとやっている訳じゃないだろうけど、一朝一夕で出来そうにない事を言われても困るだろ。

 

「……早苗、何か良い案はないか?」

「そうですねぇ……。外の世界の定番ですと小物とかじゃないでしょうか」

「小物って言うと花瓶とかそんな感じの物か」

「それも合ってるとは思いますが、オルゴールやぬいぐるみ等の方が喜ばれると思います。あとお金に余裕が有るのでしたら、ネックレスなどの装飾品も良いかと」

「でも、博麗神社は基本的に貧乏だから、そんなのを買う余裕はないと思うぜ」

「……悪かったな貧乏で」

「で、でしたら花を贈ると言うのは如何でしょうか? こっちでしたらそれ程お金も掛からないと思いますよ」

「あの霊夢に花を愛でる趣味なんてある訳ねぇだろ。なにいってんだお前は」

「……魔理沙さん、少し黙っていて頂けませんか?」

「お、おう?」

 

なんだか魔理沙と守矢のが険悪な雰囲気になっているが、余り関わりたくないので此処はスルーしよう。

…それにしても花を贈ると言う発想なかったな。確かにコレなら喜んでくれそうでだが、問題があるとすれば、どうやって花を手に入れるのかってことだ。

花は季節によって咲くものも代わってくるし、今の時期だとそれ程めぼしい花も咲いてないだろう。

向日葵が咲いていた畑に行けば何かあるかも知れんが、あそこで摘んだら間違いなく幽香の奴と殺し合いに発展するだろうな。

流石にそんな面倒な事をする位なら花は止めて、ぬいぐるみを霊夢に贈った方が良いのかもしれない。

ぬいぐるみなら多少値は張るけど、アリスに頼めば作ってくれるだろうし、前に勝手に作ってた『パンク』の人形は今でもお気に入りだし、恐らくは大丈夫だろう。

でも、此処最近はアリスの奴が顔を見せに来てないんだが……今何してんだ?

 

「なぁ、魔理沙。最近アリスの奴に会って無いんだが元気なのか?」

「わたしも最近会って無いからよく知らないけど、家に明かりが点いてるから引き篭もってんだろ」

「なんだ何時も通りか。それなら放っといても大丈夫か」

「アリスも魔法使いの一人だからな。別に一・二週間くらい飲まず食わずでも生きてるだろ」

「確かにそうだな」

 

俺と魔理沙がさらっと酷い会話をしていると、話に付いて来られない守矢の巫女が複雑な表情のまま口を開く。

友人としてそれで良いのかと言いたそうにも見えるが、誰の事を話しているのか分からないって感じの顔だな。

 

「…あの、早苗はそのアリスさんに会った事がないのですが、普段から家に引き篭もっているのですか?」

「多分そうだろうな。家に篭ってせっせと人形でも創っているんだろ」

「魔法使いってのは基本的に出不精で、自分の研究ばっかりしてる奴が殆どだからな。家に篭ってるからって早苗が気にする事はないぞ」

「そう…なんですか? 家に篭ってばかりですと身体を悪くしてしまいそうですが……」

「それも心配無用だぜ。本来〝魔法使い〟ってのは自身の魔力を原動力に生きてる奴の事を言うからな。魔力さえあれば寝なくても生きていけるんだ」

「それでもやっぱり気に掛けるべきですよ。お二人にその気がないのでしたら、早苗が直接いってお話を―――」

「止めとけって。鬱陶しがられて追い返されるのがオチだ。……第一アイツは宗教に入信するような奴じゃない」

「―――……………」

 

守矢の巫女の言葉を遮って口を開くと、図星を付かれたのか守矢の巫女の動きが止まった。

人里での信者獲得に苦心していたのかもしれないが、自宅にまで乗り込んでまで勧誘しようとするのは止めておけと言いたい。その事が神綺にバレたら面倒だ。

 

「なんだ早苗。お前そんな事を企んでたのか? …意外とセコイな」

「ソ、ソンナコトナイデスヨー。キット、リュウサンノカンチガイデスヨー」

「声が裏返っている上に棒読みになってるぞ」

「い、いいじゃないですかその位! と言うか、早苗だって色々と大変なんですよ! 神社の掃除とか、神奈子様と諏訪子様のお食事の準備とか、近くに住んでおられる神様や仙人様へのご挨拶とか色々とやらなくちゃいけない事が有るんです! それなのに勧誘の仕方にまで口を出さないで下さい!」

「……別に口を出したわけじゃないんだが、まぁ…その……頑張れ」

 

