ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第22話 ガチナワバリ1試合目終了

 ナワバリバトルのラスト1分。それまでの時間はこの1分の為の準備期間だけと言っても過言ではないほどに重要だ。序盤に何度キルされようが最後にどれだけの面積にインクを塗れているかで勝敗は決まる。

 

 普通のナワバリと違ってガチマッチのナワバリはバトル時間が5分だった。そのラスト一分が始まる。

 

 ユウキとフウラが中央の撃ち合いに突っ込み、大きな手柄を立てたのでユウキ達ピンクチームの戦況は良好だった。

 

 ユウキが団地の屋上から見た大体の塗り面積は4チームの中で2番目くらい。それよりも大きいのは他のチームが全員揃っていない中で、ピンクチームだけが誰もデスしていない3人揃った状態だった。

 

 ナイスダマもあと1回ボムを投げれば発動できるようになるくらいだ。

 

 今やるべきことは人数有利を活かして、無理にキルを狙わずに塗り広げて置く。最後に上手くスペシャルを使えるように調整して。ユウキはそう思ったのに、またもサンゴが1人で中央で生き残った敵に挑みに行っている。

 

 団地の下からイカ状態になった派手な長身イカボーイは真っすぐに団地の壁を上っていた。壁に付いたインクをピンク色の飛沫をあげながら泳ぐ姿がユウキのいる位置から見える。

 

「フウラちゃんはこの辺を塗ってて。俺はカバーに行ってくるよ」

 

「いや、私も行きます」

 

 デスされたら困るので、ユウキがイカ状態になりインクの中に飛び込むと、フウラも後ろから付いてきた。試合前のフウラの評価では心配になるが、今は問題ない。ユウキはフウラの判断を信じた。

 

「おらっ。いくぜB帯の雑魚ども」

 

 ユウキ達がたどり着く前、一足先に敵への攻撃を始めるサンゴ。相変わらずの態度で敵をなめてかかっていた。

 

 見えている敵は緑チームが1人と黄色チームが一人。そこにサンゴが加わり三つ巴。

 

 サンゴが黄色チームのボーイを狙っていたので、追いついたユウキとフウラは残りの緑チームのガールを2対1で狙った。

 

 緑ガールはユウキ達を見て引く姿勢を見せたが、フウラのスプラッシュボームが退路を塞ぐように投げられて、すかさずそこをユウキのプライムシューターが仕留める。

 

 2対1なのでなんなく制しサンゴのほうを見ると、サンゴも黄色ボーイを壁際まで追い込んでいた。そこへサンゴもカバーできる位置にフウラからまたも絶妙なボムが投げ込まれた。

 

「おい。余計なことしてんじゃねえよ。俺がぶっ潰してやるとこだったのに」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 サンゴがフウラを指差して鋭い目つきで睨むとフウラはすぐに頭を下げて謝った。

 

「ふん。でしゃばりやがって」

 

「あ、危ない」

 

 サンゴの隣のインクから、もう一人潜んでいた黄色チームのボーイが飛び出してきた。それを見たフウラは叫びながらサンゴと黄色ボーイの間に割って入る。

 

 当然ユウキもそれに気づいて、プライムシューターを構えた。もう1人くらいいるんじゃないかと元から警戒していたので、その攻撃は素早い……。

 

 フウラがサンゴのことを背中で敵の弾を受けて守り、もう少しで2人ともキルされてしまうところだったがユウキがキルするほうが早かった。

 

「……大丈夫ですか」

 

「余計なことするなつってんだろうが!」

 

「きゃっ」

 

 あと一発というところまで黄色のインクを受けていたフウラをサンゴが突き飛ばした。フウラはその場で尻もちをつく。

 

「おいサンゴっ。待てよ。お前の為にやってくれたのに」

 

「……うる……せえよ」

 

 また自分勝手にどこかへ行こうとしたサンゴを、転んだフウラに手を差し伸べて起きるのを手伝いながらユウキが呼び止めた。

 

「信じてるからな。この試合……勝つぞ。今日のガチマッチ、勝つにはお前の力が必要だ」

 

 フウラに守られてさすがに何か思ったのか、サンゴはそのまま何も言返さずに立ち去った。その拳は強く握られていたように見えた。

 

 第一試合ののその後は危なげなく進んだ。中央を完全に制したピンクチーム大幅リードのままラスト10秒までいくと、最後はしっかりとユウキもナイスダマを発動して敵陣へ投げ込んだ。

 

 ナイスダマは初めて使ったがジェットパックとは違って浮き上がるのに安心感があった。下側からしっかりと支えられて持ち上げらるように浮いた空から放つ玉は漫画の主人公になったみたいで爽快だった。

 

 サンゴも動きを合わせてはくれなかったが最後のほうは無駄な突っ込みをせず、堅実に塗ってくれていた。

 

 空いっぱいからカメラのシャッターのような光がスタジアムを突き抜ける……。それはナワバリバトル制限時間終了と同時に、瞬時に勝敗を判別する機械の動作だった。

 

 その後すぐにスタジアムの天井のライトとステージの各所にある電光掲示板がピンク色に切り替わり、ホイッスルが鳴り響いてピンクチームの勝利を告げる。

 

「くそー負けちまったか」

 

「お前ら強いよ。ナイスゲーム」

 

 バトルが終わった後はどのチームも笑顔になって、お互いの健闘を称えた。ユウキも敵だったチームのイカやタコ達とステージ内で握手をする。インクでべたついた手のまま。

 

「……何負けたのに笑ってやがる」

 

 さっさとステージの出口に行くサンゴはその様子を見て、吐き捨てるようにそう言った。

 

「だってバトルは楽しいものでしょ。あなたも良い動きだったよ」

 

 青チームのガールがサンゴを追いかけて言った。

 

「……い、いや……A帯やS帯にいったらそんなこと言ってられねえぞ」

 

 サンゴはキャラを崩さずに青ガールの握手を拒んだ。

 

「なんだよあいつ」

 

「嫌な奴」

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