RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~   作:元町湊

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28両目

『皆様、昨夜からのご旅行お疲れ様でした。後6分程で終着の札幌に到着いたします。5番線の到着、お出口は右側です。

 途中、動物と衝撃しました関係で二時間半程遅れまして到着いたします。列車が大変遅れましたことをお詫び申し上げます。なお、我々國鉄は、また皆様とお会いできる日を、心からお待ち申し上げます。本日は北斗星3号をご利用いただき、誠にありがとうございました』

 

「いいね。僕は、またこの列車で皆と会いたいよ」

 

 

 この放送を食堂車で聞いたベルニナが高山を見て言った。

 

 

「よかった。國鉄を嫌いにならないでいてくれて」

 

「どうしてだい?こんなに深い思い出が出来た鉄道は、國鉄が初めてだ。僕の中で國鉄は世界最高の鉄道だよ」

 

 

 そういって、ベルニナは笑った。

 そうしている間にも列車は進み、終着の札幌駅に到着した。

 列車を降り、改札へ向かうと、そこには大量の黒服集団、もとい警察のSPの方々が大勢いた。

 その人たちに囲まれ、ベルニナとは別れもいえないまま別れることになった。

 俺達は俺達で、北海道鉄道管理局の人たちに連れられて、二日間みっちり拘束され、事情聴取を受けさせられた。

 

 早く帰りたいと思ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 後日談というか何というか。

 

 俺達は札幌に着いた日の次の日には帰れることになっていた。

 しかもカシオペアで、だ。

 俺達は人数が奇数なので、誰かが一室丸々使える。当然その席は俺が貰った。

 といっても、夕食以降のほとんどの時間はラウンジにずっといたから、部屋に居ることはほとんど無かったが。

 にしても、北斗星に乗ったのは久しぶりだったな。最初に乗ったのは……俺と千歳が初めて一緒に旅した時に乗ったときか。

 本当はカシオペアに乗る予定だったが、切符が取れなくて、仕方なしに北斗星にした。

 初めてのときは小学校の2~3年だったかな。千歳の親も同行していて、それはそれで楽しかった。

 

 気付けば東の空が白み始めていて、夜明けが近づいてきた。

 青函トンネルを、機関車付け替えを、起きていながら見過ごしたことに、多少の後悔を覚えながらも、俺はラウンジを後にして自分の部屋に戻った。

 

 それからは自前のパソコンでただひたすら始末書を書いていた。

 食堂車で戦闘して装飾物破損、犯人と取引して失敗、その上DF51を2台故障などなど、書く事は沢山ある。まあ、飯田さんと打ち合わせして、始末書は折半して書く、ということにしてあるが。

 ということで、上野までに何とか終わらせた。

 始末書のデータをUSBメモリにコピーし、下車の準備をする。といっても、かたすのはパソコンだけだが。

 

 あ、そうそう。ベルニナの家族の安否だが、仕掛けた爆弾が不十分だったらしく、全員無事だということが判明した。

 なんでも、車が落ちた地点へ行くのが難しく、安否確認に時間がかかったのだそうだ。

 

 さてと、もうすぐ上野か。

 なんだかんだで濃い三日間だったな。

 俺達の処分はどうするんだろうかね。

 まあ、その判断は上層部がするし、その上層部も世論で大きく意見を変えるだろうけどね。

 ま、何とかなるか。

 

 荷物を持って部屋を出、皆と合流する。

 上野駅到着ホームは13番線。出発したときと同じホームだ。

 そこから階段、エスカレーターを使い、山手線・京浜東北線のホームへと上がる。

 どちらも同着だったので、迷わずに京浜東北線のほうに乗る。この時間は快速運転をしてるからな。

 御徒町で山手線を追い抜き、東京には先着した。

 そして、降りたその足で東京駅にある事務所に直行した。

 

 事務所には1班から3班の人たちが立って待っていてくれた。もう勤務時間なのに。

 そして、

 

「ウオオオオオオ!!」

 

 という歓声と拍手で部屋は包まれた。時々、

 

「今年の警四はスゲェ!」だの「よくやった!」だのと、俺達を褒めてくれる言葉も聞こえた。

 飯田さんも立って拍手をしてくれている。

 俺達は飯田さんの前に整列し、

 

 

「高山班長代理以下5名、ベルニナ殿下のお世話を終え、無事帰還しました! 警護中は飯田さんや五能隊長、公安隊員の皆さん……そして國鉄職員の方々に多大なご迷惑をおかけしました。 しかも……、しかも……」

 

「しっかりしなさいよ、高山!」

 

 

 言葉を詰まらせた高山に桜井が蹴りを軽く入れる。

 

 

「しかも、そんなご迷惑をかけても、皆さんが助けてくれたおかげで、こうして無事に帰ってくることが出来ました!本当に、本当にありがとうございました!」

 

 

 部屋はまた拍手で包まれた。

 そして、

 

 

「みんな、元気?」

 

「はい!」

 

 

 飯田さんからの質問に元気よく答える高山。そして、そのまま公安室全員にお礼を言いに行った。

 その間、俺と飯田さんは警四の部屋に戻り、始末書のデータが入ったUSBメモリを渡す。

 

 

「話し合いで決まった分はやってあります」

 

「ありがと~。無理しなくていいのよ?」

 

「いえ、好きでやってますから」

 

