絶対☆双王~オレとボクの恋乱、学園サーガ~【更新停止中】   作:黒鋼丸

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 前回までのあらすじ
 三界と呼ばれる異界の学園に通う事となった古暮達。
 体育館での紹介後、クラスで改めて自己紹介などをするのだった。


~第6話~転校日早々!?その3

 こちら、古暮達の編入して来たクラス。

 そこでは、大半の生徒との自己紹介が終わりを迎えていた。

 

「ウガ、オラなぜ蹴られるダ?」

 

 そんな中、勇はノム達3姉妹に対して失礼な事をいったという事で魁に蹴りを喰らい、頭に大き

なたんこぶを作っていた。

 

「お前がバカな事を言ったからだ。」

 

 そう言い魁は視線をシリアに向ける。

 

「失礼しました先生、どうぞお続きを」

「え、えぇ……」

 

 そんな魁の言葉に、シリアは頷きながらもどこか驚いた様な表情だった。

 

「なにか?」

「いえ、その……魁さんって中々過激ですね」

「あぁ、その事ですか。この(バカ)に対してのみですよ」

 

 そんなシリアに対し、魁は当然の様に言い返すのだった。

 

「え、えっと、とりあえず自己紹介の続きを」

 

 そう言いシリアは1人の生徒に視線を向ける。

 その生徒、センシアは視線に気づくとコクリと頷き席を立つ。

 

「“センシア・リンドルフ”、種族はディアボロスだ。今朝も言ったがこの学園の生徒会長及び

魔王候補を務めている。改めてよろしく頼む」

「あ、センシアさん」

「よろしくお願いします」

「今朝はありがとうございました。こちらこそ、よろしくお願いしたします」

「よろしくダ、センシア」

「よろしく頼むぜ、センシア」

 

 センシアの言葉に、古暮達は皆が既に会っているので軽くすませた。

 

「アナタ達は既に朝会ってるんでしたね。では次に……」

 

 そう言いシリアが他の物に自己紹介をさせようとした時だった。

 不意にドドドドドドドドドドドドドドッと、教室を揺らす様な激しい音と振動が廊下から響き渡

る。

 

「な、何だ!?」

「揺れるダ」

「地震……じゃないよね?」

「地震と言うより……」

「まるで巨大な足音の様な………」

 

 その揺れに驚く古暮達だが、他のクラスの面子はこの揺れの正体を知っているのか、特に驚いた

様子もない。

 

「あ、来たね」

「うんうん」

「今日は遅刻みたいですね」

「アイツら………」

 

 そんな風にクラスの面子が呟いた時だった。

 

「おっはようございまーす!!!!!」

 

 ガラガラと大きな音と共に教室の扉が開かれ、そこから1人の少女が入って来た。

 背丈は150cm前後。

 腰まであるピンクのロングヘアーに、大きな瞳をした可愛らしい顔は、まるで身体だけ大きくな

った子供の様だ。

 だが、何よりその少女を見て一番目が行くのは、彼女が制服の上から着用している赤いマントを

付けた騎士の様な青い鎧、そして背に背負う身の丈ほどもありそうな巨大な剣である。

 どうやら先程の音は彼女が廊下を走って来た際の音と振動だったようだ。

 重そうな鎧をつけて走って来たならそれも納得するが、あの細身の身体の何処にあんな鎧と剣を

持って走れるパワーがあるのかが謎ではある。

 

「お早うございます、じゃありません」

 

 そこへやって来た少女を叱り付けるシリア。

 確かに考えてみれば、この時間に教室にやって来るというのは明らかな遅刻である。

 

「エストレイアさん、遅刻ですよ」

「えへへ、ごめんなさ~い」

 

 シリアにエストレイアと呼ばれた少女は、

全く悪気がなさそうに謝罪の言葉を述べるのだった。

 

「シリア先生! エスト様を叱らないで下さい!!!」

 

