魔法少女リリカルなのは サイヤの魂を受け継いだ戦士 作:飴玉ベジット
あかいぬ様、ヨッシーw様、高評価ありがとうございます!
翌日、遅発性乱気症の影響によるだるさをなのはとデートに行きたいという思いで振り切った龍也は、白のロゴ付きTシャツに青のデニムジーパンと半袖ジャケットと、昨日立ち読みした雑誌に載っていたコーディネートに近そうな服に着替えて待ち合わせ場所にいてた。
(やっべぇ!緊張して早めに来ちゃった……)
焦る気持ちを抑える為に、自販機でお茶を買い、それを飲んで落ち着かせる。龍也はなのはがこっちに来るとわかると、彼女が来るであろう方向を振り向く。だが、なのはが駆け寄る場面を目に映した途端、龍也はフリーズする。
「ごめん!もしかして結構待たせちゃった?」
龍也の前まで来ると慌てて来たのか息を整えるなのは。彼女の服装だが、上はミントグリーンと白のボーダー柄Tシャツ、下は藤色のショートパンツを着ていた。
魔法に関わりを持つようになってからは、なのはの色は制服やバリアジャケットの白や魔力光の桃色だと印象になっており、龍也はその色の服で来るのかなと思っていたので、想像しなかった結果で呆然としながら、なのはを見つめていた。
「龍也君?」
「えっ?あ、その……そんな待ってないよ。来たのもちょっと前だったしさ」
なのはの声で我に帰った龍也は慌てて両手を振り、否定する。それを聞いたなのはは安堵すると、今度は恥ずかしそうに質問した。
「ね、ねぇ龍也君。今日の服、へ、変じゃないかな?///」
確かに想像とは違っていた。それでも。
「とっても似合ってる。可愛くて、見惚れてた……」
「えへへ、ありがとなの!」
今日のコーデを褒めてくれてご満悦な表情をするなのはにまた意識を持っていかれかけたが、なんとか踏ん張る。冷静になろうと思った龍也は、よく考えたら今日はどこに行くと決まっただけでどこで何をするかまでは決めてないことに気づいた。
「そういえば、なのははどこか行きたいところはあるのか?」
「……あっ、あそこに行きたいの!」
考えていなかったのか、なのははある程度周囲を見渡した後、目的地を決めたのか指をさす。その方向を見て龍也は思わずギョッとした。なのはの指さす先にあったのはショッピングモール、……ではなくその隣にある家電量販店だった。
(えっ!?よくわかんねぇけど、女の子って普通服とかそう言うのに興味あるんじゃ……)
「早く行こうよ!」
呆然とする龍也の腕をなのはが掴むと、彼を引っ張て店内にはいるべく走り出す。最初こそイメージと違うと困惑していたがなのはの笑顔を見るとすぐにまっ、いいかと考えることをやめ、どうせなら思いっきり楽しもうと切り替えた。
店内に入ると、カメラやPCといったデジタル機材があり、それらはなのはは目を輝かせる。時には店員に従来のものとどう違うのかを尋ねたり、実際に自分で使ってみたりなど、それとても楽しそうに見えた。
「……意外だな……」
「どしたの?」
龍也の小さな呟きが聞こえたのか、なのはが聞く。
「なのはってカメラとか、そういう機械系のものが好きなんだな〜って。今日初めて知ったから」
「うん。忍さんとも、こう言った物の話しをすることも多いの!」
今まで知ることのなかった目の前の少女の一面を知った龍也は微笑ましい様子で見守る。……だが
ぐぅ〜〜〜っ
「わ、悪い。腹減っちゃったみたいで……」
腹がなってしまい、空腹感と共に申し訳なさと恥ずかしさが龍也を襲う。
「もうお昼なんだね」
時計を見ると時刻はお昼ご飯時。店内を出ると、なんとなく雰囲気のある喫茶店に入る。
席に案内されると、メニューを見ながら何頼もうか悩むなのは。一方、龍也は壁に貼られた1つのチラシを見る。
それは60分以内に食べ切れたら無料!!と大きく書かれた文字と、その背景には大皿の上に家庭ではあまり見ないサイズの料理が沢山写っているチラシだった。
「龍也君、決まった?」
「ああ。なのはも?」
「うん」
呼び鈴を押すと店員がやって来て、注文を伺う。
「私はこの日替わりセット、ドリンクはピーチソーダでお願いします」
「俺はこの超特大!10人分のお子様風プレートで」
それを聞いた店員が驚く。数々の挑戦者を打ち破ってきた大食いファイター達を苦しめ、敗北を与えてきたメニューに、小学生が食べるとなると悲惨な目に遭うのは目に見えていた。
「お、お客様。考え直された方がよろしいかと……」
「あっ、大丈夫、多分いけると思うので」
辞めるよう勧めた店員だが、それでも受けると決めた龍也を見て、呆れながらもメモし、それをマスターに渡す。
そして、超特大!10人分のお子様風プレートが龍也のもとに運ばれてきてから30分後
「「ごちそうさまでした」」
龍也となのはが食べ終わった後、ウェイトレスも他の客は2人の席、正確に言うとあの大食いメニューをほんとに時間内、しかも半分近くタイムを残して間食してしまった龍也を見て驚き固まっていた。
「じゃ会計に行くよ」
「えっ?龍也君は無料じゃなかったの?」
なのはは疑問に感じる。龍也は制限時間以内に完食したはず。なのになぜ代金を払おうとしてるのか謎だった。
「確かに俺は無料だけど、なのはは違うだろ?それに、こう見えてお小遣いは持ってる方だし」