 

 と、ここで桜井たちも入ってきた。

 飯田さんはUSBメモリをポケットの中に入れた。

 ここで俺は疑問に思ったことを飯田さんに聞いた。

 

 

「飯田さん、俺らは研修終了ですか?」

 

「今のところはそんな感じになってるわね。でも、」

 

 

 といって、パソコンにとあるページを表示させた。

 それはニコニコ動画の生放送用ページで、通称ニコ生と呼ばれるものが表示されていた。

 それはどうやら記者会見場のようで、中央に映ってるテーブルの上には、マイクやらICレコーダーやらが置かれていた。

 そして、この記者会見を開いた人物が登場すると、画面がコメントで埋め尽くされた。

 まさに「お前らの愛で(ry」状態。

 飯田さんが困ったように笑い、コメントを消すと、そこに映ってたのはベルニナだった。

 

 

「この会見次第で決定するわね。今頃上層部も見ているんじゃないかしら」

 

 

 だろうな。世間体を気にする上層部だもの。

 

 

『今回の事件は大変でしたね。やはり國鉄の警護がよくなかったとお考えですか?』

 

 

 記者会見が始まった。のっけからRJの手先と思われる記者が質問した。

 

 

『そんなことは思っていません。僕が助かったのは、國鉄の公安隊員のおかげです』

 

『そうでしょうか?警護を研修生に任せっきりにした、との噂がありますが』

 

『はい、そうでした』

 

『では、そんな雑な対応を國鉄はしたということですね?』

 

『それは違います。今回の事件は全て僕の国で起こった権力闘争が原因です。日本政府には何の関係も、責任もありません。しかし、彼らはそんなことは何も考えず、命を懸けて僕を守ってくれました。もし彼らがいなければ、僕は死んでいたでしょう。

……いや、僕だけではありません。北斗星に乗っていた300名あまりの乗客の方々も、かもしれません。それを東京中央公安室、第四警戒班の彼らが救ってくれたのです。ありがとう、警四の皆さん!

 私は皆さんに心からの敬意を表すると共に、彼らのような青年のいる國鉄を、これからも応援したいと思っています。

あと、研修生に警護を依頼したのは、あくまで僕ですので、國鉄には何の責任もありません。寧ろ、僕の我侭を聞いてくださり、ありがとうございます』

 

 

 ベルニナからの予想外の言葉で、記者会見場はシャッターの音しか聞こえなくなる。

 丁度そのとき、警四の電話が鳴った。電話に出たのは飯田さんだ。

 

 

「はい、飯田です。………上層部の皆さんも会議室でご覧になりましたか。そうですか。……はい、彼らには引き続き研修を続けてもらいます。……はい、ありがとうございます」

 

 

 飯田さんは受話器を置いた。どうやら研修は続行らしい。

 ベルニナの名指しが効いたのかな。

 

 パソコンに目をやると、記者が別の質問をしていたところだった。

 

 

『殿下は日本で色々な場所に行かれましたが、何処か気に入った場所はありますか?』

 

 

 ベルニナは一瞬考えた後、

 

 

『日本の街はどこもきれいで、皆さん親切でした。でも……』

 

 

 ベルニナはまた考えた後、真剣な表情でこっち(カメラ)を見て、

 

 

『よかったのは高山です』

 

 

 と答えた。

 高山といえばうちの班長代理だが、場所としては飛騨高山で、世界遺産の白川郷のあるところだ。確か来日初日で行ってた気がする。

 

 

『高山って……あの白川郷のある?』

 

『高山はすごく素敵でした。僕は一生高山を忘れることは無いでしょう』

 

 

 またの思わぬ回答に会場の記者達も今度は戸惑う。

 

 

「にしてもベルニナは渋いところが好きなのな」

 

「そうですね……。東京でもいろんなところに行ってたはずなのに?」

 

 

 小海さんはあごに手を当て、不思議そうに考えていた。

 と、ここで岩泉が警棒をしまいながらとんでもないことを言った。

 

 

「今、高山のことを好きって言わなかったか?」

 

 

 俺含め、全員の視線が高山に集まる。

 高山は呆けたような顔をしていて、それを見た岩泉以外の三人がため息を吐く。

 

 

「ないない。何言ってるのよ、岩泉」

 

「そうですよ。ベルニナは男の子じゃないですか」

 

「何をどう聞き間違えたらそうなるんだよ」

 

 

 ましてや王子様だぞ?公の場でそんな事言うか?

 

 岩泉は、「ぼやっとしか聞いてなかったからな。すまん」と言って、この話はおしまいになった。

 ベルニナのほうも、別の質問になっていて、区切りは丁度いいだろう。

 

 久しぶりにやることが無く、ぼうっとしていると、桜井が何かを思い出したように立ち上がった。

 

 

「あ、そうだ高山! 約束! ちゃんと覚えているわよね!?」

 

「な、なんだよ」

 

「銃弾5発じゃ足りないって報告書!ちゃんと書いてよね!」

 

「わーったよ、やっとくよ」

 

「やる気なさそうね。ちゃんと書きなさいよ?」

 

「へいへい」

 

 

 相変わらず警四は騒がしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 こん○○は。

 2章の後半は気に入らなかったので直しました。

 誤字脱字などがありましたらご報告下さいますようお願いします。

 それでは。
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