 が、そこへガーネットを批判する声がエストレイアの後ろから上がる。

 エストレイアの後ろには、声の主である1人の女性がいた。

 身長はノム達並で、制服を着ている所から見て、彼女もこの学園の生徒だろう。

 そして、その少女を一言で表すとしたら、ネコだった。

 黒い髪を右で1つに纏め、黒い猫の耳と尻尾を生やしたその姿は、人間界の一部の者が見たら

「ネコ耳萌え~」と喜びそうなルックスだ。

 加えて、大きい瞳は可愛らしいがその目つきは猫らしくややつり目っぽい。

 その姿まさに猫。

 

「サーシャさん、一体なぜ遅れたんですか?」

 

 そのネコ娘をサーシャと呼んだシリアは、どこか呆れた感じで聞きだす。

 しかも今度は、という事は今までも何度か遅刻している様だ、この2人(というかエストレイア)

は。

 

「はいそれはですね……」

「言っておきますけど、エストレイアさんの寝顔が美しすぎて起こせなかったとか、エストレイア

さんの髪を整えるのに時間がかかったとか、朝食を食べるのに時間がかかった、等と言うものは無

しですよ」

 

 そのシリアの言葉に、弁解をしようとしたサーシャは言葉を詰まらせる。

 どうやら言い訳も毎度のパターンらしい。

 

「あの先生。この人達は?」

 

 そんな状況の中、エストレイアとサーシャの事が気になったのか、李雄がシリアに尋ねて来る。

 

「この御2人もこのクラスの生徒で、ヴァナディースの“エストレイア・ヴィット”さんと、ねこ

またの“サーシャ・ユイ”さんです」

「ねこまたですか」

(いきなり和な種族だな)

 

 そのシリアの言葉に、魁は即座に種族の分析を始める。

 猫又(ねこまた)とは、俗に『化け猫』とよばれる日本の妖怪の一種である。

 大きく分けて2種類が存在し、山の中にいる獣といわれるものと、人家で飼われているネコが年

老いて化けるといわれるものがあり、一般的には後者の方が有名。

 猫は歳を取ると尻尾が2つに分かれ、神通力を持つと言われており、猫又の又は尻尾が分かれて

出来る又の事と言われているが、その尻尾の数は2本とも数本とも言われている。

 

「エストレイアさん、サーシャさん。この人達は以前から言ってた人間界からの転校生さんです」

「あ、人間界から来ました、“古暮 李雄”です。よろしくお願いします」

「人間界から来ました、“佐倉 優希”です。よろしくね」

「人間界より来ました、“篠原 魁”です。どうぞよろしくお願いします」

「“篠原 勇”ダ! よろしくナ」

「“古暮 真雄”だ。李雄(コイツ)の兄貴やってる。ま、よろしく頼むわ」

 

 シリアの言葉に軽く自己紹介を行う古暮達。

 それに答える様にエストレイアはニコッとほほ笑みながら答え出す。

 

「“エストレイア・ヴィット”、エストで良いよ。よろしくね~♪」

「……“サーシャ・ユイ”だ」

 

 そんなエストに続いて自己紹介をするサーシャだが、その表情はどこか不機嫌、と言うより何か

敵を睨みつける様な表情だった。

 

「サーシャ、どうしたの? 顔が怖いよ??」

 

 そんなサーシャの視線に首を傾げるエストレイアことエスト。

 

「……シリア先生。この度の転入生に新たな候補生がいると聞いたのですが?」

「あら、さすがねこまた族、情報が早いですね」

 

 そのサーシャの言葉にシリアはそう言いながら、古暮兄弟に視線を向ける。

 

「後々言うつもりでしたが、このコグレくん達は新しく入った候補生で、それぞれマオくんは魔王

リオくんは聖王候補生です」

 

 そのガーネットの言葉に、教室内は軽い驚きに包まれた。

 

「え、マジ!?」

「ふ~ん、コグレっち兄弟、結構すごいんだぁ~」

「かなり以外ね」

 

 どうやら候補生というのは、この学園では結構有名な存在になれるらしい。

 まぁ、三界を背負う王になれるかもしれない者達なのだ、それも頷ける。

 

