イアイアの実・モデルニャルは地雷案件すぎませんか? 作:露木曽人
皆さん、お久しぶりです。
ニャルラト秘密教団改め、ニャルラト正教会の大聖女ニアです。
世界中を激震させたあの頂上決戦から、早いもので、もう二年が経ちました。
世界は少しずつ復興と崩壊を繰り返しながら、新時代の風に吹かれています。
海賊さんも、海軍さんも、大勢の方が亡くなったあの戦いの後。
ニャルラト教の聖女が持つ奇跡の力に縋る人間は、急増しました。
犠牲、と一言で済まされてしまった、大勢の人たち。
あの日のコビーくんの言葉を借りるならば、バカみたいな理由で命を散らしてしまった哀しい人たち。
犠牲、のたった二文字で、慰霊碑にその名をひとりひとり刻まれることもなく、戦没者一同、とひとまとめにされてしまった彼らひとりひとりに、その帰りを待つ人々が大勢いたのです。
その遺族の少なからぬ人々が、せめてもう一度だけ。
最後にもう一目だけでも、と、ありもしない奇跡に縋り。
名誉の戦死を遂げた英霊、なんて呼ばれ方を、本当に望んだかもわからない死者たち。
その多くが、家族に出迎えられ、最期のお別れを済ませ、安らかに黄泉の国へと旅立って逝きました。
『"死"は突然やってくるから..."死んだ人"にも"残された人たち"にも、言い損ねた言葉が沢山あるはずだ!何年もなんて言わねェ!たった数分でもいい!!もう一度死者を呼び起こす手段があるのなら...たとえそれが"邪道の医学"と石を投げられても、それで救われる人の気持ちはデカい!!』
あの日、スリラーバークで直接耳にしたチョッパーくんの言葉が、今でも...いえ、今になって、より強く私の心に響きます(やはり尾田先生のお言葉は神ですね。私の貧相貧弱貧困極まりないボキャブラリーではこんなにも人の心を打つ言葉は千年経っても生み出せないでしょう)。
死者に別れを告げ、新たな人生の旅路に再出発した人。
死者でも構わないから、もう少しだけ、もう少しだけ傍にいてほしいとこいねがった人。
言い損ねた言葉を、気持ちを伝え、自らの意思で、黄泉の国へと去っていった人。
せめて子供たちが大きくなるまでは、この世に留まりたいと決意した人。
そこに、海軍も、海賊も、民間人もありません。
そこにあるのはただ、いつの世も、どこの世でも変わらない、人が人を愛するということ、ただそれだけ。
そしてこの一件で、ニャルラト教はあまりにも急激に大きくなりすぎてしまいました。
新時代の幕開けに伴う戦災孤児を引き取って、ニャルラト孤児院とか作ってたのもあったと思いますが。
そのせいで秘密結社と呼ぶにはあまりにも評判がよくなりすぎてしまったがために、ニャルラト正教会と改名して、公的な組織として改めて旗を掲げることにしたのです。
それに伴い、世間での扱いが狂信者から正教徒にランクアップしました。
どうしてそんなことになってしまったのか、色々ありますが中でも大きな一因となったのが、海軍に殺された海兵さんたちの存在です。
家族のため、愛する人たちの未来のため、海賊と戦って、死ぬ覚悟はできていた彼らですが、いざ正義のため、大義のため、であったとしても、実際に味方の犠牲を厭わない海軍の攻撃で死んでしまったことは、かなりショックが大きかったようです。
更には、戦意喪失を見咎められた、懇願や命乞いをしたにも係わらず、敵前逃亡の罰として海軍将校さんたちに処刑されてしまった一部の海兵さんたちの怒りは大きく、また私たちの口からその一件が口外されると都合の悪い新生海軍との間で、ちょっとしたいざこざが起きたりもしました。
それを解決する手助けをしてくださったのが、海軍中将"夢見のサルタン"ことサルタン伯父様と、"夜の騎士(ナイトオブナイト)"の異名を持つゴーント中将さんです。
『海軍は抑止力だ。今まで以上に海賊どもが盛んに跋扈するようになったこの海で、海軍全体の戦力の底上げは急務なのだよ。安心しなさい、ニア。これからの海軍は、ニャルラト正教会よりもまず、己が内側にこそ目を向けなければならなくなるだろうからね』
伯父様は、"グラグラの実により引き起こされた地震のせいで、転倒して頭を打って気絶し、聖女ニアに参戦の勅命を下した夢を見ていた"海軍のお偉いさん方に直談判し、聖女ニアは伯父である自分が厳しく躾けたからもう大丈夫、海軍に不利益は及ぼさない、ということを納得させるのに協力してくださいました。