思わぬところで変な話を聞いてしまったが、今は余り関係のない事だし、とりあえず頭の片隅にでも追い遣っておこう。

それよりも今問題なのは霊夢へのプレゼントの方だ。幾つかアイディアは出たものの、色々と問題が発生した所為で使えそうな案が出てこない。

花もぬいぐるみも駄目となると、残っている手段は守矢のが言っていた装飾品くらいなもんか。

今の俺の手持ちだと大した物も買えそうにないし、何かを売ってそれを元手にするしかないな。

 

そんな事を思いながら何か無いかと思い返してみると、前に八雲の奴がフランから取り出した宝石が有る事を思い出した。

確か剣と同じ所に放り込んでいた筈だから、確認の為に念じて取り出そうとしてみると……意外にもアッサリと手の中に出現する。

手の中に取り出した石を光に当てて見るが、正直なところ其処まで高く売れる様な物には見えない。

少しは金の足しに為れば良いんだがと思っていると、何故か魔理沙と守矢の視線が俺の持っている宝石に注がれていた。

 

「……如何したんだ、お前等?」

「それはコッチの台詞だって。如何したんだよその宝石、お前そんなの持ってたのか?」

「前色々とあってな、その時に手に入れたんだよ」

「へぇ~……。相変わらず変な物を拾うみたいだが、結構綺麗な石だな。エメラルドグリーン色って言うのか?」

「えっ? 何を言ってるんですか魔理沙さん。この宝石はトパーズですよ。色も黄色いですし」

「はぁ? 早苗こそ何を言ってるんだよ。如何見たって緑色の宝石じゃねぇか」

「「……あれ?」」

 

二人の意見が食い違っているのを見て、俺は取り出した石を二人に近づけて見る事にした。

魔理沙に近付けた場合だと、石は本人が言っていた通りエメラルドグリーンに輝きだし、今度は守矢のに近付けてみると黄色く輝きだした。

一緒に見る相手によって色が変わるものだと思っていたが、傍に近づけるだけで色が変化する宝石のようだ。

二人の眼には別々の色に見えたみたいだが、近付けてなかったからそう見えただけなのかもしれないな。

 

「すっげ、色が見事なまでに変化しやがった。それはマジックアイテムか何かか?」

「そんな事は知らん。……とりあえずこれを香霖堂に売ってお金にするか」

「売るくらいならわたしに譲ってくれよ。それを持って香霖にアイテムとして加工して貰うから」

「なんでお前に譲らなくちゃいけないんだよ。そんな事するくらいならあの人に売るっての」

「ちぇーつまんねぇの」

 

面白く無さそうな顔で文句を言う魔理沙は放っておいて、俺は石をポケットに入れるフリをしながら剣を放り込んでいる空間に放り込んだ。

 

「あの…一つ聞きたいのですが、そのこうりんさんと言う方は装飾品を作る職人なのですか?」

「いや、アイツは古道具屋の店主さ。ただ、魔術なんかの知識も持っていて、変わった道具を作れるんだよ。わたしの八卦炉とか霊夢の仕事道具も作ってたな」

「でしたらリュウさん。その宝石を店主さんに渡して装飾品に加工して貰ったら如何でしょうか。新品の道具なら霊夢さんも喜んでくれると思いますよ」

「……なるほど、その手があったか。ありがとな、守矢の。お陰で色々と参考に為ったよ」

「それは良いんですけど……いい加減名前で呼んでくれませんか? 何時までも『守矢の』とか『巫女』とかじゃなくて」

「気が向いたらな。……それじゃ俺はもう行くよ、金は置いておくからそれで支払ってくれ」

 

俺は財布の中から二千円ほど机に置いて、すぐに茶屋を出て香霖堂へと向かって飛んで行く。

残りの残金的に作って貰えるのか少々不安ではあるけど、あの店には何度も道具を納品しに行ってるんだし、多少は融通してくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

森近さんに道具製作の依頼を出してから五日後、頼んでいた物が思ったよりも早く仕上がった。

あの宝石を見せた時に売ってくれと懇願されたが、何とか説得して諦めてもらい、装飾品を作ってくれるように依頼した。

道具製作にはそれなりの費用と時間が掛かると言われたけど、道具の納品と珍しい宝石を弄らせてもらうと言う事で割りと手頃な値段に収まってくれた。

……それでも一万以上はしたから、口が裂けても安いとはいえない値段だけどな。

 

