ONE PIECE プラントオーナー   作:ひよっこ召喚士

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第47プラント 旅立つ種の海遊記⑤


 

 不運悪運なんのそのと覚悟を決めたグレーヌの快進撃は上層の海王類の猛攻を退け、船体に損傷を受けたが軽微な被害で下層へと辿り着いた。

 

「…ふぅ、ここまで来ちゃえばこっちのもんなの」

 

 上層ではあれほど追いかけてきた海王類の姿は下層には見当たらない。それもその筈で、この下層には船の墓場や龍骨の墓標が立ち並び、上層よりも海流が速く渦巻いている。

 

 それらの要素が集まることでまるで天然のフードプロセッサーの様に機能している。海王類の強靭な鱗も海に研磨された同族の骨にぶち当たればひとたまりもない。

 

 落ち着いて一息ついた様な声を出しているグレーヌも実際にはレムナントの助けを借りつつ船の制御に力を注いでいる。

 

 それだけ集中して障害物にとにかく注意しなければいけないのが下層の特徴と言える。

 

 しかも障害物の中には目に見える物と海流の下に隠れている物があり、落ち着いて動けない速い海流の中でそれを見抜くのは至難の技である。

 

 さらには多くの残骸が海流の流れを乱しており、速い流れによる遠心力と合わさって流れに乗っても船が中心へと進まない事もザラである。

 

 流れを読まなければ上層はおろか深層にも行けず永遠に同じ高度を彷徨うことになる天然の迷路でもあるのだ。

 

 目に見える障害、隠れたトラップ、海流と言う迷路、そして行き止まりを引けば大破して墓場の一部と成り果てる。

 

 コロコロ変わる天候と海王類の群れと言う要素が無くなっても、殺戮海岸と呼ばれるだけの脅威度はこれっぽっちも下がらない。

 

 その海王類ですら、大型の物がいないだけで、比較的小さくて遊泳能力に秀でている種は生息しているのだから本当に笑えない。

 

 そんな小さめの海王類を除けば死骸を喰い漁る怪鳥の類が船の墓場を転々と飛び回っているが、あれは生きているものを襲う事は無いので基本的に気にする必要は無い。

 

 しかし、極稀にまだ生きている船を転覆させようと企む個体が出る。図体のデカさと反比例するかの様に臆病な怪鳥の中で船へ攻撃するだけの度胸がある個体は、その度胸を裏打ちするだけの力を持っている個体である。

 

 その個体が力を得た経緯を知ればその厄介さに誰もが気付く。そもそも怪鳥は削られた海王類の死骸や迷い込んでそのまま死んだ人間を丸呑みにする。

 

 海王類の方は確実に死んでおり、肉片となったものを漁っているが、人間の方は極稀に動けないだけでギリギリ生きている者もいる。

 

 そして、そんな生きている人間の中に能力者がいた時にその厄介な船を襲う怪鳥が誕生するのだ。

 

 悪魔の実の能力を継承してしまった怪鳥と言う脅威は常に存在する訳では無い。

 

 そもそもこの海域に入る船が少ない上に、能力者が生きたまま動けなくなり怪鳥に喰われる事自体が稀である。

 

 力を得た怪鳥がその自信のままに殺戮海岸で死骸を喰い漁るのを止めて大渦を飛び出して外を目指して飛び出す事もある。

 

 能力者の弱点は同じであり、大渦や天候の影響でずぶ濡れになって溺れて死んでしまう事だってある。

 

 本当に特殊な個体であり出現するのは極稀なのだ。しかし、この大渦に最近大型の船が入ったばかりであり、死んだ者の中に海軍で少将にまで上り詰めた者が居たのだ。

 

 襲い掛かる海王類達からせめて部下だけは守ろうと大立ち回りを決めた際に船から転落し、揉みくちゃにされながら溺れた者が…

 

 悪魔の実の力を警戒されて海王類に喰われずに済み、命からがら下層の墓場へ単身で流れ着いたが度重なる無茶な戦闘でボロボロとなり最後は意識の無いままに怪鳥の血肉となった者が居たのだ。

 

 悪魔の力を宿し、船の墓場に留まるそれは、大渦中の厄災を納め、全てが最後に行き着く最悪の港とも評され、何の力を得たかに限らずこう呼ばれる。

 

 

厄港鳥(やっこうどり)

 

 

 共食いの概念はあるが、怪鳥の大きさ故に丸ごと捕食される事がなく、能力が途切れる為に複数個体がまず存在しないのだけが唯一の救いと言えるこの海域における絶対的強者である。

 


 

