竜が辿り着いた幻想郷   作:ベヘモス

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えっ? 時期が違うだろって? はっはっは、そんな細かい事は気にするな。この小説の中では今は二月だ。


第百五十七話 ばれんたいんでー

 

……事の発端は早苗のこんな一言からだった。

 

「霊夢さん。一つお聞きしたいのですが、幻想郷にバレンタインデーってあるんですか?」

「…? ばれんたいんでーってなによ?」

 

話が平行線のまま進まなかった社を早苗のとこと合同で作る事になり、その打ち合わせの最中で彼女が言って来た一言。

初めて聞く言葉に思わず聞き返しちゃうと、早苗は目を丸くして驚いた…と言うより、信じられないモノを見るような目で私の事を見てくる。

 

「し、知らないんですか?! 外の世界じゃ常識ですよ!?」

「あのね……。外の世界の常識が幻想郷で通用するわけないでしょ。此処は外の世界で失ったものや、幻となったものが流れ着く世界なんだから。外の世界で当たり前だったものがこっちに流れ着くって事は、向こうじゃ既に忘れ去られているものって事に為るのよ」

「そ、それじゃ、ホワイトデーやゴールデンウィークにクリスマスも知らないんですか!?」

「知らないわよそんなの。なに? 外の世界のお祭りか何かなの?」

 

さっきから訳の分からない単語を並べる早苗を鬱陶しく思いながら、はっきりと〝知らない〟と告げる。

そんな私を早苗は可哀相な者を見るような目で見てくる。

恐らくこんな事も知らないのかと哀れんでいるんでしょうけど、そんな風に思われる謂れもないし、無性に腹が立つから今すぐ止めてもらいたい。

 

「……貴女たち、今は大事な話しの最中よ。雑談なら後でしなさい」

 

打ち合わせから話が脱線しそうになったところを、神奈子と話していた母さんが横から口を挟んでくる。

 

「す、すみません……」

「この位別にいいじゃない。相変わらず頭が固いんだから」

「仕事の話をしている最中で雑談をしている方がどうかと思うわよ」

「それなら早く話を終わらせてよ。何時までも似たようなやり取りを延々と聞かされる私達の身にも為ってよ」

「貴女だけじゃ話が纏まりそうに無いから手伝ってあげていると言うのに……ッ!」

「まぁまぁ落ち着きなって。博麗の巫女同士で喧嘩してもしょうがないだろ」

 

相変わらず沸点の低い母さんを神奈子が諫めようとするものの、怒りの矛先は今度は神奈子へと向けられる。

 

「……先に雑談を始めたのは貴女の所の子だったと思いますが?」

「子供達からしたらこう言う話は退屈なものさ。この程度で目くじら立てても仕方が無いだろ」

「名を背負う者にそんな甘えは許されません。…その様な事だから信仰が集らないのですよ」

「まともに仕事をしない巫女に比べればこの位大した問題じゃないさ」

「面白い事を言ってくれますね。里の信仰が今誰に向いているのかはっきり言って上げましょうか?」

 

笑顔で神様に喧嘩を売る母さんと、笑顔だけど額に青筋を浮かべている神奈子。

その様子に私は〝またか〟と心の中で呆れてしまい、早苗をほぼ同時に溜息を吐いた。

言い争っている私達に見るに見かねてやって来た母さんの仲裁で、早苗の所と合同で作る事で一応の決着が着いたけど、今度は母さんと神奈子でどんな形の社にするかで言い合いになっている。

神奈子は神奈子で何か思惑でもあるのか、立派な社を作りたいって言って聞かないし、母さんは母さんで九十九神相手に其処まで立派な社は必要ないって言ってるから、母さんが仲裁に入ってもさっきまでと何も変わっていない。

そんな二人の話を聞いていて何となく思ったのは、母さんは神奈子……と言うか、守矢一家の事があんまり好きじゃないって事。

仕事人間の母さんからしたら、いきなり外からやって来た神社が好き勝手な事をするのが面白くないんでしょうけど、既に母さんは巫女の座を私に譲っているから早苗の信仰集めに文句を言ったりはしない。

