フィーネの咆哮と共に2課の施設が崩壊していく。べつの物体が動いて押しのけているのだ。それは巨大エレベーターシャフト、地上にせり出してきたそれは塔というよりも巨大な砲身と言った感じだ。
「これこそがっ、地より屹立し天にも届く一撃を放つ……荷電粒子砲カ・ディンギルッ!」
フィーネは恍惚とした表情で、かつ口調は興奮冷めやらぬと言った感じだ。
「カ・ディンギル?こいつでバラバラになった世界が1つになると!?」
クリスは世界の平和と目の前の兵器が結びつかないようだ。
「ああ……今宵の月を穿つことによってなァ」
「…………」
「月を穿つと言ったのか?」
「何でさ!?」
響は知っていたが、しかし荒唐無稽な話についていけなくなるのは翼とクリス。フィーネは悲しそうな表情で語りだす。己の過去を。
かつてフィーネはあのお方と呼ばれる存在に近づくために、大きな塔を建設したが同じ高みに来ようとした事が怒りを買ってしまいそれは破壊されてしまった。そして人類がかわす言葉を奪われてしまう。そう神からの罰を受けたのだという事、そうバラルの呪詛をかけられた事。
話しながらもフィーネはチラリと響を見る。翼やクリスと違いその顔には驚きや疑問は無い。知っているのだ、先史文明期の歴史を齢15の小娘が、何かしらの方法で。
月は不和の象徴として恐れられてきたそれは月こそがバラルの呪詛を発生させているからだと話す。だから自分は月を破壊してその呪いを解くと。そして世界を1つに束ねるのだと。
それまで黙って聞いていた響はここで口を開く。
『物事を呪いと取るか祝福と取るかなんて気の持ちよう一つだ!』
「物事を呪いと取るか祝福と取るかなんてその人の気持ちしだいです」
『それにほら…呪いも祝福も漢字で書くとよく似てるだろ?裏と表で…俺の言ってる事もあながち間違いじゃないかもな!』
「呪いと祝福は漢字で書くとよく似てます。表と裏…表裏一体です」
あの時父親がくれた言葉が響に勇気をくれる。困難に立ち向かっていくのに必要なそれを。
「辛くて悲しい事ばかり見てたらふと足元にある当たり前の幸せが見えなくなります」
「貴様は何が言いたい?」
響の語りはフィーネには到底理解のできるものではない、いやこの世の誰にも分からない。それゆえにイラついて質問をする。お前は何をここで成すのかと。
「了子さん、あなたを止めます。カ・ディンギルは撃たせません。みんなの為……そして何よりあなたの為に」
ハッキリと言い切る。そして、翼とクリスを見て、
「お願いします。今だけは了子さんを止めるために力を貸してください」
二人は、
「分かっているあれを撃たせるわけにはいかない。防人としての務めを果たす!」
「あたしゃフィーネと決着をつけるためここに来てんだ!言われるまでもねぇ!!」
そして―
『Balwisyall nescell gungnir tron』
『Imyuteus amenohabakiri tron』
『Killter Ichaival tron』
3人の戦姫が降り立つ。最終決戦が始まる。
◎
最初にクリスのボウガンの連射が開戦の狼煙をあげる。それをフィーネは飛んで避ける。避けた先の地面に着くその一瞬を響と翼は逃さない、次のアクションに移るのに一瞬出来るその隙を。2人の拳と剣が左右から相手に迫る。しかし、鞭を細かい網状にして即席のバリアを作り防ぐ。
「くっ……!」
「なんと堅牢な…!」
しかしその2つの鞭を出し切ったタイミングでクリスの両手ガトリングガンが火を噴く。間違いなく直撃。相手の体が後ろに吹き飛ばされる。
「オラオラオラァッ!!」
しかしクリスは躊躇いなく撃ち続ける。使った本人だから分かる、ネフシュタンの鎧はこの程度では倒れないと。
