ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第50話 多忙な姫

 A帯のガチマッチからは参加すればお金がもらえるようになる。バトルが好きなイカやタコ達に向けて全国に届けられるガチマッチの映像が利益になるからだ。テレビはもちろん配信サイトでも生中継されると、そこへ企業が広告を打つ。

 

 とは言っても、A帯のプレイヤーたちに支給されるのは大した額じゃない。1日参加したくらいではせいぜい2、3日の食費になるくらいだった。

 

 一応勝てば勝つほどもらえる額も多くなるが、全勝近い勝率でもせいぜいユウキが昔やっていたバイトの1日の給料と同じくらいだ。

 

 それでもユウキにとってこの世界に来て初めて稼いだという経験は充実感をもたらした。バトルをして……好きなことをしてお金がもらえるなんて幸せ過ぎる。ユウキはガチマッチを終えた後すぐにもっともっとガチマッチがしたい気持ちになった。

 

「1日でA-からAまでにあと4割ってところか。まあまあ良い成績だったな」

 

「まあまあじゃないよ。私ガチマッチでこんなに勝率良かったの初めて。11勝2敗とか超気持ち良かったよ」

 

 初日だったユウキチームのガチマッチは快勝に終わって、イカスツリーを出る4人の雰囲気はかなり明るい。

 

「私の背面刹那射術もキレイに決まったし、今日は言うことなしだね。もっとガチマッチしたいな」

 

「俺ももっとガチマッチしたい。やっぱり相手が強いほど戦ってて楽しいね。B帯のガチマッチよりもずっと楽しかった」

 

「じゃあ次にチームでガチマ行くのは次にA帯のガチマがある日にするか?今のうちに次の予定も決めとこうぜ」

 

「えっと次にガチマがあるのは……3日後か……ちょっと開くんだな」

 

 イカスツリーを出てすぐにある掲示板にちょうど月ごとのガチマ日程表が張り出されていたのでユウキは近づいて指を差しながら確認した。

 

「ルールはガチアサリだね。皆この日でいいの?フウラちゃんは?」

 

「あの……私はその日無理です。予定が入っていて。その次の来週の土曜日なら開いているのでその日にしてもらえませんか」

 

「そうなんだ。私はいいよ。いつでもウェルカム。皆は?」

 

「俺も来週でいいよ」

 

「まあ急いでる訳じゃないしな。また来週にすっか」

 

「ありがとうございます」

 

「ガチマッチばかりするより練習する時間も必要だからな。まだ今日決まったばかりのチームで編成も固まってないし、あとはチーム名とか諸々を話会わないと……」

 

 カジキがそこまで言うと一行はまた歩き始めた。イカやタコ達が賑わうほうへ向かって。そしてアユ子が先頭に立って胸の前で両手のガッツポーズを作って言った。

 

「でもとりあえず今日はそういう話は置いといて行くでしょっ」

 

「もちろん」

 

「フウラちゃんの歓迎会だー!」

 

「よっしゃあ」

 

「行こうか」

 

 ユウキとアユ子と、それにカジキは広場を走りだそうとした。笑いながら大きく一歩を踏み出す。しかし……。

 

「すみません。私、帰ります。今日もこれからやらなきゃダメなことがあるんです」

 

「え」

 

「ごめんなさい。言えてなかったんですけどもうあまり時間がないので、これからすぐ帰らせてもらいます。今日はありがとうございました。来週またよろしくお願いします」

 

 3人が呆気に取られている内にフウラは髪をふわふわとさせて走り去っていってしまった……。

 

「そうなんだ……またね」

 

 ユウキとアユ子がフウラの背中に手を振って、予定があったのならまあしょうがないということになった3人はそこで解散した。

 

 急な終わりとなったがチームを組めて、ガチマも勝ててその日は良い1日となった。

 

 次の日からは来週のガチマッチに向けて各々練習する運びになった。ユウキはアユ子と一緒に家にある試し撃ち場にて体を動かした。カジキとフウラもそれぞれ家で体を動かすことになった。

 

 本当は4人で練習したかったのだがメッセージでやり取りしてそう決まった。その理由はフウラがまた忙しいと言って来週まで予定が合う日が作れなかったからだった。フウラだけが予定があったわけではないがフウラは平日全てが無理だということだった。

 

 まだそれほど親しい仲ではないし、カジキも言っていた通り急いでいる訳でもないので何で忙しいのかは誰も聞かず。それも含めてまた来週という風に時間は進んで1週間は過ぎていった。

 

 フウラのことだけではなく、ユウキも自分自身について悩みながら練習に励む1週間だった。

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