「つまり、コグレ達は私達のライバルになる、と言う訳だな。」

 

 そう言いながら興味深そうな視線を向けて来るセンシアだが、当の古暮兄弟はというと。

 

「別にんな型苦しい考えしなくていいんじゃね? 俺はただ、ダンジョン授業が楽しそうだから

なってみただけだし」

「…えっと、僕もまぁ、親に勧められただけだし………」

 

 真雄はどうでも良さそうに、李雄はどこか遠慮しながら言い放つ。

 

「え~、そんな事言わずにがんばろうよ、マオくん、リオくん」

 

 そんな反応を示す古暮兄弟に対して、ライバルと言うより、新しい友達に頑張ろうと言う様に笑

顔を向けながら、握手をしたいのか手を差し伸べるエスト。

 

「あ、どうも。こちらこそよろしくお願いします」

 

 そう言いエストの握手に応じようとする李雄。

 だが。

 

「エスト様に触るな! この狼藉者め!」

「うわっ!」

 

 その手はサーシャによって妨げられた。

 

「あれれ? サーシャダメだよ~、リオくん達とお友達になるのに」

「エスト様! こいつは聖王の座を巡るライバル! いや、敵なのですぞ!! そんな者と仲良くな

るなどなりません!!!」

 

 のほほ~んとした態度でサーシャに首を傾げるエストに対し、サーシャは背毛を逆立たせる猫の

如しの形相でエストに説明しながら古暮達、特に聖王候補の李雄を睨みつける。

 

「何だ、お前も候補なのか?」

「ほぉ、珍しいな。李雄にここまで真っ向から敵意を向ける女性は」

 

 そんなサーシャの言葉と態度に、真雄はエストが聖王候補である事に気付き、魁は李雄を相手に

真っ向から敵意を向ける様に軽く驚いていた。

 なんせ李雄は、男とは思えないこの外見だ。

 大抵の女子はその可愛さに魅了され、怒るなんて事は優希 位にしかいなかったのだ。

 故に魁は、このサーシャの大胆さと言うか、自分の気持ちをまっすぐに言い放つ実直さにやや感

心した。

 

「サーシャさん、暴力は感心しませんね?」

 

 そんな中、やっぱりと言うか当然の如くシリアが手に止めに入った。

 

「シリア先生……」

「サーシャ。皆と仲良くしようよ」

 

 ガーネットに続きエストにまで言われてしまい、サーシャは沈黙するしかなかった。

 

「しっかし、このクラスにゃあ候補生が2人も居たんだな」

「お前と李雄を含めれば4人だがな」

 

 そう言い真雄はセンシアとエストを、魁はその2人に加え古暮兄弟に視線を向けた時だった。

 

「いいえ、5人です」

 

 その2人の言葉をシリアが否定した。

 

「5人? 他に誰かいんのか?」

 

 その真雄の疑問にシリアは1人の生徒に視線を向ける。

 

「エヴァンさん、自己紹介をお願いします」

「はい」

 

 そのシリアの言葉に席より立ち上がる生徒。

 その生徒は、第一印象的に活発そう、と言うかどこか格闘家的な雰囲気がある。

 その1つの理由は、彼女の服装だろう。

 制服の前はボタンを止めず、制服の下にはレスラーの様なブラが見え、スカートは穿かずホット

パンツと鱗丈の模様のある黒タイツを着用し、腕には紅い手甲を装着している。

 その姿はまさに格闘家。

 ただ、外見の方は中々美人だ。

 制服の下からは中々のボリュームのありそうな胸が見え、腰近くまである赤いワイルドな髪に緑

色の瞳はエメラルドの様だ。

 ただ、何より特徴的なのは2本生えている鹿の様な角である。

 どうも獣人族辺りの様だ。

 

「あ、あたしはエヴァン。“エヴァン・クローデル”、竜人族だ。よろしく」

 

 そう、どこか口下手そうな言い方で簡潔に自己紹介をするエヴァン。

 

(竜人族……いわゆる竜人(ドラゴニュート)、いや彼女の場合 竜女人(ドラゴンメイド)か?)