 偉大なる航路前半における七本の航路、その船のルートから少し外れた海域、ただの記録指針では辿り着けず専用の永久指針が必要となるエリア。

 

「なるほどね。これは流石のアタシも足場がいるねえ」

 

 そのエリアで魚巨人であり、水中での活動を苦としない筈のピアスがただデカく、丈夫なだけの木の塊の上に立っていた。

 

 実はこの木は宝樹再現実験の失敗作であり、通常の木材よりかなり丈夫なのだが、その話は今は関係ない。

 

 プラントが誇るのは農作物が主だが、輸出品目には海産物も多く、それらに関わっているのがピアスとフィンの二人である。

 

 そんな海産物の中でピアスは養殖品以外のほぼ全てに携わっており、最高幹部の中でも水中では負け知らずの実力者だ。

 

 そんな彼女が海中で行動せずに海上を漂う不安定な足場に立っているのもこの海域の特性が理由である。

 

「いくらアタシでも一時間以上泳いでたら酔い潰れて溺れ死んじまうよ」

 

 ここはグルメ領域の影響を受けて作られた特別な海、揺れに酔う前にその()()に酔う、全て天然の自然が生み出した酒の海原である。

 

 別にピアスとて口を開けて泳いでる訳では無い。だが水中で呼吸を確保する為には周りの酒を取り込まざるを得ず、さらには一面が酒となると皮膚から吸収する分も洒落にはならない。

 

 絶対に必要だと言われて持たされた足場に心から感謝しつつ、慣れない船の操舵に苦戦している。

 

「それにしても事前情報通り息苦しい場所だな」

 

 酒精に耐えれるびっくり植物が無いことは無いが数は少なく、平地であっても酸素濃度が薄くなっている。

 

 その特徴のおかげで酒の海が燃え上がる心配も無くなっているのだが、火器を使わないピアスには利点らしい利点はない。

 

 水中でも海上でも普段と同じ呼吸が出来ないと言うのはパフォーマンスの低下に繋がる。

 

 海域内の島の上だと酸素濃度はかなりマシになるのだが、今回の目的の為には海上での捜索が必要になる為にコンディションが最低に近付かない限りはこのままである。

 

 生粋の酒好きであるピアスだが世の中に存在する酒狂い共には負ける為に長期滞在は勘弁したいと思っている。

 

「特殊とは言え魚は魚、ましてや気性が荒いってんならこうすんのが速い…」

 

 足場をひっくり返さない様に気を付けながら立ち上がると酒気にむせない様に慎重に肺に息を取り入れていく、そして十分にたまったそれと共に久々に()()()を吐き出した。

 

『オニだかなんだかしらねぇが偉そうにふんぞり返ってる鱚のボスが姿も見せないでビビってんのか!?』

 

 人には伝わらないが魚や同族には伝わるその声は、海中を一気に響かせて海域の端から端まで揺らした。

 

 酒気を吸いすぎない様に上手く息を整えながら待つこと数分、周囲の海面に変化はなく、ピアスはボリボリと頭をかいた。

 

「流石に分かりやすい挑発にはのっちゃくれないか…いや、それか呑んだくれて聴こえてないのか」

 

 仕方ないと諦めて海域を区切って順番に探し始めようかと普通の人族より遥かに重い腰を上げようとしたその瞬間、波を裂く音が微かに聞こえた。

 

「来たか! ん?」

 

 作戦が成功したのを確信し、ニヤリと笑みを浮かべていたが耳に入ってくる音に違和感を覚える。

 

「おいおい、マジか!?」

 

 波を裂く鋭い音は一つではなく、二つ、三つ…それぞれ違う方向から聴こえてくる。

 

「主って話なのに珍しくは無いのか!?」

 

 そんな驚きさえも呑み込む様な鋭い牙を持った鬼の名を関する鱚達はほぼ同時にピアス目掛けて飛び掛かった。

 

 普通なら足場から落ちたら終わりであるために三方向から飛び掛かってくる状況は絶体絶命だが、目的を見つけたピアスにしてみれば逃げ場の問題は無かった。

 

 三方向を正確に表すと正面と左右になる。ピアスは倒れる様に後ろの海面へ潜ると即座に体勢を整える。

 

 酒吞鬼鱚は普通の鱚の数倍大きい鬼鱚より数十倍の大きさを誇る。普通の家屋と同等のサイズであり小舟やボートを一呑みに出来る程だ。しかし…

 

「とりゃ!!」

 

 魚巨人と比べたら小さい。普通の人間から見た大型犬くらいの大きさであり、こう表現するには前の例えが悪いが蹴り飛ばすのにちょうど良いサイズである。

 

