竜が辿り着いた幻想郷   作:ベヘモス

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第百八十話 熱かい悩む神の火

 

烏の腕に装着された棒の先に収束していく熱エネルギー。

本来なら目で見る機会なんてまずないであろうモノを烏は当たり前の様に集めていく。

 

「いっくよ! 爆符『メガフレア』!」

 

スペカを宣言してから烏が放ったものは、炎の塊と言うよりもエネルギーの塊そのものだった。

普段のリュウが何気なく作る光球よりも膨大な熱量をもったそれは、今まで感じたことの無い様な熱を放ちながら私へと向かってくる。だけど私はそれに怯むことなく前へと突き進む。

烏は太陽の如き力だとか言っていたけど、だからなに? 相手がどれだけの力を持っていようとも、私のするべきことは何も変わらない。

目の前に力を得て調子に乗っている馬鹿がいるなら、叩き潰して現実を分からせてやるだけよ。

 

直ぐ其処にまで迫って来ていたエネルギー弾を前に、私は亜空穴で空間を飛び越えてエネルギー弾をやり過ごし、展開していた弾幕を烏に向けて全弾放つ。

放たれた弾幕は正面から襲い掛かるだけではなく、左右にも分かれて烏に挟撃する。

大量の弾幕が烏へと襲い掛かるけど、その全てが命中する事無く何かに阻まれて燃やし尽くされてしまう。

大量の札が燃えて焼失していく中、烏が私の弾幕を防いだものの正体が判明する。

烏の目の前に展開されていたのは青白い光の壁。あれも八咫烏の力で作り出されているのか、私の札を燃やしてしまうだけの熱はあるみたい。

一応、炎を操る敵が相手でも戦えるように耐火措置は施してあるんだけど、八咫烏の前にはそんなの無いのと同じってわけね。

 

そんな風に内心感心していると、烏は光の壁を展開したまま小さなエネルギー弾を無数に放ってくる。

さっきの大きな奴に比べればなんてことのないサイズだけど、今度のは数が多くて弾速も速い。

ここまで数が多くて速い弾幕を放ってくる奴なんて久々だけど、この位なら避けるのはさほど難しくはない。

私は烏が放ってきた弾幕を掻い潜りながら、札と一緒にホーミングアミュレットを投げ放つ。

正面に放った札は烏の弾幕とぶつかって相殺されるけど、アミュレットは烏の弾幕を掻い潜る事ができたけど、あの光の壁を突破する事は出来ず、アミュレットも燃やし尽くされてしまう。

それでも諦めずに札とアミュレットを放ち続けていると、次第に光の壁が薄くなっている事に気付く。

効力がなくなってきているのか、それとも私の弾幕に耐え切れなくなってきているのか分からないけど、このチャンスを逃す手は無いわね。

弾幕を受け続けて、壁が透けて烏の事が見えるくらいに薄くなったのを見計らって、多めに霊力を込めたアミュレットを投げ、それと同時に亜空穴で烏の前まで空間を飛び越える。

烏は突然私が目の前に現れた事に驚愕するけどそれも束の間、烏の弾幕を潜り抜けたアミュレットが光の壁とぶつかり、目障りだった壁を打ち砕いた。

 

「霊符『陰陽玉』」

 

壁がなくなったのとほぼ同時に霊力の塊を叩き込み、烏を壁際へ通し飛ばす。

回避も防御もできないようなタイミングで繰り出した陰陽球だけど、流石にあの程度の一撃じゃ烏を倒す事はできなかったみたい。

現に陰陽玉を受けても気絶した様子もなく、壁にぶつかる前に空中で静止してみせた。

私としても様子見のつもりだったけど、八咫烏と融合して得たのは能力だけじゃなくて丈夫さもかしらね。

 

「いったたた……。ずるいよお姉さん! いきなり消えたり出たりするなんて!」

「別にずるくないわよ。大体私の亜空穴はまだマシなほうで、酷い奴になるとそこ等中にスキマを作って、全方位から攻撃してきたりするわよ。どう考えてもアッチの方がずるいっての」

