絶対☆双王~オレとボクの恋乱、学園サーガ~【更新停止中】   作:黒鋼丸

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 前回までのあらすじ
 やや非常識ながらも平穏な生活をしていた真雄と李雄の古暮兄弟は、幼馴染と悪友2人との学
校からの帰宅途中で不思議な渦に巻き込まれる。
 そして気が付くと、見たことも無い異世界に2人はいた。
 そしてそこで、自分達を魔王様、聖王様と呼ぶ1人の少女、リュアナと出会い、更には案内され
た神立トリニアス学園で悪友たちと再会、しかもなぜか自分の両親とも再会。
 その挙句、両親が自分達が元魔王と元聖王をやっていた事を暴露するのだった。


~第2話~古暮兄弟、候補生になる!?

「よーし分かった。テメェら糞夫婦、揃って医者に見てもらえ。主にそのネジの外れまくったイカ

レた頭を」

 

 古暮夫婦の言葉に皆が唖然となる中、真っ先に動いたのは真雄だった。

 真雄は呆れた顔で両親に言い放つ。

 

「おいおいマイサン、そこまで言うか?」

「黙れクソオヤジ。何が魔王だ、何が聖王だ、んなもんある訳……」

 

 ある訳がない、そう言いたかった真雄だが、ここに来て先程のリュアナの話を思い出した。

 リュアナの言ったこの世界の3人の王、三王。

 魔界を統べる魔王、天界を統べる聖王、獣人界を統べる獣王の事を。

 

「リュアナちゃんから聞いただろ? この世界と三王の話」

「…えっと、確かこの世界を統べる、この学園で選ばれる3人の王達だよね?」

 

 彦左衛門の言葉に対し李雄はリュアナから聞いた事を思い出す。

 

「そうだ。んで、俺とまーちゃんは昔その魔王と聖王をやってたって訳だ」

「笑えねぇ冗談だなクソオヤジ」

 

 そんな彦左衛門の言葉に対し、真雄はそれを真っ向から否定した。

 

「テメェらみてぇなダメ人間が王なんぞになれる訳ねぇだろうが」

「酷い! パパ達の事 疑うの!?」

「ったりめぇだ! テメェら夫婦の言う事聞いて良かった事なんぞ1度たりともあるかよ!!!」

 

 そう言い手に木刀に力を込める真雄。

 今度こそマジでやばそうだ。

 

「兄さん落ち着いて!」

「ちょっと真雄! オジさんがムカつくのは分かるけど落ち着きなさいよ!!」

「勇! 真雄を止めるぞ! 手伝え!!」

「ウガ!」

 

 李雄と優希に続き、魁と勇も真雄を何とか止めようとする。

 

「ハッハッハーッ! 短気は損気だぞマイサン!」

「父さんも挑発しないの! 母さんも父さん止めるの手伝って!!」

「うふふ、彦くんも真雄も元気ねぇ~♪」

 

 李雄の言葉にまりあは取りあえず彦左衛門を止めに入った。

 

「それで、父さん。先の話だけど」

「ん?」

「百歩譲って、父さん達が王だった事を信じるとしても、人間がその、三界の王様になれるものな

の?」

 

 その李雄の言葉に、彦左衛門とまりあは何時になく真剣な表情となる。

 

「んだよ、テメェらバカ夫婦の癖に似合わねぇ表情しやがって」

 

 その表情に真雄も何かを感じて木刀を納める。

 

「………真雄、李雄、お前らにどうしても見せたいものがある」

「?」

「んだよ改まって」

 

 彦左衛門の言葉に古暮兄弟が首を傾げた瞬間、突然 彦左衛門とまりあの体が光だし、その光の

眩い輝きに古暮達は目を腕で覆い隠す。

 

「な、何だ!?」

「眩しい!」

「きゃあ!」

「これは一体!?」

「ウガアァッ!!!??」

 

 そして輝きが無くなり古暮達が目を開けた瞬間、古暮達は我が目を疑った。

 そこには、彦左衛門とまりあの姿はなく、代わりに2人の男女がいたのだ。

 男の方は中年の様にも見えるが、頭から生えた2本の角が人ではない事を表し、しかもその角の

1本はなぜか折れてしまっている。

 体を引き締まり、黒いマントの様な衣装に身を包んでいる。

 方や女の方はかなり若く、フェーブの掛った金髪に青い鎧の様な、コスプレにも見える物を装着

している。

 魁、勇、優希には何が起こったのか全く理解できず、見覚えのない2人の登場にただ驚くだけだ

った。

 だが、古暮兄弟は違っていた。

 確かに姿形も違うが、この雰囲気、目つき、何より男はニヤ付き方が、女の方は顔に面影が残り

リュアナは先ほど以上に驚いた表情で頭を下げている。

 

「お、おい……」

「ま、まさか………」

 

 そう言い古暮兄弟は現われた男女2人に声をかける。

 

「どうだマイサン! 中々いい男になっただろ?」

「うふふ、真雄、李雄、お母さんの本当の姿すごいでしょ?」

 

 間違いない。

 姿こそ変わっているが、この声と雰囲気は間違いない。

 

「…く、クソオヤジ?」

「か、母さん、その恰好は一体……」

「いやだからな、これが俺とまーちゃんが魔王と聖王をやっていた時の正装なんだよ」

「そして、私と彦くんは人間じゃなかったって事よ」

 

 そう言いニコッとほほ笑む彦左衛門とまりあの言葉に、古暮兄弟はもちろん、他の3人も言葉を

失った。

 先まで冗談だと思っていた事が本当で、しかも2人共 人間じゃない?

