相変わらずやる気が起きなかったり、某動画の影響でミンサガを始めたりしてましたが、今回からまた更新を再開しようと思います。
此処最近は小説に触っていなかったので、今回はリハビリを兼ねてのネタ回になります。
まぁ、この小説の七割くらいはネタ回なので、基本的に何時もと変わらないんですけどね。
……その事件は久し振りに快晴となった一月の終わりに起こった。
俺達は居間に出した火燵で暖を取りながら、何時もの様に二人で暇を持て余していた……。
「……………」
「ん? 如何したのよリュウ。私の事をジッと見詰めて」
「いや、霊夢の髪も大分伸びたな~って思ってな」
「私の髪が?」
霊夢の言葉に俺が頷いて返事をすると、彼女はそれを確かめるかのように自分の髪を弄りだす。
本人は余り自覚していなかったようだけど、毎日霊夢と顔を合わせている俺からしたら、その変化は良く分かるものだ。
月が隠された時の髪は肩に掛かる位だったが、伸びた今では余裕で背中にまで到達している。
数ヶ月も散髪していない様だし、髪が伸びるのは当然と言えば当然なんだが、改めてみてみると良く伸びたもんだと思わず関心してしまうな。
「ん~……確かに伸びてるわね。髪を切ってないから当然なんだけど」
「散髪する機会なら幾らでもあっただろうに。何か髪を伸ばす理由でも有るのか?」
「別にそんなものはないけど……リュウは髪の長い子って嫌い?」
「何時にも増して唐突だな」
「べ、別に良いでしょ。それよりも如何なのよ」
「あ~……別に嫌いじゃないけど、特別好きって訳でも無いぞ。似合ってればそれで良いんじゃないか?」
俺の思っている事をそのまま伝えると、霊夢はなんとも複雑そうな顔を見せる。
そんな顔をされる様な事を言った心算は無いのに、なんだってそんな顔をされなけりゃならんのだ。
「アンタらしい返事だけど、それじゃ髪を伸ばす意味も合って無い様なものじゃない」
「なんでそんな事を言うのか分からんが、気分を変えるって事で伸ばしてても良いんじゃないか? 長くても霊夢なら似合いそうだし」
「……そうね。少しだけ考えてみる事にするわ」
「ん」
霊夢に軽く返事をしつつ、俺は火燵の上に置かれている煎餅に手を伸ばす。
俺の中ではこの話はもう終わり、これ以上話を広げるような話題でも無い…って思っていたんだが、どうやら霊夢の中では違うみたいだった。
「髪型と言えばさ、リュウの髪は全然伸びて無いわよね」
「んぁ? そうか?」
「そうよ。アンタと初めて出逢った日から今まで一度でも髪を切った事無いじゃない」
「……そう言われてみれば確かにそうかもしれないな」
霊夢に言われて気が付いたが、確かに俺は
と言うか、向こうで旅をしていた頃も髪を切った覚えは無いし、フォウルも散髪はしていなかった筈だ。
まぁ俺は人間じゃなくて竜族で、その中でも更に特殊な部類に入るだろうから、髪が全然伸びていないからって騒ぐ事の程でも無いか。
「アンタは私の髪型どうこう言う前に、一切変化し無い自分の髪を心配しなさいよ」
「この髪型で何か問題が有るわけでもないし、別に髪が伸びなくてもあんまり気にならないんだけどな」
「アンタはそれで良いかもしれないけど、私が気になるのよ。……と言う訳で、ちょっと髪を切ってみましょ」
「……へっ?」
………
……
…
〝俺の髪が伸びるのか気になる〟と言うよく分からん理由で始まった散髪。
個人的には物凄くどうでも良い疑問なんだが、今回は何故か霊夢が強気に出て来たため気が付けばこんな事になってしまった。
場所は鏡が置いてあると言う理由から霊夢の部屋に決まり、大きな化粧棚の前にシートを引いて椅子を置き、その椅子の上に大きな布を首に巻いた状態で強制的に座らせられた。
髪が普通に伸びるなら割り切れるけど、もし散髪に失敗して髪が伸びなかったら……如何すれば良いんだろ。
ド素人の霊夢に髪を切ってもらうからなのか、どうにも後ろ向きな事ばかりを考えてしまっている。
出来る事なら今すぐにでも止めて貰いたいんだが……―――
「こうして触ってみると、リュウの髪って結構硬いのね」
「俺はあんまり気にした事無いな。それよりも霊夢、本当に大丈夫なんだろうな?」
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。私に任せなさいって」
「お、おう……」
―――嬉しそうに俺の髪を弄る霊夢を見ていると〝止めてくれ〟の一言が言い出せない。
男の髪を弄っても楽しくないと思うんだが、この辺りは男の女の感性の違いなんだろうか?
