大崎さんには負けられない。   作:バナハロ

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お誕生日

「ふぅ……こんなものかな」

 

 大崎甘奈は、飾り付けを終えた部屋を見て、ほっと一息つく。完璧だ。ツリー、垂れ幕、紙の花、くす玉、全てが程よく並べられている。

 後は、彼がケーキを用意してくれるのを待つだけだ。……というか、彼は今、どんな塩梅だろう? 様子を見に行こうか……と、思い、部屋を出ようとした時だ。ちょうど良いタイミングで秀辛が部屋に入ってきた。

 

「終わったか?」

「うん、終わったよ。そっちは?」

「終わった」

 

 なら良かった、と甘奈は胸を撫で下ろす。これで準備は完璧だ。

 

「どうする? もう始める?」

「そうだね。じゃあ、甘奈が甜花ちゃん呼んで……」

「あー待て待て。俺が呼びに行くから。大崎はベランダで待ってて」

「え、な、何でベランダ……?」

「や、ほら。サプライズでしょ? 俺が『入って来い』って言ったら、甜花が入って来るから、それと同時にベランダから入ってきて、クラッカーでも鳴らしてやれよ」

「なるほど……」

 

 悪くない、悪くないな……と、思いつつ頷いた。

 

「うん、それでいこう」

「じゃ、はい」

 

 部屋の中に掛かっているハンガーから、秀辛はコートを差し出す。

 

「外寒いから、防寒しとけよ」

「……あ、ありがと……」

「じゃ、呼んで来る」

 

 それだけ言うと、秀辛は廊下に出ていった。別に、ここは甘奈の部屋なのだし、コートなんてわざわざ貸してくれることなんてない。

 でも、そういう気遣いが、何だか嬉しい。もうコートなんていらないくらい、頬が熱くなっているのを感じながらも、一応秀辛のコートに身を包んで、ベランダに出た。

 

「……ほっ」

 

 不思議と、外は寒くない。コートのお陰だけではない。頭についてる二つのおだんご、彼の頬についた生地を取った指と、それを舐めとった口、全てが暖かく感じる。

 もう、とっくに気が付いていた。この気持ちが、恋である事は。何度か猛烈にアタックしてみて、彼自身は少なからず自分を意識してくれていると思う。

 でも、甘奈は告白するつもりは無かった。何故なら、間違いなく今の関係が崩れてしまうから。

 彼と二人きりで遊ぶのも楽しいけど、甜花も一緒に三人で遊ぶのも同じくらい楽しいのだ。それは、彼自身も同じ考えなんだと思う。文化祭でも「二人より三人」と言っていた。

 

「……」

 

 恋人になれてもなれなくても、今の関係は必ず崩れる。ああ見えて、秀辛はメンタルが弱いのだ。ちょっとしたことで気まずさを感じてしまうのだ。

 そうこうしてるうちに、扉が開く音がする。その後に続いて「入ってこい!」という言葉が聞こえた。出番のようだ。

 ま、しばらくはこのままで良い。彼とは友達以上、恋人未満の関係を続けたいと考えている。この関係が、心地よいから。

 そう思いつつ、ベランダから飛び出し、クラッカーを鳴らした。

 

「甜花ちゃん、誕生日おめでとう〜!」

「なーちゃん、お誕生日、おめでとう……!」

 

 ほぼ同時だった。流石、双子。部屋に入った大崎は目を丸くして固まってしまい、甜花も驚いたようにケーキを構えて固まる。

 

「「……え?」」

 

 あれっ? と、二人して目を丸くしつつ、中心にいる片足ギプス男に目を向ける。

 

「ひ、ヒデくん……? ど、どういう……こと?」

「甜花ちゃんのサプライズって、甘奈……言ったと……」

「……という、お悩み相談が二件ほど届いた為、それらを解決するような解答を用意しました」

「「……」」

 