 バカな。

 あり得る筈がない。

 だが今日は非常識な出来事が多すぎた。

 故に頭の中にわずかだが『あり得る』という考えが浮かびそれを否定する事が出来ずにいた。

 

「すっげー! オッちゃん、オバちゃん、オラも変身したいダ!!」

 

 約1名、(バカ)だけは特に驚きもせず尊敬のまなざしで彦左衛門とまりあに迫っていた。

 

「残念だが人間である君には無理だなぁ~」

「それと勇くん、オバちゃんじゃなくて、マリアさんって呼びなさいね?」

「ウガ? 何で??」

「いやそんな事よりも色々とツッコむべき所があるだろ!!!」

 

 面白そうに言い合いを始める勇、彦左衛門、まりあの3人に、正気に戻った魁がツッコミを入れ

る。

 

「おいこの糞両親、冗談にも程があるぞ」

「ここまで来てもまだ信じないのかマイサン?」

「黙れ! 大体テメェらが人間じゃないってんなら俺らはどうなるんだよ!!!」

「もちろん、2人 人間じゃないわ」

 

 真雄の言葉にさらっと答える まりあ。

 

「残念だけど坊や、その2人が言ってる事は本当だよ」

 

 とここで助け船を出す様にジーナが言い放つ。

 

「色々と納得のいかない事はあるだろうけど、その2人が人間じゃなく、昔 魔王と聖王をやってた

のは事実さ。ちなみに三界(こっち)じゃ、ベルトラスとマリアって呼ばれてんだよ」

 

 そのジーナの言葉に古暮兄弟は完全に言葉を失う。

 

「そうなのか?」

 

 そう言い真雄は視線を平伏するリュアナに向ける。

 するとリュアナは持っていた財布から1枚のお札を取り出す。

 そのお札を見て、古暮達は目を見開いた。

 なぜならそこには、角を生やした現状態の彦左衛門こと、ベルトラスの姿が描かれていたのだ。

 これは所謂、人間界で言う所の福沢諭吉や野口英世の様な偉人による紙幣だった。

 

「前魔王様として、この様に紙幣になっています。もちろん、天界のお札にはマリア様も」

「んな、アホな……」

「あのオジさんがねぇ……」

「酷いっ! 優希ちゃんまで疑うのっ!?」

 

 リュアナの説明に唖然となる古暮達の言葉に涙を流すベルトラス。

 そのベルトラスを、よしよしと頭を撫でながら前に出るまりあ改めマリア。

 

「これで私達が元魔王と聖王だって事は信じてもらえた?」

「え、あ、うん……」

 

 マリアの言葉に、こくりと頷く李雄。

 真雄や他のメンバーも、やや半信半疑ながらも信じる事にした。

 

「ん? でもちょっと待ってくれないか」

 

 とここで、魁が何かに気付いたが如く声を上げる。

 

「御2人はかつて魔王と聖王をやっていた」

「そうだぞ」

「つまり御2人は人間じゃなくこの世界の住人」

「えぇそうよ。私は天界の種族“ヴァナディース”。彦くんは魔界の種族“ディアボロス”よ」

「ヴァナディースにディアボロス………」

 

 そのマリアの言葉に魁は目を細める。

 ヴァナディース、それは人間界の北欧神話においてヴァン神族の一角にして、主神オーディンの

妻、愛と豊穣の女神フレイアの通称である。

 方やディアボロスは、悪魔の英語読みデビルの語源であり、古代ギリシャ語で『中傷する者』と

言う意味を持っていたが、旧約聖書が翻訳される際にヘブライ語『サタン(敵、反対する事)』の意

味を当てられ、いわゆる『悪魔』を表す言葉のなったものである。

 これだけでも、2人が人では無く異世界の種族なのだと感じ取れる。

 

「神話の存在がいるとは、まさに異世界」

「魁って何気にその手の知識が多いわよね」

 

 魁の言葉にそう言う優希。

 

「御2人が人間じゃないのは分かりました。でもそうなると……」

 

 そう言い魁は視線を真雄と李雄、古暮兄弟に向けられる。

 

「んだよ」

「え? え??」

 

 魁の視線に2人はやや困惑するがすぐに視線の意味を察する。

 ベルトラスとマリアが人間でないなら、古暮兄弟も人間じゃないと先程マリアは言った。

 その事に対する魁の視線だった。

 

「んまぁ、その事なんだが……まーちゃん」

「分かってるわ」

 

 ベルトラスとマリアは珍しく真剣なまなざしで それぞれ頷きあうと、

ベルトラスは真雄に、マリアは李雄に接近する。

 

「んだよクソオヤジ。うっとうしいから顔近づけんじゃ……」

「黙っていろ」

 

 その普段はないベルトラスの覇気に、真雄はつい押し黙ってしまう。

 