《……霊夢、それは一体誰の事を言っているのかしら》

「人の家に勝手に上がりこんで茶を飲んでる奴の事よ」

《それは酷い奴もいたもんだ》

《あの萃香さん。ワタシ達もあまり他人の事は言えないと思うんですけど》

 

陰陽玉ごしから紫たちの茶々が入るけど、今はアイツ等に構っていられるほど余裕はない。

最初のスペカを見る限りだと、烏が扱えるエネルギーは私の霊力なんかとは比べ物にならないほどに膨大。下手をすればリュウに近いエネルギー量を誇っているのかもしれない。

そんな奴相手に正面からの打ち合いだけじゃ分が悪いし、搦め手なんかも使わないとかなりキツイ。

幸いにも相手は馬鹿っぽいし、相手の弾幕に飲み込まれなければ幾らでも付け入る隙はあるはず。

とにかく今は目の前に居る相手に集中して、僅かな隙も見逃さないようにしないと一気に押し込まれるわね。

 

「うにゅ……。お姉さんが一体誰と話をしているのか分からないけど、とりあえず焼き尽くせばいいよね」

「……さらっと物騒な事を言わないでもらいたいわね」

「それじゃいくよ! 焔星『フィクストスター』!」

 

烏が二枚目のスペカを使うと、自身の頭上にリング状に連なるエネルギー弾を作り出した。

一つ一つは初弾のメガフレアに比べれば小さいけど、それが複数個リング状に連なっているとなると、使い方によっては厄介な事になりかねない。

軽く深呼吸をして、どんな弾幕でも対処できる様に前のエネルギー弾に集中していると、烏はエネルギー弾をリング状に連ねたまま私に向かって投げて来た。

私の予想としては無想封印の様な弾幕だと思っていたけど、私の予想とはかなり違うもののようね。

エネルギー弾の弾速は確かに速いけど、リング状に連ねたままなら回避するのはさほど難しくない。

私は投げられたエネルギー弾の弾道を読み、リングの下を潜るようにして烏の弾幕を回避する。

思ったとおり大したことのない弾幕だけど、烏はしたり顔で私の事を見ながら笑っている。

その笑みに嫌な予感がし、なんとなく後ろを振り返ってみると先程の弾幕が逆行し始めていた。

 

「なッ!?」

 

逆行する弾幕を使ってくるなんてさすがに予想外だった。口調は子供っぽいのに変な所で頭が回るわね。

だけど、逆行してくるだけでそれ以外の変化は全くといっていい程ない。戻ってくるだけの弾幕なら恐れることなんてないわ。

逆行して戻ってくる弾幕にタイミングを合わせ、今度は上を飛び越えるようにしてリングを回避した。

 

「む、やるねお姉さん。でも、まだまだいくよ!」

 

そういって烏は自分の手元に戻ってきたリングをもう一度私に向かって投げて来る。

再利用可能というのは羨ましいけど、投げた弾幕に何の変化もない以上、既にこの弾幕は見切っている。

私は向かって来るリングには下を潜って回避し、逆行してくるリングには上を飛び越えて回避する。

弾速が速い為、こっちから攻撃するタイミングが中々ないけど、既に見切っているから回避自体は然程難しくはない。

それに何時までもこんな輪投げで遊んでいる訳にも行かないし、いい加減終わらせよう。そう思った私はリングが烏の手元に戻るタイミングに合わせて札を投げ、八角形の結界を展開して烏を閉じ込める。

突然の結界に烏は驚いたような表情をするけど、何か行動を起こす前に手元に戻ってきたエネルギー弾が結界の内側に接触し、リング状に連なっていたエネルギー弾全て同時に爆発する。