それでも気に入らないものは気に入らないのか、母さんの守矢一家への風当たりは結構厳しいものがある。

私としては大きな異変でも起こさない限りは何かする気もないし、コイツ等に干渉する気はないのよね。

 

…ちなみに、リュウなんか既にこの言い合いに飽きちゃっているのか、壁にもたれ掛かったまま寝ちゃってたりする。

大事な話し合いの席で暢気に寝てて良いのかって言いたくなるけど、誰も文句を言わないのは相手がリュウだからでしょうね。

この何者にも束縛されない感じは偶に羨ましくなるな。私もこの位自由に生きれたら…………今と大して変わらない気がするのはなんでだろう。

 

「…まぁ、考えても仕方がない事だしいいか。それで早苗、ばれんたいんでーってなによ?」

「えっ? この状況でその話に戻るんですか?」

「良いのよ別に。どうせあと数時間はこんな感じで話が進まないんだろうし」

「はぁ……。まぁ、お二人ともこちらには気が付いていない様子ですし、何も知らない霊夢さんに教えてあげますよ」

「……それはどうも」

 

偶に早苗の奴は上から目線で物を言ってくる事があるけど、これは素なのか意図的にやっているのか、判断に困るところね。

 

「いいですか、バレンタインデーと言うのは簡単に言って仕舞えば女の子が勇気を搾り出す日なのです。好きな相手にチョコを贈って想いを告げる……そんな素敵な日なんですよ!」

 

意気揚々と話す早苗だけど、自分の事でもないくせになんでそんなに盛り上がれるのかしらね。

好きな相手が出来たって言うなら、とりあえずオメデトウとは言っておくけど、私にそんな事を話されたって知ったことじゃないわ。

 

「…まぁ、ばれんたいんでーの概要は把握したけど、なんで告白するのにちょこ……だったけ? そんな良く分からないものが必要なのよ」

「よ、よく分からないものって……チョコはチョコレートの略称で、とても甘いお菓子ですよ。食べた事無いんですか?」

「知らないし、初めて聞いたわよ。咲夜辺りなら知ってるかもしれないけど、少なくともウチでは食べた事無いわね。基本的に煎餅や和菓子ばっかだし」

「そんな勿体無い! チョコを食べないだなんて人生の七割は損してますよ!」

「七割って……アンタの人生、どれだけ甘いモノが占めてるのよ」

「女の子に取って甘いモノは大切なエネルギー源ですからね。甘いモノのない人生なんて考えられません」

「……………」

 

割と本気で言っている早苗に流石の私も思わず引いてしまう。

甘いモノが美味しいって言うのは理解できるけど、此処まで断言されると流石にちょっとね……。

 

「あ、あれ? なんか早苗、変な事言いましたか?」

 

引いている私の様子に気が付いたのか、早苗は不安そうな顔で尋ねてくる。

自分の言っている事が間違いじゃないって信じているんでしょうけど、私は迷う事無く首を縦に振って肯定した。

 

「えぇ、私には理解出来ない様な事を力一杯ね」

「ど、どうしてですか?! 霊夢さんだって早苗と同じ女の子でしょ!?」

「お菓子一つで人生の七割を損するような奴と一緒にされたくないわよ」

「うっ……。で、でも、バレンタインデーは恋人達が愛を確かめ合う日でもあるんですよ? コレに乗らない手はないじゃないですか!」

「他の連中が如何しようと知った事じゃないし、広めたいなら勝手にやりなさい。でも、アンタにそう言う相手がいるの?」

 

確信を突くような私の言葉に、早苗はまるで彫刻の様に完全に固まってしまった。

どうやら図星を突いてしまったのか、笑顔が張り付いたまま身動き一つ取れずにいる。

此処から更に追撃して止めを刺してやっても良かったけど、後々面倒な事になりそうだから自重しよう。

……それにしても、恋人達が愛を確かめ合う日か。私とリュウはまだそう言う関係じゃないけど、便乗してみるのも悪くないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