 二人して、目を丸くしてお互いを見る。嬉しさで、頬が赤く染まっていくのを少なからず感じていた。

 そこから先の動きは、お互いに緩やか且つ衝動的なものだった。気がつけば、クラッカーを放り投げ……或いは、ケーキを机の上に置き、お互いにハグしていた。

 

「うええ〜……! 甜花ちゃーん、ありがとー!」

「にへへっ……! な、なーちゃん……こちらこそ、ありがとう……!」

 

 お互い、目尻に涙を浮かべながら、キスする勢いで抱き合っていた。やはり、これが正解だ。このまま三人で仲良く、友情の三角関係のままでいたい。

 もしかしたら、これから先、甜花が他の男の人を無自覚に惚れさせてしまうかもしれない。或いは、秀辛がこの前のナースさんのように惚れてしまうかもしれない。

 それでも、甘奈はこの二人を手放したくない。だから、全力でこの関係を維持する。そう心に強く決めた。

 

「ちなみに、部屋の飾り付けは大崎がやったし、このケーキは甜花が作った。二人とも、お互いにサプライズするため、一生懸命動いてたよ」

 

 その二人に、横から秀辛が口を挟む。その意外なセリフに、一度甘奈は甜花から離れ、目を丸くしながら、ケーキを見下ろす。

 

「ええっ⁉︎ じ、じゃあ……この美味しそうなチョコレートケーキも、甜花ちゃんが?」

「う、うん……おいし、そう……?」

「うん! すごいよ、甜花ちゃん!」

「にへへ……あ、ありがと……なーちゃんも、お部屋の飾り付け、綺麗……」

「うん。ヒデちゃんから色々キーホルダーとか借りたんだよ」

「……あのプラウラーも?」

「うん! 手作りだって」

 

 そのままさらに深く抱きしめあった。ホント、頬にキスでもするんじゃないか、というほどだ。

 隣でその様子を眺めながら合掌しているバカを捨て置いて、甘奈はすぐに声を掛けた。

 

「よし、そうと決まれば早く食べようよ! ……あ、でもその前に写真撮らないと」

「そう、だね……!」

「じゃ、俺撮るよ。二人とも、並んで」

「ありがとう……!」

 

 ようやく、合掌を解いた秀辛はスマホを構える。ケーキが置かれたちゃぶ台の後ろにあるベッドに二人揃って並んで座り、肩と肩をくっ付けてピースする。

 その様子を、ケーキも映るように秀辛はスマホに収めた。

 

「ど、どう……?」

「可愛く撮れてるっ?」

「うん。尊い」

「いやそれは聞いてないんだけど……」

 

 適当な返事にげんなりしつつ、秀辛はその写真を三人のグループチェインに送った。

 

「じゃ、食べるか」

「え? 待ってよ」

「? なんで?」

「……ひ、ヒデくんも……映らないと……」

 

 二人で誘ったが、目の前の男はキョトンと小首を傾げている。本当にこういう時はアホっぽいツラをしている男だ。

 

「俺今日誕生日じゃないよ?」

 

 というか、アホそのものなのだろう。仕方なさそうなため息をついた甘奈は、わざわざ立ち上がると秀辛の手を引いた。

 

「そういうの関係ないから。せっかく、三人でお祝いしてるんだから、三人で撮るの」

「え、あそう……でも俺真ん中にするのはやめてね」

「甜花ちゃん、少し詰めて。この人隣に来るから」

「うん……!」

「お前ら話聞いてる?」

 

 完全に無視して、真ん中に秀辛を置く。少し前に三人で自撮りをした時は、甜花が真ん中だった。甘奈は写真を撮るから端っこじゃなければならない、とか、二人とも甜花が好きだから、とか色々と理由はあった。

 が、今は真ん中に甜花を置かなくても写真を撮れるようになっている。それだけでも、二人の仲が少し良くなったことを示していた。

 あの後、今度は甘奈+秀辛とか、甜花+秀辛とか、わざわざ全てのパターンを用意し、ようやく食べるターンに回った。

 秀辛が切り分けるために包丁とフォークを手に取ったが、それを甜花が横からとる。

 

