イアイアの実・モデルニャルは地雷案件すぎませんか?   作:露木曽人

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第34話 世界の中心でいあいあを叫んだけもの

さて、ニャル様が無断でお膳立てしてくれやがりました劇場版も、無事に終わりました。勘当のエンディングが流れる中、いよいよルフィさんたちともお別れです。まあ、この先も姿を隠してずっと付きまとい続けるつもりですが、やはりケジメは大事ですよね。

 

サボさんは今回の一件を機にニャルラト正教会は革命軍と秘密裏に協定を結ぶことを検討している、という情報を手土産にお帰り頂き、ボンちゃんもインペルダウンのお仲間さんたちのところへ帰って行きました。個人的にボンちゃんの登場は私にとっても予想外の嬉しいサプライズでしたね。

 

「皆さん、この度は本当にありがとうございました。何とお礼を言っていいか」

 

「あー、いいのいいのそういうのは。感謝はベリーか宝石でお願い!!」

 

「もちろんです!!ではあのお神輿の上に飾られている、時価10億ベリー相当の私の黄金像を」

 

「いやーアレは何か呪われてそうだからいらねェ!!」

 

「お黙りウソップ!!」

 

あのどうしたもんかなキンキラリンの1/1スケール大聖女黄金像も無事に処分、もといお礼に差し上げることができて、清々しい気分ですね。寄贈元のテゾーロさんには申し訳ありませんが、これもルフィさんたちへのご恩返しのため。不可抗力という奴ですので、きっと許してくださるでしょう。

 

もう一個同じものを新しく寄越してくださらないように釘をしっかりと刺しておきませんと。なんと言いますか、怖いんですよねェあの黄金像。教徒の皆さんだけでなく、島の男性たちも熱心に拝みにきたり何故かハァハァしてたりしますので。やはり偶像崇拝は禁止すべきでしょうか。

 

「ヨホホホホ!!ところで聖女様、お別れの前にパンツ見せて頂いてもヨロブヘッ!?」

 

「図に乗るな」

 

いつものセクハラジョークに走るブルックさんに、伯父様の鉄拳が唸ります。令和になって女性にセクハラを働く行為がギャグとして流されるというのは如何なものかと思わなくもありませんが、やはり少年誌とお色気要素は切っても切り離せない存在なので仕方ありません。

 

ここは一発渾身のパンツはいてない系聖女という天然ムーヴをかましてやろうかとも思いましたが、それをやってしまうと2時間お説教コース待ったなしですので残念ながら諦めです。

 

それぐらいのことでよろしいのでしたら、と今ちゃんとはいてる清純な白のおパンティも諦めて頂きましょう。ただでさえ露出度の高い黒ギャルビッチ化案件で伯父様やシャンタークさんたちを誤魔化すのにあれだけ苦労したわけですからね。ここはぐっと我慢です。

 

「野郎ども!!麦わら海賊団の出航だ!!道を開けろ!!」

 

そしていよいよ出航の時間がやって参りました。いやー長かったですね。敵認定されてぶっ飛ばされないようにと色々頑張った努力がようやく報われる瞬間、なんとも感無量です。ダゴンさんの一喝により、サウザンドサニー号が海へ出られるだけのスペースが確保されました。

 

こちら側の全員がタラップを降りていき、最後に私が一度だけ振り返ります。

 

「皆さん、本当にありがとうございました!!どうか皆さんのこれからの旅路に、幸多からんことを!!」

 

「なあ、ニア」

 

「はい、何でしょう?」

 

すっとぼけておきますが、彼の言いたいことは大体わかりました。お前、俺たちの仲間になんねェか?と仰りたいのですよね。いやー感無量ですね。ワンピ小説のオリ主3大テンプレといえばルフィさんに仲間になれと言われる、子供の頃から六式を体得する、原作の過去キャラが死なないように助けるですから。

 

実際にはスリラーバーク編からしばらく私も誰にも違和感を抱かれないようにサニー号のクルーに加わって、一緒にタコ焼きまで食べた仲なのですが、それはそれ、これはこれということで。

 

女主人公の場合はサンジくんにメロメロになられる、というのもありますが、それも今回バッチリ実績解除できたわけですし、なんとも感慨深いものです。この世界に生まれ落ちて約17年とちょっと。

 

ウッカリイアイアの実・モデルニャルなんかを食べてしまってこの世界の外の知識がどどどーん!!と流れ込んできて一時期は廃人になりかけたりもしましたが、なんとかSAN値を犠牲にそれでもこうして元気に生きていられるわけですからね。

 

「いんや、やっぱ何でもねェ!!元気でな!!」

 

「はい!!皆さんもどうか、お元気で!!」

 

