―「君たち、1000年後の世界を体験してみないか?」
シャオに呼ばれ、艦橋に集まったあるふぃ、クオン、ALiCiAは、彼のあまりにも突拍子もない言葉に唖然とした。
「...えぇっと...というと?」
少しの沈黙の後、あるふぃが聞き返す。
「シバを倒した後、少し暇でね。ちょっと遠い未来を演算してみたんだ。その内容を、カリンとエリンに頼んでVR空間で再現してもらえるようにしたんだ。」
"暇だったから1000年後の未来を演算する。"
マザーシップの管理者がそんな適当で大丈夫なのか?
それにカリンとエリンもよく承諾したしよく再現できたな...
3人の中で色んなツッコミが頭に浮かぶが、そこにはあえてつっかからないようにした。
「他の皆は長期の任務中だから、ちょうどフリーになっていた君たち3人に声をかけたってわけだ。どうだい?遊んでみるかい?」
シャオの問いかけに3人は、「せっかくの機会だし」ということで、1000年後の世界を体験してみることにした。
「ちなみに今回は、試験的要素もあるから遊べるのは3日間だ。それじゃあ、いっておいで。」
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「それじゃあ、楽しんできてくださいねー!」
カリンの声が聞こえてすぐ、空間内の景色が一変する。
「「「これは.......!!!」」」
3人は目の前に映る景色に、驚愕を隠せなかった。
広がる平原、その少し先には火山や雪山、振り返れば桜色に染まった山、上空には謎の浮遊物もあった。
ナベリウスの原生生物に似た生物もいれば、まったく見たことのない生物もいる。
これが1000年後の世界...見渡す限りの絶景に、3人は高揚感で胸がいっぱいになった。
そんな3人に、エリンからの通信が入る。
「そのすぐ先に、セントラルシティという都市があります。そこで、色々と情報を得たり、その世界での動きに慣れていってくださいね。」
周りを取り囲む山々の中心に佇む都市、セントラルシティ。
なんでもそこは、アークスの活動拠点らしく、ここを中心に、各地に生息する敵性エネミーや新たな脅威"ドールズ"と呼ばれる生命体を調査、討伐しているらしい。
3人はそれぞれ、1000年後の世界を見て回ることにした。
様々なクラスを試したり、エステに通ってみたり、現地のアークスと交流してみたり...
さらに2日目からは、ちょうど任務から帰ってきた蝉時雨も加えた4人と、現地のアークスと協力して"絶望"という二つ名を持った強敵に挑んだりもした。
とにかく4人は、3日間でできることを全てやり尽くした。
「はい!3日間お疲れ様でしたー!いやぁ、たくさん良いデータが取れました!さっそくこれを持ち帰って...ふふふ...」
「カリンお姉ちゃん...気持ち悪い部分が出てるよ...」
無事、3日間の体験を終えた4人は、カリンとエリンの姉妹のやり取りを見つつ、その場をあとにした。
「綺麗な世界だったな...」
あるふぃが口を開く。
「時間ができたら、また行ってみたいですね。今度は、他の人たちも一緒に。」
クオンも、感慨深そうに話す。
「また見たいしねぇ...猫見つけた時のあるふぃの反応とか」
「んなっ!?」
ALiCiAの言葉に意表を突かれたのか、あるふぃは驚いて変な声を出す。
「...見てたのか........」
「南エアリオにいたアザラシみたいな動物を見つけた時も、普段は見せない反応してましたね。」
「クオン!?」
立て続けに責められたあるふぃは、大きなため息をついて肩を落とす。
「クオンちゃんも、戦闘が楽しすぎたのか、尻尾振った子犬みたいでかわいかったわよ?」
「んん...」
ALiCiAがニヤニヤしながらクオンを見つめる。
クオンは恥ずかしがり、そっとALiCiAから目をそらす。
その後はフランカ'sカフェに立ち寄り、それぞれが1000年後の世界で思ったこと、感じたこと、体験したことを話し合った。
各クラスの使用感や新しい移動方法などの会話から始まり、惑星ハルファ、新たなる脅威"ドールズ"、星渡り...
様々な仮説や憶測が飛び交い、そうじゃないこうじゃないと、言葉を投げ合う。
1日で語り尽くすには時間が足りないくらい、4人は話し合った。
「...そろそろ寝る時間ですかね。」
蝉時雨が、話を切り上げようとする。
「明日からまた任務か?」
「えぇ。明日の早朝から、ナベリウスの遺跡調査があるので。」
「そうか...それじゃあ今日はこのあたりで解散するか。2人もそれで構わないな?」
あるふぃの振りに、クオンとALiCiAは軽くうなずく。
3日間の貴重な体験は無事終わった。
それが本当の未来かどうかは、今の私たちに知る由はない。
ただあの世界は、皆が口を揃えて「また行きたい」と言えるほどに美しく、楽しかった。
全知存在すら知らない未来。
シャオの演算によって、遥か遠い未来を体験した4人が感じた事。
あの世界を、より多くの仲間に見てもらいたい。
あの未来を、自分たちの手で現実にしていきたい。
その思いを胸に、私たちは明日も歩み続ける。