人助けをしたら幻想郷にさらわれたので呑気に暮らそうと思います   作:黒犬51

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 こんばんわ。

 自分の生きる意味知っていますか。


43話 Bloody

 

 再度轟音の轟く館内。先程館のメイド長を助けるために作った天井の穴から屋根だったものが降ってくる。

 館が持たない。そう判断するには十分だった。

 

「誰が何してるとこんな事になるのよ」

 

 その中で、紅白の巫女衣装を身に纏った博麗霊夢がめんどくさそうに音の出所を見ている。

 先ほどよりもボロボロになり、腕の中で抱えられている既に赤と黒になったメイド服を着た咲夜が呟く。

 

「古明地こよみが、お嬢様と戦っています」

 

「私も異変を止めるために来たし、丁度いいわ。この際あいつもしばいてやるわよ」

 

 幻想郷で最強と言われる紅白の巫女は右手に持つお祓い棒を振り払い、背を向けて古明地こよみが消えていった方向へと歩き出す。

 

「ダメ」

 

 しかし、その背をフランドールが掴む。

 

「邪魔する訳?」

 

 紅白の巫女は振り返り、静かにお祓い棒の先端をフランドールに向ける。誰が見ても明確に、苛立っている。

 

「貴方じゃ勝てない。アイツがしてるのは、弾幕ごっこじゃない」

 

 そして、この言葉がさらに博麗の巫女を苛立たせた。お祓い棒を握る手が震える。

 

「は?私は博麗の巫女よ。馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ、吸血鬼。人間をあまり舐めない事ね」

 

 お祓い棒の先でフランドールの額を押し、轟音の響く館の奥へと飛んでいった。

 

「待って!」

 

 慌てて手を伸ばすが、その手は博麗の巫女には届かない。しかし、その手は白黒の魔法使いには届いた。

 

「すごい音がすると思って来たんだが。何事だ?」

 

 そこにいたのは、白黒の魔法使い。いかにも魔女といいたげな三角帽子に黒系の服、白いエプロン。金の髪と瞳。挙げ句の果てにはその手には箒が握られている。

 

「魔理沙......霊夢が」

 

 わかっているといいたげにフランドールを制して魔理沙と呼ばれた少女が言葉を紡ぐ。

 

「レミリアか。紅霧異変だもんな、これ。ただ、なんで今更」

 

 穴の空いた天井から空を見る。そこには血のように紅い霧が漂っていた。

 

「違うの。霊夢が危ないのは、」

 

  ****

 

「久々よ。こんなに楽しい戦いは」

 

 紅い館の最奥部。玉座の置かれた大広間で2人の少女が槍を交えていた。

 

「思ったように動けるというのはこんなにも楽しい事なんだな」

 

 お互いが距離をとる。1人の少女は古明地こよみ。黒いチノパンに白いシャツ。顔には歪んだ笑みを浮かべている。対する少女はフランドールと同じような服を着ている。ノブカバーの様な帽子に白のワンピース。ただ、大きく異なるのは髪色と翼だろう。ラベンダーの様な淡い紫のショートの髪と、コウモリのような黒い翼。

 

 時間は少し遡る。古明地こよみは、図書館を抜けていた。瞬間、足元で魔法陣が光る。周囲から突然石で形成された人型の魔物が現れる。ただ、次の瞬間それらは粉砕された。

 

「冗談じゃないわよ」

 

 それを空中で私は見ていた。透明化の魔法を自分にかけているので見つかることはない。

 外から戦闘音がした時点で罠を起動、追加で設置した。ただ、現れた少女は止まらない。罠を避けるわけではなく。進行方向にあるものには全てかかり、召喚物は破壊、拘束も破壊、毒などは効いている様子がない。

 図書館を抜けようとする少女の背を拘束しようと木の根を伸ばそうとした時。

 

「やめとけ?」

 

 ぐるりと振り向き、見えていないはずのこちらを見据える。その瞳は、まるで地面を歩く蟻を踏み潰す様に無邪気で純粋で。

 邪悪だった。

 それを見てしまった私はただ、息を潜めることしか出来なかった。親友が、今からこの化け物に襲われると言うのに。

 

「良いのよパチュリー。貴方じゃそれには敵わないもの。良いわ、招待しましょう。私の部屋へ」

 

 どこからか響く声。合わせて少女の目指していた扉から真紅の槍が飛び出す。それは容易に少女の体を貫くとそのまま扉の奥へと引き摺り込んだ。

 

「ようこそ。古明地こよみ。貴方を殺すわ」

 

 そう呼ばれた少女は一つの玉座に向かう階段、その玉座に座る1人の少女。その右横の壁に槍ごと突き刺さっていた。口からは吐血し、腹からはとめどなく紅が溢れており、館をさらに紅く染めていく。

 玉座に腰掛ける少女はその右手を横に振る。それに合わせて壁を砕きながら壁に突き刺さった少女を振り落とす。少女は半ば千切れた様な状況で地面に叩きつけられた。臓物を散らしながら階段を滑り落ちる。下についた事には皮一つで繋がっている様な状態だった。しかし、そんな状況でもソレは立ち上がる。

 

「妹によく似ているな」

 

 少女の体はその言葉を発する頃には治っていた。白いシャツを赤く染めている血だけが先程の惨状が嘘ではないと言っている。

 玉座から見下す様にその少女に戻ったものを見る少女の服は白いワンピースだった。紅い館には本来全く合わないが、先ほど飛び散った少女の血で、服は絵の具を振ったかのような柄が出来ていた。

 

「想像よりも進んでいるわね。貴方ももうわかっているんでしょう?地底でのんびり過ごしていれば私もこんな事をせずに済んだのに」

 

「俺も呑気に過ごしたかったさ。でも、どうやらソレだとダメらしい」

 

 わざとらしく両手を広げて苦笑する血に塗れた少女。

 

「貴方がその役を負う必要はないのよ」

 

 それを憐れむように見下す血を被った少女。

 

「折角生きる意味を見つけたんだ。この空虚な人生に」

 

「説得は無理のようね。なら、始めましょうか」

 

 少女が玉座から立ち上がる。背はフランドールと同様に高くない。中学1,2年くらいだろうか。背にはコウモリのような黒い翼。それを広げる。まるで月の輝く夜空のような紫の髪がたなびき。そして、その紅い瞳が血に濡れた水晶のように輝く。

 その手には身の丈よりも巨大な槍が握られている。

 

「ああ」

 

 古明地こよみがそう言うのと同時に、周囲に月のように輝く武器が並ぶ。

 

 そうして、異変の首謀者と呑気に過ごしたいだけ少女が同時に地を蹴った。

 

 

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