耳を劈くような轟音が周囲に響き渡り、爆発の衝撃で私がはった結界が呆気なく崩壊した。

元々爆発の衝撃に耐えられるようには張っていないけど、あんなにも簡単に崩壊したんじゃ流石にチョット傷付く。少しくらい耐えられると思ったんだけどな。

爆発の影響で立ち昇る煙を見ながらそんな事を考えていると、煙を突き破って光を纏った烏が飛び出してきた。

今から回避していたんじゃ遅すぎる。亜空穴に飛び込もうにも相手の速度が早くで間に合わない。

仕方がなく前面に結界を張って防御しようとするけど、烏はそんな物はないと言わんばかりに簡単に結界を討ち破ってしまう。

結界を破られてしまい、守ってくれるものがなくなった私は、光を纏った烏に上空へと跳ね飛ばされてしまう。

 

《霊夢!》

「だい…じょうぶッ」

 

陰陽玉から聞こえてくる心配そうな声に強がりを言うけど、今の一撃の衝撃は凄まじい物だった。

私の結界を軽々と打ち破る突破力もそうだけど、烏が纏っている光自体にもかなりの熱を持っている。

そのお陰で威力も上がっているんだろうけど、あの光は熱さを通り越して痛いの一言に尽きる。本当に守矢の連中、面倒な事をしてくれたわね!

 

「お姉さん、まだ生きてるね。けどあの程度じゃ終わらないよ!」

「チィッ!」

 

烏は光を纏ったまま再度突撃してくるけど、私の速度じゃあの突進は回避しきれない。

真っ直ぐ突っ込んでくるだけなら、タイミングを合わせられればギリギリのところで回避できるけど、それは直撃を避けるだけで纏っている光までは避けきれない。

だけど今はそれ以外に方法もなく、私はかすり傷が出来るのを覚悟の上で烏の突進を回避する。

私の思ったとおり、タイミングさえ合えば直撃は避けられるけど、あの光までは回避出来ない。

烏を通り過ぎたのを見計らって反対側に移動するけど、今度は背後から突撃して来る。

 

「もらったッ!」

 

勝利を確信したかのように鳴く烏。まともに受ければ背骨が折れるでしょうけど、そんなのはゴメン被る。

私は咄嗟に方向転換をし、靴の底と袖を焦がされながら上へと飛んでなんとか避けれた。

何かが焦げる嫌な臭いがするけど、今はそんな事は気にせずに烏との距離を取る。

また突撃される前になんとかして距離を取ろうとすると、物凄い勢いで壁に何かが当たったような轟音が聞こえてきた。

その音の正体を見ようと下に目を向けると、勢いが良すぎて壁に激突したのか、間抜けにも烏が瓦礫の中でもがいていた。

恐らく勢いを付け過ぎたせいで止まる事が出来ずに壁に激突したんでしょう。あの速度の所為で急な方向転換や急停止は苦手なのか、出来ないんだと思う。

烏は直ぐに光を纏って瓦礫を吹き飛ばすけど、烏の間抜けな行動のお陰で一つの突破口が見えた。

 

「うにゅ……速過ぎて止まれなかった……」

「ふふん。威勢が良いのは口先だけみたいね。自分の技に振り回されるなんて笑わせるわ」

「むっ。必至になって避けてたくせになにさ偉そうに!」

「アンタ程度を倒す方法なんて幾らでもあるわよ。悔しかったら掛かってきなさい」

「むっか~ッ! そんなに言うんだったら、もう手加減してあげないからね!」

 

私の挑発に乗せられた烏は光を纏ったまま突撃してくる。

手加減しないと宣言したとおり、突撃してくる勢いも、纏っている光の熱もさっきよりも上がっている。

私は直撃を避けるように回避しながら、光に触れて燃え始めた袖を脱ぎ捨てる。

肌が露出している部分が増えて、火傷する可能性が上がるけど今はそんな事を気にしていられない。

烏の突撃を回避しながら、適当な位置に八枚の札を投げて待機状態で維持しておく。

光の熱さに苦しめられながらも回避し続け、何度目かの突撃を回避すると烏が投げておいた札の所で方向転換の為に急停止した。

急停止から方向転換までの僅かな時間を利用し、待機状態で維持していた札を起動し、結界を張る。

起動した札から八角形の結界が展開され、中で捕らえた烏を霊力の鎖で拘束する。

 

