人助けをしたら幻想郷にさらわれたので呑気に暮らそうと思います 作:黒犬51
そよ風の吹く草原。太陽は真上から草木を照らし、草木はそれに応えるように青々と輝いている。そこで彩色の球体を飛ばす者たちがいた。
「良いわね。そんな感じよ」
あの後無事に抜糸を終えた後、紫のあの気味の悪い空間を通り、草原で弾幕ごっこの練習をしている。まずは弾幕を出すところから始まった。意外と難しいらしいが、俺からすれば同調すれば良いだけの話だ。例として弾幕を撃った紫に同調して、簡単に打つことが出来た。だから、難易度に関しては何もわからない、ただ一つ言えるのは、この弾幕というのはとても綺麗だということだ。様々な色を持ち、空を彩る。今は日が出ているからあまりだが夜であればきっと息を呑むほど美しいのだろう。蛍火のようなそれはきっと夜空に良く映える。
「でも、そうね。感覚がわかるなら貴方自身の弾幕を目指しなさい。それ私の同調して撃ってるでしょ」
確かに俺の放つ弾幕は紫と全く同じ色をしている。ゲームという面でも同じ弾幕を扱うというのはあまり良くないだろう。経験したことのある弾幕とそうでない物であれば圧倒的に後者のほうが避けにくい。
「あーね。上手くやるわ」
そんな彼女の元に、1人の少女が駆け寄ってくる。白のドレスに赤い中華服のようなものを纏い、猫の耳と二つの尻尾を持つ彼女はこよみの下までくると笑顔を向ける。見た目は小学生だ、そして俺が轢かれそうになっているのを助けた少女でもある。
「紫さま!お呼びですか?」
「ええ、一回こよみと弾幕ごっこをして頂戴。勝ったら好きな魚買ってきてあげるわ」
「おい、お前俺に加減でき無さそうとかいってたじゃねーか。大丈夫か?」
正直、当たるとどれだけ痛いかもわからんものを小さな子に打つのは気が引ける。
「あの時助けてくれたのは感謝してるけど。私のこと馬鹿にしてる?私は貴方よりもずーっと先輩なんだよ?」
それも一理ある。明らかに妖怪だ。俺よりも長い時を生きているのだろう。なら、気にする必要もないか、それに一回本気を出してどんなもんかを調整しないと加減も何もない。
「あー、わかった。やればいいんだな。ただ、俺はスペルカードとか知らないぞ。必殺技ないんだけど勝負になるのか?」
「これは避ける練習よ」
「おーけー。ならできる限り足掻こうか。スタートは任せた」
橙という少女から距離を取り、二度ほどジャンプ、伸びをして体の緊張をほぐす。後でどんなものか弾幕も撃ってみないといけないが、今は回避だけを考えよう。人間じゃないらしいこの体がどれだけ動けるのかも知りたい。
「スタート」
掛け声に合わせて橙の体から赤と黄色の弾幕が発射。紫と弾幕の形状も色も違う、となると形も含めて自由なのか。想像力豊かにって事らしい、そういうのは正直苦手だ。俺の想像などというものは、結局俺の調べてきた奴らの誰かが経験している。なら、それは想像ではなく現実でしかない。
目の前に迫る弾幕をひらりと躱す。ただ、この身体は動きにくい。主に胸の部分が。ただ、服装はさとりからもらった服が逝かれてしまった為、紫が持ってきた服を着ている。黒いチノパンに白シャツ。さとりからもらった服と比べればいくらか動きやすい。それに、やけに体が軽い。空を飛べるから、という理由もあるのかもしれない、ただ恐らくはそれなりに健康的な生活をしているから、そして人間ではないからだろう。にしても思えば懐かしい服装だ、外ではずっとこんな服装だった。ファッションに興味の無かった俺からすれば一番楽な服装だった。そんなことを思いながら弾幕を避ける、アスレチックのようなゲームだ。ジャンプやしゃがみを入れながらかわし続ける。正直今のところ当たる要素はない。
