嬉しいと言えば嬉しいんですけど、にじファン時代を桁が違うのでイマイチ高いのか低いのか良く分からないんですよね。
長いようで短い秋も過ぎ去り、葉っぱも全て枯れ落ちて季節はすっかり冬になっていた。
肌寒い程度だった気温もぐっと下がり、吹きすさぶ風は凍えるような寒さだ。
気温が冷え込むのに合わせて、空からは雪が降るようになった。
お陰でこっちは、落ち葉集めの変わりに、雪掻きをしなければ為らなくなった。
霊夢が寒さ対策に長袖の服を用意してくれたが、それを着ていても雪掻きは寒いし辛い。
あまりの辛さに、火属性の魔法で雪を溶かそうと何度思った事か……。
でも、魔法を使うと溶けた水が凍り付いて、かなり危険な道が出来てしまう。
水も残らないほどの高火力で溶かせば良いけど、それには
……流石に雪を溶かす為だけに変身する気には為れないな。色々とアホらしいし。
「あ~寒い……」
俺は白い息を吐きながら、スコップ片手に今日も境内の雪を掻く。
深々と雪が降る中、せっせと雪を掻き出していると……上空に箒に乗った魔法使いの姿を見つけた。
魔法使いは、俺の姿を見つけると直ぐ目の前に降りてきた。
「よう、リュウ。雪掻き大変そうだな」
「……そう思うなら手伝ってくれよ、魔理沙」
箒を片手にそう言ってくる彼女に対して、俺はゲンナリした様子でそう返した。
俺が頼んだところで手伝ってくれる筈もないのだが、あまりの寒さについつい言葉が出てしまう。
「それはお断りだぜ。…ところで霊夢はいるか?」
「何時も通り、居間でお茶を飲んでるよ」
「そっか。んじゃ、お邪魔させてもらうぜ」
「はいはい」
俺が適当に返事を返すと、魔理沙は俺の横を通って母屋の方へと向かった。
それを確認した俺は、中断していた雪掻きを再開した。
………
……
…
雪掻きも大体終わり、俺は母屋に戻る事にした。
スコップを外に置き、玄関の戸を開けて入ると中は温かい空気で満ちていた。
俺は玄関先で服に積もった雪を払い、霊夢たちの入る居間へと向かう。
居間では霊夢と魔理沙がコタツに入って、お茶と煎餅を堪能していた。
「お帰りなさい、リュウ。外は如何だった?」
「ただいま、霊夢。外は相変わらず雪が降り続いていたよ。この調子だと今日一日雪かもな」
「うげぇ。それは止めて欲しいぜ」
魔理沙は俺の言葉を聞いて、物凄く嫌そうな顔をする。
俺はそれに苦笑いで答えつつ、コタツの空いている場所に座った。
座るのとほぼ同時に、霊夢が俺にお茶の入った湯飲みを差し出してくれた。
「ありがとな、霊夢」
「べ、別に気にしないで良いわよ。アンタには雪掻き頑張って貰ってるんだし」
「それでも礼を言いたいんだ」
俺は笑い掛けながら霊夢そう言うと―――
「~~~~ッ!」
―――何故か霊夢は顔を赤らめて俺から眼を逸らしてきた。
別に真っ赤って程じゃないけど、それでも普段と比べて顔がかなり赤くしている。
霊夢は偶に顔を赤くする事があるんだが……もしかして赤面症か何かか?
「お~お~。相変わらずだなお前等」
「うっさいわね、ほっといてよ」
「へいへい」
魔理沙が霊夢を茶化すが、一体何を茶化しているのか分からない。
俺は首を傾げ考えるも、分からないものは仕方が無いと頭を切り替えることにした。
「そういや、リュウに聞きたい事があるんだった」
「ん? 一体なんだ?」
魔理沙の言葉に適当な返事をしつつ、霊夢が出してくれたお茶を一杯飲む。
「リュウって、一体何種類の竜に変身出来るんだ?」
「あ、それ私も気に為る」
魔理沙の質問に霊夢の興味津々と言った様子でコッチを見て尋ねてくる。
俺は持っていた湯飲みを台の上に置き、腕を組んで少し考え始める。
別に答えられない質問じゃないけど、あんまり答えたくない質問でもあるな。
自分の手の内を相手に曝す……って程じゃないけど、コレを話すと言う事はアレにも触れるか。
……でも、何時かは話す事に為るだろうし、遅いか速いかの違いでしかないか。
そう考えた俺は、組んでいた腕を解き、二人に俺の力の事を話し始めた。
「……まず基本となるのが『オーラ』。見た目は透き通った空色の羽を持つ黒い大きなトカゲって感じだな」
「基本って?」
俺の説明に疑問を持ったのか、霊夢は話の腰を折って不思議そうに尋ねてくる。
「言葉の通りの意味だ。どの属性にも偏らないもっとも基本的な竜だからそう呼んでる」
「じゃあ、前に乗せてくれたアズキ色の竜はなんなんだ?」
霊夢の質問に答えると、今度は魔理沙が質問してきた。