「拘束『八方捕縛陣』。これでアンタは動けないわよ」

「うにゅッ?! でも、このくらいの結界なら……ッ」

 

烏はあの光を纏って私の結界を破壊しようと試み始める。だけどこの結果は対象を捕縛・拘束することをだけを目的に創った結界。攻撃性を完全に度外視して創ったから、簡単に壊れたりはしない。

烏は光を纏ってもがき続けるけど、霊力の鎖を焼き尽くすに少々梃子摺っている様子。

この間に私は霊力を十分に練り上げ、亜空穴で結界をすり抜けて烏の頭上に移動する。

攻撃性が全くない結界だけど、コイツや天狗みたいに激しく動き回る奴を相手にするには、この上なく便利な結界。……それに、攻撃力がないのなら、別の手段をつかって攻撃すればいいだけだしね!

 

「受けなさい、神技『陰陽鬼神玉』!」

 

練り上げた霊力から放たれる極大の陰陽玉。その一撃は霊力の鎖を引き千切り、真下にいる烏を足元の陣に押し付ける。

烏が纏う光の熱でジリジリと焼け付くように熱いけど、千載一遇のチャンスに手を抜く事はできない。

私は鬼神玉を更に押し付け、自分で張った結界を打ち砕きながら烏を下に広がる炎へと押し飛ばした。

結界が砕けた事で基点となっていた札が効力を失くし、ヒラヒラと舞いながら下へと落下していく。

即興で思い付いた割には中々いい連撃だったけど、私の勘じゃまだあの烏は倒しきれてない。

そんな予感を的中するかのように落下していた札が自然発火し、下に広がる炎の威力が突然増す。

大気の熱が更に増して呼吸するのも辛い中、炎の方から烏ともう一つ在り得ない物が出現した。

烏と一緒に現れたのは太陽。そうとしか言い表せないほどの熱を持ったエネルギー体。天照をこの身に降ろした事があるからこそ分かる、アレは太陽と同質の物だ。

本物と比べれば何百分の一以下のサイズなんでしょうけど、まさか擬似的に太陽を創り出せるなんて思いもしなかった。

 

「………………」

《不味いわよ霊夢。あのエネルギー体は―――》

「アンタに言われなくても分かってる。……まさかあの烏に此処までの力が有るなんてね、完全に予想外だったわ」

《どうする? 今なら私の能力で連れ出してあげるけど》

「冗談でしょ。ここまでやっておいて逃げるなんて真似できないわよ」

《……貴女も中々に頑固者よね》

「うっさい。ほっといてよ」

 

紫に悪態を付きながら、霊力を体外に放出して無数の弾を作り上げる。

擬似太陽が相手となると札なんてもう当てにならないし、攻撃するにはこうして霊力で弾を作りしかない。

弾を多く作ればそれだけ多くの霊力を消費するからあまりやりたくないんだけど、太陽を相手に四の五の言ってられないっての。

 

「……もう本気で怒ったよ、お姉さん。何のつもりで此処に来たのか知らないけど、この太陽で皆燃やし尽くしてあげる! くらえ、『サブタレイニアンサン』!」

 

