はぁぁぁぁぁぁ、部活行きたくない。帰りたい。小町に癒されたい。
『貴方のやり方嫌いだわ』
『人の気持ちもっと考えてよ』
んなこと、言われなくてもわかってる…。俺自身、あんなやり方は嫌いだよ。お前らの気持ちはなんとなくだがわかってんだよ。…だけど、あの方法しかなかったんだよ…。
昨日は雪ノ下も由比ヶ浜も用事があるって休みだったけど、今日は部活あるんだよなぁ…。行きたくないって言っていても、もう部室の前なんだよなぁ…。恨むべきは社畜の血脈か…。
何言われるかなぁ…。
…よし!帰るか!
「そんなところに立っていないで早く入ってきなさい」
「ヒッキー、早く入るし!」
Oh!バレテーラ!
はぁ、仕方ねぇな。覚悟を決めるか。
「…うっす」
「こんにちは、比企谷君」
雪ノ下、目が怖ぇよ。
「や、やっはろー」
由比ヶ浜も挙動不審だし…。
さてと、とりあえず座り…。
「荷物を置いたら、そこに立ちなさい」
なんか、黒板の前を指されたんですが…。
「ヒッキー、早く!」
「は、はい…」
何?裁判でも始まるの?
「こ、ここでいいのか?」
「ええ」
二人がこっち来た。怖いよぉ、小町助けて!
「目を閉じなさい」
「い、痛いのは勘弁してください」
「黙りなさい!」
「はひぃ!」
ビンタとかされるのかな。
「ゆ、由比ヶ浜さん、いいわね」
「う、うん」
「せーのでいくわよ」
「う、うん」
やっぱり殴られるのか…。
「せーの!」
「せーの!」
…両頬に柔らかい感触が。
「目を…、開けてもいいわよ」
「お、おう」
二人して、赤い顔してモジモジしてる。
「あ、あの、何をしたんですか?」
「頑張って依頼を解消した比企谷君に労いとご褒美の…」
ゆ、雪ノ下さん、超絶可愛いですよ。
「うん、ほっぺに…ちゅーを…」
由比ヶ浜さんもお団子クシクシとか可愛いですよ。
…て、『ほっぺにちゅー』って言ったかこのお団子頭!!
「お、お前ら…」
「あら、足りなかった?だったら唇に…」
雪ノ下に頭ホールドされてるんですけど!近い近い近い!!
「ゆきのん、ズルい!それはまだって約束でしょ!」
「そ、そうだったわね、ごめんなさい。比企谷君の唇が魅力的だったから、つい…」
「と、とりあえず、理解が追いつかない。説明をしてくれ」
「そうね、紅茶を飲みながら話をしましょうか」
「そ、そうしてくれ…。あと、両腕にしがみつかれていると座れないです」
「もう、仕方ないなヒッキーは」
え?俺が悪いの?
ふぅ、とりあえず座れる。
…なんで、こんな座り方?いつもの由比ヶ浜の席に俺。右に由比ヶ浜、左に雪ノ下。しかも、超密着してるし!!由比ヶ浜のダブルメロンが!!雪ノ下の慎ましやかな夢と希望が!
「比企谷君、今失礼なこと考えなかった?」
「か、考えてないでしゅ、へい」
なんか噛んで長縄ま○あみたいになっちまったよ!
由比ヶ浜も勝ち誇った顔してんなよ!
「私だって…」
「雪ノ下はスレンダーでいいと思うぞ、脚とか超絶綺麗だし。な!な!」
「そ、そう…」
「むう!ゆきのんばっかり誉めてるし!」
「由比ヶ浜も可愛いぞ。な!」
「えへへ」
何なんだよ、この状況は!!
「せ、説明をそろそろお願いしたいのですが…」
「そうね…」
やっと離れてくれた…。危なく『理性の化物』が『本能の怪物』になるところだった。
「まずあの時、拒絶するようなことを言って、ごめんなさい」
「ヒッキー、ごめんなさい」
へ?何?謝られた?
「いやいや、あれは俺が暴走しただけであって、お前らは悪くないぞ」
「ね、ゆきのん。ヒッキーならそう言うって」
「そうね、思った通りだったわね」
何故、読まれていた…。雪ノ下ならまだしも、アホな娘・由比ヶ浜にも…。
「むぅ、ヒッキー、失礼なこと考えたでしょ」
「考えてないでしゅ、へい」
二回目の長○まりあ出ちゃったよ。
「比企谷君、あの時の言葉はね…その…」
モジモジ雪ノ下、通称『もじのん』…。センスないな。
「好きな人がね…、自分以外にね、嘘でも告白したのが嫌で…ね」
ん?ん?ん?雪ノ下さん、今なんておっしゃいました?
「その言葉は、私に言って欲しかったの…」
えっと…。はい?俺はあの時『ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください』だったかな?それを言って欲しかった?
…益々わからん。雪ノ下が?何故?
「わ、私もそう…かな…。ヒッキーに言われたら、即OKしちゃうかも…」
由比ヶ浜も?即OK?