 

 そしてやっぱり魁は即座に種族の分析に取りかかっていた。

 竜の人と書いて竜人族。

 文字通り、モンスターの代名詞とも言えるドラゴンの姿、或いはドラゴンの能力を持った種族で

あり、ゲームなどによってはドラゴニュートと呼ばれる場合もある。

 火を吹く者、頭が竜の者、翼が生えている者等、その種類は様々であり、竜の数だけ種類がある

と言える種族である。

 

「エヴァンさんは獣王候補生。古暮兄弟(アナタ達)と同じ科に属する方です」

「それに、戦闘力では学園最強と呼び名が高いんですよ~♪」

 

 シリアに続きエヴァンの事を焚き付けるフィルミア。

 

「ほぉ、最強ねぇ……」

 

 その言葉に真っ先に反応したのは、真雄だった。

 

(いいねぇ……()りたいねぇ~♪)

「ちょっと真雄、アンタ何考えてんのよ。」

 

 エヴァンの最強の名に、ケンカ好きで暴力好きの真雄の脳裏にはエヴァンとの()り合いが浮かん

でいたのだが、それを即座に察した優希がギロッと睨みつける。

 だが、真雄に効果は無い。

 

「おい、エヴァンつったか? 俺と()んねぇか?」

「え?」

 

 その真雄のいきなりの言葉に目をパチクリさせるエヴァン。

 

「おぉっ! マオっち大胆!!」

「マオマオ、転入早々死ぬ気?」

 

 そしてそれは、他の面子も同じだったが、真雄は全く気にせず手にある木刀を構える。

 

「ハッ、誰が死ぬか」

「よせバカ。転校早々問題起こすな」

「兄さん……」

 

 そんな唯我独尊の真雄を止めようとする魁と、真雄のケンカバカぶりに呆れる李雄。

 

「ふぅ………あれ?」

 

 そこへ不意に李雄の目に飛び込んで来たのは、そこか寂しそう、というか悲しそうな眼をした

エヴァンの姿だった。

 

(どうしたんだろ……)

「皆さん、静かに!」

 

 そんな李雄の疑問を遮るかの様にシリアの声がし、真雄はしぶしぶと木刀を納め、エヴァンも席

につく。

 

「では次は……アンゴルモアさん、お願いします」

 

 そして次にシリアが指名したのは、近くの席に座る(というか椅子の上に浮く?)アンゴルモア

だった。

 

「ケッ、別に俺の自己紹介はいいだろ。もう知ってんだからよ」

「ま、確かにな」

 

 そのアンゴルモアのめんどくさそうな態度に対し、真雄は同意する様に頷く。

 

「おんや~、コグレっち達とアンゴって知り合い?」

「なになに、ゴルゴルってマオマオ達の事知ってんの?」

「おい待てこら、何だよアンゴだのゴルゴルだのって!!!」

 

 アンゴルモアと真雄の会話に興味を持ったアリッサとチマが声を掛けて来たが、アンゴルモアは

2人の言った自分への妙なあだ名が癇に障った様だ。

 

「あぁ、そこのカボチャとリュアナとは三界(こっち)に来た時 1番に会ってんだよ。」

「それでもやってください」

 

 だがそんなアンゴルモアの苛立ちは、真雄の言葉により無視され、シリアも真雄に続く様に言い

放つ。

 

「アンゴルモアさん、それにリュアナもさん、軽くで結構ですので自己紹介をお願いします」

「あ、はい」

「ケッ」

 

 そのシリアの言葉に、リュアナは少し慌てながら立ち上がり、アンゴルモアはまだどこか納得し

てない様だったが、渋々と視線を古暮達に向ける。

 

「ダークエルフの“リュアナ・ドロワーズ”です。真雄様、李雄様、それに皆さん、改めてよろし

くお願いします」

「ま、精々よろしくな」

(やはり、ダークエルフか……)

 

