イアイアの実・モデルニャルは地雷案件すぎませんか?   作:露木曽人

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モルカーを観ていると優しい気持ちになれましたので初投稿です
てか、今週も来週もシロモが出てこないんですけど??
フォーエヴァーゾンビ??フォーエヴァーゾンビなの??


第24話 神は仰いました。『汝の敵を愛せYo』と

皆さん、こんにちは。猫耳の子可哀想!救いがあってほしかった!という意外な人気に、やっぱりみんな幼女が好きなんやな、とややずれた第一感想を抱いてしまったチートオリ主のニアです。ブーメランブーメラン。

 

とはいえ、救いを求める人がいるのならば、それに応えるのが聖女というもの。私個人としては彼女たちに含むところはありませんし、むしろ『何が聖女ニャ!!あの女はアリスたちから大切な人を奪った...悪魔ニャ!!』なんて麦わらの一味の前で被害者面して号泣でもされてしまったら大変なので、サクっと救済して向後の憂いを断つことにしましょう。

 

では早速彼女たちを救済...といきたいところですが、この場合の救いとは一体どういった形に収めるのがベストなのでしょうか?一口に救いといっても、人それぞれ救いの形は様々です。

 

例えばそう、全員生き返らせて、どっか遠くの孤島でひっそりと隠居してもらう。

 

これはまあ、ワンピースの扉絵シリーズっぽくてよいのではないでしょうか。ワンピ世界では、話の都合上敵役として登場してもらった悪役さんたちには、その後第二の人生を歩み出してもらうというのがセオリーです。

 

え?あんだけのことやらかしといてあっさり赦されるの?納得いかなくね?と感じる方々がワンピアンチに走る理由の一環ですが、私は嫌いじゃないですよ。あのワポルさんやエネルさん、カリブーさんといった過去の悪役の皆さんも、その後の人生をそれぞれに謳歌していらっしゃるようですし。

 

ナミさんだってベルメールさんがアーロンさんに射殺される間接的な原因となったはっちゃんに対し赦しを与えたわけですからね。

 

ただ、はいそうですかわかりました、とあっさり彼女たちが納得してくれるかどうかは怪しいところです。悪魔の実だけボッシュートしてので用済みだから返してあげるね、と生き返らせたハウトさんとウィンディさんを返却したところで、『ふざけるニャー!!』と激昂されてしまっては目もあてられません。

 

では記憶を消す?それは、どうなんでしょう?

 

『何もかもを忘れてしまった俺だけど、君たちが大切な女の子たちだってことだけは何となくわかるよ』と微笑む男主人公と、それを介護する、男への愛以外の恨みや復讐心を全て忘れてしまった美少女たち、というのは確かに一種の王道ですが。

 

え?あの男も救済すんの?あいつは別によくね?と疑問を抱いてしまったそこのあなた、いけませんよ。

 

可哀想な美幼女や美少女は例え罪なき教徒の皆さんを逆恨みで教会の建物ごとテロ行為の標的にしようが、子供たちを大勢爆殺未遂しようが可哀想だから救済してあげてほしい、でも野郎は知ったこっちゃないからOK、とは参りません。

 

仮にもしこれまでの全ての辛い記憶を忘却させたところで、猫耳幼女と片翼ガールには過激派テロ組織として活動していたという実績があります。

 

それも、少年兵が生きるために無理矢理働かされていた、的なサムシングでなく、私憎さにノリノリでニャルラト正教会の教会を爆破したり、信者に襲いかかったり、金品を略奪したりといった『正当な復讐』をあちこちの島で行った実績があるため、既に賞金首になってしまっているんですよね。

 

なので、彼女らふたりの記憶を消して、はいこれからはあんな男のことは忘れて自由に生きてくださいね、とどこかの港町に解放したとして、彼女たちのこれまでの行いまでは消えません。

 

ウッカリ手配書が出回っている街に足を踏み入れてしまったならば、『おい!!賞金首が来たぞ!!』『このテロリストめ!!』と、わけもわからぬままに拘束され、再びインペルダウンに引き渡されるか、もしくは大聖女を信奉する熱狂的な信者たちによってリンチされかねませんし。

 

本当に何も覚えていない彼女たちにそんな悲劇が降りかかってしまっては、救済どころかむしろ死体蹴りです。さすがに私もそこまで悪趣味ではありませんよ。

 

