アークナイツRTA『感染者は方舟の仲間と共に』 作:量産型プレイヤー
次はロボトミーの方が先に更新するかも
警報が鳴り始めて暫くすぎた頃。
「イフリータ!どこにいるのー!?」
サイレンスは焦っていた。警報が鳴り、イフリータに部屋で待っている様に伝えてその場を離れ、原因を確認しすぐさま部屋の戻るとイフリータの姿が見えなかった。
慌てたサイレンスは、素早くイフリータを発見するため、施設全体の監視カメラの映像が見れるメインルームへと急いで向かった。最近走ることが少なかったサイレンスは、若干息を荒げながらも目的であるメインルームに着くと、サリアが今まさに部屋に入ろうとしていた。
「どうしたサイレンス、何があった?」
「はあ…はあ…ッイフリータがいないの!部屋から抜け出したみたいで...サリア、貴女は?」
「どうやら脱走した奴が相当厄介らしい。私に指名が入った」
そう言って二人は、メインルームに入室した。中にはあの忌々しい所長がいた。
「やあやあよく来たね!早速で悪いんだけど「イフリータはどこ!?」まあ少し落ち着いてくれ」
「それで所長、脱走して暴れまわっているやつはどこにいる?」
「実は現在第○○区域にいるんだけどさ...これを見てよ」
映し出された画面には、逃げ惑うイフリータとそれを追いかける『ナニカ』がいた。
「イフリータ!」
「なんてことだ...すぐに向k「待ってくれサリア君」なんだ!?」
「ライン生命警備課の主任として、奴を必ず殺せ。いいな?」
「ああもちろんだ!イフリータを危険な目に合わせた奴は必ず殺してやる」
「私も行くわ。イフリータを保護するから、『アレ』はお願い」
「了解した、いくぞ」
サリアとサイレンスは、駆け足でメインルームから飛び出していった。
「あーあ、行っちゃった。いやーそれにしても楽しみだね^~
あれが【彼】だったなんて、いつになったら気が付くのかな~?」
サイレンス言われて、オレサマは1人あいつに渡す小さな箱を手に持って部屋で待っていた。
「サイレンスが帰ってこないし、どうすっかなー」
改めて部屋を見渡すと、扉が開いているのに気が付いた。
「...アイツを探しに行くぐらいなら大丈夫だろ」
一刻も早くアイツにこの箱を渡したかったオレサマは、部屋を出る。どうせこの警報も、いつものようにすぐ解決するだろう。
部屋の外はいつものように静かだったが、何故かそれが不気味に感じた。気のせいか、普段よりも人気がない気がする。とりあえず探しに回るか。
無機質な通路を歩く。自分の足音だけが、コツコツと鳴り響く。
誰もいない通路をしばらく歩いていると、
「離せ!助けくれッ!」
少し遠くの方から、誰かの声と何かが破裂する様な音が聞こえてきた。
「おーい!誰かいるのか~?」
サイレンスの居場所を聞こうと、声の聞えた通路に向かった。すると
「ア“ア“ア“ッ“」
顔を拘束具で覆い、肥大化した下半身と左腕の【ナニカ】がいた。周りには血の池が広がっていて、上半身と下半身が別れた奴や、原型を保てずただの肉塊になった者がいた。目の前の光景に理解が追い付かなかった。
「...!」
こちらに気づいた【ナニカ】は、オレサマの方にゆっくりと近づいて来た。
「ヒッ!?お、おい..近づくな!こっちに来るんじゃねぇ!?」
このまま立っていると目の前の【ナニカ】に殺されると理解したオレは、全速力で【ナニカ】から逃げた。
「ア”!...ア“ア“」
逃げたオレを、後ろから【ナニカ】は追ってきた。
「っはぁ...クソッ!なんでついてくんだよ!?」
しばらく逃げ続けても一向に距離が開かず、徐々に差が縮まっていく。
「はぁ、はぁ...あそこは!」
たどり着いたのは薬品保管庫の部屋。危険な物質を保管するこの部屋は、扉も頑丈な作りになっている。何よりも、この部屋は内側からも錠をかけることが出来ることを、サイレンスとここに来た際に知ったイフリータは、急いでその部屋に入り、内側から鍵を閉めた。
「...っはーっ!これなら大丈夫だろ」
無事に部屋へと駆け込むことが出来たイフリータは安藤していた。しかし
ガンッ!...ガンッ!
「ん?なんだこの音」
部屋の外から僅かに漏れる謎の音。
ガンッ!ガンッ!