「―――と言う訳で衣玖。作戦会議よ」

「唐突に話を振らないで下さい。話が見えません」

 

母さんと神奈子の話し合いにも決着がついて、社の制作が本格的に始まった頃、私は神社に残って衣玖と作戦会議をする事にした。

リュウは私の代わりに社に向かってくれたから今は居ないし、アイツに聞かれたくない会議だから寧ろ好都合。

とりあえず、話が全然見えていない衣玖に事情を説明して、何か良い案を出してもらおう。

 

「……成る程。話は分かりましたが、外の世界には随分と変わった催しがあるのですね」

「それに付いては同意するけど、この際だからどんな催しなんかなんて如何でも良いのよ」

「そうですね。お酒が入らないと甘えられない霊夢さんには丁度良い切欠ですね」

「う、うっさい! てか、酔っ払っているときの事は言わないでよ! 酔いが醒めた後で恥かしさのあまり悶絶する私の気持ちが分かる!?」

 

予想だにしない返しに私は思わず声を荒げて衣玖に噛み付く。

でも、当の本人はそんなの何処吹く風と言った様子で全く動揺しているようには見えなかった。

 

「そう仰られても、仕方が無いではないですか。気にしておられるのでしたら、普段から甘えてみては如何です?」

「そ、それが出来たら苦労なんてしないわよ……」

 

尤もらしい言い分に私は声を絞り出すようにしながら否定する。

衣玖の言い分も分からないわけじゃないけど、そんな事が出来るなら最初からそうしてるわよ……。

 

「あ…その……ごめんなさい」

「うんん、いいのよ。原因は私にあるって事くらい分かってるから」

「えっと……と、とりあえず、リュウさんに何か贈り物をしたいと言う事でしたよね。あの方が何時帰ってくるか分かりませんし、早いところ決めてしまいましょう」

 

落ち込んでいる私を気遣ってか、衣玖が若干強引に話を逸らして元の話題に戻してきた。

もう少しマシな話題の逸らし方はなかったのだろうかと、そう思わない事もないけど今は衣玖の気遣いがありがたい。あのままじゃ自分の不甲斐無さで落ち込みっぱなしだったと思う。

 

「それじゃ話を戻しましょう。リュウに何かを贈ろうって話だけど……一体何をあげれば良いのかしら?」

「リュウさんが喜びそうな物となりますと……やはり釣りの道具一式でしょうか」

「確かに喜ぶでしょうけど、アイツ何気に香霖堂で新しいルアーとか買ってるのよね」

「え、そうなんですか?」

「うん。気が付かない内に新しいルアーが増えていっているのよ。自分の小遣いで買ってるみたいだから良いんだけどね」

「そうなりますと……あの方が好きな料理をご馳走すると言うのは如何でしょう?」

「リュウの好物って言うと……ゆで卵ね」

「ゆで卵ですね」

「「…………なんか違うわね/いますね」」

 

衣玖と一緒にリュウの喜びそうな物を考えてみたけど、なんかこれじゃないって感じがする。

早苗の話だと〝恋人同士が愛を確かめ合う〟とか言ってたけど、そんな日に何の変哲もないゆで卵を贈るって如何なのかしら。

やっぱり特別な日……なのかどうか知らないけど、素面の状態でアイツに甘える良い機会なんだし、もっとこう……普段しない様な事をしてみたい。

それなら普段作らないような料理を作ってみるのも手だけど、今のウチの財政と里の状態を考えるとあんまり贅沢な料理は作りたくないのよね。

これならいっその事アイツと同衾する……のはなしね。きっと私が寝付けないもの。

 