答えが出るのかも分からん事を考えていると、俺の髪を弄るのに満足したのか、霊夢は俺の髪から手を離しついにハサミを手にした。
「それじゃ切ってあげるから動くんじゃないわよ」
「お、お手柔らかにお願いします。いやホントまじで」
「……なんでそんなに怖がってるのよ。何も起こりはしないわよ」
「本当にそうだと良いんだけど……」
霊夢な妙に自信あり気に言うが、俺は逆にさっきから不安ばかりが募っていく。
この霊夢の自信は一体何処から来るのか果てし無く疑問だが、散髪し終わった後の頭を考えるとそっちの方が不安になってくる。
「なんか今日は異様に疑り深いわね。そんなに私が信用出来ないの」
「それじゃ聞くけど、今まで誰かの髪を切った経験はあるのか」
「そんなの有るわけ無いじゃない。何当たり前な事を聞いてるのよ」
「経験ないのに信用しろって方が無理だろ」
「はいはい。そう言う御託はもう良いからさっさと始めるわよ」
半ば無理やり話を切った霊夢は、そのまま手にしたハサミで俺の髪を切り始める。
「あ、おい、ちゃんと人の話を聞け」
「聞いてる聞いてる」
本当かと聞き返したくなるが、俺が言葉を紡ぐよりも先に霊夢は俺の後ろ髪をばっさり切り落とした。
普段は首の辺りで一つに纏めているだけの部分だが、こうもあっさり切り落とされるとなんだか遣る瀬無くなる。
別にあの髪型が気に入っていた訳じゃないけど、今まで有ったものが無くなるのはやっぱり寂しいもんだな。
「あ~ぁ、そんなにばっさりと切っりやがって」
「大丈夫よ。アンタなら短くても似合うはずだから」
「…まぁ確かに竜人に変身した時は髪が短くなるけど」
「アレって結構謎よね。身体が竜に近付くのは分かるけど、なんで髪型も変わるのかしら?」
「んな事俺が知るわけ無いだろ」
「本人のアンタが知らなくて他の誰が知ってるって言うのよ」
「俺にも分からない事くらい幾らでも有る」
「それって女心のこと?」
「まぁな。アレに関しては一生掛かっても理解出来ないと思う」
「……少しは理解しようと努力しなさい!」
「アイダッ!」
俺は本当の事を言っただけなのに、霊夢にハサミを持ってないほうの手で頭をド突かれた。
なんで頭を叩かれなきゃいけないんだ。そう霊夢に言ってやりたかったが、変に話が拗れる様な気がするから黙っていよう。
そう思いながら若干の不満を募らせていると、ハサミが髪を切る音と共に自分の髪がどんどん切られていくのを感じる。
目の前にある鏡に映し出されているのは、普段から見慣れた髪型ではなく既に半分ほど切られた髪と、楽しそうに俺の髪を切る霊夢の姿があった。
「……なあ、コレは切りすぎじゃないか?」
「う~ん……もうちょい切っても大丈夫でしょ」
「本当にそうだと良いんだけど……」
鏡に映る自分の髪を見て更に不安が過ぎるが、今更になって止めろと言う訳にも行かず、霊夢にされるがままの状態が続く。
髪型に変なこだわりが無いもんだから、こう言う髪型にしたいって言う要望を伝えていないのが不安の要因になっているんだろ。
せめて一言でも言っていれば少しは違うんだろうが、今まで髪なんて気にしてこなかったから言える筈も無いんだよな。
……それにしても小声で〝うわ、微妙〟とか〝あ、切りすぎた〟とか言うのは止めてくれねぇか。すんごく不安になってくる。
「……霊夢」
「も、もうちょっとだけ弄らせて! もう少しでいい感じになると思うのよ」
「既に短く切り揃えられてると思うんだが?」
「でもなんかしっくり来ないのよね。だから此処をこう切って……」
「……………」
霊夢はもう俺の声が聞こえていないのか、人の話を聞かずにどんどん髪を切っていく。