次第に音は、扉の外からきこえてくる音だとわかり、
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!
「う、うそだろ!?」
やがて部屋中にうるさく鳴り響くようになり、部屋の扉は目に見えて凹んでいた。
ガキン!
何かが外れた音とともに、丈夫なはずだった扉は叩き壊されてしまった。【ナニカ】は変わらず、イフリータに近づいていた。
この部屋を脱する扉は、目の前の【ナニカ】によって塞がれてしまったイフリータは、へたり込み、
「あ、ああ。ああああああああ!」
ただひたすらに叫んだ。
【ナニカ】は近づいてくる。
来るな来来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ来ルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナクルナ。
少女は後ずさりながらも、箱を大事に抱えながら必死になって自身のアーツで目の前の【ナニカ】に火を放って抵抗した。
放った火は、顔に装着した拘束具を焼く以外は目立った効果はなかった。それでも少女は我武者羅に火を放つ。
放たれた火は【ナニカ】の肌を焼くか、体の源石によって明後日の方向に跳ね返っていた。その日は【ナニカ】には無意味だったが、部屋に配置されていた薬品棚の足を溶かすには十分だった。
支えが一部なくなった棚は、イフリータ目掛けて傾いていた。
混乱状態だったイフリータは、それに気が付かず、今も火を【ナニカ】に向けてはなってた。回避出来ない距離までこちらに倒れてきた時、やっと気が付いたがどうすることもできないイフリータは、これから来る痛みに備えようと目を閉じた。
ガシャン!
棚がぶつかる音がした。しかし一向に痛みは来なく、誰かに抱かれている感触だけがイフリータを包んだ。
その抱擁は【彼】のようにとても優しかった。恐る恐る目を開く。
「ダ..イジョウブ?イフリータ」
顔の拘束具は焼け落ち、現れた素顔は、酷くなじみのある顔だった。
「な、んで?どう、して?お前なのか!?どうしたんだよロスト!?」
声質こそ少し変わってしまったが、聴くとどこか安心するようなその声は、紛れもなく彼の声だ。
「ゴメンネイフリータ、モウナニモシテアゲラレナイ」
「どうしてこんな姿になっちまったんだよぉ!あいつらに何かされてたのか!?なんで!なんでなんだよ!?何とか言ってくれよ!?」
「オレのせいで、オレのせいで!お前はこんな姿になっちまった!オレは、何にもできなかった!全部!全部オレのせいで!」
「...ダイジョウブ。イフリータハナニモワルクナイヨ」
そう言う彼に生えている源石は、今もなお成長している。徐々にその素顔が源石で隠れ始めていた。
「...モウオワカレノジカンダ。コノママダトアバレテシマウ」
変わり果てた姿の彼は、床に転がっていた薬品を近くに置いてあった布にしみこませ、イフリータの顔に押し当てた。
「んグゥ!?んー!?んー!?」
「サイレンスタチガイルカラコワクナイヨ」
イフリータは急激に襲い掛かってくる睡魔に耐えられず意識を手放した。
最後に見たのは、源石の成長によって完全に覆われてしまったロストの顔だった。
眠った事を確認したロストは、イフリータを安全な場所に寝かせようとした。
「イフリータから離れろ」
次の瞬間、ロストはイフリータから離れた壁際に吹き飛ばされた。
「イフちゃーん!どこー!?あっいた!あそこあそこ!」
「大丈夫イフリータ!?...良かった無事みたい、意識を失っているだけみたいね」
「イフリータに手を出したのはこいつ?」
「化け物め、覚悟しろ」
見知った人達に憎悪の目で見られるのが想像よりキツイと思いながらも、彼女たちのほうを見る。そこにはサイレンス、サリア、マゼラン、メイヤーが、イフリータを守る様に囲んでいた。
意識が朦朧とする。体が【ナニカ】に操られそうになりながらも、それを押さえつける。彼女たちを傷つけないように。
サリアが近づき、拳を振るう。少年の意識と違い、【ナニカ】は生き延びようと、肥大化した左腕を盾にした。しかしそれは、カルシウムアーツによって強化されたサリアの拳を完全に防ぎ切ることが出来ず、次第に腕に穴があく。その穴から抉られ、削り取られた左腕は、肩から切り離され、体制を崩した。
その隙をサリアは逃さず、今度は胴体に一撃を加える。内蔵が傷つき、血を吐きながら後ろに倒れた。
