イアイアの実・モデルニャルは地雷案件すぎませんか? 作:露木曽人
思わず舞い上がってしまった勢いで一気に書き上がりました
今回は遂にあの人が登場します
「正規の海軍さんの正式な捜査ならばともかく、"海軍を自称するだけの私設武装集団"の皆様の要求を呑む理由がこちらにはございませんので。申し訳ございませんが、どうぞお引き取りを」
「ああそうかい。ところで嬢ちゃん...この建物ん中で暮らしてるはずのお前んとこの信者ども、どこ行った?」
「あなたのような勘の鋭い殿方は好きですよ」
その言葉が、引き金となった。
はいどうも、絶賛大ピンチ中のニアです。
恐れていた事態がついにやってきてしまいました。
そう、NEO海軍総帥、Z先生の急襲です。
諜報部は何をやっていたァ!!と叫びたくなってしまうような緊急事態ですが、落ちつきましょう。
高鳴らないでください心臓、はい、落ちつきました。
全ての海賊の抹殺を掲げるNEO海軍がなんで海賊とは無関係のニャルラト教に?あ、ひょっとして妻子を蘇らせてもらうため?と思ったそこのあなた、そうであったならどれだけよかったでしょう。
残念ながら、覚悟ガンギマリのZ先生には亡くなった妻子をお出ししたところで怒りを買うだけです。
私がこないだやった"原作キャラのガッツを信じろ大作戦"を覚えていますか?そうです、故人との別れを済まし、過去と決別してこの島から旅立っていく人たちもいるので、ロビンちゃんやローさんもそのモデルでしょうからお願い家族に会わせてあげるから帰って、と姑息に立ち回ったアレです。
Z先生は完全にそちらのモデルです。
愛する妻子が逆恨みで海賊に殺されてしまった悲しい過去が何によりも現実だったことを理解し、その上で茨の道を歩み続ける覚悟の人。
妻子を出産ではなく、海賊により亡くした場合のダゴンさんも恐らくはこんな感じになったのではないかと思える強い人。
痺れるぐらい格好いいですね。
そんな人が目の前に立ちはだかってくるとか泣きそうになりますが。
「悪いな嬢ちゃん!あんたは俺が出会ってきた中でもとびっきりの、生きてちゃあいけないモデルの人間のようだ!」
Z先生、さすがのご慧眼ですね。一部の隙もない正論に、ぐうの音も出ません。ひとつなぎの大秘宝を破壊し、全ての海賊の抹殺を掲げるあなたが、ゴールド・ロジャーを生き返らせることができるかもしれない、なんて噂だけで戦争のひとつやふたつ引き起こせてしまえそうな女なんて特大の危険物を野放しにしておけるはずがありませんものね。
生かしておくと色々まずい危険人物認定度はたぶん、ロビンちゃんやエ-スさんにタメを張れるレベルだとは自分でも自覚しているのですが、だからといってここで殺されてしまうわけにもいきませんので。
「お嬢!」
「お嬢様!」
巨大な機械仕掛けの武装義手、バトルスマッシャーの横薙ぎの一撃を回避した私の前に、護衛のダゴンさんとロスさんが立ちはだかります。
どうやら今の一撃であっさり殺すつもりだったであろうZ先生は、ただの無力な小娘に過ぎないのが丸わかりな見た目の私の意外な身軽さに驚いたようです。
「先生!」
「うおォお前ら!先生に加勢しろォ!」
「狂信者どもを粛清するんだァ!!」
Z率いるNEO海軍の精鋭部隊がニャルラト秘密教団の本部に雪崩れ込んできます。アインさんとかビンズさんがいないことだけが救いですかね。
Zさんたちが港に到着した時点で大急ぎで根回しをして、本部支部問わず全ての信者や幹部の皆さんにはグランテゾーロの方へ避難してもらっています。
あそこならNEO海軍もおいそれとは手を出せないですからね。まあ今はそれが、思いっきり裏目に出てしまったようですが。
とりあえず、万が一NEO海軍vsグランテゾーロとかいうドリームマッチが実現してしまったら大変ですが、さすがにそこまでするほどNEO海軍も焦ってはいないでしょう。
私も他人事であれば何それ面白そう!とワクワクしてしまったでしょうが、当事者になった今それどころではありません。
ああ、他人事でいたかったですねほんと。
そして案の定、別の私からアラバスタ支部やウォーターセブン支部などのニャルラト教会にNEO海軍の海兵さんたちが乗り込んできたとの情報が送られてきましたが、誰もいなくなった空っぽの建物に踏み込まれたところで人的被害がなければ問題なしです。
秘密書類とか?そんなもの、ありませんよ。我が教団には後ろ暗い秘密なんて私の存在以外何もありませんからね。見つかったところで精精が信者さんたちの名簿や彼らからの善意の寄付帳簿ぐらいでしょう。