 リュアナは丁寧に、アンゴルモアは適当に自己紹介をする中、魁は最後のクラスメイト、そして

ずっと気になっていた事を分析しだす。

 ダークエルフは、特殊なエルフの種族としてゲームなどで登場し、そのような作品では普通のエ

ルフは光や善、秩序の体現者、ダークエルフは闇や悪、混沌の体現者と定義されている事が多い。

 容姿については、ほぼエルフと同じだが肌の色だけが漆黒(あるいは褐色など)であるとするのが

典型的であるが、性におおらかでエルフより豊満な肉体で描かれる事も多い。

 そして大抵は、普通のエルフと強く敵対する存在で、エルフと同等の能力や洗練された文化を持

つものとされる。

 最も、この世界ではそう言った善と悪の対立という物は無い様だ。

 

「本来クラスメイトは他に2名の生徒がいますが今は家庭の事情で休学中ですので、実質上ここに

いるメンバーがこのクラスの仲間という事になります」

「2人?」

 

 そのシリアの言葉に疑問を感じた真雄がクラスに視線を向けると、確かに自分達の分の席だけで

は多い位に開きの席が幾つかある。

 

「ではディーネ先生………」

 

 真雄が席を眺める中、シリアがこれからどうするかを担任であり校長であり、自分の先輩でもあ

るディーネに尋ねるが、そのシリアの視線の先にいたのは、器用に立ったまま寝るディーネの姿だ

った。

 

「すやすや~……すぴー………」

「ディーネ先生、起きてください!」

「……ほあ?」

 

 シリアの声に眠っていたディーネは、半分だけ目を開きながら辺りを見渡す。

 

「あ~、それでは皆さん、朝会を始め……」

「もう終わりましたよ」

「はぇ?」

 

 そのシリア言葉にディーネは首を傾げながら、あぁ、と頷きながら何とか状況を理解した様だ。

 

「では転校生さん達の自己紹介を……」

「それも終えました」

 

 訂正、理解して無かった様だ。

 

「ほぇ~もう終わってしまってたんですか~。ん〰〰〰」

 

 ようやく理解したディーネは何やら考え込み出し、しばらくして何かを思いついたのか、視線を

クラスの皆に向ける。

 

「では~、転校生の皆さんに何か質問がある人はいますか~?」

 

 どうやら転校生紹介好例の転校生への質問タイムの様だ。

 

「はいっ!」

 

 そこで真っ先に手を上げたのはアリッサだった。

 

「はいアリッサさん。」

「んとね、コグレっち兄弟に質問なんだけど、2人ってホントに男?」

 

 そうアリッサが笑顔で古暮達に視線を向けた時だった。

 ヒュンッ、ドスゥゥゥンッ!!!と凄まじい音と共にアリッサの目の前に鬼の形相をした真雄が

木刀を突き立てていた。

 

「アリッサつったな……死にてえならそう言えや………!!!」

「待て待て待て待て!!!! 気持ちは分かるが落ち着け真雄!!!!!」

 

 そのドスの利いた真雄の声と行動に、慌てて止めに入る魁。

 

「落ち着け真雄! こんな事はいつもの事だろ!?」

「黙れ!! 俺の事を女と言ったり男なのかと疑った奴は全員ぶち殺す!! そうだろ李雄!!!」

 

 止めようとする魁に対し怒りを顕わにする真雄は、同意を求める様に弟の李雄に視線を向ける。

 

「……どうせ僕なんて……」

「ちょっと李雄、いつもの事なんだから一々落ち込まないの」

 

 その視線の先にいたのは、男なのかと疑問を持たれた事に落ち込む李雄とそれを慰める優希の姿

だった。

 

「だぁーっ! テメェはそんなんだから女と間違われちまうんだよ!!!!」

 

 そんな李雄の不甲斐ない姿に呆れ果て怒りだす真雄。

 

「皆さん、落ち着きなさい!」

 

 そこへ、やっぱりというか当たり前というかシリアが止めに入った。

 

「アリッサさん、相手を挑発するような質問はやめなさい!」

「え~、だって気になるじゃん」

 

 シリアの言葉に対し、アリッサはさらりと答える。

 

