ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第29話 流れ星に約束

「そんなことがあったんだ……。知らなかったよ……」

 

 ジンドウはあの手この手で自分を勧誘してきたが、そんなことまでする人だとは思っていなかった。どこまで調べ上げたのかは分からないけど、アユ子との関係がプロ入りの障害になっていると見当をつけて、そこを狙ってくるなんて……。

 

「気にすることないよ。アユ子ちゃんにそんなひどいことを言うなんてふざけてる。そもそも、プロにならないのは俺が決めたことなんだからアユ子ちゃんの為って訳じゃない」

 

「……本当にそうなの?私……聞いたよ。ユウキ君が私に恩を返したいってジンドウさんに言ったって」

 

「それは………何というか……」

 

「もし、私がこの世界にいなかったとしても…………ユウキ君はプロにならない?」

 

 そう言われて本心で考えてみると……自分が心の中で導いた答えは話したこととは逆だった。

 

 もし、自分がこの世界でアユ子と共に暮らしていなかったら……1人で生きていたなら……そう考えてみると、プロになることを選択する自分を見つけた。

 

 ユウキは正直な自分の気持ちに気づいて何も言えなくなってしまった。それに、その答えにたどり着いた自分も嫌だった。ジンドウの顔が頭の中に浮かぶ。奴が言っていることが正しいのか……。懸命に別の答えを探した。

 

「私の為にユウキ君がプロにならないなら、私も嫌なんだ。ジンドウさんの言う通り、本当に私は足枷じゃん。私と違って才能があるのに……プロになれるのに……ならないなんて、正直劣等感も感じちゃう」

 

「…………アユ子ちゃんはさ、俺と離れたいの?」

 

「離れたくないよっ。こんなに仲良しになれたのに……それに……それに私本当は、一緒のチームも組んでみたかった。けど、私じゃ釣り合わないから……だからいっそこんなことを思うならどっか行っちゃえとも思ったりして……ごめんね」

 

 いよいよ流れ出したアユ子の涙を見て、ユウキはもっと大事な答えにたどり着いた。

 

「俺、分かったよ。たしかに、プロにならないのはアユ子ちゃんの為とかじゃなく間違ってたのかもしれない。……ただ、君と一緒にいたいんだ」

 

「……どういうこと?」

 

「アユ子ちゃんがいなかったらと考えると、プロになってたかもしれないと思った。俺はそれが嫌だった。でも、もっと考えるとアユ子ちゃんがいない生活のほうがずっと嫌だった。だから、結局俺の為なんだよ。アユ子ちゃんといるのが楽しいんだ」

 

「楽しいって……そんな理由で。それならもったいないよ。プロになりたくてもなれない人もいるのに。プロになったって私に会うことはできるよ」

 

「でも、一緒にバトルとかはなかなかできなくなるでしょ」

 

「才能がない私なんかとバトルしても、ユウキ君が得るものがないよ」

 

 アユ子はジンドウにプロになれないかと言われたからか、自分の実力を気にしているようだった。だから、ユウキは自分ができる話で一番アユ子の為になりそうな話をすることにした。

 

「才能がないか……俺にも才能なんてないよ。何しろ俺は4000時間以上バトルしてやっとここまで実力をつけたんだから。2年以上の期間で、バトルの合間に休憩を挟まなくていい超効率的なやり方でね」

 

「え……?」

 

「バトルの相手も何万人って人と戦ってきたし、武器もすぐに持ち替えられる。おまけに第三者の視点から広くステージを見渡せる……そんな環境で経験を積んできたんだ」

 

「何の話をしてるの?」

 

「ごめんねアユ子ちゃん。俺記憶喪失じゃないんだ」

 

「ええええ!!!」

 

 ユウキはそれから、自分がこの世界に来た経緯と……スプラトゥーンというゲームのことをアユ子に話した。

 

 包み隠すことはせずに正直に打ち明けた。その、アユ子にとってはおとぎ話みたいな話をアユ子は真剣に聞いてくれた。

 

 その内、アユ子はそのおとぎ話を興味津々で面白そうに聞き始めて……ユウキも面白いのは同じだった。ずっと隠していたことを打ち明けられて胸の中がすっきりする。

 

「じゃあ、やっぱり私はゲームの中にいる作られたデータなの?そんなの嫌だよお」

 

「いやそれは違うと思うよ。スプラトゥーンってゲームに細かく性格を設定されてるキャラは少ないし、ゲームと違うところはたくさんある。俺はこの世界を俺が生まれた時代より未来の世界だと思ってるけど」

 

「過去の強者が未来にタイムスリップして無双??なにかの漫画でありそうだね」

 

「強者って。でも過去で培ったバトルの経験値は相当だと自分でも思う。この世界であれだけの経験を積もうと思ったらきっと10年はかかるんじゃないかな」

 

「だから最初からあんなに強かったのか。私のおかげじゃなかったんだね」

 

「……うん。だから俺にも才能があるわけじゃない。むしろ上達は遅かったほうだよ俺なんて。だからきっと、アユ子ちゃんもまだまだ上手くなる。俺はその手伝いがしたい」

 

 話題が大きく変わったことで、2人の暗かった雰囲気もぶっ飛んでしまっていたがユウキは本題に戻す。

 

「でも、だったら帰りたくはないの?元の世界に。私ができることがあるなら手伝うよ」

 

「何の手がかりも無いからなあ……。俺がこの世界に来て見つけた考え方は、ここに来たのが運命だったってこと。そう考えればすごく神様がそう決めてるとなぜだか確信できた。だから、アユ子ちゃんと一緒にプロになる運命なんだよ。もし俺が前の世界に戻れる方法があるなら、その答えもきっとその先にあるんだ」

 

 その時見上げた、空にアユ子の嘘だったはずの流れ星が光るのを夜空に見つけた……。

 

「じゃあ、私もその運命に甘えてもいいのかな……」

 

「うん。一緒のチームでプロを目指そう。俺とチームを組もうよ」

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