お前一体何ゼファー先生に何をしたんだよ!?と思われるかもしれませんが、何もしてませんよ!!いや、先生に対しては本当に何も。
ただねえ、何と言いますかねえ。
Z先生の目的は全ての海賊を抹殺し、ひとつなぎの大秘宝の方のワンピースを破壊し、二度とワンピースや海賊王に憧れてバカな真似をやらかす海賊どもが出ないようにすることだって語られていたじゃないですか。
それってつまり、海の秩序と治安を維持するため、引いては海賊に愛する人を殺されたり大切なものを奪われて泣く人が出ないようにするため、ですよね。
そんな中で、信者になれば死んだ人を蘇生してあげますよ~なんてやってる(ように見える)邪教とその教祖がいたら、彼の目にはどう映るでしょうかね?
確かに私たち視点ではいきなり乗り込んできてサーチアンドデストロイとか勘弁してくださいって感じなのですが、視点を切り換えるとこうなります。
元刑事である探索者あなたは最近、元部下から相談を受けました。
なんでも祖母がものすごく胡散臭い怪しい宗教団体に傾倒してしまっているとか。
元部下も祖母の身を案じて祖母が移り住んだという宗教団体の本部に行ってみたというのですが、なんとそこには祖母の隣に、去年死んでしまったはずの祖父がいたというのです。
元部下の目から見ても、確かに死んだ祖父本人で間違いないと断言できるほどに。
自分はもう長くはない、だったらここでお爺さんと静かな余生を送らせてちょうだい、と祖母に懇願され、なんだか悪い夢でも見たのかと恐ろしくなって逃げ帰ってきたという元部下に、どうか祖母を助けてくれないか、と依頼されたあなたは、探索者仲間とともにその教団に行ってみることにしました。
しかし、不思議なことに元部下が訪問した時には大勢いたという教団の信者はひとりもおらず、不気味な静寂だけが支配する中、対面した教団の教祖はまるでこの世のものとは、そもそも人間とは思えないような美貌を持つ、APP19のとんでもない美女でした、と。
はい、ギルティ。そうですね、傍から見ればニャルラト教団は"死者の復活"なんて餌で人を惑わし、この島に移住させ、そしていつの間にか移住した人間が消えている、なんてものすごく胡乱な怪しい集団になっているわけですから。まあ実際には本人たちの意志で移住し、今は別の島にいるんですよ~なんて説明しても、カルト宗教特有の怪しい言い訳にしか聞こえないでしょう。
私だってそんなクッソ怪しい状況に遭遇したら、まず目の前の女の何も信じられませんわ。ニャルラト教徒となってこの島に移り住んだ人々の中には、当然家族や友人たちが心配して連れ戻しに来た方々もいらっしゃいます。そんな方々からしてみれば、完全に家族や友人がやべえ邪教に洗脳されてしまったようにしか見えないわけで。
お前がそう思うんならそうなんだろう、お前の中ではな。という言葉がありますが、人間は自分が見たいようにものを見、信じたいものだけを信じ、それ以外は否定したがる生きものです。家族を返せ!友人を返せ!とうるさい、失礼、家族想い友人想いの人々がたまに教団に乗り込んでくることもありましたから、そういった人たちからすれば、ニャルラト教団はまさに危険なカルト宗教にしか見えないのでしょう。たとえ連れ戻されそうになった本人たちが自分の意志で納得してここにいても、です。
この海に平和を取り戻すために頑張っているZ先生からしてみれば、そりゃあ優先抹殺対象でしょう。NEO海軍だけでなく、既に海軍にもそういった苦情がいっていることはこちらでも把握しており、ただ海軍の場合はこちらの手駒にした天竜人を通じで圧力をかけることで手出しをさせないようにしているのですが、そりゃまあ、傍から見たら海軍にも汚職の手を伸ばしているやべえ集団だと思われてしまってもしょうがないはしょうがないですよね。
ひょっとしたら海軍さんの方から『(天竜人のせいで捜査できなくて)悔しい!!でも(正義感)感じちゃう!!』と何らかのコネを使ってゼファー先生に情報を横流しした可能性もあります。蛇の道は蛇というか、表立って海軍が立ち向かえない相手ならNEO海軍に代わりに立ち向かってもらう、というのは有効な手ですから。今でも海軍の中にはZ先生を慕う人間も多いみたいですし、ありえない話ではありません。
おかしいなあ、私も平和に暮らすために努力しているはずなのですが、どこで悲しいすれ違いが起きてしまったのでしょうね。手を取りあって仲よくこの海の平和を取り戻すために頑張っていきませんか?駄目?