「はぁ、由比ヶ浜さん。この男にはハッキリ言わないとダメみたいね」
「そうだね」
「比企谷君」
「お、おう」
「これは、雪ノ下雪乃の嘘偽りない本当の気持ちよ」
「おう」
「貴方が好きです」
「へ?」
ヤベッ!変な声出ちゃった。
「さぁ、由比ヶ浜さん」
「うん。ヒッキー…」
「おう」
「ヒッキーのことが好き…です。絶対にドッキリとか冗談じゃないよ」
「へ?」
雪ノ下が俺のことが好き?由比ヶ浜も俺のことが好き?
「答えは焦らなくていいわ」
「どうせ、ヒッキーはヘタレだから、すぐに答えられないでしょ」
「どちらを選んでも、どちらを選ばなくても、誰も恨みはしないわ」
「うん!…でも、ヒッキーとゆきのんなら三人でもいいかな」
「もう、由比ヶ浜さんたら」
あ~、考えることを放棄したい。
「ちゃんと考えてね」
「はぁ、わかったよ」
なんかややこしいことになったなぁ。
「それと…」
雪ノ下さん。太ももに手を置かないでください。
「私たちに隠してることあるわよね?」
「なんのことだ?」
「そう…」
雪ノ下さん。太もも撫でないでくださいね。変な気分になっちゃいますよ。
「言わないと、この手がだんたん上に行ってしまうかも…」
や、やめて!それ以上は!
「言う!言うから手を止めてくれ」
「あら、残念…」
アブナスだよ。
「海老名さんから依頼を受けていた」
「どんな?」
こっちを見ながら手を動かさないでください。
「…戸部の告白を止めて欲しいって」
はぁ、言っちまったよ。
「ヒッキー。まだあるよね」
由比ヶ浜さんまで太ももに手を…。
「教えてほしい…かな」
由比ヶ浜まで太もも撫でないで!Jr.が!Jr.が!エクスプロージョンしちゃうから!
「は、葉山からも依頼されてた!」
「隼人君はなんて?」
「戸部がフラレてグループが壊れないように現状維持を依頼された」
「やっと言ってくれた」
あの…、太もも撫でるのやめてください、二人とも。でも、やめてほしくない俺ガイル。
「悪かったな、話せなくて」
「ううん、ヒッキーは悪くないの。軽はずみで依頼を受けた私がいけないの…」
「そうね。私も由比ヶ浜さんに流されて受けてしまったから…」
「じゃあ、もうこの話は終わりだ。もとの席に…」
「それはダメ!」
「それはダメよ!」
チッ!流れでいけると思ったんだがな。
「んで、いつ気がついたんだ?」
「部屋に帰ってからね。もし比企谷君が私に同じことを言ってくれたらって考えてた時ね」
後半の情報いらないよね?
「あ~、ゆきのん!私も考えたよ」
お前もかい!
「その時、違和感を感じたのよ。海老名さんの返事は『誰とも付き合うつもりはない』。あの時は比企谷君の告白に対して、OKするのは問題外。『他に好きな人が居る』では、自分かも知れないと戸部君がそのあと告白する可能性がある。つまり、比企谷君は海老名さんがあの答えをすると知らなければ、あの嘘告白は出来ないのよ」
なるほど。
「つまり、海老名さんから依頼か相談をされないと知ることはないはず。おそらく、海老名さんが部室来て『男子同士仲良く』とは、自分と男子は友人以上にはなれないと言いたかったのよ」
「さすが雪ノ下だ」
「それともうひとつ。もう一人の依頼者である葉山君が、告白の邪魔をした比企谷君を怒るでもなく、苦い顔をして一言伝えてその場を去ったことね」
「御明察、参ったよ」
なんで雪ノ下は目を閉じてこっち向いてるの?
「雪ノ下、何してるの?」
「正解したご褒美を…頂戴…」
「は?」
「ご、ご褒美の、き、キスを…」
「ゆきのん、ずるい!」
「こ、これは正当な報酬を求めているだけよ」
「むう…」
「しないから安心しろ、由比ヶ浜」
「では、由比ヶ浜さんのいないところで…」
「しないからね」
しかし、雪ノ下と由比ヶ浜が色仕掛けとか…。なんでこうなるかね。
「それは姉さんからのアドバイスよ」
「おい、心を読むな」
「顔に書いてあったもの」
「あの人は…」
「ヒッキーは嫌…なの?」
嫌ではない…か。
「ほどほどにしてくれ。俺の身がもたない」
「比企谷君公認ということで、今日はうちに来なさい」
え?なんで?
「晩御飯をご馳走するわ」
「いや、小町が待ってるから…」
「小町ちゃんはOKだって」
いつの間に…。
「今夜は、ウナギにスッポンに山芋よ」
「お、おい…」
「冗談よ。パエリアでいいかしら?」
「おっ!あれ旨かったからな」
「むぅ。私もつくるし!」
「やめてください」
「由比ヶ浜さんは、私と一緒に作りましょう。桃缶はなしで」
「え~!美味しいじゃん」
ヒドイことになると思ったが、そんなことは杞憂だったな。こんなラブコメも悪くない。この先どうなるやら…。
「ヒッキー!早く行くよ!」
「比企谷君、早くしなさい」
「おう」
未来のことは未来の俺に任せよう。
この後、あざとい後輩に振り回されるのは、また別の話。
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息抜きです。アンチ・ヘイトを読むと、こんなんを書きたくなります。