 正面から飛んできていた酒吞鬼鱚…一々長いので酒吞と表記するが、続け様に攻撃しようとしていた個体を蹴り飛ばした。

 

 覇気を纏っており、内部へ浸透する魚人空手の技術を取り込んだ一撃なら分厚いオニキスの鱗に覆われた酒吞にも効果があると思われたが…

 

「入った感覚はあるんだけど…ピンピンしてるなぁ」

 

 周りが酒の海である為に海水の時と比べて速度が乗りにくかったのは確かだが、それぐらいで力が強く、水中での動きにも秀でた魚巨人の動きは大きく鈍らない。

 

 そうなると酒吞の方に何らかの細工、種としての特製の様なものがありそうだと考えピアスは迫ってきているもう一体の酒吞を観察しながら同じ様に蹴り飛ばした。

 

 良いのが入った感覚は変わらず、酒の抵抗を感じつつも確かに相手の身体が少し遠くへ飛んでいっている。内部へ浸透させた衝撃は確かな相手の身体を揺らしている。

 

「いや…ありゃ揺れ過ぎだな」

 

 ジッと観察していると衝撃が走りきった後にも相手の身体が振動しているのが見えた。

 

「依存症じゃねぇか!?」

 

 幾ら酒の海に住み、適応した種とは言え、生き物である以上は許容量が存在する。

 

 それを遥かに超えてアルコールをその身に宿す酒吞の身体はバクを起こしており、酒に囲まれているのに禁断症状と同じ様な震えが止まらないのである。

 

 プルプルと全身が常に震え続けている。その振動がくしくも与えた攻撃による衝撃を周囲へ分散しているのだ。

 

 周りが酒の海であり、その身も酒に浸されている酒吞であれば周りへの同調とでも言うものもしやすい。

 

「ってことは一点集中か、素直にその鱗を壊してやれば良いわけだ」

 

 骨が折れるからと衝撃を伝播させただけであり、ピアスの放つ攻撃であればオニキスの鱗を破壊してやるくらいはわけない。

 

 賞品として使うから殺すわけにはいかないが、死んでいなければ鱗なら大会までに復活するだろうと構える。

 

 普段と少し勝手は違うがどんな液体であろうと魚人空手の基本は変わらない。

 

 酒の海を腕に纏わせると、槍の様にして放つと言う単純ではあるが高速かつ高威力のピアスの得意技である『大海槍』。

 

 それが一匹の酒吞に向かって飛んでいくが、酒吞は酒の海をふらつくかの様にゆらりと動いて直撃を避けた。

 

 尾鰭のオニキスの鱗は削られたが本体には傷一つ付いていないのが分かる。

 

「見聞色でも動きが読み辛いのは面倒だな。サイフォのが適任だったんじゃねぇか?」

 

 ここにいない同僚であるなら、どう動くかではなく、動いた結果を読み取り、的確に銃撃で鱗を割れるのでは無いかと面倒な目標を前に悪態をつく。

 

 だが、曲がりなりにも同じ海に生きるものの事ならピアスの方が詳しく、相手の様子を伺うのも得意である。

 

「とりあえず、距離をとってからいくか」

 

 一匹目と二匹目が軽く飛ばされたのを見て三匹目は様子見をしていた。怒った二匹が迫ってくるまでも時間があり、距離を取るにはちょうど良い。

 

 あれだけ煽っておいて逃げ腰なピアスの様子には三匹とも怒り心頭な様で仕掛けるタイミングを計りながらも追いかけてきている。

 

「ここでこうだ。『大海槍』!!」

 

 ただ逃げるだけでなく、相手の様子を観察していたピアスは三匹のうち、二匹に向けて酒の槍を放った。

 

 ゆらりと避ける酒吞であったが、大海槍の勢いで発生した流れと避けた方向のせいで動いた二匹が互いに身体をぶつけ合った。

 

 それぞれが主と呼ばれる個体であり、別に仲良しこよしと言う訳では無い。

 

 さらに言えばピアスが狙ったのは既にピアスと戦って興奮している二匹であった。

 

 気性が荒く、興奮している酒吞は自身にぶつかった偉そうな同族に黙ってられる訳もなく、目の前のピアスを差し置いてケンカを始めた。

 

「確か酒吞鬼鱚は全部はメスで繁殖相手は普通の鬼鱚って話だからな。一匹いれば十分だ」

 

 仲間意識のない酒吞鬼鱚を分断させると少し冷静であった様子見をしていた酒吞がピアスに対して警戒を見せて、逃げ出そうとする。

 