まぁ、そんなこんなあって、依頼していた道具を森近さんから受け取り、急ぎ足で神社へと戻って来た。

神社の境内に降り立った俺は、母屋の玄関へは向かわずに裏庭に回って霊夢を探し始める。

恐らく縁側でお茶を飲んでいる筈だが、もしかしたら別の場所に出かけているのかもしれない。

入れ違いになってないか不安になりつつ裏庭に行くと、予想通り霊夢が縁側に腰掛けてお茶を飲んでいるのを見つけた。

 

「…ん? そんなところで何してるのよリュウ」

 

霊夢は俺が帰ってきた事に気付いたのか、コッチを見てきて声を掛けてくる。

別に隠れていたわけでもないので、俺はそのまま霊夢の元へと向かい、彼女の隣りに腰を下ろす。

 

「とりあえずお帰りリュウ。ついさっき出て行ったと思ったのに、随分と早いお帰りね」

「ちょっと香霖堂に道具を取りに行っただけだから、そんなに時間は掛からなかったんだよ」

「そうなの。……それで一体何を買ってきたのよ? くっだらないガラクタじゃないでしょうね」

 

半目になって訝しむ様に睨んでくる霊夢に、俺は思わず苦笑いを浮かべてしまう。

俺はポケットに仕舞い込んでいた長方形の箱を取り出し、そのまま霊夢に無造作に渡した。

 

「……なによこれ」

「まぁ、とりあえず開けてみてくれ」

「……??」

 

霊夢は不思議そうな顔をしながらも、俺が渡した箱の封を開き、中身の物を取り出した。

箱の中に入っていた物は、銀で出来た竜のレリーフの真ん中に涙の様な形の宝石が埋め込まれたペンダント。

埋め込まれた宝石は七色に光り輝き、何処となく害意から守ってくれる様な雰囲気を醸し出している。

 

「これは……あの時の宝石? でもなんだってこんな姿に?」

「森近さんに頼んで作って貰った。霊夢へのプレゼントって事で」

「作って貰ったってなんでよ? 別に今日は私の誕生日でも何でもないわよ」

「いや…ほら……普段から色々としてもらってるのに、碌にお返しも出来て無いから普段の感謝の意をこめて」

「……つまりコレは私へのご機嫌とりって訳ね。全く、見返りなんて求めてる訳じゃないのに変なところで気を遣うんだから」

「うぅ……めんぼくない」

「謝らないでよ。どんな理由があるにしろ、アンタからのプレゼントは嬉しいんだから」

 

霊夢はそう言って嬉しそうに微笑むと、渡したペンダントを首に付けようとしてくれる。

だけど、こう言う物を付けた事がない所為か、首の後ろで上手くフックを引っ掛ける事が出来ず、珍しく悪戦苦闘している。

 

「む……意外と難しいわね」

「ちょっと貸してみ。俺が付けてやるから」

「お願いねリュウ」

 

そう言って霊夢はペンダントを俺に渡し、片手で髪を持ち上げて、綺麗なうなじを見せてくれる。

俺はそのうなじに見惚れそうになったが、直ぐに気を取り直して霊夢の首にペンダントを掛ける。

左右のフックがきちんと掛かり、霊夢の胸元に七色に輝く涙を擁く竜が太陽の光を反射して光った。

 

「これでよしっと。……変なところはないか霊夢?」

「ん、大丈夫よ、ありがとねリュウ」

「どういたしましてっと」

「でも、あんまり高い買い物はしないでよね。高価な物を贈られるより、傍に居てくれた方が嬉しいんだから」

 

そう言って霊夢は顔を赤くさせながらも、俺の肩に寄りかかってきた。

俺は返事をする代わりに霊夢の手を軽く握り締めて、同じ様に彼女に寄りかかった。

 





今回霊夢に渡したペンダント、これはサブタイになっている『ドラゴンズ・ティア』と呼ばれるモノです。
これを持っていると、相手が自分の事をどう思っているのか端的に分かるという特殊アイテムで、それぞれの色は以下の意味を持ちます。

黒=殺意   黒っぽい赤=敵意

明るい赤=疑心  濃いオレンジ=不審

オレンジ=中立  黄色=理解

濃い黄緑=親切  エメラルドグリーン=協力

黄緑=好意  濃い水色=忠誠

虹色=運命

っと言った感じに、相手の感情を端的に読み取る事が出来ます。
ただ虹色だけは特別な色で、滅多な事では宝石は虹色に輝きだしたりしません。
水色に輝くことも中々ありませんし、黄緑にまでなれば十分と言った所でしょう。
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