装者がひたすら曇る御話(当社比)   作:作者B

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S.O.N.G.と人形と聖遺物少女

 後日談、というか今回のオチ。

 

 

 

 最後のなんかスゴイ虹竜巻攻撃のおかげで、私たちは無事ネフィリムを倒すことに成功した。その際、ネフィリムが吸収していたソロモンの杖は跡形もなく吹き飛んでしまったらしい。

 ちょっと火力高すぎたヤベッと思ったけど、ネフィリムのコアは存外頑丈だったらしくそちらは問題なく回収できた。しかも今まで吸収していたエネルギーもそのまま内包していたので、フロンティアの核に接続すればすぐにでも起動できるのだそうだ。

 よかった~。絶唱共鳴って結構疲れるし、もう一度やれってのはしんどかったからね。

 

 そしてネフィリムを倒した後、二課の面々が到着。司令官の風鳴弦十郎さん立会いの下、マムとドクターの手を借りて無事に月の軌道を修正できたのだった。

 だったのだが……

 

「響……いい加減離してくれないか?」

「ヤダ!」

 

 現在、私が護送されようとしているところを響に抱き留められている。

 

「だって離したら茜どこか行っちゃうじゃん! せっかく会えたのに……」

 

 私の問いかけに対して響は即答する。

 まぁ確かにそうだけど……でも仕方がないじゃん。私達、一応テロリストだし。流石に何のお咎めなしというのもね。

 

「心配するな、響君。茜君もマリア君たちも悪いようにはしないと約束する。またいつでも会えるようにこちらも全力を尽そう」

「うぅ……師匠ぉ……」

 

 弦十郎さんに説得されてもなお響は抱き着くのをやめない。ため息交じりに視線を逸らし未来やクリスちゃんに助けを求めるが、呆れたような顔をしながらも止めようとしない。

 

「まあまあ。我々は兎も角、ソフィア――もとい茜さんは厄ネタの塊ですからね。むしろ、日本政府に保護していただいた方が今は安全といえるでしょう」

 

 すると、いつの間にか近くに立っていたドクターがそんなことを言い始めた。いやまぁ確かにそうなんだけどさ。流石に厄ネタの塊とか言われるとちょっとショックだぞ。

 

「なーにしれっと仲間ズラしてるんデスか、米国政府へ尻尾を振ったくせに」

「おやおや心外ですねぇ。私は銃を突きつけられて仕方なく従わされた"可哀そうな被害者"ですよ?」

「なんという面の皮の厚さ」

 

 そんなやり取りをしているドクターに切ちゃんが噛みつくと、調ちゃんが呆れたようにため息をついた。その様子は一見険悪そうに見えるもののどこか楽しそうにも見える。

 何だかんだ皆仲良いなぁとほっこりした気持ちになっているが、このままというわけにもいかない。

 

「立花。あまり天月を困らせるな」

「翼さん……はい……」

 

 翼さんに説得され渋々といった感じで引き下がる響。ようやく解放された私は安堵のため息をついた。しかし響はそれでも納得できないのか私の服の袖を掴む。

 

「絶対にまた会いに行く。それに……」

 

 そう言って私は姉さんに視線を向けた。

 

「それに私が離れたら、姉さんが一人で夜寝られなそうだし」

「なっ、そ、ソフィア!」

 

 私の言葉に露骨に顔を引きつらせる姉さん。実際、今まで結構頻繁に一緒に寝ては夜泣きしてる姉さんをあやしてたもんだ。

 慌てぶりを生暖かい視線で見つめられ姉さんは顔を真っ赤にしていた。

 うん。やっぱり姉さんは可愛いなぁ。そんな姿を見ていると自然と笑みが零れてしまう。

 まぁそんなこんなで騒ぎながらも私たちは無事護送されることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

――――――――――

―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は流れて早数か月。

 米国政府はフロンティア起動の実行部隊をテロリスト扱いして丸ごと切り捨て、逆に私達"武装組織フィーネ"はテロリストを炙り出すためのエージェントということになったらしい。

 うまく利用された形になるが、姉さんたちが犯罪者として拘束され続けるよりはマシだろう。

 

 ただ、米国は道連れとして特異災害対策機動部二課とシンフォギアの存在を大々的に公表。その影響で二課は日本だけで抱えることができず、国連直轄の超常災害対策機動タスクフォース Squad(S.) of(O.) Nexus(N.) Guardians(G.)として再編されることになり、私達"元フィーネ"の面々もそこへ組み込まれることとなった。

 

 そして、特大爆弾である私はというと……意外なことに一般シンフォギア装者扱いでS.O.N.G.に加入するらしい。

 どゆこと?って思ってたら、なんとドクターがF.I.S.時代に上へ虚偽の報告をしていたそうで、曰く

『だって、馬鹿正直に報告したら米国政府に没収されちゃうじゃないですか~』

 とのこと。さらにF.I.S.から抜けるときに私のデータを念入りに破壊したらしく、米国としても"なんか怪しい経歴不明の孤児"ぐらいの情報しか持っていないとのことだ。

 