「か、母さん?」

「心配しないで、怖い事無いから」

 

 不安そうな李雄に対して優しく微笑むマリア。

 2人はそれぞれ古暮兄弟に対し手を向けると、何やらぶつぶつと呪文の様なものを唱え始める。

 

「な、何だ?」

「か、母さん?」

 

 やがて呪文と共に眩い光が部屋全体を包み込んで行く。

 

「な、何だこりゃ!!?」

「眩しい!」

 

 古暮兄弟はその光に包まれ、体に、特に頭部に妙な違和感を感じながら光に呑まれていった。

 

「う……な、何だったんだ、今のは?」

「ウガ、まだ目がチカチカするダ……」

 

 やがて光が消え、そこにいる全員が目を何とか開けようとする。

 

「んん……真雄、李雄、大丈夫……!!??」

 

 目を開ける事が出来た優希は、古暮兄弟に視線を向けるが、古暮兄弟を視界に入れた瞬間、目を

見開いた。

 なぜなら………

 

「ぐ……何だったんだ今のは……」

「うぅ……目が……」

「り、李雄、真雄?」

 

 ようやく目を開けれた古暮兄弟に対し、優希は唖然とした表情で指さす。

 

「ん? どうかしたのか」

「優希?」

 

 優希の態度に首を傾げる古暮兄弟。

 いや、優希だけではない。

 古暮兄弟を視界にとらえた魁は驚き、勇は目を輝かしていた。

 

「な、なんだよ。どうしたんだ?」

「皆、どうしたの?」

「お、お前ら……」

「り、李雄、真雄、頭……」

『頭?』

 

 魁と優希の言葉に古暮兄弟は首を傾げながら、それぞれ真雄は学園長室の窓へ、李雄はポケット

から取り出したコンパクトの鏡で自身の頭を確認する。

 そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『な、なんじゃこりゃあああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!!!????』

 

 

 

 

 

 

 

 絶叫した。

 なぜなら、2人の頭にありえない出来事が起こっていたからだ。

 まず真雄は、頭上に人間にはあり得ない筈の角が生えているのだ。

 血の様に紅く、牛の様にやや曲った、悪魔の様に大きく立派な角が2本、真雄の頭から生えてい

るのだ。

 念の為、ただのコスプレかどうか確める為に引っ張ってみるが、引っ張れば引っ張る程、頭に痛

みを感じる。

 どうやらコスプレ等では無く、頭蓋骨から生えている様だ。

 そして李雄は、頭と言うより髪に大きな変化があった。

 肩近くまでしかなかった髪が、今では腰までの長さとなり、しかも白銀に輝いていた色は澄み切

った海の様に蒼くなっていたのである。

 髪が染まるだけならまだしも、髪がこんな急激に伸びる筈がない。

 もちろん引っ張ってみたがカツラでは無かった。

 

「つ、角が生えた!!?」

「か、髪が…僕の髪が!!?」

「どどどどうなってんの!!?」

「角が生えた上に、髪が変化するなんて……」

「かっこいい角だなぁ~、いいなぁ~、オラも欲しいだぁ~」

 

 古暮兄弟の角と髪の変化に驚きを隠せない優希と魁。

 正し、勇だけは羨ましそうに真雄の角を見ていた。

 

「真雄、その角くれよ」

「アホ! 抜けねぇんだよこれは!!!」

「と言うかそれ以外 言う事ないのかよ!!」

「ぼ、僕の髪が、伸びた、変色した?」

「ちょ、ちょっと、どうなってるの!?」

「それがお前らの本来の姿だ」

 

 古暮兄弟の豹変に優希達が驚く中、ベルトラスは冷静に言い放った。

 

「真雄、李雄、お前ら2人の体には俺とまーちゃん、つまりは魔王と聖王の血が流れてる。そして

その体内にはディアボロスの魔力とヴァナディースの神気(しんき)がため込まれている」

「なに?」

「し、神気?」

 

 ベルトラスの説明に驚きを隠せない真雄と聞きなれない言葉に首を傾げる李雄。

 

「神気って言うのは、魔族で言う所の魔力の事よ。魔力って言えば何となく分かる?」

「あ、うん」

 

 マリアの言葉に頷く李雄。

 魔力と言えば、漫画やゲームなどでも度々 聞く、魔法を使うのに必要な精神エネルギーや、

生命エネルギーなどの事を指す場合が多い。

 こちらの世界ではどうなのかは知らないが、何となく理解はできる。

 

「特に真雄は魔王である俺の、ディアボロスの血を、李雄は聖王であるまーちゃんの、ヴァナディ

ースの血を濃く受け継いでいる。故に真雄は魔力を、李雄は神気を多く持っている。その角などが

証だ」

 

 そう言いベルトラスは真雄を角を指さす。

 言われてみれば、真雄の角はベルトラスの角とやや似ているし、李雄の髪の変色と伸びはマリア

の髪の変化と類似している。

 2人の言っている事に嘘はなさそうだ。

 

「でも……何で今まで髪が変わったり角が生えたりしなかったの?」

「そりゃ、俺とまーちゃんが2人の魔力と神気を封印してたからさ。人間界での私生活で角が出た

りしたら大変だからな」

「だったらさっさと元に戻せクソオヤジ」

 

