エロゲのヒロインに転生したんだが、もうオレは限界かもしれない。   作:サボテニウム

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第14話

 

 

 

 

 ディアボロスの首領、ナオトに追い出されたオレとロウカ。

 

 しょうがないので廃モールの入口まで二人そろって引き返すことにした。

 

「……ごめん、リーシャ。ほんとはリーシャのこともディアボロスに入れてあげたいんだけど……ナオトがあんな調子じゃ今日は無理そう」

「あはは。いや、気にしないで」

 

 がっくりとうなだれるロウカを横目に思わず苦笑する。

 

 もとはと言えば、オレが第六真祖の眷属だと誤解されるようなことを言ったのが悪いのだから、別にナオトを責める気はない。ただ、原作ゲームの知識として第六真祖たちが嫌われているのは知っていたが、いざ実際にここまでの嫌悪感を露骨に出されると、少々面食らってしまっただけだ。オレが思っている以上に、この世界ではオレたちが嫌われているのがよくわかった。

 

 なんなら前世でも人種差別とかはあまりされなかったので、ここまで人種差別(というか吸血鬼種差別)をされるのは、なんだか新鮮な気分だったりする。それだけ先代ベルゼブブ、カイゼンのやったことは誇り高い吸血鬼たちにとって許しがたいことなのだろう。

 

「私、とても悔しい。せっかく気の合いそうな子が仲間になってくれると思ったのに」

 

 廃モールの床に散乱する空き缶の一つを蹴とばしてロウカは苛立ちを露わにした。

 

「ロウカのほかには女の子の吸血鬼っていないの?」

「ほとんどいない。昔は結構いたんだけど、みんな死んじゃったから」

「そ、そっか……ごめん。嫌なこと聞いて」

「別に。ここじゃ珍しくもないから」

「……」

 

 会話が途切れ、しばしの静寂が場を支配する。

 びゅうと吹いた大きな風の音が、穴の開いた二階の窓から聞こえてくる。

 

 空いた窓から月明かりに照らされるロウカは――

 

「リーシャは、その……」

 

 ──少しだけ言葉を選ぶようにおもむろにその口を開いた。

 

「……第六真祖の眷属だったんだ」

「う、うん。もとだけど。……ロウカは第六真祖たちのこと嫌い?」

「私はナオトたちほど嫌ってはいないかな。第六真祖の裏切りのせいでアラストル様が負けて、私たち吸血鬼は人間たちと戦わなきゃいけなくなったそうだけど…………私、大戦前はすごく小さかったから、正直言って人間と吸血鬼が仲良かったころの記憶なんてほとんどないんだよね。だから、知識としては知っているけど他人事というか……ま、それはリーシャも同じだろうけど」

 

 それに、とロウカは付け加える。

 

「大戦期の第六真祖といまの第六真祖って別人な気がする」

「えっ!?」

 

 ロウカの口から出た思いがけない言葉に思わず冷や汗が出る。

 

「な、なんでそう思うの?」

「いま第六真祖ってヨコハマにいるんでしょ? これは完全に私の推測なんだけど……前の第六真祖ならゲルマニアに籠ってばかりで、日本になんて興味がないと思ったから」

 

 おおっ……なんとも鋭い意見だ。

 

 確かにロウカの言うように、前の第六真祖カイゼンはアジア進出にはまるで興味を示さなかった。この日本まではるばるやって来たのは、リーシャが第六真祖になってからなので、ロウカの推測はある意味当たっていると言える。

 

「ナオトたちのいる前ではあんまり大きな声では言えないんだけどね、いまの第六真祖……いや、第六真祖さまって、私たちみたいな弱小吸血鬼たちを救うためにわざわざ日本までやって来てくれたんじゃないかなって思ってる。あくまで噂だけど、ヨコハマでは吸血鬼たちにすごくいい統治を行ってるって聞くし」

「えっ、そうなの?」

 

 思ってもいないところで急に褒められたので思わず反応してしまう。

 

 あれ? オレってそんないいことやってたっけ……? 

 

 バフォメットにテキトウに指示を出してた記憶しかないのだが……。

 

「うん。なんでもヨコハマでは吸血鬼たちに対して無償で学校を開いてるらしいよ。私たち野良の吸血鬼なんかは学校なんて大戦前も通えなかったそうだから、すごくいいことだと思う」

「あ、ああ……」

 

 ……なんだ。あれか。

 

 確かに数か月前にバフォメットに学校を開くように命じたが……あれは、アギトに勉強を教えてるときに咄嗟に思いついた政策であって、別に深い意味とかないんだよなぁ……。

 

 人間みたいに吸血鬼にも学校あったら面白いんじゃね? 的なミーハーな思い付きで出した命令のため、ここまで褒められるとなんだかこそばゆい。

 

「その……ロウカはヨコハマに移住したいとか思う?」

「もちろん。ヨコハマならここと違って討魔師たちに怯えなくて済むし、毎日の食事だって困らないだろうから。…………はぁ。第六真祖さま、トウキョウまで来てくれないかな……」

 

 目の前におるじゃん。

 

 ……なんてでかい声で叫びたい気持ちだったが、ぐっと堪えるのに必死だった。

 

 

 

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