その所為で半分ほどにまで切られた髪は更に減り、少しずつ頭が寂しい感じになり始めた。
もう十分だろ。そう言って霊夢を止めようとするけど、彼女はまだ納得が行かないらしく髪を切る手を止めようとはしない。
そうして霊夢が納得するまで髪を切られ続けた結果―――
「で、出来たわよ」
「……………」
「あ、あははははは……」
―――豊かだった俺の髪の毛は見る影も無く、俺の髪は大分短く切り揃えられてしまった。
抽象的に言ってしまうと青色の芝生を連想させるくらいの短さだ。
霊夢も今回はやらかしたと思っているのか、さっきから顔が引き攣っていて鏡越しの俺と目を合わせようともしない。
「……………」
「い、いや~流石に苦労したわ~。やっぱり慣れない事ってするもんじゃないわね」
「そうだろうな。俺も此処まで短くなるなんて思いもしなかった」
「なんか納得が行かなくて切っていたら、気が付くとこんな事になっちゃってて」
「そうか。だったら今度は俺が霊夢の髪をこうしてやろうか?」
「嫌よ、そんな芝生みたいな頭」
「そうだよな、誰だってこんな髪形は嫌だよな」
「「あははははははははははは! …………」」
何かを誤魔化すように笑った後のなんとも言えない気まずい沈黙。
その沈黙を討ち破るように、俺は首に掛けられていた布を剥ぎ取って立ち上がり、霊夢は脱兎の様な勢いで部屋から走り去る。
逃げ出した霊夢を見て俺も部屋を飛び出し、母屋から出て空に逃げようとする霊夢の後を追いかけ始めた。
「まてやゴラァ!」
「ごめーんッ! 今回は悪かったわよーッ!」
「お前は限度と言うものを知らんのか!!」
「だからゴメンって言ってるじゃないのよーッ! て言うか、リュウだけは限度云々言われたくないッ!」
「それは如何言う意味だよ!!」
怒鳴りながら追いかける俺と、謝りながらも必至に逃げる霊夢。
他の連中がこの状況を見たらなんて思うか分からないが、とりあえず今は霊夢をとっ捕まえて説教してやる!
………
……
…
霊夢に酷い散髪を受けた日の翌日。
何時もの様に眼を覚まして、台所で朝食を作っているであろう霊夢に顔を出しにいく。
「おはよ~……」
「おはよう、リュウ。昨日は悪かったわね…って、アンタその髪は如何したのよ!?」
霊夢は俺の顔を見た途端に驚きを顕わにするが無理もない。
昨日確かに髪を切ったにも拘らず、一晩で元の長さにまで伸びていれば誰だって驚く。てか、気が付いたときは俺も驚いた。
「如何もこうも、朝起きてみたら髪が元に戻ってたんだよ。コレには俺も驚いてる」
「驚いてるって……幾らなんでも一晩は早過ぎるわよ」
「その気持ちは分かるが、恐らく竜の力…と言うかアンフェニの力が働いて髪を生やしたんだろ。アレは再生能力持ちだしな」
「再生って…それじゃなに? アンタに取って髪を切るってのは傷付けられるのと同じってわけ?」
「多分そうなんじゃないのか? 髪も身体の一部なんだし」
「成る程ね。…まぁ髪が生えてよかったじゃない。それともうすぐご飯にするからさっさと顔を洗ってきて来なさいよ」
「分かったよ」
霊夢に促された俺は、台所から離れてそのまま洗面所に顔を洗いに向かう。
昨日は散々な目に遭ったけど髪が元通りになった訳だし、昨日の出来事については忘れる事にしよう。
今回は一話だけの更新ですが、次回から第二章が終わるまで一気に更新しようと思います。
一気に更新すると言っても、一日で第二章のラストまで投稿するのではなく、一日に四・五話くらいを投稿するって感じです。あくまでもコレは目安なので、もしかしたら六話くらい一気に上げるかも。
小説の手直しとかもありますが、今月中には第二章を終わらせようと思います。