 恐ろしく自己中だけど、そのおかげで面倒な追手が来たり姉さんたちへの脅迫材料にならずに済みそうなので±0としておく。

 なので、私は表向きの身分であるレセプターチルドレン扱いになったそうだ。

 

 

 

 そんなこんなでノイズの脅威も沈静化し、姉さんは翼さんと共に海外へ歌姫デビュー。残った私たちは――

 

「まぁ、校舎の案内はこんなもんだな」

「ありがとう、クリス」

 

 割とあっさり響たちと再会でき、みんなと同じ私立リディアン音楽院へ編入したのだった。

 そして今日はクリス達に頼んで施設の案内をしてもらったのだ。

 

「まさか、また茜と一緒に学院へ通えるようになるなんてね」

「そうだな、未来。クリスはちゃんと馴染めているか?」

「保護者か! うまくやれてるっての!」

「うんうん。クリスちゃんはこの前も――」

「バカっ! オマエは余計なこと言うな!」

 

 うんうん、クリスちゃんは可愛いなぁ。

 ちなみに私は姉さんが海外へ行ったので一人暮らしをしているのだが、ドクターが手配してくれたマンションに住んでいるので徒歩通学である。

 

「そういえば響さんたちはソフィ――アカネと同じ学校に通ってたんデスよね?」

「そうだよ。懐かしいなぁ……茜と初めて会ったとき、子供が屋根に引っかけちゃった荷物を垂直壁走りで取ってあげてたんだよね」

「あとは、学内の部活すべてに体験入部という名の道場破りしてたりとか」

「……何か学校の思い出としては変じゃない?」

 

 調ちゃんが遠慮気味にツッコミを入れてくる。

 そうは言われても、あの時は有り余る身体能力を持て余してたからね仕方ないね。

 そんなこんなで話しているうちにふと空を見ると、日が暮れており空は茜色に染まっていた。

 もう夕方か……名残惜しいがそろそろ帰ろうかな。そう思って皆の方を見る。

 

「もうこんな時間か」

「いつの間に……じゃあ今日は解散しますか」

「そうだね。教室に荷物を取りに行かないと」

 

 そう言って私達は響&未来&私、切歌ちゃん&調ちゃん、クリスちゃんの三手に分かれ……ってあれ?

 

「どうしたんだ、茜? そんな不思議そうな顔であたしを見て」

 

 なんでクリスちゃんが私達3人と別の方向へ歩こうとしたんだ? 同じ学年なら階も同じはずだけど……

 そこまで思考しながら過去の思い出を振り返る。 野良猫のようにこちらを威嚇する初期クリスちゃん。餌付けして少しずつ距離が縮まる中期クリスちゃん。組み手で親交を深める後期クリスちゃん。

 そういえば、フィーネさんから年齢は聞いてなかったな。

 

「クリス」

「な、なんだよそんな改まって……」

「お前……年上だったんだな」

 

 あっ、クリスちゃんがずっこけた。響と未来は予想できていたのか苦笑いを浮かべている。

 

「いやなんでだよ! 3年近く一緒に暮らしてて、ずっと勘違いしてたってのか!?」

「クリスは妹力が高かったから、つい」

「なんだよ妹力って!」

「あ~なんとなくわかるかも。妹っていうよりは後輩? 愛されキャラって感じだよね、クリスは」

「どういう意味だ!?」

 

 私の言葉に同意した未来がそんなことを言い出し、クリスちゃんは怒り狂う。そして響は何も言わず生暖かい視線を向けていた。多分何か琴線に触れたんだろう。

 あっ、響がどつかれた。痛そう。

 そして二人のじゃれあいが始まった。本当に二人は仲がいいな、微笑ましい限りだ。

 

「イチャイチャしてないで、帰るぞ」

「お前が発端だろ! 第一、百歩譲ってイチャイチャするとしてもこのバカとするかっての!」

「ひっどーい、クリスちゃん!」

「あーよしよし、響には私がついてるからね」

「未来~」

 

 そんな風にわちゃわちゃ騒ぎながら教室で荷物を回収し終えると、寮に戻る響と未来を見送り、私たちもそれぞれの自宅へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……戻れればよかったんだけどなぁ。

 

「よ、よかった! 先に出会えた! ソフィア!」

 

 日も暮れはじめ周囲が暗くなり始めた頃。私が自宅へ帰宅する途中のことだった。突然何やら慌てた様子で私に駆け寄る少女が現れたのだ。背丈は小学生ほどで、目元を隠すほど深くかぶったフードからはくすんだ金髪が垂れている。

 

「今は何も聞かず一緒に来てください! 早く!」

「お前は――」

「困るんですよねぇ、勝手に抜けだされると。コチラにも段取りってものがあるんですよ?」

 

 私が困惑しながら問いかけようとした瞬間だった。フードの少女の後方から、青を基調としたゴスロリ風の容姿をした別の少女が現れた。

 

「ただまあ、本来のターゲットを見つけられたので結果オーライですね」

 

 彼女はそう言いながらこちらを見つめ、妖艶な笑みを浮かべる。

 とりあえず今言えることは、ただひとつ。早くも私は別の事件に巻き込まれそうってことだけだ。

 

 

 

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