ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す 作:木岡(もくおか)
目つきが悪いと感じさせない澄んだつり目。カジキはその大きくて吸い込まれそうな目で真っ直ぐにユウキを見ていた。
こうして顔を近づけて見つめられると男同士だというのに目を逸らしてしまいそうになる。タコボーイの眼は大体つり目だが他のタコボーイとは顔の出来が違っていた。
初めてナワバリバトルをした時に出会い、この世界では付き合いが古い男が突然に軽いノリでユウキを誘った。
「え、チーム?」
「おう。前々から誘おうと思ってたんだけどな。お前がA帯になってからと決めててさ。それで……どう。お前誰かとチーム組む気ないの」
「いや、大歓迎だよ。ちょうどチームメンバー探してたんだ」
「ほんとに?良かった」
カジキの実力は申し分ない。ユウキは初めてのバトルでは勝てたものの、その後に一緒にバトルするときはいつもカジキに上を行かれていた。1on1の打ち合いでもたぶん大きく負け越しているほどだった。
これほどの男が現在進行形で探しているチームメンバーの1人になってくれるのであれば嬉しい。
「けど……逆にいいの?カジキってもうS帯だろ。俺A-になったばっかだけど。確かA帯とS帯がチーム組んでもA帯チームとしてスタートすることになるよね」
S帯でどれだけ勝とうと直接S+には上がれない。プロの指名を受けなければ永遠にS帯だった。S帯は勝敗を競うのではなくアピールをする場。
ゆえに本来ならチームでウデマエが高い者を基準にチームのウデマエが決まりそうなものだが、S帯がA帯とチームを組む場合はS帯のレベルを下げないためにA帯チームとして登録され、A帯からやり直すことになるというシステムになっていた。
「ああ。俺お前と一緒がいいんだ。お前とならプロのトップまでいけそうな気がするから。それにしてもビックリしたよ。ユウキがプロに指名されたのは。でも指名を蹴ったんだよな」
「うん。エンペラーズなんて絶対行きたくなくなった。それと……まだ実力不足だとも思ったし。でも来年は必ずプロになるつもり」
「俺もそのつもりだ。一緒に頑張ろうぜ」
「うん。カジキがいいなら一緒に。……それと俺、アユ子ちゃんともチーム組んだんだ。だから残りのチームメンバーを探してたんだけど。いいよね?」
「アユ子か……。まあ知った仲だし、実力もあると思う。チームに入れてもらう形になる俺から文句もねえけど……その、大丈夫なのか。最近バトルやってないんだろ……」
「それは……」
ユウキは話そうか迷ったが、カジキがチームに入るのであればいずれ話さなければいけないことなのでアユ子の現状について話した。
「そっか……。それで、お前はそれでもアユ子と一緒にやりたいんだろ?」
「うん何かあったら支えになるって決めてる」
「じゃあ。俺もそれを手伝うよ。一緒に直す方法考えようぜ」
なんて良いやつなんだ……。ユウキはそう思いながら、差し出された手を握った。これから苦楽を共にするチームメンバーの1人が決まった瞬間だった。
昔から、落ち着きがあってバトル中にも声を荒げているところは見たことが無い。自分の実力も買ってくれている感じがした。頼もしい味方になってくれるはず。
ユウキとカジキはイカスツリーのロビーにてアユ子と合流する。
「え、カジキ君が私たちのチームに入ってくれるの?」
「いいかな?」
「もちろん。大歓迎だよ。やったねユウキ君」
「うん。カジキならプロを目指すのに充分な戦力だよ。これであと1人だね]
ユウキよりも前からアユ子もカジキと面識があり友達という関係だった。ガチマッチの前に一緒にご飯を食べるくらいなのでアユ子もカジキを歓迎した。
「あと1人はどうしようか。このメンツならゲソ太郎とか誘ってみる?」
「ああ。あいつはダメだよ。プロにはなるつもりないから。実家の魚屋を継ぐって決めてるんだって。最近魚屋の景気も良いらしくて世界一の魚屋になるって言ってた。お前ら聞いてないのか」
「え、知らなかった」
「まあ俺はあいつと小学生の頃からの友達だからな」
腕を組んだ出っ腹のタコボーイの姿が目に浮かぶ。そんな夢を持っていたのか……。
「それに、あと1人はちゃんと編成も考えて探そうぜ」
「そうだね」
カジキの言葉にユウキも同意する。編成はバトルにおいてそれだけで決まる可能性もあるほど重要だし、チームを組むならまず初めに考えないといけないことだ。
「俺はシューターとマニューバ。ユウキもシューターだろ。役割としては前線か中衛。で、アユ子はバケツがメインだろ。ヒッセンとかエクスも持つなら前線も後衛もできるけど基本は中衛の動きになる……だから……バランス的には……」
「……待って!…………私、チャージャー使うつもりなの」
一歩踏み出してアユ子が使うと宣言した武器は思いもよらぬ武器だった。
ここから後書きです。興味が無い方はスクロールを。
昨日の24話で2月中に1日1話あげていくと言いましたが勢いがあるので今日もう2話あげることにしました。熱いうちに叩けということで。はい。