「橙、もういいわよ」
紫が合図を送ったのを猫の少女が確認し、胸元から何かを出した。
「わかりました!仙符『鳳凰展翅』」
少女の手元に一枚の札が握られている。成る程、あれがスペルカード。それが少し光ったかと思うと飛んできていた弾幕が一度消滅する。そして、弾幕が少女の周囲から青と緑の弾幕が時間差でそれぞれ円状に列を形成して展開。そのまま円を広げながら回転。飛んでくる。
綺麗だが、躱すのに苦労するレベルではない。と思っていたが、徐々に密度が上がっている。時間差で円が迫るなら後半の方が辛いのは当たり前か。
左右を見ながら躱すが、見切れなかったものがあったらしく一つの弾幕が迫っていた。少しヒヤリとしたが足首を使って上手くステップを踏んで回避する。
迫ってくる鮮やかな弾幕に目をやり避けるルートを捜す。同じ形式で一定周期で円状に弾幕が飛ばされている以上パターンがある。それさえ掴めればなんの問題もない。もしわからない弾幕が来たとすれば相手に同調すればどのような形式で、どのように狙っているのかくらいは判断できるだろう。それに従って躱せば良い。
こんなことなら同調なんて能力を知らなければ良かった。極力使わなければ良いか。
それから数十秒間弾幕を避け続ける。恐らく難易度は高かった訳では無いのだろう。まぁ初回で鬼畜なものをやらせるゲームなんて血が香るゲームで十分だ。
「当たらない!」
遠くで橙が当たらないことを嘆いてか紫に文句を言っている。
「仕方ないわよ。逆に当てられたらすごいわ」
遠くからこちらを見ている紫。その手にはカメラのような物が握られている。恐らく録画をしているのだろうが、練習光景を録画されるというには中学時代の部活のようで少し良い思い出がない。
「終わりましょうか」
「紫さま」
どうやらもうやる気は無いようで弾幕が消える。結局被弾しなかったが、一度くらい被弾の感覚を覚えるために受ければ良かった。橙は紫に何かを話す様で草原を少し走って紫の元に行くと小さな声で会話を始めた。距離的に何を話しているのかは全く聞こえない。
「そうね。強いとは言っても経験は無いだろうし、少し練習は必要ね」
練習という単語は聞こえているが一体なんの練習なのかがわからない。ただ、少し嫌な予感がする。軽く体を動かしておく。実際はなんでもないかもしれない。これは能力も何もないただの予想。外れてもなんの問題もないが、警戒はしておくべきだ。
相変わらず橙は紫に何かを話している。少し困った顔をしていた紫だが、最後には首を縦に振った。その瞬間、こちらを向いた橙が猫の様に四足で走り人では不可能な速度で突っ込んでくる。
「は?」
すぐさま能力を発動するが、恐らく同調するまでの時間が足りない。それに同調したところで避ける事ができるとは限らない。腰を深く落とし、避けるか受けるかの選択を出来る様に、だが、基本的に受けるという選択肢はないだろう。恐らくタダでは済まない。結果、右に避けると騙して左に避ける。
「あたってくれれば良いのに!」
「いや、あんなのにあたったら死ぬだろ!」
どうやら肉弾戦の練習らしい。最悪だ、俺が痛い目に遭うのは嫌だが、それ以上に見た目が年下の少女を傷つけるのが倫理観的に厳しい。だが、あの時俺を襲ったあの少女も性別は女、そして歳は俺より下に見えた。そこらの感情は邪魔だと分かっているが。
「死なないように加減してるから、当たっても良いんだよ」
にこやかに笑ってはいるが、しっかりとした殺意も感じれる。
「勘弁してくれよ」
凶悪タックルを避けられた橙は今度は爪を伸ばし、ベアクローの様に変化した状態でゆっくりと歩み寄ってくる。さっきのタックルよりも洒落にならないものが出てきた、当たれば致命傷、擦れば出血の凶器攻撃。そして攻撃範囲も長い。そんな物を武器のない奴に持ち出すのは反則だろう。