翻って邪神らしく、記憶を弄るというのはどうでしょう。

 

『辛いことも色々ありましたが、僕たち四人が今こうして平和に暮らしていられるのは全てニア様のお陰です、イア、イア』

 

うーん、これは酷い。やってることが完全に悪役一直線ですね。意思のない操り人形四個がドールハウスで暮らしているところが果たして救いになるのでしょうか?本人たちが幸せだ、救われた、と心から感じているのならば、それは当人たちにとっての救い足り得るのかもしれませんが。

 

その理屈でいくのならば、幸せな夢を見ていてもらう、というのもひとつの手です。彼女たちは復讐を成し遂げ、教団から奪った莫大な金銀財宝を手にし、一生幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。

 

そんな甘く優しい夢を、インペルダウンの監獄で朽ち果てるその日まで見ていてもらう。一生覚めない夢というのは現実と同じです。少なくとも、彼女たちにとっては一種の救いとなるでしょう。辛い現実よりも、甘く優しく都合のいい夢の中で生きる方が、遥かにマシなのかも。

 

しかし何でしょう、段々ハッピーエンドからメリーバッドエンドに近づいてきているような?

 

メリバ?何それ?という方向けにメリーバッドエンドとは何かを簡単に説明すると、周りから見ると不幸だけど当人たちにとっては幸せ、という、救いがあるんだかないんだかよくわからないエンディングのことです。

 

例えば親に海賊の男との結婚を反対され、違う大金持ちの男との婚約を強要された町娘が、海賊の男と海に逃げたとします。道中酷い嵐に見舞われ船は転覆。ふたりは海で溺れ死ぬことになりました。客観的に見ればバッドエンドです。しかし。

 

『あなたのいない人生を生きるぐらいならば、ここで今あなたと一緒に死ねる方が私、幸せよ』

 

『ああ。死んでも君を離さない。生まれ変わったら、また一緒になろう』

 

『嬉しい!!』

 

とまあ、こんな風に、当人たちは幸せな気持ちで抱きあいながら海の底に沈んでいったので、ふたりにとってはハッピーエンドなわけです。こういう一見して救いのないバッドエンドなのに、当人たちだけは幸せな状況をメリーバッドエンドと呼びます。

 

幸せなんてものは、個々人の主観によるものでしかない、という一例ですね。

 

ニャルラト正教会十箇条その1、善意の押しつけはやめましょう。お前のためにわざわざやってやったのに、は双方に取って不幸な結果に繋がりかねません。

 

大聖女ニアが、『必要な救済を、必要な分だけ』をモットーに、相手が求めてきたものをそのまま与えることに終始しているのは実は、どこまでやっていいのかわからないから、いっそ相手に丸投げしてしまおうという魂胆が発端なのです。

 

何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし。一方的にあなた方に救いを与えて差し上げましょう、だなんてあれもこれも独善的に押しつけてくるような奴は、ありがた迷惑にしかなりませんからね。

 

え?ロビンちゃんの片足事件?そこはほら、原作順守のためやむなくということで(目逸らし

 

それならいつものように彼女たちに『どうすればあなた方は救われますか?私に素直な本音を教えてください』と問おうものなら、『私たちが願うのはお前がもう死んだ方がマシだと思うような生き地獄の底で惨たらしく這いずり回ることです!!』と激昂されかねないのでできません。

 

ニャルラト正教会十箇条、その9.お話し合いで解決できるのならばそうしましょう。ただし、相手が聞く耳持たない場合はその限りではありません。

 

話がだいぶ逸れてきてしまいましたが、こちらに被害が出ないことを前提とした上で彼女たちを救済するつもりならば

 

1.これまでの記憶を保持したままで

 

2.あの男を生き返らせた上で

 

3.もうこれ以上私たちに係わることのない遠方へと追いやる

 

というのがベストでしょう。

 

いっそこんな辛い世界でこれ以上生きていかなければならないぐらいなら、あの男のところに送ってやることこそが一番の救いなのではないか?というのもある種の救済ではありますが、さすがにそれをやらかしてしまうと最近大聖女()扱いの止まらない私の更なるイメージダウン待ったなしですからね、しょうがないですね。

 