「これは困りましたね。あの方に何を贈ればいいのか全然思いつきません」

「リュウの奴、あんまりコレが欲しいとか言わないもんね。普段の生活で満足してる証拠なんでしょうけど、いざって時に困るわね」

「……こうなると物を贈るのではなく、あの方に何かして差し上げる方が手っ取り早いかと」

「何かって何よ。昔してくれたアドバイスみたいに、耳掻きでもしてあげれば良いの?」

 

投げ遣りにそんな事を言いながら、用意しておいたお茶に手を伸ばして一口飲むと―――

 

「いえ、今回は思い切ってあの方のお背中を流してあげましょう」

「ブッ!?」

 

―――突拍子もない衣玖の言葉に思わずお茶を噴出してしまった。

口に含んだものを噴出すなんてはしたないとは思うけど、衣玖の言って来た言葉があまりにも衝撃的過ぎて、堪えるなんて事が出来なかった。

何をどうすればそんな発想に為るのか分からないけど、幾らなんでもそれはない。同衾するよりも恥かしいじゃないの。

 

「だ、大丈夫ですか、霊夢さん!?」

「げっほげほ……。い、一応大丈夫だけど、いきなり何を言い出すのよ」

「さ、流石に性急過ぎましたか?」

「過ぎました…なんて生易しいレベルじゃないわ。色んな過程をふっ飛ばしてるじゃないの」

「そう仰いましても、霊夢さんもリュウさんとのスキンシップに慣れたご様子ですし、この位のことでしたら平気かと思いましたので」

「慣れたって言ってもいきなりソレは無理よ。……もしかして、それは衣玖がしたい事なんじゃないの?」

「うふふふふ。幾らなんでもそんな訳ないじゃないですカ」

「……眼が泳いでいるわよ、衣玖」

 

指摘しながらジッと睨み付ける様に衣玖を見るけど、彼女は特に動じている様子もなくお茶を手に取って一口飲む。

恐らく誤魔化しているつもりなんでしょうけど、私と眼を合わせようとしないところを見るに図星なんでしょう。

確かにリュウの従者に為るのは許したけど、そんな事までしていいだなんて私は一言も言ってないわよ。

 

「まあ折角の機会ですし、このくらい大胆な行動に移ってもいいと思います」

「だ、だからってそんな恥かしい事出来るわけないじゃない」

「ですから其処は湯浴み着を着用すれば宜しいのです。そうすればリュウさんに肌を見せずに済みますよ」

「でも背中を流すって事はアイツは裸よね?」

「はい、そうなりますね。…………あ」

 

私が一体何を気にしているのか漸く分かってくれたのか、衣玖は顔を赤くして申し訳無さそうに俯く。

 

「……衣玖、この案は却下よ」

「分かりました……」

「全く。少し考えれば分かりそうなものでしょうに」

「申し訳御座いません。よく総領娘様の湯浴みを手伝っていますから、すっかり失念してました」

「……天人ってのはお風呂も一人で入れないのね」

「あ、あはははは……。とりあえずA案は止めて、B案で行きましょう」

「まだ他に案が有るの!?」

「はい。ですが、今度のは肌を晒したりする様なものではないので安心して下さい」

「なんでだろう……。そこはかとなく不安が過ぎるんだけど……」

「し、信じてくださいまし! 今度のは大丈夫です!」

「……不安だわぁ~」

 

一抹の不安を抱えながら私は衣玖が提案してきたB案とやらに耳を傾ける。

話を聞く分には私でも出来そうな気がするけど、恥かしさではさっきのと大差ない様な気がして為らない。

ばれんたいんでーって本当にコレで良いのかしら? 衣玖の話を聞いて漠然とそんな疑問が頭を過ぎった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

あれから時間が流れて、衣玖が帰った後の夕餉の時間。

リュウはまだ帰って来てこないけど、私は一人これから決戦に赴く位の気合を込めていた。

ガラにもなく緊張しているのか、今は一分一秒が物凄く長く感じてしまい、どうにも落ち着かない。

やっぱり今からでも止めてしまおうか。そんな事を考え始めていると―――

 