紫に救助を頼みたいが、そんなことをしている間に襲われる。その上、もしまたあの女に襲われた時に他者に助けを求められるだろうか。いや、無理だ。自分で解決するしかない。
今俺にある攻撃手段は肉弾戦と、弾幕。ただ、弾幕に関しては当たるとダメージがあるのかが不明だ。弾幕ごっこというゲーム内でしか効かないという可能性もある。ただ、手札が少ない以上。使ってみる価値はある。それに有効ならあの女にも使えるはずだ。
「やるしかないか」
2、3度その場で跳ねるフリをして飛行に切り替えて、低空で後方に下がる。距離は取れたが弾幕を使うとして、あの速度であれば一瞬で詰められる。一体どんなものが有効か。それを取り敢えず撃って考えるしかない。
まず、紫が撃っていたものと同質のものを打ち出す。一発目から自分自身の物でいくとクセを読まれる可能性がある。それに、自分自身のものなんてよく分からない。
「いいね!武器がないなら得策。でも」
そう言って四足になったかと思うと、恐ろしい速度で弾幕の間を抜けてくる。速いとかそう言ったレベルではない。慌てて後ろに飛びながら弾幕を打ち続ける。距離が詰まれば詰まるほどに弾幕の密度は上がる。避けると言うことは何かしらのダメージはあるのだろう。
「もっと、自分が思うように動くといいわよ」
そんな姿を見かねてか、紫が助言を渡してきた。確かにその通りだ、いつでも日和って攻撃しないのは俺の悪癖だ。相手が俺を終わらせにきている以上、俺も終わらせにいくべきだ。ただ、弾幕は打ち続ける。実際にあの速度を抑えられているのは弾幕のおかげと言う他ない。恐らく有効打にはならないが、俺が同調するまでの時間稼ぎは出来るはず。
ただ、問題は同調してどうするのかという事、別に移動速度が上がる訳でも、攻撃力が上がる訳でもない。強いて言うなら相手の考えがわかって攻撃が避けやすくなるくらいのもの。避けることはできても決定打がない。何か攻撃の手段が必要になってくる。武器でも良いし、技でも良い。
そんな事を考えている間にも橙は距離を詰めてきている。時々弾幕が当たっているが、かすり傷くらいのダメージしか与えられていない。そして、橙に接触した弾幕は少し起動がずれている。
覚悟を決めて弾幕を解除。ただ、肉弾戦となると武器を持っている相手が有利、何か武器を作れれば。そこで良いことを思いついた。弾幕を剣の形に整形し、一本を握る。どうやら自分に当たり判定は無いらしい。そのまま、背後にも数本同じものを浮かせる。
「面白いね。でも、使った事ない武器に負けるほど私は弱くないよ!」
相手に懐に飛び込むと見せかけて背後に跳躍、かなりの負荷がかかる動きのはずだが、簡単に動く。先ほど踏み込んだ足元は人間が踏み込んだとは思えないレベルで抉れていた。本当に身体能力はバカほど上がっているらしい。すかさず飛びかかってくる橙に背後の剣を一本飛ばす。だが、器用に空中で体を捻り避けられる。一本だけでは捉えきれない。そのまま飛びかかる橙の爪に合わせて剣をかみ合わせて止める。見た目によらずバカみたいな腕力だ。妖怪っていうのはやはり、人間と比べて圧倒的に筋力があるらしい。そして、それと競り合えている俺ももう人間とは呼べない。
「恩人にそんなことして良いのかよ」
「これは訓練だから、感謝してくれてもいいんだよ?」
訓練にしては殺気が高すぎる。という発言は胸にしまい、対策を練る。にしても紫も大概ひどい。どうすれば良いのやら。
「ありがとうは言いにくいな」
そういった瞬間、何か鋭い痛みとともに何か暖かいものが口から溢れる。腹を何かが貫いている。
