キングダムハーツTRPG ~world to be purified~ バックストーリー side:ドレイク 作:matosonnu
原作:キングダムハーツ
タグ:オリ主 残酷な描写 キングダムハーツTRPG キングダムハーツ
パートナーから今まで見たこともないハートレスが現れたと聞かされ、
明日は俺もそっちに合流するといったが…
これはドレイクが悲しみを乗り越え「過ぎ去りし思い出」を手にするまでのお話
ここは俺のいつもの場所。任務以外でほかの世界に行くのは禁止されているけど、報告前の寄り道ならまだ任務の途中だからセーフだっていつも心に言い聞かせてる。
ここから見る景色はいつまでも見ていられる。満天の星空のなか、時たま見える流れ星。
でも、そんな星もいつも同じように見えるわけじゃない。
増えたり減ったり、そんなことまでわかるようになってきた。
超新星爆発、星は消えるときに最後に大きな爆発が起きて、その光になってようやく見える星もあるんだとか。この前調べてみて、少し切ないなと思った。
だって俺がその星に出会った時には、もうその星はなくなってこの世界に存在しないってことだろ…?
初めましてがさようならに直結してるなんて悲しすぎる。
「あっ!いたいた!やっぱりここだと思ったよドレイク!」
また来た…
「はぁ…またお前か…任務の後くらい一人にしてくれっていつも言ってるだろ?」
こいつは俺のパートナー、名前は「サキ」まぁ、正式なパートナーなんてものはなくて、たまたま任務が重なることが多くて、たまたま同じユニオンで、たまたま同じ場所にいることが多いってだけ。悪い気はしないけど。
「今日も天体観測?飽きないねー。私もここはすごく好きだから気持ちはわかるけどさ!」
あどけない表情で笑うサキ。こいつのこの顔嫌いじゃないな。
ほんというと、ここで天体観測してると必ずサキが俺のことを見つけてくれるから。だからここで待ってるんだサキを。
「別に飽きたりしないよ、俺この景色好きだし。で、今日の任務はどうだったんだ?俺がいなくてもちゃんとやれた?」
「うん!ばっちり!…と言いたいところだったんだけど、ちょーっと様子のおかしいハートレスがいてね…」
「様子のおかしいハートレスって…?」
「エンブレムでもピュアブラッドでもないハートレスでね、なんかうねうね気持ち悪かったけどやたら強くてさ…怪我人が出ちゃったから、その人のお見舞いで今日は来るの遅れちゃった、ごめんね?」
そう優しいやつなんだこいつ。でもそっか…そんなに手ごわいハートレスが現れたのか…サキだって弱いわけじゃないけど、俺が守れたら。俺がそばにいれたらな…
「今俺がいたらなって思ってたでしょ?」
サキがドレイクの顔を覗き込みニヤッと笑う。
「はっ!?別にそんなこと思ってないって。」
ドレイクは逃げるように顔をそらす。
ふふふと笑い嬉しそうな表情をするサキ。
「はいはい!不愛想だけどちゃんと周りのこと心配できてるドレイクのこと、私好きだよ!」
「はぁ…何度目の告白だよ。」
「えーっと…ちょうど今日で一年分かな?」
日数なんて覚えてるのかよ。
「明日は俺の任務が片付いたらそっちに合流するよ。怪我人が出るほどのハートレスだろ?」
っていうのは建前で、俺はサキを守りたい。毎日同じようにルクス集めの任務、モチベーションを保てているのもサキのおかげだから。怪我なんかさせたくない。
「いいっていいってドレイクは優秀だから、他の人よりもノルマ高いじゃん?私たちのお手伝いまでさせられないよ。」
サキが申し訳なさそうに手を振る。
「いや、その様子のおかしいハートレスも見ておきたいし、明日は早めに任務に出て、合流できるようにするよ。(サキのことも心配だしな…)」
「え?今なんて言ったの?」
「何でもないよ。さぁ、今日はもう帰ろう。俺まだ予知者様に報告してないし。」
「もーーーっ!わかりましたよーだっ!」
サキが悔しそうな、けど、楽しそうな顔で俺を見つめてくる。
この先もずっと一緒にいたい。ここで同じように星を眺めて、他愛ない会話をして笑って。
失いたくない、大事な人だから、俺が守りたい。
そう思ってたんだ…
訃報が届いたのは、そんなことを思っていた翌日の午後。
「ドレイク君。」
ちょうど任務を終えたとき、予知者インヴィが異空の回廊から姿を現した。
「どうしたんですか?今日のノルマならたった今終わりましたけど…?」
いやな予感がした。確かに今日は早い時間にノルマをこなした。これからサキ達に合流する予定だったんだが。
「話はデイブレイクタウンに戻ってからにしましょう。」
まるで話がつかめない。そんなに急いで俺をどこに…?