「甜花が、やる……!」

「ん、ああそう」

「あ、ヒデちゃん。飲み物たくさんあるけど何が良い?」

「や、俺入れるよ」

「良いから。これくらいで気を遣わなくて良いよ」

「じゃあ……サイダー」

「はいはい。甜花ちゃんは?」

「甜花も、同じ……!」

「じゃあ、甘奈も同じで良いや」

 

 そう言って、準備を完全に完了させ、三人でグラスを持った。

 

「よし、じゃあ……改めまして!」

「二人とも、誕生日おめでとう!」

「め、めりーくりすましゅ……!」

「甜花ちゃん誕生日おめでとう!」

「「「いや、合わせてよ!」」」

 

 見事にバラバラな掛け声と共に乾杯した。

 さて、ようやくご賞味する時となった。甘奈がフォークを持ち、目の前にあるケーキの先端を割く。

 その様子を、甜花は緊張気味にゴクリと唾を飲み込む。

 

「今、改めて思えば……甜花ちゃんに料理を教えるってアレ、本当に実践用に教えてたんだねー」

「まぁな」

 

 そんな話をしながら、口に運んだ。舌の上に乗せた直後、甘奈は思わず目を見開いてしまった。

 

「っ、おいひい! これ、ホントに甜花ちゃんが作ったの……⁉︎」

「に、にへへっ……やった……!」

「やったな」

 

 甜花とハイタッチする秀辛を前に、二口目を運んだ。

 

「良かった……さっき、台所で舐めてた時は、感想聞けなかったから……」

「あん? そりゃお前、アレまだ焼く前の生地だから……」

「え? ち、ちょっと待って……甜花ちゃん」

 

 秀辛の台詞を遮って、甘奈が口を挟んだ。その表情はほんのり赤く、その時点で秀辛は「あっ……」と言わんとすることを察してしまった。

 

「も、もしかしてさ……甘奈が、ヒデちゃんの頬についてたの、舐めたの……見てた、の……?」

「……」

 

 それを聞いて、甜花はしばらく真顔のまま見つめ返す。え、甜花の顔がここまで真顔になることある? と聞きたくなる程の真顔だ。

 お陰でドッドッドッ……と、心音が加速する。有罪か、無罪か……あるいは天国か地獄か……神は振り上げた小槌をどう振り下ろすのか、審判の時を待った。

 やがて、神は動き始める。スマホを取り出し、その上を指で滑らせ、一枚の写真を選択した。

 そこには、一枚の写真が写されていた。……完璧なアングルにより、キスしようとしているように見える自分の写真が。

 

「わー! や、やめて〜!」

「なーちゃん、大胆……!」

「消して〜!」

 

 慌てて甘奈は甜花に掴み掛かる。

 甘奈が大崎を押し倒し、まるで組んず解れつしているように見える絵になり、再び合掌しているバカがいたが、その裏では甘奈は耳元で甜花に囁いていた。

 

「……あ、あとで……送ってくれ、る……?」

「……にへへ、もちろん……!」

 

 秀辛に見えないよう、親指を立てて応えた。

 

 ×××

 

 さて、それから三人はケーキを食べながらゲームをした。パーティ用のゲームをSwit○hで行い、メチャクチャ盛り上がって来た。

 しかし、流石に目の疲れを感じてきたので、三人とも一旦、コントローラを置いた。

 

「ふぅ……休憩」

「だな。腰痛いわ」

 

 腰をトントンと叩きつつ、秀辛がふと自分の鞄に目をやったのを、甘奈は見逃さなかった。先程から、ゲームをやっている最中も、チラチラと鞄を見ている。

 何となくだが、甘奈には何を気にしているのか分かってしまったが、逆に分からないこともあった。

 おそらく、プレゼントを渡す機会を窺っているのだろうが、そのくらいで彼がヒヨるのは珍しい。一体、何を買ってきたのだろうか? 