「は...?」
一気に力を込めて剣を押し出し、橙と距離を取る。嫌な音と共にひどい痛みが走るがそれどころではない。顔を上げて再度視界に橙を捉える。
少し離れた場所で血に塗れた尻尾を舐めとっている橙がいる。傷つけたくないなんて舐めた事を言っている場合ではない。貫かれた腹は赤く染まっているが既に痛みはない。手で触って確認するともう痛みすら感じなかった。
「橙?!何をして...まさか」
橙だったものの姿が歪み。見覚えのある少女が現れる。白いワンピースには赤い血が付いていた。それが俺の物である事を願いたい。
「お前...」
「やっぱりそう簡単には行かないよね。やっぱりあの時殺せておけばよかったなぁ。傷、もうないもんね。仕方ないな、作戦変更」
けろりと笑う少女。中学生くらいの見た目から溢れるその無垢な笑顔と裏腹に手に握られたナイフは赤く染まり、鮮血を流している。同時にいてはいけない二つが異常性を際立たせている。
「そうだ。八雲紫。変なことしたらあの猫ちゃんがどうなっても知らないよ」
「貴様ッ......」
人質か。自分の命の危機であるにもかかわらず。呑気にそんな事を思っている。
「で、目的は?俺を殺すのか」
「殺したいんだけど。正直殺し切る自信ないから。勧誘だよ」
勧誘。俺は殺せない。でも、紫の思惑は失敗させたい。なら、俺を八雲紫の敵側であるこちらに引き入れれば良いと。単純だが、作戦としては正しい。そして俺はもう普通じゃ殺せない域で化け物になったという現実を受け入れる。
「なるほど。なら、お前らが何を目指してるのかを教えてくれよ。それくらい知らないと仲間になんてなれない」
「前も言わなかったっけ?八雲紫の絶望」
「わーお。で、どうやって?」
思っていたよりも危険思考だ。だが、橙は人質になっている以上、紫の助力は望めない。状況は悪い。俺がこいつに一対一で勝ったとして、橙の無事が保証できない。なら。
「それを本人がいる前で言うと思う?」
「それもそうか。なら、場所を変えよう。それでいいな?」
正直、こいつがなんの能力を持っているか分からない以上サポートのない状況に行くことは避けたいが、今俺をサポートできるのは紫のみ。そして今この現状ではサポートが望めない。なら、別に場所を変えようが何も変わらない。結局、俺がなんとかするしかないのだから。
「もしかして結構前向きに考えてくれてる?」
「まぁ、内容によってはだな。まずまず、明らかに無謀だったら乗らないだろうし、俺は、お前が前言ってた八雲紫がお前に何をしたのか、その具体的な内容は聞いていない。それが報復するのに十分だと感じたら協力するかもしれない。ただ、話を聞くにしても条件がある。橙は解放しろ。俺を捕まえられたんだ。それでいいだろ?」
死ぬかもしれないというのは分かっているが、諦めなのか冷静になってきた。静かに色々な策を練る。思いつく限りの状況に対策を、そしてそれが実行可能かをシミュレーションする。
「うんうん。いいね。なら、あの猫ちゃんは解放する。でもその前に、」
そう言って少女は八雲紫への方へと手を伸ばし、何かを掴む動作をする。顔など見なくてもわかる程度に黒い感情が渦巻いている。紫に外傷がないように見えるが、なにも起きていないとは考え難い。
「貴方は絶対に許さない」
そしてこちらに笑顔で振り返る。その切り替えが不気味だ。
「じゃ、行こうか」
少女を少し急かす。もしここに紫と一緒にいたもう1人の狐の女性。名前は忘れたが、それが来れば間違いなく戦闘が起こる。それは避けたい。それにこの少女は恐らく今すぐ俺は殺さない。だが、俺以外を殺さないとは限らない。それに、俺は彼女の身に何が起きたのかについて興味がある。一体どれだけのことをされればここまでの恨みを抱くのか。