土煙が辺り一帯に広がるまで容赦なく続けた。晴れると体に幾つかの痣が出来ているフィーネがいた。あれだけ当てても痣止まり…その怪我もすぐさま治癒して肌が元通りになる。
「こんのぉー!!」
響が気合と共に攻撃を仕掛ける。
ダッシュでフィーネに飛び掛かる。殴る蹴るの出せる限りのコンボをぶつけるがこれが有効打にならない。
殴ろうとすると相手は微妙に後ろに下がり、腕が伸び切り回転のエネルギーを出し切った威力の下がるタイミングで拳を受ける。
ならばと蹴りを決めようとするが、わずかな筋肉の動きからそれを察知して始動する直前にフィーネの足の裏がトン…と響の太ももに添えられて上手く力を入れられなくなる。
「くぅっ……」
「うふふ…」
余裕なのか反撃が来ない。遊んでいるのだ。
響は体術面で圧倒されていた。体術において響は世界で一番強いわけではないが、シンフォギアをまとい実戦経験が豊富な響は間違いなく上から数えた方が早い。しかしそれよりもフィーネの方が強いのだ。
翼も黙ってみているわけではなく斬りかかりに行く。剣の有効範囲に入る瞬間、響はジャンプで逃げる。
上段の一撃だが、相手はお前と同じ次元に降りてやろうと言わんばかりに鞭を両手で握りピシッと伸ばして剣のように構える。一撃は相手に受け止められる。攻撃がぶつかった瞬間、翼はまるで巌を切るかのような手ごたえに困惑する。
地力が桁違いすぎるのだ。例えるなら蟻が象と相撲をするような感覚。蟻がどんなに足掻こうが象を1ミリたりとも動かすことは叶わない。
2人が稼いだ時間をクリスは無駄にはしない。ノイズ達を倒した時のように力を溜めて大型のミサイルと生み出す。今回はそこまで時間は稼げないため2丁しか用意できないが。
「本命はこっちだァ!!」
容赦なくそれを放つ。フィーネは飛び上がってかわす。自由自在に飛び回ってミサイルを翻弄している。ネフシュタンの鎧には飛行能力が備わっているのだ。クリスは使いこなせなかったので長距離ジャンプしか出来なかったが。
この状況もクリスは想定の内だ。何故なら、
「スナイプッ!!」
「チィッ!」
もう片方のミサイルをカ・ディンギルに向ける。狙いに気が付いて顔をしかめるフィーネ。鎧と違い砲台は再生できないからだ。容赦なく発射する。
「デストロイッ!!」
「させるかァッ!」
フィーネは慌てて鞭で自分を追いかけているミサイルを破壊する。そしてもう片方も一瞬で一刀両断、自分の体よりも大きいそれを一瞬で処理してみせる。
しかし焦った一瞬にフィーネは響と翼から意識を外してしまう。
気が付くと2人は宙にいるフィーネの横に飛んでいて攻撃を加えようとしていた。拳と剣を思いっきり叩きつける響と翼。
「グウッ!!」
フィーネもさすがに短い悲鳴をあげる。腹に2人の一撃が直撃し、地面に高速で叩きつけられる。ドオン…と爆裂音が辺りに響き渡る。しかし、追撃の手は緩めない。
「立花!」
「!」
翼は上空で大き目の大剣を作り、その腹を見せる。瞬時に意図を察した響は頭を地面に向けて足を空の方へ、そして翼は剣を振りかぶり思いっきり響の足の裏にぶつけて地面に向かって加速させる。そのままの勢いでフィーネの墜落した場所に砲弾のような勢いで追撃する。
辺りに大きな地割れが起きた。
◎
友人3人娘のいた部屋は学校の生きてる施設なので電源や有線が使用可能。藤尭が回線を繋いで装者達の戦いをモニターに映して見ていた。
当たり前だが一般人3人は何が何やらと言った感じだ。あまりにも現実離れしすぎでアニメみたいとすら言えなくなる。
弦十郎の顔色は良くない、実際に相対したから分かるのだ。攻撃が殆ど通じていない事と了子が手を抜いている事も。
◎