「おふたりとも!ここは逃げの一手ですよ!」
「させると思うか!」
海楼石でできた巨大な機械義手、バトルスマッシャーから繰り出されるガトリングガンの斉射により、瞬く間に室内が崩壊し窓ガラスが粉砕されます。
「ディープ・ショット!!」
ダゴンさんの両腕から放たれる無数の触手攻撃がZ先生に直撃しますが、効いてませんねあれは。
「ダゴンさん、あの巨大な武器には触れないようにしてください!アレ、海楼石です!」
「っ!そういう!お嬢様、お下がりください!!」
「へえ、よく知ってんじゃねえか!」
バトルスマッシャーから絨毯爆撃のように連打される銃撃を触手になった体で全部受け流しながら、ダゴンさんが私の身柄を確保します。
凄いですね、撃たれても頭や脚を吹き飛ばされても、触手と同じゼリー状のプルンプルンした紫のモノがボコボコ生えてきて再生するとか、SANチェック案件では?
「チィ!このバケモノどもがァ!」
あ、全然大丈夫そうですねZ先生。
ワンピ世界なだけあって、こういう衝撃的な悪魔の実の能力に関しては見慣れているのでしょうか?さすがにガトリングガンでミンチにされてしまったダゴンさんの頭だった肉片が壁から触手化してウニューっと襲いかかってきた時はちょっと嫌そうな顔をしていますが。
しかし、ダゴンさんがまさか必殺技の名前を叫ぶとは思いませんでした。
なんでしょうね、ディープ・ショットって自分で考えたんですかね?いえ、そんなことを考えている場合ではないのですが、でも気になるじゃないですか。
必殺技の名前って、やっぱり叫ばなきゃいけないんですかね私も。
「テメエらァ!!お嬢に指一本でも触れやがったらぜってェ赦さねえぞォ!!」
「あいつ、狂犬だ!狂犬のティンダー・ロスだ!」
「囲め!撃て撃て!奴は能力者ではなかったはず!」
「狂犬、だァ!?ちげェ!!ちげェちげェちげェ!!俺は...猟犬だッ!!お嬢の獲物を狩り尽くす、猟犬だァッ!!」
雪崩れ込んできた海兵さんたちの相手はロスさんが頑張ってくれています。
Z先生が鍛えた清栄の筈なんですが、なかなかにいい勝負をしていますね。
わざわざ海楼石でできた特注のメリケンサックとブーツを多額のベリーを支払って取り寄せてもらった甲斐があるというものです。
しかしまあ、何だかもうしっちゃかめっちゃかですね。
教団の建物は縦横無尽に暴れ回るZ先生とダゴンさんの戦闘に巻き込まれて倒壊寸前ですし、ロスさんが巨人の血を活かした巨体で暴れ回るせいでNEO海兵さんたちと一緒に建物もボロボロになっていきます。
「ああもう、爆発オチなんて最低ですが仕方ありません!!食らいなさい!!えーと...ドリームホール!!」
咄嗟にいい感じの名前が出てきてくれてよかった!そして意外と叫んでみると楽しいですねコレ。
折角ジャンプ漫画の世界観に生まれたのですから、私もかっこよく叫んでみましょう!!ドリームホール!!効果はマイクロブラックホールを呼び出す!ついでに穴に吸い込まれた奴はワープする!以上です!