烏の声に反応して、今まで沈黙していた太陽がその輝きを増し、熱の波動を周囲に撒き散らす。

本当に何もかも焼けてしまいそうな熱を前に、私は臆する事無く前に出て弾幕を烏に向けて放つ。

熱の波動を受けて私の弾幕の一部が消滅するけど、それでも霊力から弾を作って放ち続ける。

周囲に撒き散らされる熱についに岩壁にまで炎が燈り、周りの壁全てが炎で覆いつくされてしまう。

息を吸うだけで肺が燃えてしまいそうな熱さに意識が朦朧としてくる。でも此処で意識を失えば弾幕が途切れ、下に広がる炎に落ちて焼き尽くされてしまう。

そうならない為にも朦朧とする意識の中でも気を引き締め、烏に向かって弾幕を放ち続けた。

遠距離からの攻撃では太陽の波動に掻き消される以上、至近距離から弾幕を叩き込むしか方法はない。

今にも燃えてしまいそうなほどの熱に苦しめられながら、前へと進んでいると炎の壁を突き破って赤い閃光が伸びる。

その閃光は太陽の熱なんて物ともせず突き進み、烏が創った擬似太陽の前に辿り着いてその姿を現す。

人と竜の中間のような外見に、全てを斬り裂くような輝きを見せる大剣。その姿を見て、今にも焼けてしまいそうな熱の中なのに私は思わず笑みが零れた。

 

「……まったく、遅すぎるのよ。このバカ」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」

 

裂帛の気合を込めて振るわれる大剣の一閃。その一閃で烏が創った擬似太陽を両断する。

太陽が両断されたことで撒き散らされていた熱の波動が止まり、さっきよりも呼吸がずっと楽になる。

烏は両断された太陽を慌てて直そうとするけど、既に手遅れだったのか。その存在を維持する事はできなかった。

 

「な、なんなのさ、あの……人? いきなりやって来て私の太陽を斬るなんて! こうなったら、もっと密度のある太陽を創ってやる!」

「……悪いがそれは無理だ。もうお前にそんなチャンスはやってこない」

 

そう言いながらリュウは視線で私に合図を送ってくる。それだけでアイツが何を言いたいのか伝わってくる。

……えぇ、言わなくても分かってる。アンタが作ってくれたこのチャンス、絶対無駄にはしない!

周囲に展開していた霊力の弾を八つの塊に収束させ、更に霊力を注ぎ込んでより密度のある塊を作る。

八つに収束した霊力の塊は七色に光り輝き、私の合図を待つかのように周りで回転し始めた。

 

「神霊『無想封印』」

 

私の言葉を合図に霊力の塊を烏に向かって撃ち放つ。

烏も素早く弾幕を展開して迎撃しようとするけど、霊力の塊は烏の弾幕を全て回避してみせる。

烏は咄嗟にその場から逃げ出そうとするものの、ホーミングする以上どこへ逃げようとも意味が無い。

それでも必至に逃げようと上へ上へと飛んでいくが、その先に在ったのは岩盤で出来た重く硬い岩の蓋。

その蓋を前に烏も逃げ場がない事を悟ったのか、その場で立ち止まり私の弾幕をまともに受けた。

全弾が全て同時に命中し、その炸裂音が灼熱地獄跡に響き渡る。

烏は私の無想封印を受けて気絶したのか、羽ばたく事もできずに下に広がる炎の中へと落下していくが、炎の壁を突き破って現れた黒猫に回収される。

アイツを倒した事で今回の異変も一応の解決となったわけだ。そう思うと一気に気が抜けたのか、目の前が暗くなって、全身の力が急に抜けた。

このままじゃ私も炎の中に落ちちゃうな……なんて思っていると、誰かが私の事を抱きとめてくれた。

 

「おい、大丈夫か? 珍しく手こずっていたみたいだが」

「うっさい。あの烏の能力の規模が大きすぎて戸惑っただけよ。……それよりも、アンタがもっと早く来てくれれば、もっと楽に勝てたんだけど?」

「悪い。あの勇儀とか言う奴を倒したら他の鬼に喧嘩売られてな。そいつ等全員を倒してたら時間が掛かった」

「だったらもっと早く倒しなさいよね。今回は本当につかれ…た……」

「すまん。とにかく今はゆっくりと休め。後の事は俺がやっておく」

「うん……あとはおねがいね、リュウ……」

 

事後処理を彼に任せたところで限界が着たのか、急速に意識が眠りへと落ちていく。

今回の依頼の報酬は紫からふんだくらないと割に合わないなって思いながら、私は一番安心できる人の腕の中で眠りに付いた……。

 

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