―ガラガラガラ―

「ただいま~」

 

―――家の引き戸が開けられてリュウの声が聞こえてきて、私の緊張は一気に跳ね上がった。

鴬張りの床がアイツが近づいてきている事を知らせ、それに伴って私の心臓がどくんどくんっと五月蝿いくらいに脈打つ音が聞こえる。

此処まで心臓が五月蝿いと感じたのは何時以来だろう? 混乱し過ぎて逆に冷静になってしまった頭で思わずそんな事を考えてしまう。

ちゃんと上手く出来るだろうか。そんな不安を抱えていると、ついに今の引き戸が開けられてしまった。

 

「霊夢、今帰ったぞ……って、如何かしたのか? なんか顔が赤いぞ」

「な、なんでもないわよ。それよりも今日はお疲れ様、リュウ。もうご飯出来てるから、さっそく夕食にしましょう」

「お、おう……」

 

緊張のしすぎでなんか空回りしている気がするけど、今はそんな事を気にしている余裕がない。

とりあえず何時も通りリュウの分のご飯を茶碗によそって、そのまま彼の隣りに腰を下ろす。

 

「…? 一体何してんだ霊夢?」

「あ、アンタはちょっと黙ってて!」

「あ、はい」

 

怒鳴るように声を荒げて強引にリュウを黙らせるけど、心臓が破裂しそうなくらいに脈打っていて、自分でも何をしているのか良く分からない。

火が出そうなくらいに顔が熱くなるのを感じながら、私は震える手で用意しておいた一膳分の箸を手に取り、艶のある白いご飯を一口分抓んでリュウの口元に差し出した。

 

「……あ~ん」

「……はっ?」

「だから…その……あ~ん、しなさいよ」

 

箸を差し出して消えそうな位に小さな声で呟くけど、恥かしすぎて下を向いてしまい、リュウがどんな顔をしているのか見る事も出来ない。

顔を上げた瞬間に呆れられていたら立ち直れそうにないし、余り顔を上げたくないって言うのもあるけど、やっぱりこれはキツイものがある。

こんな思いをする位ならやらなければ良かった。そんな後悔に押し潰されそうに為っていると―――

 

「……あむ」

 

―――リュウが差し出していたご飯を無造作に食べてくれた。

その事にハッと為って思わず顔を上げると、ご飯を食べているリュウも恥かしそうに顔を赤くしていた。

 

「リュウ?」

「んぐんぐ……ごくッ。……食べさせてくれるみたいだから喰ったけど、結構恥かしいなコレ」

 

恥かしそうに顔を赤くしながらも、リュウは笑いながらそう言ってくれた。

その笑顔を見て後悔で押し潰されそうに為っていた私の心が幾分か軽くなるのを感じた。

 

「あ、アンタは食べるだけだから良いじゃない。私なんて恥かしすぎて訳が分からなかったんだから」

「そんな思いをするくらいなら最初からしなければ良かっただろ」

「そ、それはアレよ。ばれんたいんでーってやつよ」

「…? なんだそりゃ?」

「な、なんでもない! それよりもほら、次行くわよ、次!」

「げっ、まだやるのかよ」

「当然じゃない。それじゃ次はね……からあげにしましょ!」

「……ったく、しょうがねぇな」

 

そう言って呆れたように笑いながらも、リュウは私の我が侭を聞き入れてくれる。

私は喜び勇んでからあげを箸で抓んで差し出すと、リュウは躊躇わずに食べてくれた。

たったそれだけの事なのに無償に嬉しくて、ついまた食べてもらいたくなってしまう。

最初はかなり突拍子もない案だと思ったけど、やってみると意外と悪くないものね。

……でも、やっぱり恥かしいから他の誰かが居るときは絶対にやらないようにしよう。

リュウにご飯を食べてもらいながら、私は心の中で固くそう誓うのだった。

 




……さて、そろそろ微妙に仲違いしている連中との関係を修復するか。
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