フィーネにありったけの攻撃を与えたが三人はそこで呆けない。すぐさま思考を切り替えて、カ・ディンギルの破壊のため塔に向かって走り出す。
するとだ。響は脳裏にチリっとした違和感が。前にも同じ事があったような……
響は考えるよりも先に翼とクリスの腕を握って一緒に後ろに下がる。
「なっ」
「何しやがるっ」
2人の何故という疑問だが、答えは直後に出る。
突然目の前に2本の鞭が飛び出してきたのだ。もし一瞬でも前に出たら吹き飛ばされてゲームオーバーだった。
前にも同じことがあったからこそ二の轍は踏まずに済んだ。
3人はぎりり…と首の骨が錆びたのかと思う動きで後ろを見ると、鎧がボロボロで血まみれのフィーネが立っていた。
「やってくれたな……」
その声は怒りよりも賞賛の色が強い。聖遺物の欠片で良くここまでやると。
つまり自分よりもお前たちは下なんだと、明確な格付けをしている。
呆然としていると傷がみるみると治癒していく、鎧も元の光沢を取り戻している。
「……それで次はどうする?カ・ディンギルの発射までもう時間はそれほど残ってないぞ?」
3人に明確な焦りが生まれる。時間制限もあるが、しかしそれよりも舐めていたわけではないがあまりにも実力が乖離しすぎているこれが一番焦らせる。
響自身前の世界で戦ったがあれは極限まで手を抜いていただけなのだ。しかしこの世界での彼女は響の力を最大級に警戒している。だからこそ力を入れて戦っているのだ。それでも恐らく全力ではない。
「ふぅっ……」
しかしよく見るとフィーネは息が若干だが上がっている。
この世界のフィーネは響の融合症例としてのデータと集めていないため前と違い完全体ではない。付け入る隙ならそこなのだろうがどう見ても先にバテるのは響たちだ。
響達が次の攻め手に苦慮して動けないでいると、
「どうした?来ないのか?ならば―」
すると突然3人の前からフィーネが消えた。
『!?』
何が起こったのか分からず息を飲むしか出来ない。
「があっ!」
『え……?』
突然クリスの悲鳴が聞こえる。慌てて響と翼がそちらへ向くと、クリスが吹き飛ばされている。響はそれを視認した次の瞬間、顔面を殴り飛ばされる。
翼は刀を構えなおそうとするがその瞬間、両手がフィーネに掴まれる。そして思いっきり頭突きを顔面に食らい倒れる。
彼女は体に着いた血を拭いながら倒れる3人を尻目に言う。
「少し力を入れればこんなものか……」
先史文明期から転生を繰り返しながら、いくつもの、それこそ数えるのも飽き飽きするほどの修羅場を生き抜いてきたフィーネにとって、これは戦闘にすらなっていない。孫や甥っ子とヒーローごっこをするような感覚だ。
生きた時間だけでも数千年は経っていると予想できる彼女。その中には櫻井了子のように研究者として生きる事もあれば、またある時はコロシアムの剣闘士として生きた事も、また中国に生まれ落ちた時は有名な戦略家として名を馳せた事だってあるのだ。
響とは比べ物にならないほどの経験と実績というアドバンテージを兼ね備えている。
予想以上ではだめ、予想外の現象を起こさなければここでジャイアントキリングは起こせない。
◎
モニター越しにその蹂躙劇を見ていた面々の心には絶望が溢れていた。勝てるビジョンが見えないのだ。
弦十郎は予想通り過ぎる結末に拳を強く握り耐える。
「響なら……あの響なら何とかしてくれる……そう信じたい……あ、アニメならここから謎パワーが覚醒するかも……」
弓美がポツリと言う。見てることしかできないものの精一杯の強がりだが。
でも装者達は諦めていないだから折れてはいけない。
◎
「く……」
響の視界はふらつきながらも立ち上がろうとする。状況は最悪。このままでは勝てない。
「やはり一番最初に立つならお前だと思っていたぞ立花響」