「うん。行こう!」
まるで遠足前の少女のように目を光らせ、目の前に見覚えのある空間を開く。それは、紫の物と似て。いや、全く同じ物に見える。紫が設置した可能性もあるが、橙が人質に取られている以上その説は薄い。となれば、この空間は。そこまで考え、少女の能力にある程度想像がつく。
「行こうか」
先に入った少女の跡を追う。後ろから何か声が聞こえた気がしたが振り返らない。
相変わらず一瞬で変わる風景。そして広がる世界。それは何処かの城跡。冷たい石畳を足に感じる。目の前には大理石でできた長机、その端に置かれた椅子に座れされていた。丁度反対にはあの服を着た少女が1人。天井にはシャンデリア、あまりにも豪勢なそれはまるでプリンセスの出てくるアニメのものに近い。周囲を見渡して逃げ道を探すが、どのドアも大きな木製でそう簡単には開かないだろう。その上蝶番までされている。
「ようこそ!」
声のあり方を見ると丁度反対側に先の少女が座っている。そして無邪気に手を振っていた。
「いいとこに住んでるな」
「まぁね。猫ちゃんは解放したし、さっさと本題に移ろうか。でも、これを私から話すことはしない。せっかくいい能力あるんだから、それでしっかり見つめて。そして私を理解して」
突然後ろから首に手が掛けられる。ただ、力を込めるわけでもなく触られただけ。振り返るとそこには先ほどまで正面に居たはずの少女。そのまま顎に手を掛ける。
「なんだ?」
「折角だから、もう一つ教えてあげる」
まるですぐ壊れてしまうように、宝物に触れるかのように触れていた手が離される。
「うーん。やっぱり私の過去を見てからにしようかな。ほら、深く同調すると意識無くなるんでしょ?今ベッドに飛ばしてあげるから」
再度足元に紫の空間が開かれ移動。目の前には天蓋の付けられたベッド、その中で既に白いネグリジェに着替えた少女がこちらに手招きしている。
添い寝なんてしたくない。だが、仕方のない事だ。こいつはなぜか紫の能力を使っている。逃げ切るなんてことは不可能だろう。それに逃げた結果俺に被害が出るとも限らない。紫の能力さえあれば誰にでも危害を加えられる。
そして、俺自身。この少女に何があったのか。この幻想郷とはどんな犠牲の上に成り立って居るのかを知りたい。恐らく知ったことで後悔する事になるだろう。だが、それでも真実を知っておきたい。
天蓋を潜り、少女が手招きするベッドへ入る。
「ほら、私の全部。見ていいよ」
恥ずかしそうにこちらを見据える少女の身体とベッドの擦れる音が聞こえる。
だが、そんなことはどうでもいい。俺は、こいつの恨みが知りたい。全てはそれ次第だ。
「その前に一つ聞いてもいいか?」
「いいよ」
笑顔でこちらを見る少女。こんな距離に異性の顔があった事など無かった。俺を殺しに来た奴でもなければきっとドキドキしたのだろう。
「なんで急にこんなにも友好的になった?」
おかしいことが多すぎる。仲間にしようという思考回路も、この距離感も、そして何より、味方になることに疑いのないかの様な態度も。
「そう見えるよね。でも、しっかりと理由はあるの」
少女は俺の首に手を回して身体を寄せてくる。そのまま身体を密着。そして耳元で囁く。
「ほら、早く私の過去を見て。その後に続きを話そう」
「その距離じゃ見えない」
そう言って彼女の身体を押し返し。目を合わせる。ゆっくりと彼女の心が伝わってきた。絶望、孤独、怨嗟。果てしない復讐への執着。そして、少しずつ遠のく意識。そのままこよみは眠りにつく。そんな彼女を抱き寄せた少女はまるで愛しい物を守るかの様に目を閉じる。