人助けをしたら幻想郷にさらわれたので呑気に暮らそうと思います   作:黒犬51

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66話 人間

 地面に倒れながら足に突き刺さった針を抜く。まだ身体は若干痺れているものの、何とか動くことは出来る。ゆっくりと立ち上がり周囲を確認した。少し乱れたベットと残った匂いがまだ誰かが住んでいる家ことを教えてくれた。

 一体誰の家なのか、そこまでは分からなかった。緊急だった、どこに飛ぶかなんて考えられなかった。何にせよ不法侵入はまずいと考え、出口を探そうと目の前の扉に触れようとした瞬間、その扉が開かれる。

 

「「え?」」

 

 時間が止まる。そこにいたのはルーミアだった。不法侵入も問題だが、それ以上に問題なのは今彼女が非常に危ない格好をしていることだ。どうやらお風呂上がりだったらしい、身体に巻かれているのはタオルのみ。それが驚いた拍子にはらりと落ちる。目の前に見ては行けない桃色の果実と肌色が映る。すぐに視線を外すがすでに遅い。目には光景が焼きついた。そして、その罪を裁くように悲鳴が響く。

 

「私に夜這いなんて、そんなことする人だとは思わなかった」

 

 しばらくして落ち着いたようでタオルを巻き直したルーミアが顔を赤くしながら不満をこぼしている。

 

「悪かった。ただ、夜這いなんて考えてない。人間に襲われて慌てて逃げたらここだったんだ。」

 

 何とか誤解を解こうと色々と言おうと思うが、何を言っても言い訳な気がした。

 

「人間に襲われた?別に貴方であれば問題ないんじゃないの」

 

「少しミスった。おかげさまでこの様だ」

 

 そう言って少し震えている手をルーミアへ見せる。

 

「麻痺毒?逆にそんなのもらってよく無事だったね」

 

 ひとまず早く服を着て欲しいが、ルーミアはタオル一枚でまだ会話を続けている。

 

「実際無理になりそうだったから飛んだ。遅れてたら俺もどうなっていたかわからない」

 

 見る場所に困りながら視界を回していると視界の端に何かが映る。それはなぜか点滅している。機械的な光だ。そして、その点滅のペースが早くなっている。

 答えが出るよりも先に能力を発動、その機械を紅魔館前の霧の湖に飛ばす。それと同時に何者かによって戸が叩かれた。

 

「こんな時間に誰だろう」

 

 そんな事を言って扉に向かうルーミアの肩を抱き寄せる。

 

「え、何何」

 

 そのまま突然の行動に驚き何かを言おうとするルーミアの口を手で塞ぐ。

 扉の前に誰がいる。一体それが誰なのかは分からない。だが、先の反応からしていつもの来訪者というわけではないのだろう。

 となるとあの機械が点滅していた事が気がかりだ。もしあの機械に、追跡機が入っていたら俺の位置を追ってここまで来ている可能性がある。ギリギリで飛ばしはしたが、千里眼曰くダメだったらしい。

 少年の目が赤く光ったかと思うと、開きかけた扉が閉められ、足音が遠ざかる。

 しばらくして、完全に気配が消えたのを確認して、ルーミアを離す。

 

「今のは?」

 

「人間。俺の足に刺さった機械を追ってきたのかも知れない」

 

 確証はない。俺の予想通り、あれが発信機だったのかもしてないし、別の何かが俺についているのかもしれない。

 何もついていないという可能性もあったが、その線は今なくなった。

 

「やっぱりダメか。ルーミア。巻き込んでしまって申し訳ない。急いで服を着てくれ」

 

 そう言い残して、先ほど何者かによって開かれた扉から外に出る。

 

「久しいね。博麗の巫女、今日は一体どんな用事だい?」

 

 そこに立っていたのは博麗霊夢。ただ、様子がおかしい。ただ、幽鬼のように立ち尽くしている。そして、その服は何かによって紅く染まり、頭につけた謎の機械だけが怪しく光っている。

 

「妖怪は、駆除するわ」

 

 そのまま手に持っていた首をこちらに投げてくる。幸いなことに見覚えのない顔だ。人間ではない。そしてその表情は恐怖に歪んでいる。

 

「驚いた。そんなに殺したら均衡が崩れるんじゃないのか」

 

「妖怪は、駆除」

 

 刹那、博麗霊夢が動く。こよみも、刹那白く輝く短剣を構える。

 やるしかない。やれなければ死ぬのは俺だ。彼女の周囲を札が舞う。一体何をするのか。同調で、確認しようとするが確認できない。

 

「は?」

 

 何が行われるのかわからない以上。彼には手がない。ただ、相手の能力の発動も待ちたくない。武器のない手に槍を作成、彼女に投擲する。人外の力で放たれたそれは博麗霊夢に直撃、しかし、飛んで行ったのは槍だけだった。お返しと言わんばかりに今度は札が飛んでくる。回避できるものは避けきり、難しいものは切り裂く。

 途端、札の攻撃が止んだかと思うと落雷のような音と共に脚が吹き飛ぶ。

 

「正々堂々戦えよ」

 

 後ろの木の上、そこにペストマスクを被った人間がいた。恐らく、麻痺弾を撃ったのもこいつだろう。

 重ねて再度銃声、今度は残った脚に何かが刺さる。色合いからして先ほどの麻痺弾ではない。それを認識した瞬間に睡魔が襲う。

 

「絡め手ばかり」

 

 時間を止める。脚に刺さった針を抜き、ペストマスクの上に大量の武器を設置、ルーミアの家に入る。何が起きたのかと外に出ようとする彼女を抱えて能力を解除。続け様にスキマを作って逃げる。逃げ先は、紅魔館。もし人間が来るとなってもまだ対応が出来るはずだ。

 

 周囲の視界が変わったのを確認してから少年は眠りに落ちた。

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