フィーネは感心というよりは自分の推測が当たって嬉しいといった感じだ。
「ネフシュタンの鎧と融合したからこそ分かる。聖遺物との融合は人間の肉体を何段も上の次元に高めてくれる。その回復能力はシンフォギアの欠片のおかげだろう」
響は余裕の軽口を叩くフィーネを尻目に何とか二本足でしっかりと立ち上がる。
「立ってどうする?実力ではかなわない。かといってカ・ディンギルを叩く隙もない、そして時間もな」
「…なら見せますよ……鎧とは違う、外付けじゃない……内側から侵食されている…融合症例だからこそできる戦法を……」
「ほう?」
響はスッっと目を閉じて体から力を抜く。するとシンフォギアの白い部分が一部だけ黒みがかったグレーに、全体的にまだら模様になる。そして瞳の白い部分が赤くなる。
油断したのがいけなかった。フィーネは何をする気だと興味津々だが次の瞬間、自分の右腕が千切られている事に気が付いた。
『シッ!』
「あー?」
体の右側が軽くなってバランスを崩しかける。よたよたとふらつくが何とか両足で踏ん張り転倒だけは避ける。
人の体は無意識に手を使ってバランスを取る。突然欠損したら崩れるのは自明の理だ。
響が視界から消えた。先ほどは自分がした事を逆にやり返された。高速で動いたのは分かる、響が走った跡が地面に残っているからだ。
後ろを慌てて振り向くとフィーネの右手を持っている響が。
「お、まえ……何をした……?」
フィーネに理解など出来るはずがない、彼女はシンフォギアの暴走現象はこれが初めて目撃するのだから。
絶唱、エクスドライブと同じシンフォギアに搭載されている機能1つ暴走状態。響はそれを意図的に起こしているのだ。イグナイトの感覚を覚えているからこそ出来る事、しかし本家ほど完璧に制御を出来るわけではないが。
『ガアアアアッ!』
響は追撃だと腕を捨てて殴り飛ばそうとする。フィーネは鞭で正面にバリアを作る。響は足をひねって素早く直進を止めて瞬時に背後に回る。完全な無防備状態の背中を蹴り飛ばす。常人であれば背骨が折れて一生下半身不随に陥るであろう一撃。
「くっ!」
すぐさま距離を取って戦況を立て直そうとするが、それを響は許さない。後ろに下がろうともその分だけ距離を詰めて懐に潜り肘打ちを一発食らわせる。
そして最後に先ほどのお返しだと言わんばかりに顔面を殴り飛ばす。
ここで疑似イグナイトともいえる状態が解除される。さすがに限界だ。たったの4発しか持たなかった。
フィーネは立ち上がりながらもなんとか右手を再生させる。息も分かりやすく上がっている。腕の欠損の回復は相当に体に無茶を強いている。
「ぜぇ…はぁ……」
「ふ、ふふ……どんな道理を通したのか知らないが面白い一手だ……だが無駄だったようだ」
ダメージは通ったが倒しきるには至らない。
「いや…立花のおかげでだいぶ回復した」
「ったくしょうがねえ……」
他2人がダメージから回復するが満身創痍。未だ絶望的な状況なのは変わっていない。
「立てるか立花?」
「翼さん……クリスちゃん……話があるんです。ちょっといいですか?」
響は二人に向かってフィーネには聞こえない大きさで作戦を話し始める。すると怪訝そうな顔をされて、
「そんな作戦を了承するはずがないだろう!」
「ふざけてんのか!そんな自殺補助出るはずがねぇ!」
「もう時間がありません。それにまだ死ねませんし」
響はかつての翼やクリスのように自棄になっているのではない。確かに成功率は低いがもうこれしか方法がない。
「……分かった死ぬなよ立花。あなたには後で聞きたい事が山ほどある」
「仕方ねぇ……死んだらぶっ殺す!」
2人は不服そうではあるが取りあえずは了承してくれる。