痛みに悶えている内に、今度は足をつぶそうとした。サリアは次にこぶしから脚にアーツを使い、振り下ろした。
一つ一つ丁寧に繰り出された蹴りは、骨を粉砕し、肉の繊維を断ち切りミンチにしていった。
サリアは殺気立っていた。大切な娘のような存在のイフリータを危険な目に合わせた奴を、決して楽に殺そうとはしなかった。普通の生物なら、既にこの状態では死亡していただろう。
しかし彼の身体は、簡単に死ぬ事を許してくれなかった。自身の持つ再生能力によって生き延びようとしまい、延々と身体を壊される痛みを感じ続けなければならなかった。
蹴る。
血肉が飛び散る。
ゆっくりと再生する。
蹴る。
また血肉が飛び散る。
また治る。
蹴る。
また治る。
蹴る。
蹴る。
蹴る。
蹴る。
蹴る。
蹴る。
ただひたすら蹴り続けた。
サリアが一方的な蹂躙を始めて数十分。
「(あ...れ?オレはどうして眠って...)」
彼女が幸運だったのは、ロストが傷つ付いていく光景を見なくて済んだことだ。
しかし不幸にも、吸引させた薬品の量が少なかったためイフリータは目覚めてしまった。
「イフリータ!大丈夫?ケガはない?」
「イフちゃん大丈夫?」
サイレンス達が声を掛ける。
「(そうだ。確かあいつが布を押し当てて...どこに行ったんだ)...あいつは?」
「大丈夫、倒したからもう大丈夫よ」
「...え?」
部屋を見渡す。いるのはサイレンス、サリア、マゼラン、メイヤー、そして
両脚と左腕の原型が無くなり横たわる物体しか無かった。
イフリータはその光景を理解できなかった。【ナニカ】の正体を知っているからこそ、彼がサイレンス達に助けを求めればきっと助けてくれるはずだと思っていたから。
しかしあそこで倒れているのは、間違いなく意識を失う前の彼だ。
彼は助けを求めなかった。自分が生き延びることよりも、サイレンス達を傷つける事を嫌い、死を受け入れた。
気が付くと、イフリータはロストの亡骸に駆け寄り、手を取った。そして彼女は1人話し始めた。
「なあ。オレサマ、お前がきてから毎日が楽しかったんだよ」
「サイレンス達がいない時、一人で怖くて泣いたとき慰めてくれただろ?」
「何度もアーツが暴走しちまった時も、怒らずにまた暴走しないように手伝ってくれただろ?」
「そこまで真剣にオレと向き合ってくれるやつ、初めてだったんだよ」
「だからさ、日頃のお礼したかったんだぜ?」
イフリータは、ロストの手を握る
「だからよ、返事してくれよロスト」
手には、縞模様の羽で作られたアクセサリーが握られていた。
その一言を聞いた他の四人は表情を変え、場の空気が凍り付いた。
「イフリータ、何を、言っているの?」
サイレンスが尋ねるが、イフリータは答えない。
「...イフリータ、ありがとう」
イフリータの手は、わずかながら握りしめられた。
「あとは、たのみま...す...』
彼は願う、彼女たちの幸せを。
彼女たちは願う、私たちの幸せを。
思い描いた未来、幸せな日々。限りなく同じな彼と、彼女達の願い。
一つ違うなら、少年の願いは、彼が遺した彼女達を模倣したモニュメントのアクセサリーのように
少年の姿だけが存在しなかった。
こうしてライン生命の闇は、根強い爪痕を遺した。
とあるループスの少女は家族を失った。
ザラックの騎士である少女の後悔は消えず、再会は叶わなかった。
サンクタの少女は、理解者と出会えなかった。
方舟に乗る一部の人達は、救われなかった。
BAD END1 「突然変異」
おまけ
「ロスト異形変異体(バッドエンド1版)」
アーツの暴走により爆発を起こすが施設から脱出しない+源石の成長を抑制出来なくなった世界線の彼のなれの果て。
身体は源石に侵され、下半身と左腕が肥大化した。奇跡的に意識を保てていた瞬間があったが、いずれにせよ殺戮衝動は止められないと悟り死を望んだが、実験のせいで直ぐに死ねずに地獄を味わった。
工事完了です...(シワシワ)やっとRTAが出来る(ほんへ)一区切り終わる際に毎回別視点書くから本編まで進まないってそれ一...アンケートしますわ。
アイデアは常時募集中なんで、気軽に活動報告に書いて、どうぞ。
至急感想くれや。返信するのも一つの楽しみなんで。
https://twitter.com/mptplayer25/with_replies今更Twitter始めました。戯れにフォローしてくれても、ええんやで(ニッコリ)