ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す 作:木岡(もくおか)
「え……これって……」
「ほんとすごいよね神様は。それは優勝した大会とかリーグのまとめのページなんだけど私も見る度に絶句する」
「いや、違うんだ」
「どうしたの?見たいのはこういのじゃなかった」
「これ見て……」
ユウキは優勝トロフィーを持つ神様の胸のあたりを指さして見せた。そこには確かに「Splatoon」の文字がある。
「ん?この写真がどうかした?」
「よく見て。この文字」
「…………?」
しかしアユ子は気づいてくれなくて、ただ首を傾げるだけだった。
「俺が過去から来たかもしれないって話したときに教えたじゃん。俺がここに来た時にやってたゲームの名前はスプラトゥーン。この神様が着てる服に書いてる文字と一致してるんだ」
「あっ!本当だ!えっと……でも、どういうこと」
「分かんない。どういうことだろ……」
ユウキは興味を示したアユ子に本を取り返されてしまったので、頭の中で考えられる可能性を並べてみた。たまたまなのか……偶然文字列が同じになっただけなのか。もしかするとこの世界にもゲームのスプラトゥーンを知っている人がいるのか。
「これチーム名だよ。神様が所属してた」
「え。マジで。そんな名前のチームがあったんだ」
「ほら。ここにオリオンズAチームのSplatoonって書いてる」
「ますます不思議だね。どういうことだろう……というか、アユ子ちゃんも神様がいたチームとか知らなかったんだ」
「私のことバカにしてる?だって神様は色んなチーム渡り歩いたことでも有名だし。所属するオーナー企業やチームメンバーが変わればチーム名も変わることはユウキ君も知ってるでしょ。このスプラトゥーンってチームも神様が所属してたチームの1つに過ぎないはず」
「へーそうなんだ」
「うん。どんなチームの時も無敗なんだからより恐ろしいよね。実際のところ昔の人だし私も詳しくないんだけどさ」
神様が名付けたチームなのかも分からないがそのチーム関係者にしろ昔あったゲームの存在を知っていたとしてもまあ別におかしくはない。大衆に知られてないだけで一部の人は歴史を知っていたりするのかも。
そもそもここが未来の世界だという確信がどこにある訳でもないし、本当に単なる偶然でも素敵な話だと思う。神様と呼ばれた男は他の世界のゲームの名前とも関わっていたなんて。
凛太はなんとなく納得して本来の目的を果たすことに移行した。神様とこの世界のプロのバトルについて学び、自分たちのチームに何が必要かを見極める……。
アユ子に手伝ってもらいながら倉庫にあった本の中でユウキが欲する情報が載っていそうなものを片っ端から調べていった。目次を見て気になるページに目を通しては、また次の本を開く。
武器の作り方とか、どうやってバトルのルールが決まっていったのとか。時間が許すならじっくり見たいページもたくさんあったが今回はぐっと我慢して、また暇なときにアユ子にここへ来させてもらおうと思った。
けれど、ちらりと見慣れたドヤ顔で笑うおしゃべりカブトガニが見えたときは少し脱線してしまった。カンブリアームズ店主のブキチ……あの長話をする奴もちゃんとこの世界にいるのか。
ユウキは彼が書いたものすごく長い武器についてのコラムをにやにやしながら読んだ。
もうそろそろ日が跨ごうかという時間になって、アユ子がうとうとし始めた頃にユウキの勉強タイムは終わった。眠いのに長いこと付き合ってくれたアユ子にお礼を言って道場を後にする。
出た答えは……やっぱりフウラを誘ってみるというものだった。
どの時代のどの大会でもやっぱりインクアーマーの使用率が低いことは無かったのでわかばの腕があった彼女がチームに欲しい。
昔やっていたスプラトゥーン2でもインクアーマーはずっと強かったというイメージがある。結局最初から最後までアーマー最強だ。
ユウキはその夜、インクアーマーを纏った時の自分の動きや今日学んだ戦略を思い返しながら眠りについた。