 

さて、方針が定まったので後は伯父様にご協力頂いて、サクっと片づけてしまいましょう。現在お祭りに向けて、着々と準備が進んでいる真っ最中ですから、手持ちの案件は減らしておくに越したことはありません。海軍本部への正教会からの貢ぎ物は減りますが、必要経費と割り切りましょう。

 

ちなみに第1回お神輿カップはお神輿の上の玉座を取り外してもらうことで、無事に開催する運びとなりました。一応、選ばれた強者だけが担ぐことを許されるお神輿というのはお祭りの目玉になりますからね。

 

取り外した玉座の代わりにテゾーロさんがゴルゴルの実の能力で寄贈してくださった大聖女ニアの黄金像が飾られる運びとなりましたが、私本人が座らされるより黄金像に立っていてもらった方がまだマシですのでそれで構いません...

 

 

それでは気を取り直して、まずは伯父様の能力で『下校途中にトラックに撥ねられワンピ世界に転生する夢を見ていた』ハウトくん改め宝丸羽生人(ほうまるはうと)くん...凄い名前ですね。まさに呼ばれるべくして呼ばれたというか何というか...

 

とにかく彼には、ただの学生として元の世界に戻ってもらいます。窓から鮮烈な西日が射し込む夕暮れの教室で目を覚ました彼の机の周りに、イアイアの実・モデルニャルの能力を使って能力者ではなくした三人の美少女たちをシューッ!!超!!エキサイティン!!

 

ちなみに伯父様の力で元の肉体を取り戻したハウトさんはまだしも、潮の柱の仮初の肉体で蘇ったウィンディさんだけはさすがに現代日本で生きていくのは大変でしょうから、国家錬金術師として働く別世界のニャルさんに監修をお願いして、きちんと肉体を再構成しておきました。

 

残りのふたりはって?彼女たち、別に死んでませんでしたから、悪魔の実だけ抜き取ってそのまま転送しておきました。ほら、覚えてらっしゃいますか?22話のホルモンさんの台詞。

 

『サルタン中将殿!!テロリストどもの引き取りと留置が完了したでェあります!!海軍本部への護送艦への引き渡しは明々後日の一〇〇〇を予定とのことであります!!』

 

【猟犬部隊と諜報部隊の連携により確保されたテロリストたちの大半はしかし、正当防衛により返り討ちにされ亡き者に。辛うじて生き残った者たち、意図的に生き長らえさせた者たちはいわば、ニャルラト正教会から海軍への貢ぎ物であると言える】

 

そうです、テロリストたちは別に全員皆殺しにしたわけではなく、何人かはあちらさんの面子を立てるために、生かしておいたまま海軍本部へ引き渡す手筈となっていたアレですね。後付け設定乙?どう見ても死んだじゃんってキャラが実は生きてましたってのはアラバスタ編辺りからワンピースでは頻発するよくある出来事ですので気にしない気にしない。

 

一度ルフィさんたちが引き起こした大騒ぎに乗じてインペルダウンから脱獄してきたとはいえ、さすがに二度目の大脱走劇はなかろうということで彼女たちには再度インペルダウンに逆戻りしてもらおうという魂胆でしたが、そちらにいるより現実世界に異世界転移してもらった方がお互いにとって安全そうですし、そうすることにしました。

 

現代日本で戸籍も持っていないような明らかに外国人の美少女、美女、美幼女が三人もどうやって生きていくんだと思われるかもしれませんが、そこら辺はハウトさん改め羽生人さんに男を見せて頂きましょう。大丈夫大丈夫、異世界転生したら本気出せたのですから、元の世界でも本気を出してやればできる子であるに違いありません。調べたところ、宝丸さん、ご両親がお仕事の都合で何年も海外出張しているため、生活費だけ振り込んでもらいながらひとり暮らししているみたいですし、同居人が多少増えたところで問題ないでしょう。

 

いきなり異世界や並行世界や未来から美少女が我が家にやってくるなんて男の都合のいい妄想が大爆発したラノベやアニメ何て古今東西いくらでもあります。それらの主人公くんに倣って、羽生人さんの頑張り次第でどうとでもなるのではないでしょうか。どうにかなるといいなあ。いえ、私は信じていますよ。どうか彼らの未来に幸あらんことを。


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