デイブレイクタウンに戻ってきたインヴィとドレイク。異空の回廊を抜けた先は医務室だった。誰かがベッドに横になっており、数名のキーブレード使いがすすり泣いているのが聞こえてくる。
いやな汗が背中を流れていく。
「行ってちょうだい…」
インヴィが言葉を言い終わる前に、ドレイクの体は動き出していた。
横になっていたのはサキだった。鋭く体を引き裂かれており、止血のために大量のガーゼが血に塗れている。
しかし、傷口には今まで見たことも感じたこともないような闇がとり憑いていて、癒しの魔法をかける者もいたが、まったく効果を発揮していなかった。
嘘だ…俺が守るって決めたのに…なのにどうして間に合わなかった…?
「あ…ドレイクだ…」
サキが苦しそうに、嬉しそうにドレイクの顔を見て笑顔になる。そんな余裕なんてきっとないはずなのに、いつもの笑顔を作ろうとしている。
「なんで…どうしてっ!何にやられたんだよ!!お前がしくじるなんてことっ…!」
「うーん…なんでかなぁ、ドレイクを守りたかったからかな…今日の任務は特別危険だったから…早く終わらせないと…ドレイクが怪我しちゃうと思って…へへへ、私ドジしちゃった…」
そんなこと…逆だろ…俺がお前を守るって、なのに…
「違うの、私たちのせいなの…」
キーブレード使いが泣きながら言葉を発する。
「サキが庇ってくれて、私があの異様なハートレスにやられそうになった時…とっさに庇ってくれて…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
気持ちが溢れてキーブレード使いは大声をあげて泣き出してしまう。
違う…誰のせいでもない…!実力が足りてないことなんて、俺達には日常茶飯事で、そういう任務こそ仲間と手を取り合ってくぐりぬけて…それが光の、心の強さで…
サキの傷口に取りついている闇が濃くなる。苦しそうに声を上げるサキ。ドレイクはどうにか闇を払おうと、スターライトを出現させ傷口にかざすが、この世のものとは思えない存在に心を盗み見されるような感覚に襲われる。
「な、なんだこの闇は…!」
どうすればいい…?この闇を払わなくちゃケアルも効かないのに…
「ねぇドレイク…?私ね…ドレイクにずっと憧れてたんだ。冷静で、強くて…不器用だけどちゃんと仲間思いで…自分のことよりも他人を優先しようとするドレイクが…」
声が小さすぎてすぐそばにいたドレイクにも聞き取れていなかった。
でもそれは、サキが最後にドレイクに伝えたかった。大切な思い。
傷口に取りついていた闇が消える。
サキはもうしゃべらない。
「サキ…?サキ!!!おい!!目ぇ開けろって!!なんだよ!?俺がどうしたんだよ!?聞かせろよ…元気な声で…いつもみたいに…なぁ…」
ドレイクはサキが眠る横で、膝をついて俯く。泣きじゃくるキーブレード使い達。インヴィも仮面の下から涙が流れていくのが見て取れる。
サキは亡くなった。
守れなかった。
守ると誓ったのに。
守れなかった。
俺がもっと早く任務を、ノルマをこなしていれば…救えたはずなのに。
それから俺は一週間、抜け殻のように生活していた。
任務には出てノルマはこなす。でもそこに感情は、「心」は存在しない。
一番大切なものをなくしてしまったから。
そんな時、インヴィ様が俺の元を訪れて、一通の手紙を渡してきた。
「サキちゃんの部屋にそれが、あなたに向けてね。それから…ごめんなさい。あの任務は私の采配ミスだった…本当にごめんなさい。」
違うって…誰のせいでもない…謝らないでください…
もうこれ以上俺に辛い現実を見せつけないでくれ…頼む…
俺は手紙を開けた
確かにサキの文字だった。
「ドレイクへ
この手紙が君の手元にあるってことは、たぶん私に何かあったってことになるのかなー?