 ベルトラスの言葉に不機嫌そうに言い放つ真雄。

 だがそれに対しベルトラスは首を横に振る。

 

「無理だ。この封印1度解くと2度と出来ないから」

「なっ!!?」

「ふぇ!?」

 

 このベルトラスの言葉に、古暮兄弟は勿論、優希達も驚きを隠せなかった。

 

「おい待てクソオヤジ! じゃあどおすんだよこの角!!」

「お、俺ら一体どうしたら………」

「オジサン、オバサン、何とかならないの!?」

「確かに、李雄の髪はイメチェンって事にすれば何とかなるが、真雄の角は言い訳のしようがない

ぞ」

「ウガ」

 

 皆が口々にそう言い放つ中、マリアは「まぁまぁ」と皆を宥める。

 

「人の話は最後まで聞きなさい」

「そうだぞマイサン。封印はできんが、全く手段がない訳じゃない」

「どういうことだ?」

 

 ベルトラスの言葉に睨みつけながら尋ねる真雄。

 

「実を言うとこの封印はな、俺らが手を下さなくても、どの道時が経てば自然と解けちまうのさ」

「なに?」

「どういう事?」

「魔力や神気はね、私達ディアボロスやヴァナディースにとって生命の源の様なものなの。それを

完全に封印するなんて不可能なのよ」

「仮に出来たとしても、体に魔力と神気が溜り込んで体に大きな疲労が出ちまうのさ」

 

 ベルトラスとマリアのまるでどこぞのゲームの設定の様な説明に、古暮兄弟は互いに見合って首

を傾げるしかなかった。

 

「だから前々から考えていた事があるから、それを実行しようと思う」

「なに?」

 

 そのベルトラスの言葉に嫌な予感を感じ取る真雄。

 姿が変わろうともクソオヤジはクソオヤジ、真雄はベルトラスの普段の言動から嫌な予感を感じ

取っていた。

 

「真雄、李雄」

「んだよ」

「なに?」

 

 そこまで言いベルトラスは言葉を一旦区切ると、改めて口を開き言葉を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、候補生としてこの学校に通え」

 

 

 

 

 

 

 

『はい?』

 

 そのベルトラスの言葉に古暮兄弟だけでなく優希達も唖然となる。

 

「おいベルトラス。簡潔に言いすぎだよ。ボウヤ達が唖然となってるよ」

「っと、いかんいかん。唐突 過ぎたか」

 

 ジーナの言葉にベルトラスはわざとらしくそう言い再び古暮兄弟に視線を向ける。

 

「マイサン、実を言うとなお前らの角と髪はほっとけば元に戻る」

「なに?」

「ホントに?」

 

 ベルトラスの言葉に即座に反応する古暮兄弟。

 

「ただな、封印を解いた以上ちょっとした事ですぐその姿になっちまうぞ」

「なにぃっ!?」

「そ、そんな……」

「そうねぇ~、怒っちゃったり感情が高まっちゃうとまたその姿になっちゃうわね~」

「……なんか、どこぞのアニメとかで出てきそうな設定だな」

 

 マリアの言葉にそう言い放つ真雄。

 

「ま、簡単に言えばなマイサン、お前らの感情が高なったりすると、お前らの魔力が暴走してその

姿になっちまうのさ」

「あら、そんな事言ってる内に戻りそうよ?」

 

 そのマリアの言葉に古暮兄弟はそれぞれ自分の頭部に視線を向けた。

 真雄の角は徐々に小さくなって行き、李雄の髪も徐々に短くなり、色も蒼から白銀へと戻って行

っていた。

 

「戻った…」

「よかった……」

 

 自分達の頭部が元に戻りホッとする古暮兄弟。

 

「まぁ、そんな訳でだマイサン。お前らは魔力と神気の制御の為にこの学園に通え」

「こっちの世界なら、万が一 先の姿になったとしても事情が言えるでしょ」

 

 古暮夫婦の言葉に、互いに向きあう古暮兄弟。

 確かに、人間界で角などが生えたりしたら言い訳など出来ない。

 その点、こちらの世界なら言い訳も聞くし魔力と神気をコントロールする術を学べる。

 一石二鳥ではある。

 李雄は即座にこちらが良いと判断した。

 だが、両親に対して並々ならぬ反抗心を持つ真雄は、両親の掌の上で踊らされている様な気がし

てどうも納得ができない。

 

「おい待てや糞両親」

「何だマイサン」

「テメェらの言い分は分かったぜ。んで、先 言ってた候補生ってのは何だ?」

 

 その真雄の言葉に、そう言えば、と李雄も気付いた。

 先程ベルトラスは「候補生としてこの学校に通え」と言っていたが、候補生徒は一体何の事か。

 

「候補生っていうのはね、王になる候補の生徒達の事よ」

 

 その問に答えたのはマリアだった。

 つまり、三界の王になれそうな候補のある生徒達の事らしい。

 

「ちょっと待て、何で態々 候補生として何だ?」

「別に普通の生徒としてでも良いんじゃ……」

 

 古暮兄弟の言い分に、ベルトラスはチラッと視線をリュアナに向けた後、すぐに古暮兄弟に視線

を戻した。

 

「まぁそこはアレだ。親としては子供に後を継いでほしいって奴だ」

「くだらねぇ」

 

 ベルトラスの言葉に真雄は軽蔑の念をこめて睨みつけた。

 

「んなくだらねぇ理由ならお断りだぜ」

「おいおい、くだらなくはないぞ! 候補生になれば皆の注目の的、女の子にはモテモテ!!