そう言いながら龍也は昨晩のあることを思い出す。仕事から帰ってきたばかりの大和から何かあったのかと聞かれたので、明日はなのはと2人で出かけることになったと言うと、軍資金だとこっそりお小遣いを渡してくれたのだ。最初は遠慮したのだが、男ならかっこいいところを見せたいだろ?と言われ、確かにと納得した龍也はそれを受け取ることにしたのだ。
(ありがとう、父さん)
龍也が心の中で大和に礼を言った時、なのはは龍也の意図に気づく。確かにこのシチュエーションに憧れはあった。だが、それでもさすがに申し訳なさが勝ったので断ろうとした矢先に。
「……いらん」
「へっ?」
第三者の声に反応し、その声のした方を向く。そこにいたのはいかにも厳かななにかを感じさせる男、この店のマスターだった。
「その年からは考えられない、見事な食いっぷりだ。それを見せてくれた礼として、そこのお嬢さんも無料にさせてもらおう」
「あ、ありがとうございます……」
龍也だけでなくなのはの分も無料にするという粋な計らいをしてくれたマスターに礼を言って店を出た後、2人はショッピングモールに行く。最初に入ったのは服屋で、そこの試着室で高町なのはのファッションショーが開催される。
「どうかな?」
最初にフリル袖の白いTシャツに薄桃色のスカートを身につけ、くるっと回る。
「似合ってるよ」
その言葉にフフッと笑うなのは。だが、他の服を着ても、龍也の口から出るのは、似たような言葉ばかりだった。
「もー、ホントに思ってるの?」
なのはが最後に選んだ桜色のワンピースでも同様の反応された時には少し不満になってきたなのはは頬を膨らませて、龍也に顔を近づける。
「やっ、ホントにどれも似合うって思ってるよ!」
しかし、前世含めても同年代の女の子と出かける機会がなかった龍也は、こう言うシチュエーションで何を言えばわからなかず、その結果当たり障りのない言葉しか言えなかった。
それからは龍也がなのはチョイスの服を着せ替え人形の着ることになったり、ゲームセンターではそこに設置されていたパンチングマシーンで龍也がこれまでの店内最高記録を大幅に超えるスコアを叩き出したりするなど、2人きりのひと時を満喫していた。
そして、いつの間にか一番星が見えそうな時間になった時、龍也となのはは海鳴公園に来ていた。
「んー!楽しかった〜!」
「ほんと。少し前まであんな激闘をしていたのが嘘みたいだな」
海の見えるところでベンチに座ると、潮風に揺れる木々や波が流れる音が2人の耳に奏でる。
「ありがとう、龍也君」
その静寂は、なのはのお礼の言葉を龍也に伝える。
「ジュエルシードの事やフェイトちゃんと戦ってた時も、リンディさんやクロノ君と意見が違ってた時も、君はずっとそばにいてくれて、助けてくれた。フェイトちゃんとも仲良くなれたのも、龍也君が背中を押してくれたからだよ」
「そして、私……」
「礼を言うのは俺の方だよ」
なのはの言葉を遮った龍也は立ち上がり、手すりに腕を乗せて海に静まろうとする夕日を見つめる。
「実はさ、なのはと初めて会った時に可愛いなって思って、そこからなのはと一緒にいるようになった。そして、一緒にいる度に俺の中になのはともっと一緒にいたいって思えるようになった。……ここだけの話、なのは達と一緒に残るって決めた時のは強い奴と戦えるかもって言うのもあったけど、1番はなのはを守りたかったからなんだ。だから、俺はボージャックにボロボロにされても立ち上がれたし、最後まで戦えた」
「……なんで?」
そう問われた龍也は、腹をくくり、少し前に気づいた自分の本当の想いを口にする。
「俺、なのはのことが好きなんだ。友達や幼馴染としてじゃない、高町なのはっていう、可愛くて優しい、何事も一生懸命に頑張れる1人の女の子が」
龍也は手すりから離れ、なのはを見つめる。
「なのは。……いや、高町なのはさん。俺はちょっと変わってるかもって思うところもあるし、戦うこと以外これといった得意なことがあるかもよくわかってない。でも、君を愛してるって想う気持ちは、誰にも負けない。もし、こんな俺でいいなら……俺と付き合ってください!///」
顔を赤くしながら龍也は自分の想いをなのはに告白した。
「……ずるいの」
「えっ?」
小さな声が聞こえた龍也は顔を上げると、なのはは頬を膨らまし、涙目になっていた。
「ずるいよ。割り込んで……私が言いたかったこと、先に言うなんて……」
「い、言いたかったこと?」
オウム返しする龍也に、なのはは頷く。
「私もね、龍也君のことが好きなの、大好きなの。お兄ちゃんに何言われても、幼馴染のままじゃ、嫌だって思ってるの」
その言葉がどういう意味なのか察した龍也は眼を見開いてしまう。
「それって……」
その問いに答える前になのはも立ち上がり、龍也の元へ駆け寄って彼を抱きしめる。
「嬉しいの!龍也君が私のことを好きって言ってくれて、龍也君も同じことを想ってくれて!」
龍也の胸の中で涙を流しながらも、なのはは満開した花のような笑顔で喜びを告げる。そして、その顔を見れないことを心の中で嘆きながらも、龍也はそんな彼女を優しく抱き返す。
「よろしくな、なのは」
「うん!……うん!」
しばらく抱き合った後、2人は手を繋いで家に帰った。勿論、恋人繋ぎで。
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