「最後の話し合いは終わったか?もうカ・ディンギルは発射される、月が穿たれるのは止められない!」
響が地面を殴って衝撃波を発生させる、翼が大量の剣を生み出して投げつける、クリスがありったけの小型ミサイルを撃ちまくる。三者三様の攻撃がフィーネに降り注ぐが相手は余裕を崩さない。同時に攻撃が当たり爆音が鳴り響く。
普通の相手なら倒せているはずだがフィーネはあいにく普通ではない。3人の攻撃が当たったその先には鞭を操作して球状の形を作る事で全方位からの攻撃を防いだ相手が。
「……知恵を絞って出した攻撃がその程度では……」
そこで彼女は気が付いた。立花響がいなくなっている事に。カ・ディンギル発射寸前なのに何故か不安になる。
「どこだ……?」
ふと彼女は上を見るとクリスのミサイルにしがみついて空高く飛んでいる響がいる。
「今更何をして―」
『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl』
沈黙を切り裂いて絶唱が鳴り響く。
「絶唱!?何を考えて……ばかな…いやまさか受ける気かっ!?」
『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl』
(一発勝負だ……失敗したら終わり……)
カ・ディンギルの口から光が溢れ閃光が月に向かって伸びようとする。それに響は両手を向けて受けようとする。
光線を響が受け止めた時、最初に感じたのは肩の骨が砕けんばかりの激痛だった。
彼女は月への攻撃を弾き返したいわけではない。そもそもそんな事をしても吹き飛ばされるのがオチだ。響の感覚はかつてのクリスのように弾くのではなく融和…攻撃を受け入れるのだ、他人の手を受け入れる様に、他者を理解するように。攻撃を受け入れて理解する。繋ぐこの手が彼女の力なのだから。
「うわあああああああぁぁぁぁ!!!?」
響は喉がつぶれんばかりに叫んだ。願いよとどけと。彼女の体はあっけなく光の奔流に飲み込まれた。
カ・ディンギルの光はそのまま月に向かって伸びて行った。しかし直撃ではなく天体の一部を抉るに留まった。
「し損ねた……逸らされたのか!?」
目の前の結果に驚愕するフィーネ。
響は上に跳ね上げられたのか学校の敷地内に向かって自由落下していく。翼とクリスは慌てて受け止める。
「しっかりしろ立花!?」
「おいバカッ!!死ぬんじゃねぇっ!!」
血だらけの響に声をかける2人。響は両手を差し出して―
「……早く…手、を……取って……」
2人は響のその声を認めるとギュッと手を握る。すると、響の周りに大量のフォニックゲインが発生する。何が起こったのか分からない翼とクリス。
「なんだ……何なのだ貴様は!何をしている立花響!?」
フィーネは目の前で起こる現象に声を荒げる。
「これは……」
「なんなんだ……?」
昔、キャロルと戦った時彼女の攻撃を響が受け止めまとめて、マリアがアガートラームの絶唱特性エネルギーのベクトル操作で6人に分配したことがあった。他者の攻撃を利用してエクスドライブモードに至る。
響はマリアのように正確にエネルギーの分配は出来ない。しかしエネルギーを受け止めて溜め込みそして開放する事は出来る。昔、切歌と調が絶唱を使おうとした時に響は力を無理矢理奪って過剰に高まったエネルギー、それを空に撃ち放ったように。
響は少しだけ嬉しくなる。一方的ではあるのだが元F.I.S.3人の力を借りているようで。
これは賭けだった。出来なければ負け、出来たら勝ちの確信の無い一発勝負。手を繋いで貰ったのは何となくだがそっちの方が力が上手く流れそうな気がした事、そして勇気が欲しかったからだ。
3人を力強い光が包んでいく。光の奔流は上に向かって伸びて行って―