ちゃんと説明するから少し黙っていて欲しいが、気に為るから矢継ぎ早に質問してくるんだよな。
堪え性が無いな……などと思いつつ、俺は魔理沙の質問にも答える。
「アレは火の属性の竜『ジャブジブ』。……変身した時に名乗ったと思うけど?」
「いや、属性云々の話だ」
俺の返答を聞いて、魔理沙が更に質問してきた。
魔理沙の質問に霊夢も興味深々っと言った眼でコッチを見てくる。
「俺は四つの属性に特化した竜に変身出来るんだよ。その一つがあの『ジャブジブ』って事」
「四つの属性って事は……もしかして地水火風の四つか?」
「嗚呼。水属性の『ジャバウォック』、風属性の『ナイト』、地属性の『バンダスナッチ』がそれぞれの属性竜で、どの属性に当て嵌まらないが『オーラ』なんだよ」
「それじゃ、お前は五つの竜に変身出来るのか」
「いや、変異種の『パンク』に覚醒種の『カイザー』……それに『アンフィニ』があるから全部で八つだ」
「変異に覚醒?」
魔理沙の質問に答えると、また霊夢から質問をされた。
霊夢には『カイザー』の姿を見せたけど、『パンク』と『アンフィニ』は知らないんだったな。
そんな事を考えつつ、俺は喉を潤すためにお茶を一杯飲んでから、霊夢の質問に答えた。
「『カイザー』は基本となる『オーラ』が覚醒した竜だから、便宜上そう呼んだだけ。変異は……なんなんだろうな?」
「…? なによそれ」
「いや、本当に分からないんだよ。『オーラ』や『カイザー』の様にどの属性にも偏らない竜なんだけど、その二体の様に力強さがある訳でもない。……強いて言うなら、状態異常を引き起こせるって所か」
「なら毒竜でも良いんじゃないのか?」
魔理沙がそう言ってくるが、俺は首を横に振ってそれを否定する。
「あの竜な、毒以外にも混乱や眠りも引き起こせるんだよ。その上体力がない代わりに異様に硬いって言う、よく分からない性質の竜でな」
「……本当になんなんだよ、その竜」
「俺にも分からん。とりあえず、状態異常を引き起こすから俺は『変異』って呼んでる」
「「……………」」
俺がそう締め括ると、二人は押し黙ってしまった。
俺は何も言わずに湯飲みを持ち、お茶をもう一杯飲む。
話すのに時間を掛けすぎたのか、湯飲みに入っているお茶が温くなっていた。
俺はお茶を一気に飲み干し、コタツの上にあるお茶請けの饅頭を一つ食べ始める。
「あ、リュウ。もう一つ質問なんだけど」
「なんだ?」
「『アンフィニ』ってなに?」
霊夢の質問を聞いて、俺は饅頭を食べていた手を止めてしまった。
さっきの話の流れだったら、多分『アンフィニ』の事は触れないと思ってたんだけど……流石に甘かったか。
正直な事を言えば、この事が一番話したくない。……でも、二人からは〝さっさと話せ〟的な視線が注がれている。
出来る事なら有耶無耶にしたかったけど、それも無理そうだな。
あの名前を出さなければ良かったと、心の中で後悔しつつ、俺は重い口を開いた。
「『アンフィニ』は変身出来る中で最強の存在で、竜としての俺の本当の姿だ」
「本当の姿?」
「嗚呼。『オーラ』も『カイザー』もこの竜の派生で、残りの五体は元々は別の竜の力を取り込んだ物だ。あれ等は、旅をしている時に『竜水晶』と呼ばれる物に触れて、変身出来る様になった奴だからな」
「あのカイザーが派生って……」
俺の説明を聞いた霊夢は、信じられないと言わんばかりに絶句する。
霊夢は紅霧異変の時に『カイザー』の力を見せたから、これは当然の反応なのかもしれない。
『カイザー』はあの世界を旅をしていた頃は、間違いなく最強の竜だった。
でも、その最強を凌駕する力を持っているのが『アンフィニ』なんだ。
あの力を解放すると、一体どんな事になるのか想像も出来ない……と言うよりもしたくない。
……全く、俺はなんでそんな力を持って生まれたんだろうな。
「お願いだから、そんなの簡単に使わないでよ?」
「分かってるって。俺も出来る限り使いたくないしな」
「んじゃ、此処で話題を変えて……リュウ、お茶を入れてきてくれ」
「それは自分でやれ」
「わたしは客だぜ?」
魔理沙の催促を無視しつつ、俺はお茶請けの饅頭を食べきった。
さっきも言ったが、あの力は出来る限り使いたくない。
……でも、アレを使わざる負えない状況に追い込まれたら……俺は如何するんだろうな。
原作では氷の竜に変身できませんが、この作品はEDN後の話で、全ての属性竜を持っていると言う設定になります。
まぁ、トランス自体あまり使う事も無いので、そんなに気にする事でも無いです。