パパだって昔はかなりモテたんだぜ!!!」

「興味ねぇよ」

 

 ベルトラスの言葉を真っ向からバッサリと斬り捨てる真雄。

 

「ったく、相変わらず花より団子か?」

 

 その真雄の対応に呆れるベルトラス。

 

「まぁ、候補生はともかく、この学園に転入した方が良いのは確かみたいだね」

 

 そこへボソッと呟くように言う李雄。

 確かに、候補生うんぬんはさて置き、こちらの学園に転入した方が良いのは事実ではある。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

 とそこへ、不意に優希が声を上げた。

 

「李雄、アンタこの学園に通う気なの!? 聖王とか言うのになる気なの!!?」

「……聖王とかはともかく、いきなり髪が伸びたりしたら困るし……」

「そんなのイメチェンしたとか、手品って事にすればいいでしょ!!」

 

 李雄の言葉に何故か優希はムキになって言い返す。

 

「ゆ、優希? 何でそんなムキになってるの?」

「ムキになんてなってないわよ!!」

「なってるダ」

 

 李雄の言葉に同意する様に勇が言い放つ。

 

「お前は少し空気を、そして女性の心を読め」

「ウガ? 空気は読めないダ、吸うもんダ」

「まずお前は言葉の意味を覚えろ!!」

 

 勇のバカさにツッコミを入れる魁。

 古暮達と付き合いの長い魁には分かっていた。

 優希は昔から古暮兄弟を心配し、お姉さんぶっていた事を。

 そして優希本人も気づいていないが、その中にほのかな恋心がある事を魁は見抜いていた。

 

「ハハハハハ、優希ちゃんは李雄達と離れるのが嫌なんだねぇ」

「うふふ、恋する乙女は積極的ね」

 

 そしてこの2人もまた気づいていた。

 

「おい、糞両親、いい加減そのネタはやめろ」

「2人共、優希をからかわないの」

 

 だが、この兄弟は一切気づいていなかった。

 何故なら、この夫婦が今まで事ある毎に優希に「うちの嫁にならない?」とからかい半分で言っ

て来たので、この兄弟はいつもの冗談としかとらえていないのである。

 

「ともかくだ、2人はこの学園に通うのか通わないのか? そこが重要だろ」

 

 魁の最もな意見に何とか古暮達の騒ぎが収まる。

 

「……僕としては、やっぱりこっちに通った方が良いと思う」

 

 魁の言葉に真っ先に反応したのは李雄だ。

 兎にも角にも、魔力や神気をコントロール出来る様にならないと、今後の生活に支障が現れるの

は間違いない。

 それを考えると、やはりこの学園に通った方が良いのかもしれない。

 そんな考えが李雄の頭に浮かんでいた。

 

「ちっ、たくしゃーねぇな!」

 

 李雄に続き真雄は髪をかきながら乱暴に口を開く。

 

「テメェら糞夫婦に従うのは正直言って気が乗らねぇが、この際 仕方がねぇ」

「じゃあ、候補生として入学決定だな!」

 

 真雄の言葉に嬉しそうにほほ笑むベルトラス。

 だがこれに対し、真雄は不意に声を上げる。

 

「おい待て、なにも候補生になるとは言ってないぞ」

「へ、何で?」

 

 真雄の言葉に首を傾げるベルトラス。

 

「俺 別に三王とか興味ねぇし」

「え~、そう言うなよマイサン」

 

 真雄の言葉に残念そうにうつむくベルトラスだが、ここで「はっ」と何かを思い出した様にニヤ

付きながら真雄に近づく。

 

「マイサン、良い事を教えてやる」

「んだよ?」

「候補生にはな、『ダンジョン攻略』という特別授業がある」

「なに?」

 

 ベルトラスの聞き覚えのある言葉に、真雄はピクリと反応する。

 

「ダンジョンって、ゲームとかであるあの?」

「ダンジョン攻略………まさにゲームの世界だな」

「ウガ、何か楽しそう」

 

 その言葉に魁達も反応していた。

 

「ダンジョン攻略ってのはな、まぁゲームとかであるだろ?」

 

 そう言いベルトラスは説明をし始める。

 ダンジョン攻略は、正式には『試練(しれん)迷宮(めいきゅう)』と呼ばれるダンジョンを、文字通り攻略して迷宮の

最深部を目指す授業であり、王の候補生達は必ずこの授業をクリアしなければならない。

 しかもそのダンジョンにはゲームに出て来る様なモンスターや、様々な罠が待ち受けている為、

簡単には攻略できない。

 

「…そんな授業、あるんだ……」

「そうよ~。私や彦くんもその試練をクリアして王になったのよ~」

 