 何にしても、こちらから機会をあげる事にした。少し図々しいセリフな気もするが、用意しておきながら渡せない、というのは可哀想なので聞く事にした。

 

「ヒデちゃん、そういえばプレゼントはくれないの?」

「っ、え、な、何……?」

「や、だからプレゼント」

 

 やはり、狼狽えている。そんな中、甜花も顔を出した。

 

「わっ……あ、あるの……?」

「ま、まぁ一応……?」

「やった……な、なんだろう。にへへ……」

 

 ……何か噛み合わない空気。何故、少し恥ずかしそうにしているのか? 

 

「ヒデちゃん、どうしたの?」

「あ、あー……いや……欲しい?」

「え、何その質問。何渡すつもりなの?」

「……」

 

 これは……失敗したかも、と甘奈は冷や汗を流す。多分、本人的にはかなり大きな賭けに出たのだろう。彼のペースで受け取った方が良かったかもしれない。

 だが、それはいらない覚悟だ。例え趣味の範囲外であっても、彼から物を貰えるのであれば普通に嬉しいことだ。

 

「……大したもんじゃねえぞ?」

「それでも良いよ。気持ちが嬉しいから。……ね、甜花ちゃん?」

「う、うん……! 欲を言えば、そろそろ新しいコントローラーが欲しい……!」

「うぐっ……!」

「て、甜花ちゃーん!」

 

 割と空気が読めていない姉は置いといて、すぐに甘奈は話を戻した。

 

「と、とにかく! 何もらっても甘奈は喜ぶから、だから自信持って!」

「……じ、じゃあ……」

 

 こういう面は、少し可愛いかも、と思わないでもない。

 すると、秀辛は渋々、鞄を手に取って中を確認する。チラリ、と中を見てから、甘奈と甜花を見た。

 

「……や、やっぱりもう少し待ってくれない?」

「ホントにいくじなしだなぁ……」

「うぐっ……」

 

 ついさっきも言った気がする言葉を聞き、秀辛は冷や汗を流してたじろぐ。

 

「……笑わない?」

「笑わない」

「趣味じゃなくても?」

「じゃなくても」

「……いらなかったらいらないで良いけど、俺が見てる前で捨てな」

「捨てないよ。ていうか、普通にしつこい」

「……」

 

 ……そこまで言われてしまっては、秀辛も観念するしかないようで、鞄からそれを取り出し……取り、出し……取……。

 

「早く!」

「っ〜〜〜! あーわかったよ! もってけドロボウ!」

「ドロボウ⁉︎ って、わぷっ……!」

「ひゃうっ……⁉︎」

 

 二人の顔面に、プレゼントが直撃する。恐る恐る甘奈がそのプレゼントを顔から取ると、マフラーだった。冬っぽい白とグレー……いや、シルバーとグレーの迷彩柄のマフラーだった。

 所々、薄いピンクが見え隠れしていて、雪解けの後に訪れる春を想起させる柄となっていた。そして、マフラーの先端には「Amana Osaki」という筆記体と、その最後にアサルトライフルの刺繍が小さく入っている。

 

「わっ……す、すごい! すごく綺麗⁉︎」

「なーちゃんの……マフラー?」

「うん! ほら、見て見て甜花ちゃん!」

「ほ、ホントだ……。綺麗……!」

「甜花ちゃんのは?」

「にへへ……甜花は、手袋……!」

 

 そういう甜花の手袋は、濃紺と青の迷彩手袋だった。手首の部分には白いファーのようなモコモコしたデザインになっていて、指を入れる部分は親指を除いて4本まるまる包む袋のようになっていて、手首を包むファーの手前には「Tenka Osaki」と筆記体で入っている上に、名前の後ろにはスナイパーライフルの刺繍がついている。

 二つとも、銃のアイコンと迷彩柄であるにも関わらず、軍人的な多生臭さと鉄臭さを微塵も感じさせないようになっていた。

 

「わー! 甜花ちゃんのも、クールで可愛いね!」

「う、うん……! 綺麗だし、カッコ良い……!」

「これ何処で買ったの……何してんの?」

 