 酔っ払いにしては賢い選択なのかもしれない。しかし、生憎だが酒の海であってもピアスの速度は…ダツの魚巨人の速度は鈍らない。

 

「『海神槍』!! いや『酒神槍』って所か?」

 

 酒の海を身に纏って、自身を槍に見立てて突っ込むピアスの必殺技とでも言う様なそれは見事にオニキスの鱗を突き破り、避ける間もなく酒吞を穿った。

 

「よし、生きてるな。さてとアイツラが気付く前にとっとと離れるか、にしても頭に響くなこの海域は」

 

 そんなに時間を掛けたつもりは無いが程々に動きながら酒を取り込み続けたピアスは鈍い痛みに襲われている。

 

 別に美味しく呑んだ訳じゃ無いのに痛む頭になんとも言えない悔しさを抱えてプラントへの帰路へつくのだった。

 


 

 特別な食材もないこの海域にプラントは興味を持っていない。その為に情報として知っている事はあれど下層の進行ルート等は王女であるグレーヌにも分からない。

 

 深層に用がある訳ではなく、同じ下層にある船の墓場のどれかに要救助者は居るのだが、見つけ出す為にも船を壊さずにルートを開拓していく必要がある。

 

 そレブナントに支えられながら正しい流れと間違った流れを見極め、一つ二つと船の墓場を回ってゴーゲンと名乗る男を探していた。

 

 この海域で船が生き残る上で慎重に動くのは悪いことでは無い。素早い判断を必要とする渦の中で慎重に動く事が可能な船も少ないが…

 

 悪いことでは無かった筈のその慎重さ故にグレーヌ達は酷く目立ってしまっていた。下層に入り込んで生き残り続けているものがいると、その存在の耳に入った。

 

【クギャアァアア】

 

 何事かと辺りを見渡す事はしない。その存在の事は見聞色の覇気で捉えられる。

 

 しかし、捉えながらこの渦を航海し続けるのはとてもじゃないが簡単とは言えない。

 

「レムナント、左舷に張り付いて!!開封(オープン)!!」

 

 避けなければいけないが、舵取りを怠る訳にもいかない状況下で、それを成すことで結果的に避ける必要がある。

 

 迫りくる巨体に対して一瞥もせずに次に進むべき進路を見定め、影と船が交差する前にジャンプシステムで流れを乗り移る。

 

 右へ左へ、時には上へと船を跳ねさせながら追ってくる存在の姿を見ることなく必死にハズレを避けて船を動かす。

 

 正解を探してる余裕はなく、脱出に必要となる船を壊しかねないハズレだけを避けて船を動かし続けている。

 

 進んでは戻り、戻っては進み、いつまでも変わらない光景が船首の先には広がっている。

 

 グレーヌも記憶力は悪く無い方ではあるが、渦の流れを回りながら覚えていくにも限界がある。

 

 無数に存在するハズレを極限の状況で記憶し続けるのは精神的にも無理というものだ。

 

 だからグレーヌは正解を探す事もしなければ、ハズレを全て覚える事もしなかった。

 

「黄色い髑髏のついたメインマストを右、海王類の骨の乱立地帯を右、弾いてくる流れに逆らって一段外側、岩礁地帯を左、外輪船の残骸を右」

 

 船の操作を手伝っているレムナントに聴こえるように呟くと、確かめる様に目印を覚えながらそのルートを辿る。

 

 すると一番初めに目が合った筈の黄色の髑髏のニヤリとした顔と再び出会す事が出来た。

 

 グレーヌが導き出したのは、簡単で分かりやすいループする渦のルートであり、それならば覚えるのは幾つかのハズレだけで済む。

 

「しばらく船は任せたの!!」

 

 それだけを言うとレムナントに船を預けて比較的広かった渦に積もった船の残骸の一つに跳び移る。

 

 そうしてようやく、グレーヌはこれまで船に対して攻撃を仕掛けてきた存在と対峙する。

 

「邪魔は摘み取らせて貰うの!!」

 

【クギャアァアア!!】

 


 

 場所は変わって、新世界のとある島、こちらも酒の海と同様にグルメ領域による影響を受けた貴重な食材の宝庫であり、有数の危険地帯である。

 

 その島には何処までも広がる鬱蒼とした森だけがあり、文明のぶの字もない土地は光を殆ど通さない葉の天井に囲まれても薄暗い。

 

 一般的な感性の持ち主であれば少し…いやそれなりに恐怖を覚えるような環境だが、今回降り立ったのは植物に慣れ親しみ、ジメジメとした環境を苦としない小さき者だった。

 