 李雄の言葉に対しのほほ~んと言うマリアだが、李雄からしてみればそんな呑気な話ではない。

 モンスターとの戦いや罠の話など全く聞いてなかった李雄は、てっきり王になるには特別な勉強

でもするのかと思っていたのである。

 それがまさかどこぞのゲームの様なダンジョン攻略をしなければならないとは、流石に予想外で

あった。

 

「に、兄さんどうする……?」

 

 李雄は兄である真雄に相談しようとするが、この時、真雄の様子の変化に気付く。

 真雄は体をプルプル震わせ、どこか嬉しそうにしていたのだ。

 

「あ、あの、兄さん?」

「……く、くくくくく、………ダンジョン攻略? モンスターとの戦いだと?……おもしれぇ、

おもしれぇじゃねぇか!」

 

 そして笑い声の後に、真雄はベルトラスの方を振り向く。

 

「テメェの提案に乗るのはしゃくだが、良いぜ、なってやるよ候補生に」

「おぉ! そうかそうか! よくぞ決心してくれたマイサン!!」

「魔王様……!!」

 

 その真雄の言葉にベルトラスと部屋の片隅で状況を見守っていたリュアナは、嬉しそうな表情で

ほほ笑んだ。

 

「に、兄さん?」

「これって………」

「あっちゃー」

 

 真雄の反応に、そして真雄の嬉しそうな期待している様な表情に、李雄、優希、魁の3人は完全

にある事を理解した。

 古暮 真雄とは、そういう奴だった事を。

 昔から戦いや真剣勝負にケンカなど、刺激的な出来事が大好きだった事を。

 そして今、ダンジョン攻略という今までに無い刺激を求めている事を。

 そして、こうなった真雄は誰にも止められない事を、3人は改めて思い出し、実感せざるおえな

かったのだった。

 

「ダンジョンかぁ~、良いなぁ~」

 

 そんな中で、勇は羨ましそうな視線を真雄達に向けていたが、不意に先程から椅子に座って眠っ

ているディーネに視線を向けた。

 

「お~い、先生」

「すやすや~……すぴー………」

「起きるよ先生。先生 校長なんだろ? オラもこの学園に通いたいダ、許可くれ!」

『はあぁっ!!?』

 

 その勇の言葉に驚いたのは優希と魁だった。

 

「お前 何言ってんだ!!?」

「オラもダンジョン攻略したいダ。モンスターと戦うダ!!」

 

 魁の言葉に対し勇はすっごく楽しそうな笑顔で答えた。

 

「お前なぁ、んなことできる訳……」

「いや、可能かも知れんぞ」

 

 無理と言いたかった魁の言葉を遮る様にベルトラスが言い放つ。

 

「ダンジョン攻略では、先生にさえ言って許可さえ降りれば、サポーターを数人つける事が許され

ている。それに勇くんは人間とは思えない程 頑丈で格闘技も得意だ。案外 良いかもしれないぞ?」

 

 ベルトラスの笑顔の説明に呆気にとられる魁。

 事実、勇は頭はパーだが身体能力に関しては真雄より上であり天性の格闘センスを持っている。

 それ故に勇は案外 戦力になり得るのである。

 

「んじゃ良いよね?」

「あのな、仮にこっちの学園に通うとして、母さん達には何て言うつもりだ?」

 

 楽しそうにほほ笑む勇に、魁は母親の話を持ち出す。

 どんな理由があるにせよ、学園の転校手続きをするなら魁や勇の両親の許可が必要である。

 だが両親に何と言うのだろうか。

 モンスターと戦いたいから異世界の学園に通う?

 そんな事 言える筈がない。

 言った所で信じて貰える筈がないからだ。

 

「あぁ、それなら何とかなると思うぞ」

 

 だが、その問題にも対してもベルトラスはさらっと答える。

 

「皆には言ってなかったんだがな、俺とまーちゃんが人間界に言った時、その人間界についた瞬間

を魁くん達と優希ちゃんのご両親に見られているのだよ」

『はあぁっ!!?』

 

 ベルトラスの思わぬ発言に優希と魁は目を丸くした。

 ベルトラスとマリアはそのまま話を続け、その時の事を説明しだす。

 2人が言うには、2人が王の座を降り、人間世界にやって来た時、やって来た瞬間を優希と魁達の

両親に見られてしまったのだ。

 だが、2人にとって幸いだったのは、見られたのが優希達の両親だった事だった。

 優希の両親は除霊や退魔などを仕事としたエクソシストであり、異世界とか魔法とかには理解で

きた存在だったのだ。

 魁と勇の両親はぶっちゃけ人の良い人達だった為、特に驚いたりせずに受け入れてくれたのだ。

 

「ま、俺達があーやって人間界で暮らせているのも」

「魁くんや優希ちゃんのご両親のおかげなのよ~」

 

 ベルトラスとマリアの言葉に魁と優希は唖然となった。

 まさか自分達の両親が絡んでくるとは思いもしなかった。

 

「だから当然 真雄達の事も知ってるから俺らから言えば多分 納得してくれるんじゃないのか?」

「お! マジでか!!」

 

 ベルトラスの言葉に目を輝かす勇。

 

「よっしゃ! んじゃオラこの学園に通うダ!」

「待て待て待て」

 

 だが目を輝かす勇に対し、魁は待ったを掛ける。

 