 ガバッと秀辛の方を見ると、ベッドの上で布団にくるまっていた。人のベッドで何してるんだこの人は。

 

「ねぇ、何してるの?」

「わ、わーわーわー! 聞こえなーい! 辛口レビューは受け付けてませーん!」

「いや全然、辛口じゃないんだけど……」

 

 ……どこにそこまで照れる必要があるのか……。いい加減、勉学と運動神経の能力値ゼロにした代わりに芸術面に振り切っている事を自覚して欲しい所だ。

 

「ヒデちゃん、落ち着いて? ホント嬉しいから……」

「死ーぬー!」

「甜花ちゃん……」

「ひぃん……て、甜花に振られても、困る……」

 

 二人して困った顔を浮かべる中、秀辛は布団から出て来ない。まぁ、もうしばらく放っておく事にして、改めて手袋とマフラーを見る。わざわざ刺繍を入れてもらうなんて、相当お金が掛かったんじゃないだろうか? 

 生地自体は、決して高いものではないのだろうが、デザインがその点を補うどころか余っている。

 ……というか、ホント何処で買ったのだろうか? 女性向けデザインとミリタリーを重複させ、どちらのイメージも消さず、かと言ってどっち付かずにもならないデザインなんて、簡単に出来ることではない。そもそも、その矛盾と言える立ち位置のアクセサリーを売っているお店が気になる。

 

「……ヒデちゃん、これホントどこで買ったの?」

「こーろーせーよー! どうせ俺なんかダメ人間だよー!」

「話聞いてくれないと足を蹴るよ」

「……」

 

 言われて、布団を被ったまま渋々、振り返る秀辛。

 

「……え、えっと……何処で、っつーか……まぁ……」

「うん」

「…………自分で、編んだと言うか…………」

「「……はい?」」

「ああああああああッ! 死にたいいいいいいい!」

「い、いやいやいやいや。落ち着いて、ホント」

「恥ずかしいいいいいい!」

「そういう嘘良いから。どこで買ったの?」

「だーかーらー! じーさーくー!」

 

 何でこんなに今日は会話にならないのかこの男は……と、軽く引いていると、甜花が甘奈の肩を突っついた。

 

「なーちゃん、なーちゃん……」

「何?」

「デザインから、見て取れるキーワードでググったけど、無いよ……? このマフラーと手袋……」

「え?」

「というか……このマフラーも手袋も、作ったお店や会社の名前やアイコンも入ってないし……もしかして、本当に……」

「……」

 

 二人して、改めて秀辛を見る。なんと言うべきか……本当にこの人、何なのだろうか? 人間? 

 いや、それ以前に、だ。そもそもここ最近はかなり忙しかったはずだ。なにせ、今日まで期末テスト。そうでなくても飾り付けの相談に甜花のケーキ作りの手伝い……わざわざ、今日の為に何もかも用意してくれたみたいだ。

 

「……」

 

 それを思うと、再び嬉しさが込み上げてくる。頬が赤く染まり、胸の奥が再びドキドキと高速で動き出す。

 他人の為にここまで尽くせる。そう考えるだけで彼に対する想いが、再び溢れ出そうになって来ていた。

 

「……なーちゃん?」

 

 甜花に呼ばれたのも無視して、甘奈は正面から布団を剥がしながら、秀辛を抱き締めてしまった。

 

「っ、な、なんだよ大崎⁉︎」

「……ありがとう、ヒデちゃん。これ、大事にするね……?」

「え? あ、ど、どうも……って、あれ?」

 

 今更になってハグされてる事に気がついたようで、目をパチパチと瞬きさせる。それと同時に、甜花がスマホを構えているのに気付いたが、それを止める気力が無いほど、半ば放心していた。

 

「お、オオサキさん……?」

「甘奈と、甜花を……来年もよろしくね」

 

 まるで年末みたいな事を言いながらハグされ続け、胸やら何やらがしっかりと当たっていた秀辛は、オーバーヒートして気絶した。

 

 

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