「よし分かった! そこを動くんじゃねぇぞ、すぐ殺してやる!!!」

「やめろ落ち着けって! 勇 手伝え!!!!」

「ウガ」

 

 アリッサの言葉に怒りの炎を燃え上がらせる真雄を魁は必死に止めようとするが、自分1人では

無理と判断したのか勇にも協力を依頼。

 流石の真雄も勇に抑えられて動けなくなり、それを見て魁は視線をアリッサに向ける。

 

「アリッサさん、お願いですから真雄(コイツ)を挑発しないで下さい。古暮兄弟(コイツ等)が男なのは長い付き合いの

俺が保証しますから」

「オラも保証するダー!!」

 

 魁の言葉に勇もうんうんと頷く。

 

「えー、でもマジで男なのか怪しいよ」

「言えてる。マオマオは勿論、リオリオに至っては女にしか見えないじゃん」

 

 だが、それでも納得のしないアリッサにチマが便乗。

 

「確かに御2人とも、男性と言うには綺麗で可愛いですね~」

「確かに、女性だと言ってもあまり違和感がない様な……」

「確かに、男と言われても疑うわね」

「お姉ちゃん、そんな事言っちゃダメだよ~」

「………しょうこ、ちゃんとみたい……」

 

 そんな2人に便乗する様に他の面子も口々にそんな事を言い出す。

 

「よし死ね!!!!!」

「だから落ち着けって!!!!!」

 

 その面子の言葉に真雄の怒りは更に燃え上がりだし、もはや魁と勇でも止めれないかに思われた

その時だった。

 

「お静かにっ!!!!!!」

 

 そこへユーメリアの怒鳴り声が響き、その声に全員がピタッと動きを止める。

 

「アリッサさん、人のコンプレックスを刺激する様な言葉は慎みなさい!!!」

 

 そしてユーメリアはアリッサ及び他の面子に指導をし出す。

 

「え~、でも気にならない? コグレっち達が男かどうか。」

「気になりません! 本人達が男と主張してるのですから男なのでしょ!!」

「でもでも、嘘ついてる可能性とか無いの?」

「嘘を付く必要が何処にあるんですか!! 大体アナタ達は………」

 

 反論するアリッサとチマに説教しだすユーメリア。

 どうやら相当お堅い委員長の様だが、同時に同級生想いの様だ。

 

「真雄、気持ちは分かるが拳と剣を退け!!」

「うっせぇっ!! 俺を女と言った奴と女と疑った奴は皆殺しだっ!!!!!」

 

 その一方で、魁の真雄への説得は上手く言ってない様だ。

 真雄の怒りはそれほど高いらしい。

 

「ウガァ、腹減って来たダ……」

 

 真雄を抑える勇も限界が近い。

 

「あ、あの……」

 

 そこへ、1人の勇者(?)が現れる。

 1つの袋を手にしたリュアナだった。

 

「何だ?」

「あ、あの、これを……」

 

 怒りの形相で睨みつけて来る真雄に対し、リュアナは恐る恐る包み袋を開けて行く。

 そこから香ばしい匂いと共に姿を現したのは、クッキーだった。

 

「!!」

 

 そのクッキーの姿と匂いに、真雄は一瞬 身体が止まってしまう。

 なにせこの男、ケンカと同じ位 食べる事が大好きな男だ、香ばしいクッキーを出されたら反応

しない訳がない。

 真雄は思考をアリッサ達を殴る事からクッキーを食べる事へと優先順位を変更。

 その変更までの時間、僅か0.3秒。

 サクッと良い音と共に、気づけば真雄は、正確には真雄を含め近くにいた勇と匂いに釣られて

やって来たエストはクッキーを食べまくり出していた。

 

「うん、うまい」

「うめぇダ、うめぇダ!」

「おいしぃ~♪」

 

 勇とエストは嬉しそうに、真雄はやや無愛想ながらも高評価を出した。

 

「真雄様、落ち着きましたか?」

「あん?」

「そのクッキーの生地には心休まるハーブを煉ってあるんです」

 