「お前ここに通いたいのか?」

「うん」

 

 魁の言葉に対してニパァとした笑顔で返して来る勇に魁は長年の付き合いから全てを察する。

 こりゃ説得しても無理だ、と。

 

「……はぁ、しゃーない。母さん達がOKって言ったら承諾してやるよ」

「しょうだく?」

「俺もOKしてやるって意味だ!!」

「おぉ、成程」

 

 魁の言葉に納得する勇。

 

「正し、その場合 俺もこの学園に入学する」

「ウガ?」

 

 だが、その魁の唐突な言葉に勇は勿論、古暮達 全員が驚いた。

 

「どういう事だ魁。」

(このバカ)1人を入学させる訳にはいかないからな。古暮兄弟(お前ら)にこいつの世話を任せれんし」

 

 そう言いニコッとほほ笑む魁。

 

「ウガ! んじゃあ魁も一緒に……」

「私も入学する!」

 

 喜ぼうとする勇の言葉を遮る様に、いきなり優希が声を上げた事に古暮達は再び驚く。

 

「優希、何を言って………」

「魁が勇の為に入学する様に、私も入学するのよ!」

「いや、だから何でだよ」

「私が古暮兄弟(アンタ達)のお姉ちゃん兼 保護者だからに決まってるでしょ!!」

 

 その優希の答えに真雄はあきれ果てる。

 優希は昔からこうだった。

 自分達より生まれた日が少し早いと言う理由で、自分達を年下扱いし、お姉ちゃんぶっているの

である。

 事実、古暮兄弟の母、マリアの手料理により死に掛けた際は、誰よりも早く古暮兄弟の為に料理

を勉強したのだから、その弟思い、と言うか過保護さには頭が下がる。

 だが、流石にここまで来るとややうっとうしいと感じるのも事実だった。

 

「おい優希、テメェいつまでも人を子ども扱いしてんじゃねぇよ」

「うっさい! いつも私と李雄が起こしてあげなきゃならない、お寝坊さんのアンタに言われても

説得力がないわよ!」

「俺のは寝坊じゃねぇ! 朝 日課のジョギングした後の軽い休憩による朝寝だ!」

「それで遅刻しちゃ意味無いでしょ! そう言ってムキになる所が子供なのよ!!」

「あぁん!? テメェだってムキになってんじゃねぇか!

ガキに子供 呼ばわりされたかねぇんだよっ!!!」

 

 真雄と優希の口ゲンカはヒートアップしていく。

 それは、まさに子供の口ゲンカの様に。

 

「やれやれ、また始まったか」

「兄さんも優希も落ち着こうよ」

「ケケケケケ、こりゃどっちもどっちじゃねぇか!」

「あ、あの、どうすれば………」

 

 2人の口ゲンカに対し、魁は呆れ果て、李雄は落ち着かせようと奮戦し、アンゴルモアは面白そ

うにニヤつき、リュアナはどうすればいいのか分からずオロオロしてしまう。

 

「はいはい、そこまで」

 

 と、そこで待ったを掛けたのはマリアだった。

 

「オバさん」

「糞オカン」

「真雄、優希ちゃんは真雄達が心配で一緒について行こうとしてるのよ? そんな女の子の思いを

踏みにじる様な子に、ママは育てた覚えはありません」

「知るか。育っちまったんだよ、アンタの育てが悪いから」

 

 マリアの叱りつけに対しそっけなく返す真雄。

 

「あ~ん、真雄の長い反抗期は終わってなかったわ~」

「こら真雄! まーちゃんに向かって何だその口は!」

「あん?」

 

 真雄の反応に対するマリアの困った様な声にベルトラスは真雄を叱りつけるが効果はない様だ。

 

「おいおい、家族漫才はそこまでにしたらどうだい」

 

 そんな状況を見かねたのか、ジーナが止めに入って来た。

 

「それで、結局 何人 入学するんだい?少なくとも、古暮兄弟(坊や達)は確定みたいだけど」

 

 古暮兄弟に視線を向けながらそう言い放つジーナの言葉に、ベルトラスは「ふむ」と頷きながら

魁、勇、優希の順番に視線を向ける。

 

「まぁ、魁くんと勇くんは俺達から君らのご両親に言うから保留として、問題は優希ちゃんだが」

 

 そう言い優希に視線を向けたまま言うベルトラス。

 

「正直 言ってこっちの世界は君みたいなか弱い女の子には向かないよ?」

「大丈夫です! 運動神経 良いんですから!」

「ご両親には?」

「………うちの親、ほとんど帰ってこないし………」

 

 その優希の寂しそうな言葉に、ベルトラスは心の中で「しまった」と呟いた。

 前述にも述べたが、優希の両親は除霊や退魔などを仕事としたエクソシストだ。

 その仕事柄、世界各地を飛び回っており、家のある日本に帰って来る事は殆どなく、幼い頃は勿

論だが、今でも優希は寂しい思いをしているのだ。

 

「…………このアホ」

 

 それに気付いた真雄は、近くにいたベルトラスにしか聞こえない位の小声でそう呟くと、ベルト

ラスの足を思いっきり踏みつけた。

 