『あー、ああ、見ての通りだ。おいーコラーこのクソガキが―。身寄りのなかったお前を引き取ってやったのは誰だと思ってやがんだコラー。この恩知らずが―お前は一生俺の所有ぶ、す、すまない!痛かったか!?今、"大好きな伯父さんに手酷く暴力を"...大丈夫?そうか?本当だな?強がらずとも何?続き?ああ、この無駄飯食らいがー』
納得しなかった方?そういえば最近、伯父様の部下にピンキード・ホルモンさんと仰る、ガバガバの実を食べたガバ人間、というユニークな若い海兵さんが配属されたそうです。
中々にガッツのある方だそうで、将来有望ですね(にしこり
ゴーント中将は、新生海軍内部での派閥ごとの対立煽りを主に担当してくださっています。
海軍将校をしながらカルト教団の幹部まで兼業していらっしゃったその手練手管はさすが老獪の限りで、蘇生された死者たちの中で、海軍に戻るつもりのあった一部の皆さんの身柄をそちらで預って頂いております。
『ファファファ!!ドイツもコイツも若造どもは出世して本部に行きたがる奴が多いがのう、本当に賢い奴は本部の目の届かんところで適度に自由に正義を掲げておるのが一番なんじゃよ。思い出すのう、わしもかつては"のびのびとした正義"を掲げておったもんじゃ』
お陰で現在、海軍内部でもニャルラト正教会に肯定的な派閥と、否定的な派閥の間には深い溝ができており、血の代わりに塩水を流す海兵さんたちもさほど不自然に思われることなく、伯父様やゴーント中将さんの派閥下で仕事に勤しむことができているそうで。
『ふむ、死んでも死んでも、何度でも家族に、仲間に、正教会に仇なす敵を殺すために立ち上がる無敵の死人部隊か。全ての軍保有国の夢よな。よし!!今からわしらの部隊の名を"再殺部隊"と...何?それはまずい?ふむ、左様にござりますか。ええネーミングじゃと思ったんじゃがのう』
残りの復活はしたけれど、海軍から離れた元海兵さんたちや、家族のために更生しようにも行くあてのない元海賊さんたちは、ドリームアイランドに建造されたニャルラト正教会の大聖堂に集い、古参の信者さんたちとともに新たな生活を始めています。
もう二度と間違えないために、と強くなるための鍛練を積みながら。
そして、そんな風に表舞台に出たニャルラト正教会に、海賊さんたちが食いつかないはずがありません。
白ひげを生き返らせろ、エースを生き返らせろ、頼むもう一度だけオヤジに会わせてくれ。
そんな風に、色んな方々がうちへ殺到するようになりました。
ので、"聖女ニアが呼び戻すことができるのは、この世にまだ強い未練がある魂だけ。白ひげさんはいい加減親離れする時だぜと成仏してしまい、エースさんももし呼び戻すことができるのならば、それは弟であるルフィさんだけでしょう"と説明してお帰り願うことにしました。
もちろん、大人しく帰るはずがない方々も多くいらっしゃいます。
新時代といえば、新たな海賊の時代。
白ひげさんの死によりその庇護を失った島々は荒れ、血飛沫と悲鳴が飛び散るマッポーの海へと変わってしまったこの世界において、やはり海賊というのは重要な存在です。
『元海軍だった俺が、今度は海賊暮らしとは、いやはや、何とも人生の巡り合わせとは面白いものだ。ええ、ええ、このダゴンめにお任せあれ、お嬢様。これでも昔は、それなりの数の海賊を逮捕しましたからね。奴らの考えそうな悪知恵ぐらいは多少なりともわかりますとも』
そのため、ダゴンさんにはドリームアイランドを拠点に、ディープワン海賊団を旗揚げして頂きました。
"深淵のダゴン"、現在の賞金額は2億3000万ベリー。
正教会を襲ってくる海賊さんたちの撃退を担当して頂いているうちにいつの間にかどんどん賞金額が上がっていきました。
彼は敬虔なニャルラト正教会の教徒であることを公言しており、船員たちも全員がうちの教徒さんであることをこれでもかとアッピールして頂いております。
中には頂上決戦で亡くなられた海賊さんや元海兵さんも。
『はは!海賊をやって感謝されるというのも、中々にむず痒いものですな。白ひげ海賊団のクルーたちも、こういった気持ちだったのでしょうか。ああ、こうして海賊になってみると、あの男の偉大さがよくわかりますよ。海賊は、家族。ならば彼らのよりどころであるあなたはなるほど、確かに聖母に違いない』
そのためニャルラト正教会の支部がある島はディープワン海賊団の縄張りとして、島の治安維持にも一役買っており、その辺りの評判も含めてニャルラト正教会の評判はいい感じみたいですね。
