ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第19話 嵐の予感

「あの、私……フウラって言います」

 

「俺はユウキ。今日はよろしく」

 

「よ……よろしくお願いします」

 

 小柄イカガールことフウラはユウキに対して深々と頭を下げた。胸の前で手をもじもじとさせているフウラは大人しそうで周りの空気も柔らかくしそうな雰囲気を纏っているが頭を下げる時だけ動きが機敏だった。

 

「おい、お前も今日は同じチームって決まっちゃったんだから自己紹介くらいしろよ」

 

「ふん。何でお前なんかに」

 

 3人だけの準備室の中、長身ボーイはユウキとフウラとは少し離れた壁にもたれて腕を組んでいた。

 

「俺だってお前と同じチームなんて……つーかお前何でB帯のガチマにいるんだよ」

 

「落とされたんだよ。お前と試合したせいで。お前も注意されたろ」

 

「そういえばそれもお前に文句言わなきゃな。俺は不正な試合って知らなかったんだぞ」

 

「んなもん俺が知るか。普通分かるし気づくだろ。……ちっ、どうせならお前もいっしょに降格させられりゃ良かったのにな」

 

「なんだと」

 

 第一試合開始10分前、準備室には険悪なムードが流れていた。

 

「……でもまあ、今日は同じチームだ。名前と使う武器くらいは教えといてくれ」

 

「…………サンゴ」

 

 しばらく、ユウキを睨みつけた後で長身ボーイは名乗った。それだけ言って準備室の出口に歩いていく。

 

「サンゴ?それがお前の名前か。おい、待てよまだ話は終わってねえぞ」

 

「うるせーよ離せ。俺は先にスタジアムのほう行っとくぜ。せいぜい今日はキャリーしてくれよ。B帯の神様さん」

 

 サンゴはユウキの手を振り払い廊下へ出ていってしまった。その態度と振り払われて少し痺れる手にユウキも内心熱くなってしまっていた。

 

 後ろでは、2人の様子を見てフウラがもじもじしている手を口元まで持ってきてあたふたしている。

 

「ごめん。君に迷惑だよね。試合はちゃんと勝ちにいくから」

 

「は、はい。ごめんなさい」

 

「フウラちゃんは何の武器使うつもり?」

 

「わかばシューターですけどダメですか?」

 

「ダメじゃないよ。じゃあ俺は何使うかな」

 

「ダメだったら言ってください。ダイナモとかバレルスピナーとかヒッセンとか……パブロでも持てます!」

 

 ユウキが編成のバランスを考えて自分が何を持とうか考えようとするとフウラが1歩前に出て指で数えるように色んな武器を提案した。

 

「いや、好きな武器でいいよ。1番使い慣れた武器で」

 

「そうですか……じゃあ、やっぱりわかばシューターを」

 

 フウラが必要以上に気を使ってしまうタイプだということはよく分かった。こういうタイプの子は現実世界で対戦ゲームをしている時もたまにいた。

 

 人の為に無理して他の武器なんて使わず好きな武器を持てば良いのだ。バトルは楽しいものなのだから。

 

「俺は普段はスシコラを使ってるんだけど……」

 

「知ってます」

 

「え?」

 

「動画で見ました」

 

 フウラがスマホを取り出して何やら操作すると、ユウキに画面を見せた。そこには先日行われたユウキとサンゴのバトルの動画が映っていた。

 

「これって……」

 

「知りませんでした?……ごめんなさい私も見ちゃいました。今ガチマッチをしてるイカやタコ達の間では有名ですよ。たくさん拡散されてます」

 

 自分が今日ロビーで噂されていたことに納得がいった。こういうことだったのか……。

 

 ユウキもこの世界でアユ子にスマホを買ってもらっていたがあまり使っていなかった。ユウキにとっては情報過多なこととバトルが面白すぎて他のことが気にならなかったのが理由だ。

 

 

「――試合が終わりました。次の試合の出場者はリスポン控室に入ってください」

 

 ユウキが自分の置かれている状況について感想を纏める時間もなくアナウンスが室内に響く……。

 

 そして試合開始前、リスポンに入ってもサンゴはろくに話し合いをしてくれなくて、作戦も立てられないまま四つ巴のナワバリバトル初戦が始まった。

 

 ユウキの手には黒色のプライムシューターが握られていた。

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