「〰〰〰〰〰〰〰〰〰っ! イテェなぁマイサン。このツンデレめ……」

「死ね」

 

 ベルトラスの呟きに真雄は冷淡にベルトラスの足をぐりぐり踏みつけ、その痛みにベルトラスは

声を上げる事はなかったが、表情は痛いという思いでいっぱいだった。

 

「兄さん……」

「ったく!」

 

 李雄の呟きと同時に、真雄はベルトラスの足を踏むのをやめると視線を優希へと向ける。

 

「勝手にしやがれこのお節介が!」

「! 真雄!!」

「兄さん……」

 

 その真雄のぶっきら棒な言葉に、優希と李雄は喜びを顕わにした。

 そしてこの時、付き合いの長い李雄と魁は気づいていた。

 古暮 真雄とは、そう言う人物である事を。

 ケンカや武道では無敵を誇っても、こう言う事に関しては素直になれない、何気に不器用な人物

である事を、2人は理解していた。

 

「うむ、それでこそマイサンだ! このツンデレめ!!」

「死ね!」

 

 そのベルトラスのからかいに対し、真雄はやや顔を赤く染めた憤怒の表情で木刀を振るう。

 その攻撃に対し、ベルトラスは紙一重で避ける。

 

「ハハハハハハ! 照れるなよマイサン。女の子の事を思う事は良い事だ!」

「ぜってぇ殺す!!」

「ウガ、これで皆 この学園に通えるダ!」

 

 ベルトラスと真雄は交戦を続ける中、勇はそう言いニコッとほほ笑んでいる。

 どうやら勇、否、魁達にとってこの2人の戦いは今や日常レベルにまで達しているらしい。

 

「すぴぃ~むにゃむにゃ……ほわ、

それじゃ結局、5人 転校って事でいいんですね?」

 

 そこへ、先程まで居眠りしていたディーネが目を覚まし………と言うより、話を聞いていたと言

う事は、眠りは浅いのか、はたまた眠りながらもちゃんと聞いていたのか、その辺りの真偽はさて

置き、ディーネは5人の入学を許可するのだった。

 

「さて、それじゃあマイサン。お前達にはもう1つ言っておかなければいけない事がある」

「あん?」

「え、なに?」

 

 古暮兄弟が不意に放ったベルトラスの言葉に首を傾げる中、ベルトラスは視線をリュアナへと向

ける。

 

「2人共、リュアナちゃんとはもう知り合ったな?」

「とっくの昔にな」

「この世界に来て、2番目にあった人だからね」

 

 そう言いチラッとリュアナに視線を向ける古暮兄弟。

 その視線に気付いたのか、リュアナは顔を赤くして俯いてしまった。

 

「うんうん、そうか、なら話は早いな」

「? 何の話だ?」

「父さん?」

 

 イマイチ 父 ベルトラスの考えている事が読めない古暮兄弟が、頭上に?マークを浮かべる中、

ベルトラスはニコッとほほ笑みながら口を開いた。

 

「いや実はな、リュアナちゃんはお前らの為に俺が雇ったメイドさんだ」

『…………はい?』

 

 一瞬、2人はベルトラスの言っている意味が理解できなかった。

 俺達のために雇ったメイド?

 つまりは、リュアナは俺達のメイド?

 そんな考えが2人の頭の中をぐるぐる回り始める。

 

「え、えっと……父さん?」

「つまり何か、リュアナ(こいつ)は俺らのメイドってか?」

「は、はい!」

 

 古暮兄弟の言葉にリュアナが声を上げ、2人の前に出てくる。

 

「ど、どうぞよろしくお願………」

「え~、別にいいわよ」

 

 お願いします、と言いたかったのだろうが、それを遮る様に優希が声を上げる。

 

「2人の世話なら私がいつもしてるし。リュアナがやる事無いわよ?」

「で、でも私は……」

「いや待てや」

 

 優希とリュアナの言葉を遮る様に言い放ったのは、真雄だった。

 

「おいリュアナ、お前 料理はできるのか?」

「は、はい! 料理などはメイドの基本ですから!」

「んじゃ問題ねぇ」

 

 そう言い頷く真雄。

 

「料理ができる奴は多い方が良い。よって俺は構わねぇ」

「お前は料理以外で人を判断できねぇのかよ!」

 

 真雄のリュアナをOKした理由にツッコミをかます魁だが、当のリュアナは嬉しそうにほほ笑んで

いた。

 

「では、よろしくお願いしますね。魔王様、聖王様」

 

 そう言い嬉しそうにほほ笑むリュアナの笑顔に、魁や優希は顔を見合せ、「ダメだこりゃ」と承

諾せざるおえないのであった。

 

 

 

                     『~第2話~古暮兄弟、候補生になる!? 《終》』

 

 




 どうも、黒鋼丸です。
 『絶対☆双王~オレとボクの恋乱、学園サーガ~』、古暮兄弟がついに候補生として学園に入学
決定!
 原作とはちょっと(いやかなり)違った展開になりましたが、そこは皆様の広い心で受け入れてい
ただけたらなと思います。
 さて、神立トリニアス学園に通う事となった古暮達ですが次回、思わぬ問題にぶつかります。
 次回もどうぞお楽しみに~。
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