ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第6話 鮮烈デビュー

 ゲーム画面の上部のように両チームの武器と残り時間が表示されている右手の液晶。自チームのイカアイコンが3つ灰色になっているのを確認したユウキは高台の上へ急ぎ、潜伏して敵の位置を確認した。

 

 左に2人――正面に1人――俺が右にいる間に左でやられた感じか。

 

 それぞれの敵が次にどう動くかは大体予想できる……それに対する自分の動きの解答も分かる……けど、やれるか……キャラを操作するのではなく自分の体で。

 

 ユウキは退いて味方の復帰を待つことを選択した。隙をついてキルを取り、塗り返すのを防げたら最適だが、イメージはできてもその通り動ける気がしない。敵に気づかれる前に自陣に向かって高台から下りる――

 

「いた」

 

 声と同時に飛んでくる青インク――ユウキはとっさにボムを取り出して弾が飛んできたほうへ投げる。初動のユウキと同じように塗る前に高台裏をケアしに来た敵は少し顔立ちが良さげだがノーマルなタコボーイ。

 

 相手が持つ武器はプライムシューターベッチュー。ユウキも撃ち合う構えを取ったが、上手くボムを足元に投げれたにもかかわらず、真っ直ぐ詰められてキルを取られてしまう――。

 

 リスポーンで目を開けるとアユ子達が前線に向かって進んでいた。あのプライムを持つタコボーイと撃ち合ったのは先程のが初めて、敵の他三人よりも動きが鋭く真っ先に詰めてくるあたり自信もあるように見えた。

 

 ――あいつをキルしなきゃこの試合このまま負ける。

 

 運良く正面から撃ち合う場面がなくて気付いていなかったがイケメンタコボーイのあいつが敵のエースだ。

 

 ユウキは前を行く味方が攻撃された時にすぐにカバーできるよう注意しながらもプライムを持つタコボーイを探した。

 

「よっしゃこっから逆転じゃあ」

 

「そうはさせるか!こんにゃろ!」

 

 中央の高台に立ちローラーを振り回すゲソ太郎にスプリンクラーをぶん投げるアユ子。ゲソ太郎まで届かずに高台に張り付いたスプリンクラーをプライムシューターの弾がすぐに処理する。

 

 ――あそこだ。

 

「危ねえな!アユ子」

 

「もう一発!えい!」

 

 イケメンタコボーイがステージ左側で1人浮いているのが見えたユウキは対面を挑みにアユ子の後ろをすり抜け泳いだ。

 

 まずはボムを投げると後ろに引くタコボーイ、距離を取られると嫌なのでユウキは前に詰めていく。

 

 ――左の高台に上ろうとしているか?――いや、あいつならたぶん。

 

 勝負は一瞬。Bバスパーク左高台裏に向けて曲射を狙ったユウキは数発撃つと、すぐに壁横――正面に向けて置き撃ちした。ユウキの読みが勝ち、顔を出したタコボーイに一瞬でスシコラの弾が3発命中する。

 

 相手の弾も2発当たっていた。撃ち合えばほとんどの局面で負けていた相手、この土壇場で勝てて良かった。

 

「ユウキ君!そっち行ったよ!」

 

 あと1発でデスしてしまうユウキに中央からN-ZAP89が迫る。逃げ場もほとんどないユウキは最後の賭け、ジェットパックを発動する。

 

 しかし、ユウキのジェットパックはめちゃくちゃに飛びあがり、空中で回転する。その状態で壁や空へ弾を乱発。ユウキはまだジェットパックを使いこなせていなかったのだ。

 

 ――制御できないジェットパックがユウキを連れまわし、最後は床に叩きつけると終了のホイッスルがステージに響く。

 

 

 

 

「――おい、こいつ今日が初めてのバトルって嘘じゃん」

 

「ほんとだよ。私だって驚いてるんだから」

 

 初のナワバリバトル後、顔にもガーゼを貼られて傷が増えたユウキは相手チームとアユ子に囲まれた。

 

「嘘だ!」

 

「ホント!」

 

 アユ子とゲソ太郎に揉みくちゃにされると背中が痛む。試合中は気にならなかったが背中の痛みだけまだ無くなっていない。

 

「動きが明らかに初心者じゃないよ。ボムを投げてくる位置とか、攻撃を受けた時の反応が何年もバトルやってる人のそれだった」

 

「そのくせ最後のジェットパックはド下手くそ――俺に勝ったくせに」

 

「そうだそうだ。初心者にゲソ太郎様が負けるわけねえ」

 

 試合後の準備室は初心者と紹介された奴の動きが初心者に見えない件で荒れていた。それもそのはず、ユウキはこのバトルのことをよーく知っていた。アユ子にも昨日の試し撃ち場でやることなすこと驚かれた。

 

「でもほんとにほんとだよ。私も調べてみたけどユウキ君が過去にバトルした記録は無かったし。まあ、私の指導が良かったんじゃないかな」

 

 胸を張ってドヤ顔をするアユ子に周りの一同は冷たい視線を送る。

 

「本当に初めてであの動きができていたなら、とんでもない才能だぞ。初めてのバトルで10k1dなんて」

 

「ああ。聞いたことない。しかも、A帯の俺たちを相手に」

 

 最終的な試合結果はユウキのオレンジチームが僅差で勝利した。終盤は押されていたが序盤のリードが大きかった。

 

「――なあ、お前バトル続ける気あるの?俺と組んでプロ目指さないか?」

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