ウデマエXの俺はスプラの世界に転生してもウデマエXを目指す   作:木岡(もくおか)

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第9話 いざガチマッチ

 アユ子の家の隣には塀を挟んで確かに大きな建物があった。表に立派な木製看板を構えている建物はまさに道場という外観をしているが、まさかこの家の所有物だったとは。

 

 それに家自体もゆとりのある広さがあって、周りの家には無さそうな試し撃ち場も備わっている。親がプロプレイヤーだったということもあってそれなりの貯えがあるのだろう。

 

 ――そんなことよりも。俺も必ずプロになろう。

 

「はい。約束します」

 

 コイ吉お爺さんにそう言って誓ったユウキは試し撃ち場に向かって歩いていた。自分がプロを目指すことで、この世界に来てお世話になっている恩人に報いることができるのならこれ以上のことはない。元から挑戦してみたい気持ちもあったし、コイ吉お爺さんが言った「運命」という言葉もなんだかしっくりきた。

 

 今、なぜかこうして自分が転生したことにはきっと何か意味があるのだ。神が決めた運命で決まっていたのだ。

 

 そう、思うことで迷いは無くなった。

 

「アユ子ちゃん。もう一度イカ状態のこと教えてくれないかな?」

 

 さすがに、休憩に入っていたインクまみれのアユ子にユウキがそう言うと賑やかになった試し撃ち場で練習は夜まで続いた――。隣で頑張る者がいれば負けないように恥じないようにより熱が入り、お互いに影響することで相乗効果を生む――。

 

 

 

 それから2週間の時が過ぎた。毎日試し撃ち場で練習して、数回ハイカラシティへ出かけてナワバリバトルに挑んだ日もあった。アユ子に細かいバトルのルールや基礎的な体の動かし方を習う中で、ユウキも自分の知識からアユ子の為になりそうなことを話したりもした。

 

「ユウキ君。今日の調子はどう?緊張してない?」

 

「うん。大丈夫。アユ子ちゃんも頑張ってね」

 

 本日はユウキのガチマッチ初戦、少し見慣れてきたイカスツリーの中でC-として登録を終えたユウキは付き添いのアユ子と共に試合開始の時間を待っていた。

 

「今日のC帯のルールはガチエリアかー。私も初めてのガチマッチはエリアだったなあ懐かしい」

 

 リアルインクリングの世界のガチマッチはいつでもできるものではなくて、ランク帯でも参加できる時間が違っていた。おおよそ各ランク帯で週に2、3回開かれるガチマッチの本日の予定は朝がC帯、昼がA帯。ちょうど2人とも挑める日だったので今日に決めた。

 

「ステージは……コンブトラックと……タチウオパーキングか。うわ、クソステあるじゃん」

 

「え?」

 

「私、タチウオパーキング嫌いなんだよね。高いの苦手だし」

 

「はははっ。俺もタチウオ嫌い」

 

 クソステという言葉がこの世界にあったことが面白くてユウキは噴き出した。

 

「え、ユウキ君タチウオでバトルしたことあったっけ?」

 

「ないけど、分かるんだ」

 

「何それ。本当に不思議だよねユウキ君の記憶は。バトルに関することだけ覚えてるなんて。でも、緊張してないみたいで良かったよ。周りの子はまだガチマッチ初心者だから緊張してそうだけど」

 

 周りで過ごしているイカやタコ達は他人の目から見ても緊張しているように見えた。固い表情をしていて、手に何か書いてから飲み込んでいる者もいる。C帯のプレイヤーは本来そういうものなのだろう。

 

「じゃあ、そろそろ私は観客席に行くね。一番前の席で応援するから」

 

「分かった。ありがとう」

 

 ――ステージが機械の手でブロックのように組み替えられる。イカスツリーのスタジアムではスプラトゥーンプレイヤーならお馴染みのステージを全て再現することができた。

 

 プレイヤーのチーム分けやインクの色の決定、試合後の汚れたステージの掃除まで全て機械がやってくれる。科学力は現実世界よりもずっとレベルが高かった。ゲームの設定と同じようにここは未来の世界なのかもしれない。

 

 ――これから、問題が無ければ時間の許す限りガチマッチを続ける。初戦のステージはコンブトラックだった。リスポーンで試合開始を待つユウキは待ちきれなくて頬を緩ませていた。

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