ニャルラト正教会の治安維持部隊、"猟犬部隊"の隊長に就任したロスさんはあの頂上決戦で己の強さが足りていないことを強く認識したらしく、現在は私の筆頭護衛を務める傍ら、覇気や六式の鍛練に励んでいます。
『お嬢を守るにゃ、敵を迎え撃つよかやられる前に敵を根こそぎやっちまった方がはえェっす。でも、俺にはまだ全然力がねェんだってこと、痛感したっす。だから、もっと鍛えねェと。お嬢も、孤児院のガキどもも、みィんなが笑顔でいられる場所を、守れるように』
最近では孤児院によく顔を出しており、小さくとも元気一杯な子供たちや、教徒の皆さんのお子さんたちも交えて、楽しそうに遊んだり、お菓子やケーキを作ったりしている姿がとても微笑ましいです。
鬼の貌も、仏の顔も、どちらもロスさんという男性の本質なのでしょう。え?駆け付けた時にはもう子供たちは全員皆殺しにされていたフラグに聞こえる?奇遇ですね、私もです。そうなってしまわないように、孤児院や教徒さんたちが暮らす建物のセキュリティはしっかりしておきましょうね。
『へへ!なあお嬢、子供ってェのは、可愛いもんだな!俺はよォ、アイツらがもう二度と泣かなくて済むようにしてやりてェっす。つれェのも、いてェのも、苦しいのも、やだもんな!お嬢、俺は決めたっすよ!俺が、アイツらの父ちゃんになる!!白ひげみてェにゃいかねェかもしんねェけどよ、でも、決めたぜ!!』
『で、あるならば、あなた自身がもう少し勉学の方も多少は修めて頂かねばなりませんかと』
『げッ!?シャンタークの爺さん!?』
『よいですかな?子供というのは、大人を写す鏡なのです。父となり手本となるべきあなた様が勉学に不真面目であったり、手を抜くなどのだらしのない姿を見せれば、それを見ながら育つ子供たちにも多大な悪影響を及ぼしかねません。もしそうなってしまった場合、あなた様はあの子たちの未来に責任を取れるのですか?』
『ううッ...!!』
シャンタークさんには、私の執事兼秘書として同行して頂きつつ、裏ではニャルラト正教会の諜報部隊の方をお任せしております。
新時代の幕開けに伴い、情報戦も益々激化する一方なので。
ビッグマム海賊団とかおっそろしいですからねえ。つい先日など、まさかの超神出鬼没なドフラミンゴさんが、ニャルラト正教会のマリンフォード支部へお越しになるのを事前察知するという超ファインプレーを見せてくださいました。
やはり事前に知っているのと知らないで飛び入りされるのとでは心構えが違いますものね。何事もゆとりは大事です。
『ほっほっほ!まさかこの歳になって、再びお子様方の教育に口を挟む立場になるとは。長生きはしてみるものです。これもひとえにあなた様のお陰ですとも、お嬢様。このシャンターク、あなた様にお仕えすること、心より誇りに思います』
最近では仕事の合間を縫って、自主的に孤児院の子供たちとロスさんへの勉強用のプリントなど自作していらっしゃるとか。
お仕事もありますし、あまり根を詰めすぎないようにしてくださいね、とお願いしてみたのですが、趣味でやってることだから超余裕、的なことを丁寧に告げられました。
まあ、それならよいのですが。
さて、肝心のお前はこの二年間何やってたんだよ?と思われるかもしれませんが、聞いてください!なんと私、APPを底上げしました。
その数値、なんと...24です!(ドンッ!!
以前、人間の限界はAPP18だからAPP19はたったの1ポイントとて人間には到底到達できない美の領域(ドヤァ!!とかドヤ顔で死ぬほど語っておいて何ですが、なんとですね、お洒落したり職業補整次第では、人類でも21までなら到達できるらしくてですね。
クッソ赤っ恥すぎて草も紅葉になりますよ。
いやあ~~~チョー恥ずかし~~~い!!何がAPP19ですか!!『私は世界一ではなく、宇宙一の美少女ですから(キリッ!!』とかやっちゃってた過去の自分の無知の知がグサグサと私のナイーブでバリケードな心に突き刺さります。
恥ずか死が死因となって今にも体が砕け散って塩になってしまいそう...
何が恥ずかしいって、こういう無自覚な無知やナルシシズムを知らん顔でやらかしていたのが一番恥ずかしいです。
イキリニャル太郎とか呼ばれてしまっても文句の言えないやらかしっぷりです。
ネガティブホロウを食らったらきっとこんな気持ちになるのでしょうか。読者さんすみません、生きててすみません...
