ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第41話 フェスの日の奇跡

 アユ子が敵のチャージャーをキルしてから、右手の液晶に表示された敵チームのイカアイコンが全て灰色になるまで時間はたったの10秒ほどだった……。

 

 ユウキはその間……その様子にただ立ち尽くしていた。圧巻のチャージャー捌き……敵インクの中へチャージャーで乗り込み1発も外さなかった。

 

 ……と、そんなにじっと見ている暇はないことに気づいてユウキも前に出てステージを塗り返し始める。敵がいなくなったら塗らなければ、ナワバリに暇できる時間などない――。

 

 どういう風の吹き回しか、アユ子の身にどんな変化が起こったのか。考えるのは後だ。心配は全くしていない。だって高台に上ったアユ子はさっきまでとは打って変わってすごく楽しそうに笑っている。

 

「ナイスー!」

 

 ユウキは今日一番大きな声を高台に届けてあとの残り時間はひたすらにステージを綺麗に塗っていた。逆に言えばそれしかすることが無かった。

 

 正に無双といった無双。ラスト1分はアユ子無双だった。1度オールダウンさせられた敵チームはそこから1歩も広場に降りることすら叶わなかった。

 

 顔を出せば当てていた。ユウキも防衛のキルを狙ってはいたがユウキの射程に来る前にアユ子がキルしていたので役目が無かった。

 

 さっきまでオレンジ一色だった海女美術大学が白い波に呑まれていく。

 

 油断もあったと思う……ずっと後ろにいたチャージャーが急に別人になったように無双し始めた。そりゃあ、焦るし連携も取れなくなる。ナワバリのラスト1分でならなおさらだ。

 

 だけど、そのフェスマッチでユウキ達は確かにプロチームに勝った……。

 

 

「やったあああ」

 

「やったな」

 

 プロチームが一般人チームに負けるという大番狂わせを見た観客の試合前よりも大きな歓声を受けながら準備室まで戻ってきたユウキ達は互いに喜び合った。

 

「何?どうしたのアユ子ちゃん?最後のほうは見違えたよ。無双してたじゃん」

 

「そう!すごかったでしょ!私もまだ何がなんだか分かんないけど……すごく考え方を変えることができて……大丈夫になった。チャージャーが怖くなくなった!」

 

「やっぱりそうだったの!やったじゃん!」

 

「うん!やったああ!」

 

 ユウキもすこぶるに嬉しかった。バンザイなども自然にしてしまう。

 

「そうだったのか。本来の力を出せればあんなにもすごいんだなアユ子のチャージャー。俺ビビったよ」

 

「私も驚いてる。でも、最高の気分!」

 

 そんなハイテンションのままユウキ達はその後もフェスを楽しんだ。2日に渡って行われる祭りで連日遊び回った。

 

 観客としてフェスマッチの観戦もした。満員の大きなスタジアムでナワバリバトルを見下ろすのはユウキにとって初めての体験で、これまた忘れられない経験になった。

 

「うおおお。冬チームファイトオオオオ」

 

 アユ子は相変わらず周りよりも大きな旗を用意して応援していた。

 

 

 そんな最高の時間から1週間後……。

 

 ユウキ、アユ子、カジキの3人は練習をする為にイカスツリーに集まっていた。

 

「いやあ……フェス楽しかったなあ」

 

「まだ言ってるのか」

 

「だって俺にとっては夢にまで見た生のフェスで……シオカラーズの2人もかわいかったなあ」

 

「そっか。そういえばユウキは記憶失ってて初めてみたいなもんだったのか」

 

「あ……うん。そういうこと」

 

 イカスツリーのロビーを歩きながらユウキはハッとする。自分でもそんな設定忘れてしまっていた。

 

 ユウキにとって余りにも楽しかった初めてのフェスは「冬」陣営の勝利で終わった。その結果も踏まえて最高だった。僅差の勝利であった。

 

 それにはプロを倒して流れを引き寄せたユウキ達の活躍……特にアユ子の活躍も大きく貢献したであろうと思える。

 

「じゃあ今日も体動かそうか。あと……」

 

「チームメンバーの最後の1人も募集出しとかないとね」

 

「うん」

 

 チームでガチマッチに潜るにはあと1人仲間がいる。フェスマッチでアユ子のチャージャー恐怖症を乗り越えて勢いに乗るユウキ達の次の目標は最後の1人を見つけることだった。

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