 そのリュアナの言葉に真雄は気づく。

 言われてみれば確かに、先程に比べて心が落ち着いている感じがする。

 

「ナイス、リュアナさん」

 

 そのリュアナの活躍に魁はビシッと親指を立てた。

 

「んじゃあ、これにて解決って事で……」

「アナタは少しは反省しなさい!」

「え~、マオっちも許してくれるよね?」

 

 そう言いユーメリアの説教を無視し笑顔を向けて来るアリッサ。

 普通の男だったら、彼女から漂う色気に負ける所だが、あいにくと花より団子な真雄にそれは

通用しない。

 真雄は無言で木刀を振り、アリッサの目の前に突き立てる。

 

「ちょ、マオっち!?」

「おい真雄!!」

「真雄様!!?」

 

 その真雄の突然の行動に皆が驚く中、真雄は無言でアリッサを睨みつける。

 その瞳は、さながら血に飢えた獣の様であり、ここに来てアリッサはようやく自分がからかった

相手がいかにヤバイ輩なのかを理解した。

 

「ちょ、ちょっとマオっち、お、落ち着いて……わ、悪かったて………」

 

 そう言い顔を真っ青にしながら謝るアリッサ。

 それに対し真雄は口を開き。

 

「……次言ったら、殺すぞ」

 

 そうドスの利いた声、と言っても女っぽい声なのでドスが効いてるとは言い難いがかなり迫力の

ある声だった為、アリッサはただ無言で頷きそれを見た真雄は木刀を退き、そのまま教卓の前まで

戻るのだった。

 

「マオマオって、キレると危ない系?」

「マオさん……ちょっと怖いです………」

 

 その真雄の態度にチマとフィルはそう呟く。

 

「マオさん、アナタのお気持ちも分かるがその辺にしてください。それとアリッサさん。アナタも

今後は口に気なさい」

「は~い……」

「チッ」

 

 シリアの言葉に、アリッサはしゅんとやや落ち込み気味に、真雄は不機嫌さを隠す事なく舌打ち

する。

 

「え~と……取りあえず時間もありませんし、転校生への質問はそろそろお終いに………」

「あ、あのっ! 最後に1つ良いですか!!」

 

 その微妙な空気をお終いにしようと、ディーネが転校生への質問タイムを終わらせようとした時

だった。

 フィルが何か聞きたい事があるのか手を上げて来た。

 

「え~、ではフィルミリアさんの質問を最後にしましょう。ではどうぞ」

「は、はい!」

 

 そのディーネの言葉に、

フィルは何処からともなくマイクを取り出し古暮達に向ける。

 

「では質問です。皆さんは、なぜ人間界から三界(こっち)に転校して来たんですか?」

 

 そう言いマイクを向けるフィル。

 確かに、三界(ここ)の生徒からして見れば、何故わざわざ人間界から三界にやって来たのかが最大の

疑問であり質問だろう。

 

「何故、ですか……そうですね。しいて言うなら俺は(これ)の家族兼保護者だから、かな?」

「私も古暮兄弟(コイツ等)の幼馴染兼保護者だから」

 

 その質問に対し、真っ先に答えたのは魁と優希だった。

 

「え、え~と、それはどういう……」

「ん〰〰、家族が心配だからじゃぁ、ダメですか?」

「私も古暮兄弟(コイツら)が心配だし」

 

 そう言いチラッと勇と古暮兄弟に視線を向ける魁と優希。

 

「はぁ。では、勇さんは何故この学園に?」

「ウガ、ダンジョン授業ってのが面白そうだから。だから真雄と李雄に付いてくダ」

 

 フィルの質問に今度は勇がサラリと答える。

 

「えっと、では、真雄さんと李雄さんは、王になる為って事で良いですか?」

「いや、別に俺は先も言った通り、ダンジョン授業が面白そうだから来ただけだ」

「僕もまぁ、親に言われたからが大きいかな」

 