そんなわけで、死ぬほど努力して自分研きに二年を費やした結果、22を通り越して24まで上げることに成功しました。
さすがにこれを上回られることは早々ないと思いたいですね。
そうでなければもう二度と皆さんに顔向けできません。
このシリーズが打ち切りになったらニア様が恥ずか死したからだと思ってください。
さて、前置きはさておき私もこの二年間、遊んでたわけではありません。
何と私、戦闘力を底上げするために修行したんですよ。
信じられます?私が一番信じられません。
やはりきっかけはあの頂上決戦編ですね。
どうせクソザコ一般市民の私が覇王色の覇気とか使えるわけがありませんし、そもそもバトル漫画の世界観にいるくせしてバトルなんか絶対にやる気ゼロですし、とやる前からやる気ゼロでしたが、さすがにあんな激闘を間近で魅せられてしまっては影響されないはずもなく。
イアイアの実とて海楼石や覇気の影響は受けますし、私みたいなクソザコ一般人なんて覇気をまとった蹴り一発で首へし折られて死にます。
そのため、せめて最低限だけでも自衛できるだけの力は身につけておかないと、ということで、嫌々ながらも頑張って体を鍛えました。
"自分を無敵と勘違いしてきた"自然系"の寿命は短い"と作中でキッパリ公言されていますように、これからも麦わらの一味の大冒険を間近で鑑賞したいなら、最低限武装色と見聞色の覇気ぐらいは使えるようになっておかなければお話もなりません。
新世界は甘くないのです。
まだ行ったことありませんけど。
あの戦いで、私は建物の中からただ観ていることしかできませんでした。
もしもあの時にもっと鍛えていたならば、あの頁を捲るごとに鳥肌が立ってしまいそうなド迫力の限界バトルをもっと間近で見られたに違いありません。
つくづく惜しいことをしました。
やはり別の世界でニンジャやってるニャルさんにみかんのお裾分けのスシと一緒に頂いたインストラクション"ノーカラテ・ノーカイゾク"は真理だったのかもしれませんね。
そんなわけで、私はこの二年間、頑張って覇気を扱えるようになるための練習をしてきました。
ですが、たかが凡人の小娘が二年頑張った程度でどうにかなるわけがありません。
意外とそうでもない?チッ!!これだからジャンプ漫画のインフレは!!
失礼、取り乱しました。
そんなわけで二年後、私は伯父様に頼んで"二年間覇気の練習を頑張る夢を見ていた"ことにしてもらって、意識を過去へと飛ばしてもらいました。
イアイアの実・モデルアザトースの能力に対抗できるモデルニャルの能力があってこそなせる荒業ですね。
そんなわけで、この二年間を何週かして、ようやくまともに覇気を使えるようになったスーパーニア様が爆誕したというわけです。
覇王色の覇気?どんなに頑張っても無理でしたよ。
まあ、覇王色の覇気が使えるオリ主とかテンプレすぎますから別にいいですけれども。
いじけてませんよ、ええ。
あーあ、これで自称一般人詐欺も終わりか。
はいはいテンプレオリ主乙。
どうせ修行ついでに六式とかも使えるようになってるんだろ?と誰に何と思われようが、私はこれからもルフィくんたちの冒険を間近で鑑賞したいのです。
遠ーーーくから見聞色の覇気で覗き見してるだけだなんて耐えられません。
花より実を取れです。
取ったの悪魔の実でしたけれども。
その弊害で精神年齢が少~~~しだけ上がってしまいましたが、何万何億と永い永い悠久の歳月を生きる邪神に接続してしまった奴の年齢なんて実際些細なことです。
ニア様の中身がBBAになってしまわれたー!?とお嘆きの男性諸氏の魂は死後、ニャルラト正教会カマバッカ王国支部へと着払いで発送致しますのであしからず。
女性を年齢で弄るタイヘン・シツレイが許されるのは平成までです。
胆に銘じておきましょうね。
そもそもが、女子中学生や女子中学生すら場合によってはBBA呼ばわりしかねない一部の失礼な男性方にとって、十七歳なんて実質BBAみたいなものです。
年齢が二桁になったらもうBBA、みたいな世界ですからね。
気にしていても仕方ありません。
そんなこんなでこの二年、みんな強くなった大聖女御一行様は、いよいよ第2部へと時計の針を進めていきたいと思います。
『ファッ!?何で!?何で!?何で!?バグありチャートとは言いましたけど朝起きたら二年前に戻るバグなんて聞いてないよォオ!!走りながら調べてみましたけどwikiにもこんな情報載ってないし!!あああもうやだあああ!!本番でいきなりこんなバグが発生するようではタイムがお通夜一直線ですねクォレハ!!どうして本走時に限ってこーんな極大ガバが発生しちゃうんですかねェ?(震え声。まあいいです、二年なんて誤差だよ誤差!!RTAは一度始めたら完走するまで止まらねえからよ!!ってそれ一番言われてっからよ!!お前らも...止まるんじゃねえぞ!!』