次の任務ね、なんか嫌な予感がして…だから私の想いをここに綴ります。
ねぇドレイク?初めて会った時のこと覚えてる?たまたま任務が一緒になって、その後どこかに行くドレイクに、私がこっそりついていったんだよね。私はちゃんと覚えてるよ。
あそこの星空見せてくれて、教えてくれてありがとうね!ほんとに素敵な満点の星空で!流れ星にも何回もお願いしたよこの先もドレイクと一緒にいられるようにって!
…でも、これを見てるってことは私はもう…
私ね、ドレイクのこと大好きだよ!自分よりも他人を優先して行動できるところとか、クールぶってるけど、実は子供っぽいところとか、冷静で、後先考えて行動できるところとか!他にもいろいろ…!でも一番好きな君は、天体観測をしているときの、キラキラした瞳をした君の横顔。私はそれを楽しみに君のそばにいたんだよ。
ねぇ、私がいなくなったら寂しいかな…?前向けなくなっちゃうかな…私はドレイクがいなくなったら嫌だな…
悲しくて…キーブレード握れなくなっちゃうかも。
ドレイク…もし私がいなくなっても、しっかり前を向いてね。そばにいなくても、私たちの心は繋がってるよ。
いつもの場所で待ってるから。必ず会いに来てね。約束だよ。
大好きだよ
サキより」
それはサキからの等身大の想い。
手紙が涙で滲んでいく。俺は強くもない…クールでも冷静でもない…
ただ…お前の想いにこたえてやれなくて…
サキ…サキ…
体が勝手に動いていた。
いつもの場所。
きっとサキは待ってくれている。
行かなくちゃ。
満天の星空の世界。ここはドレイクとサキのいつもの場所。
「サキ!ごめん…俺は…!ずっとお前に!!」
その時、ドレイクの背後で光の気配がした。
覚えのある感覚。サキが隣にいた時と同じ安心感。
「サキっ!?」
振り返ろうとした時、後ろに現れたサキに止められる。
「振り向かないで、前だけ向いて。やっと来てくれたね…手紙読んでくれた?」
ドレイクは振り返らず、前を向いたままうなずく。
「ならよかった。私…最後まで自分らしく戦ったよ。みんなの力で、私を殺したハートレスは倒すことができた。だからね、私の代わりにみんなを守ってあげてほしいな。みんなにはまだこっちには来てほしくないの。」
こんな時まで…自分よりも他人の心配かよ…
「そんなこと言われなくてもわかってる。全部守るよ。サキの大事なもの全部、俺が守る。だから安心してそこから見守っていてくれ。」
「良かった…いつものドレイクだ…ドレイク!」
「サキ!!」
ドレイクがサキの言葉を遮る。
「え?」
「俺…お前のことが大好きだったよ。お前の笑顔が好きだった。隣にいてくれると安心して、明日も頑張ろうって思ったんだ。今まで答えてやれなくてごめん。大好きだったよ。」
涙がこぼれる。きっとお互い顔を合わせられるような表情はしていない。涙でぬれたクシャクシャな笑顔。
「良かった。最後にその言葉が聞けて…ドレイク大好きだったよ!」
泣きながらサキが言葉を続ける
「もう振り向かないで、前を向いて、辛い思い出も絆に変えて
光のようにまっすぐ進んでね!」
「あぁ…ありがとう…サキ。」
サキの気配が消えた。
ドレイクの手には、スターライトではなく「過ぎ去りし思い出」が握られていた。
いつもの場所、ドレイクの泣き声が静かに響いていた。
予知者に改めて招集をかけられるのはそう遠くない未来。
暗い過去も乗り越え、光に変える心の強さ。
大事な人からやさしく背中を押してもらった。
あぁ、これからも前を向くよ、君の分まで
「約束だよ」「約束だ」
誰だって大切な人の助けになりたい。
進もう。闇に負けない気持ちを胸に。