「ただでさえ忙しいってのに私まで食材捕獲に駆り出されるんだからワールド・バイキングの開催ってのも本当に大変なんレスね。それにしても働かせ過ぎだと思うんレスけど、最近も菌類関連の食材の環境整えたばかりだと言うのに…」

 

 素直で働き者で騙されやすい小人族の中では少し異端よりな彼女は公表されてはいないがプラントの最高幹部を務める優秀な人材である。

 

 そして何より小人族らしく植物にも詳しいがそれ以上に菌類に対してのスペシャリストであり、菌類を操る能力者でもあるのが、3億2000万ベリーの賞金首でもある侵食者モルの特徴だ。

 

 普段は自分の担当するエリアで好きに過ごしているモルだが、たまに彼女にしか頼めないという仕事は舞い込んでくる。

 

 少なからずプラントに思い入れが無ければ彼女も留まり続けて最高幹部なんて立場にいない訳で、ブツブツ言いながらもやる事はやるのである。

 

「確かに色々と耐性はあるレスが、それでも殆どヤバい毒物の塊みたいな島に送り込むってのはどうなんレスか、いや、確かに危険と判断したら切り上げて良いとも言われなレスがそれではい無理でしたとか曲がりなりにも最高幹部の口から言えると思ってるのレスかねぇ…」

 

 そう、彼女が選ばれたのはプラントにいる面々の中で一番耐性と呼ばれるものを獲得しているからに他ならない。

 

 菌類の中には人体に独特なるものは少なくない。それは病原菌としてだけでなく、その菌類が生成する成分にも毒はあり、そういった副産物までは操作出来ないモルは、自身が死なないように少しずつ菌類由来の毒物を取り込み免疫を獲得している。

 

 菌類自体を利用した浄化作用なんかも利用すれば大抵の毒物には耐えられるのは間違いない。

 

 しかし、送り込まれた島はそんな耐性を多く持っているモルであっても一概に安全とは言えない麻薬食材の溢れる島である。

 

「幻覚系の麻薬食材に溢れ、例え口に含まなくても人体に影響が出るほどにまでなった裏の人間すら近寄らない島…この小さい身体だとより回りやすくてもおかしくないレスから対策はしっかりしておくべきレスね」

 

 空気中に成分が溶け込んでいるのか、森の中に一歩でも入ればその影響を受けてしまう。そしてその影響は人体の中でも特に味覚へと強い効果を示す。

 

「相互に作用し合った麻薬によって生じる味のランダム化、実際には確かな規則性があるらしいレスが、果たしてどんなものか麻薬食材の分布も含めて調べないとレスね」

 

 後遺症や依存性などの人体に有害な部分を取り除き、規則性を解明出来れば、部分的な利用が可能になり、アレルギー持ちや味は好きだが食感が苦手な人に望んだ味わいを提供する事が出来る。

 

 それ以外にもランダム性を利用したゲームとしての可能性はもちろん、毒性の強い物は旨味成分も強い事が多く、除毒技術向上や兵器利用など、そう言った面での美味しさも非常に高い。

 

 それに加えて、この島を管理運営する事が出来るようになればビッグ・マムに対する新たな利益提供を提示出来るかもしれない。

 

 以前にグレーヌがブラックマーケットでカタクリと会った際にした話はプラントで共有されており、プラントで麻薬食材を作ったり、提供する事は表向きでは出来ない。

 

 しかし、勝手に繁殖した島を見つけてしまい、危険性を考えてプラントが管理する分には問題ない。そして、昔からの取引先と共同研究として提供するのはおかしな事では無いのだ。

 

「幻覚によって作られる歪んだ森、それは味覚さえも捻じ曲げるほど…さしずめここは【歪味(ゆがみ)の森】ってところレスかね」

 

 周囲の環境によって進化は加速する。ここなら自身が知っているものより協力な菌類も存在するかもしれないとモルは少なくない期待も胸に秘めて暗い森へと入っていくのだった。




あ、あけましておめでとうございます…

さて久しぶりに投稿しようと思ったら去年、一昨年共に3話しか投稿してない事に気付いて戦慄した。

去年なんか今年中になるべく進めたいとかのたまっておいて3話なんですからねぇ…あはは、笑えねぇ…

毎年気まずそうにあけましておめでとうを言っていますが、とりあえず海遊記終わりまで頑張りたい…頑張りたいとは思っているし、消える事だけはしないのでお待ちください。

(あぁ…エイプリルフールのIF企画どうしよう…)

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。

次のIFはどれが良い?

  • 海賊だったら
  • 海軍だったら
  • 賞金稼ぎだったら
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