笑顔で別れをかわし、サウザンドサニー号が遠ざかっていきます。目指すはゾウ。これから四皇編が始まっていくわけですね。今回錦えもんさんとモモの助くんが何故かいなかったのは、パラレルワールドってことでここはひとつ。

 

時系列的におかしくね??なんて劇場版に対するツッコミは野暮ですよ、野暮。私も早く錦えもんさんにお会いしたいので、今後が実に楽しみです。

 

さて、そんな皆さんのためにここでサプライズ。見送りをする私たち六人に加え、エースさん以外の今回ご出演頂いた死者の皆さんにも見送りに加わって頂きます。なんでエースさんだけハブなのかって?あんな感動的な消え方された後にひょっこり出てこられたら余韻が台なしじゃないですか。

 

「じゃあなー!!」

 

「行ってきまーす!!」

 

「俺、頑張るからなー!!」

 

かくしてサウザンドサニー号は水平線の彼方へと消えてゆき、うっすらと体が消えていく死者の皆さんはそのまま黄泉の国へ。ニャル様にはエンドロール後のCパートにギャルラトホテプの姿で出演して頂く手筈となっておりますので、そちらに関してはお任せです。いい感じにそれっぽい締め括りを飾ってくださることでしょう。

 

といってもCERO-Aという都合上あまりお子様方にトラウマを残しかねないえげつないものや、映画の評判を下げるような後味の悪いものは自重してくださいとお願いしておきましたので、さほど酷いことにはならないでしょう。我らがニャル様を信じるのです。信じる者はすくわれますとも、ええ。

 

「さて、それでは皆さんお疲れ様でした!!これにて一件落着です!!無事乗りきれてよかったですねほんと」

 

「なんとも騒がしい、ですが、気持ちのよい連中でしたね。お嬢様が肩入れするのもわかる気がします」

 

「フタを開けてみりゃあ、結局いつも通り(の自作自演)だったっすね。それで救われる連中が大勢いたってェんなら、別にいいっすけど」

 

「誰かの勝利は誰かの敗北。誰かが笑うその陰で、誰かが泣くのは世の常。人生とは、得てしてそのようなものでございましょう」

 

「とりあえず、わしは帰ってひと眠りするぞい。ジジイに徹夜は応えるわい。せっかくのお祭りデートを台なしにされてお冠の、ハニーの機嫌も取ってやらねばならんからのう」

 

「では、捕らえた海賊どもへの対処は自分が!!これだけの名声値が稼げれば准将への昇格も近いでェありますゆえ!!やはり権力、権力は全てを解決する!!」

 

「張り切るのはいいが、各自程々に体も休めておくことだ。徹夜であったことに違いはないのだからな。時に、ニア」

 

「はい、なんでしょう?伯父様」

 

「此度の一件は、満足のいくものであったか?」

 

伯父様が、皆さんが、笑顔でそう問いかけてきます。答えなんて、訊くまでもないとばかりに。伯父様、ダゴンさん、ロスさん、シャンタークさん、ゴーントさん、ついでにホルモンさん。私の素敵な仲間たち。私の人生という名の旅路で得られた、かけがえのない仲間たち。

 

「ええ、もちろん!!」

 

「そうか。ならば、それでいい」

 

あ、これここでエンドロールの流れですねわかります。伯父様の腕を取り、皆さんと一緒にドリームタワーへ帰っていく私たち。道中、教徒の皆さん、島の皆さんが、笑顔で手を振ったり、声をかけたりしてくれます。

 

ここは楽しい夢の島。イアイアの実・モデルニャルなんて特大の厄ネタを引き当ててしまった私が、それでもなんとか楽しく生きている、おとぎ話、もしくは怪談めいた逸話と共に、世界中で噂される夢と悪夢と白昼夢の島。

 

人々は、口を揃えてこう呼びます。そう、死者にもう一度だけ会える島、ドリームアイランド、と。




皆さん、後書きからこんにちは。ニャルラト正教会の教祖、イアイアの実・モデルニャルの能力者、冒涜的人間の大聖女、ニアです。

突然の最終回っぽい内容に驚かれましたでしょうか?

劇場版も終わっていい感じに一区切りつきましたので、よい機会ですしここらで一旦本編完結ということで〆させて頂きたいと思います。あまりダラダラ引き延ばしてもしょうがないですし。

といっても作者がゾウ編を読み始めたら、また続きをお話しすることになるかもしれませんが。


そんなわけで、後はダラダラと気が向いた時にでも小話が唐突に投稿される可能性がなきにしもあらずといったところでしょうか。

あのキャラのこんな話とかあんな日常回が見てみたい~などのご要望がございましたら感想の方に書き込んで頂けると、内容次第ではこちらで対応できるかもしれません。

それでは、ここまで長々と私の自分語りにお付き合い下さりありがとうございました。またいつか、どこかの海でお会いしましょう。それでは。

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