 フィルの質問に対し、真雄はサラリと、李雄は先程まで落ち込んでいたがいつの間にやら復活し

やや考えながらも答える。

 

「はぁ、ご両親に、ですか?」

「はい。人間界にいて僕達は魔力や神気の使い方が全く分からないので、この学園でそれを学べと

言われたんです」

「はう、成程」

 

 そう言い李雄の言葉をメモするフィル。

 

「しかし、コグレさんのご両親は何故 人間界に?」

 

 そこへ、委員長ことユーメリアがそんな疑問を浮かべる。

 

「さぁ、僕は父さんと母さんが昔魔王と聖王をやってたて事ぐらいしか知らないので………」

「は?」

 

 その李雄の言葉にユーメリアは、いやこのクラスの大半の者は首を傾げた。

 

「魔王と聖王って……」

「リオリオ、それって何かの冗談?」

「知らねぇよ」

 

 そんな皆の疑問に真雄はぶっきら棒に返す。

 

「えぇ、コグレさん達のご両親が元魔王と元聖王と言うのは本当ですよ」

「はい~そうですよ~♪」

 

 そこへ言って来たのはシリアとディーネだった。

 そしてディーネはそこで一旦言葉を区切り再び口を開いた――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コグレさん達のご両親は、あの前魔王ベルトラス様と前聖王マリア様なんですよ~♪」

 

 

 

 

 

 

 

『ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!??』

 

 そのディーネの言葉に、教室の空気が固まり、殆どの生徒の顔色が変わった。

 

「うそっ! あのベルトラス様とマリア様!!?」

「マジで!!? コグレっち達 良い所のボンボンじゃん!!!」

「はわわっ! つまりマオさんとリオさんって王子様って事ですか!!?」

「あらあら、御2人はすごい方々をご両親にお持ちなんですね」

「へぇ~、アイツら意外とすごい血統なのね」

「すごいなぁ、コグレさん達、あのベルトラス様とマリア様のご子息さんなんて……」

「……じゃあ、ふたりは、まぞく? それともてんぞく?」

「ねぇねぇ聞いたサーシャ! マリア様がお母さん何だって!すごいすごい!!」

「エスト様エスト様。すごいのはベルトラス様とマリア様であり、別にあの2人がすごいと言う訳

ではありません」

「ベルトラス様とマリア様………」

「あ、あの御2人が、ベルトラス様とマリア様のご子息!!?」

 

 そして次の瞬間、あらゆる生徒が驚きを声に上げている。

 ただ、最初から知っていたリュアナ、アンゴルモア、センシアは特に驚いた様子を見せていなか

った。

 

「何か、僕達すごい驚かれてるね……」

 

 そんな皆の様子に李雄がそんな事を呟く。

 

「オジサさんとオバさん、やっぱりこっちの世界じゃ有名なんだ」

「まぁ、人間界(俺達の世界)で言う所の元総理大臣の息子。それが古暮兄弟(お前ら)なんだろうな」

「ウガ、オッちゃんとオバちゃん有名人?」

 

 そんな李雄に続き、魁達もそれぞれの反応を見せるが、真雄だけはどこか不機嫌そうな表情

だった。

 

「……ケッ、くだらねぇ」

 

 そしてそう真雄が呟いた時だった。

 キーンコーンカーンコーンとチャイムの音が、学園中に響いた。

 

「あらら~、丁度良くチャイムが鳴りましたね~」

「では朝礼はここまでです。号令をお願いします」

 

 ディーネとシリアの言葉と共に、朝礼と自己紹介タイムは終わりを告げるのだった。

 

 

 

                        『~第6話~転校日早々!?その3 《終》』

 

 

 




 どうも、黒鋼丸です。
 ちょっと遅いですが新年明けまして、おめでとうございます。
 今回の話で残る候補生であるエストとエヴァン、そのエストの御供であるサーシャが登場し、
取りあえず主要キャラの大半が登場しました。
 そして同時に、古暮兄弟の正体をディーネが大暴露。
 この事が今後どう古暮兄弟を左右して行くのか、乞うご期待ください!
 ではでは~♪
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