「な!?クソ!?」
「ゼファー先生、ごめんなさい!そして、さようなら!生でお会いできて光栄でした!」
でもできればもう二度と来ないでください!
突然空中に出現した虹色に発行するゲーミングブラックホールに吸い込まれていくNEO海兵さんたちとZ先生。
「ロスさん!今です!」
「おらァ!!お帰りはあちら、でェい!!」
さすがのZ先生も周囲の瓦礫やら何やら何もかもを巻き込んでダイソンするブラックホールの吸引力には完全無視とまではいけないようで、吸い込まれないようにバトルスマッシャーを地面に突き立てて耐えていますが、そんな状況下で跳び蹴りを食らわされたら、さすがに揺らぎますよねその巨体でも。
「こん、のおおおォ!!」
一瞬の不意打ちを食らったZ先生がゲーミングブラックホールに吸い込まれていったのを確認し、私は能力を解除しました。
彼らは今頃、遠い遠い遠い、原作には名前の出てこなかったとある島にまとめて放り出されている筈です。
さすがに無人島ではないですよ?そこまで鬼じゃないです私も。
そこからドリームアイランドに戻ってくるにはどれだけ急いでもまあ..一年はかかるのではないでしょうか。
正直、ルフィくんたちがまだアラバスタ王国編やってる間にこっちだけ劇場版やってる場合じゃないんですよ!お願いですから勘弁してくださいほんと!
そんなわけで、どんなに急いでもZ先生たちが戻ってこられるのは一年後でしょう。
一年後また来たら、その時は空間転移でまた違う島に跳んでもらいます。
そのまま延延といたちごっこを繰り返して、最後はルフィくんたちに映画の通りに倒してもらおうという完璧な作戦です!どうですかこれ!
...お前がいる時点で既に劇場版が成り立つのか怪しいことになってる?言わないでください。
そうなんですよねえ、そこが懸念点なんですよねえ。
ダイナ岩とかどうでもいいからまずあの小娘を滅殺!!なんてことになられたらとても困ってしまうのですが、ほんと、どうしましょうね。
「お嬢!平気か!?怪我してねェか!?」
「お嬢様、ご無事ですか?」
「ええ。おふたりのお陰です。ありがとうございました。しかし、これは...まあ」
だいぶ派手にやられたものだ、と、私はすっかり廃墟のようになってしまったニャルラト教団本部跡地を見回しながら、ため息をひとつ。
遠くからサイレンが聞こえてくるのは誰かが通報したからでしょう。
黒服がすっかりボロボロになってしまったおふたりを労いつつ、ため息がさらに。
ドリームアイランドの権力者さんたちにはあらかじめ根回しをしておいたため大騒ぎになることはないでしょうが、それでもこうして実際に劇場版クオリティのとんでもないバトルが繰り広げられてしまったからには、後始末は必要なんですよねえ。
NEO海軍に損害賠償とか請求できませんか?無理?そうですよねえ...
とりあえず、私なんかが深く考えたところでどうしようもないので、後はこの島のお金持ちの権力者さんたちに丸投げしてしまいましょう。
教祖様も楽じゃないですよ、ええ、本当に。
ドリームホール
ニアの技。七色に光り輝くサイケデリックなマイクロブラックホールを呼び出し周囲のものを吸い込ませる。吸い込ませたくないものを指定することも可能で、ダゴンやロスが吸い込まれなかったのはそのため。吸い込まれたものは別の空間に強制転移させられる。転移先は任意で変更可能
ディープ・ショット
ダゴンの技。イアイアの実・モデルダゴンの能力で無限に生み出せる紫色の半透明の触手がパンチやキックと同時に六本ぐらいまとめて相手に襲いかかる。両手でパンチすると十二本一気に出る。触手はちぎれてもそこから再生してバイバイン式に増えていく。相手にするととても面倒
ティンダー・ロスの猟犬
狂犬から猟犬にランクアップした模様