過去に戻った立花響   作:高町廻ル

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彼女の終わりは近づいている

「この波形パターンはっ!」

 

 モニターに記される文字「GUNGNIR」。ライブ映像に映る黒い装いのマリア。これまで何度も2課の危機を救った少女たちがまとってきたそれ。それを見て弦十郎は喘いだ。

 

「ガングニールだとぉ!?」

 

 防衛省から連絡が入っている事を示すアラームが鳴る。そこに蕎麦を食べている男性が映し出される。食いながら通信など普通は失礼だが弦十郎はそこにツッコまない。

 

「斯波田事務次官!」

「暴れてんのはこっちだけじゃなさそうだぜ、まぁ少し前に遡るがな……」

 

 相手から語られるのは米国の聖遺物研究所でトラブルが発生し、その研究データが消失した事、保管していた聖遺物が行方不明になっている事が告げられる。

 その件と今目の前で起きている事件は連動している可能性がある。

 

 

「われら武装組織フィーネは各国政府に対して要求するっ!そうだな…差しあたっては国土の割譲を求めようか!?」

「バカな…………」

「もしも24時間以内にこちらの要求が果たされなかった場合は各国の首都機能がノイズによって―」

 

 世界を脅しにかかる。余りにも無茶の過ぎる非現実的な要求だ。たった1日で国土を手にすることなど出来るはずがない。この占拠には別に目的があると考えるのが普通だ。

 翼はマリアの目に余る行動に既に怒髪天だ。

 

「何を理由としての騙りか知らぬが……」

「私が騙りだと?」

「そうだ!!」

 

 マリアの発言を瞬時に切って捨てる。

 

「ガングニールのシンフォギアは貴様のような輩にまとえるようなモノではないと覚えろ!!」

 

 翼にとってガングニールは聖遺物の欠片とかシンフォギアなどとは一線を画す意味を持つ。かつての天羽奏の力の象徴であり。そして自分の在り方を認めてくれた後輩の宿す唯一無二の力だ。

 そして怒りのままに聖詠を発しようとする。

 

『Imyuteus ameno-』

 

『待ってください翼さん!』

 

 聖詠を唱えようとするがインカムから緒川の必死な声が聞こえてとっさに中断する。

 緒川は翼に止めた理由を語る。

 

『今動けば風鳴翼がシンフォギア装者だと全世界に知られてしまいます」

「でもこの状況で……」

『風鳴翼の歌はっ!戦いの歌ばかりではありません。傷ついた人を癒し勇気づけるための歌でもあるのです』

「…………」

 

 そう思ってもらえる事に照れくささとくすぐったさを感じる翼。しかしすぐにマリアに向き合う、相手はギアをまといノイズを従えているのだ油断はできない。

マリアはインカム越しに翼が何を言われたのか聞こえてはいないが、相手がシンフォギア装者でありそれは世間一般では秘匿されている事実からおおよその当たりはつける。

 

「確かめたらどう?私が言ったのが騙りなのか?」

「…………」

「そう、なら。会場のオーディエンス諸君を開放する!ノイズに手出しはさせない。速やかにお引き取り願おうか?」

 

 翼はいよいよ訳が分からない。この状況で自身の優位性を捨てる相手の行為が。翼が代表して質問をする。

 

「何が狙いだっ?」

「ふ…………このステージの主役は私。人質何て私の趣味じゃないわ……」

 

 ぞろぞろと観客たちが避難していく。怯えながらではあるがパニックは起こしていないので最悪な展開だけは免れている。

 

 

 ヘリに乗っていたメンバーは人質解放に驚いていた、ただし響以外は。

 

「良かったです。観客に被害は出てないんですね!」

『現場で検知されたアウフヴァッヘン波形については現在調査中、ですが全くのフェイクであるとは……』

 

 響はマリアなら開放すると分かっていたので分かりやすく安心した!と声を出す。

 オペレーターの不安そうな声に響は胸に手を当てて答える。胸にあるガングニールの異物感は消えていない。

 

「いえ……私の中にある異物感は消えてません。体の中のガングニールはあります」

『もう一振りの撃槍……』

「黒いガングニール……か……」

 

 響がこれから先も生きるにはマリアの持つそれを何とかして奪取する必要がある。自分の体だからこそ分かる。既に侵食がかなりのレベルで始まっている。そろそろタイムリミットが近い。

フィーネとの戦いでカ・ディンギルの一撃を受け止めた事と力を強制的に活性化させる疑似イグナイトで力を使いすぎたのだ。

 このままいけばキャロルに会う前にゲームオーバーだ。

 

 

 緒川は翼がシンフォギアをまとえるよう中継を遮断するため奔走していた。廊下を走っていると2人少女が見える。

 

「っ!」

 

 翼も大事だが無関係の人をほうっておく事も出来ない。すぐさま2人を追う。それに気が付いたバッテンの髪留めがワンポイントの暁切歌は焦っていた。

 

「やっべぇ~っ…!あいつこっちに来るデスよ!」

「大丈夫だよ切ちゃん」

 

 焦る相方に落ち着くようにと、ペンダントをチラリと見せるツインテールが特徴的な女の子月読調、切歌は慌てて手を抑える。

 

「調ってば穏やかに考えられないタイプデスか!?」

「どうかしましたか?」

「ううっ」

 

 注意をしていると緒川に声をかけられてビクつく切歌。

 

「早く避難を!」

「ああ、ええとデスね……!この子がね!急にトイレとか言い出してデスね!参ったデスよ~!」

 

 苦しいいい訳なのだがそう言われてしまうと男は踏み込めない。男は女の子のお花摘みに突っ込んではいけないのだ。

 よって渋々と言った感じで、

 

「……分かりましたでも気を付けてくださいね……」

 

 そう言って緒川は目的地に向かう。

 切歌と調も目的地に向かう。

 交差するのはもう少しか。

 

 

無人になった観客席。ノイズを除けば会場の見える範囲にいるのはマリアと翼だけ。まるで世界に2人しかいなくなったようなそんな光景。

 

「帰るところがあるというのは羨ましいものだな」

 

 何故か悲しそうな表情をするマリア。その反応に怪訝な表情をする翼。

 

「マリア……貴様はいったい……」

「観客はみな退去した!もう被害者が出る事はない。それでも私と戦えないというのならそれはあなたの保身のためっ!あなたはその程度の覚悟しか出来てないのかしら!?」

 

 そういうと長物のマイクを使って殴りかかる。翼は生身なので斬りあえる時点で相当手加減をしているのが分かる。翼は何故手加減をする必要があるのか計りかねていた。彼女には分からない彼女の目的が。

 するとマリアのマントが動いてコマのように回転する。するとマイクが真っ二つになる。相当な切れ味、やはり聖遺物は伊達ではない。

 右払いからの突き技と連続した技を見せるマリアだがさすがは翼、それらを何とか見切ってかわしながらも後ろに下がりステージの外に出ようとする。一度カメラの範囲外に出れば戦姫に変身できる。

 

 ステージ衣装の一部を投げてマリアの視界を一瞬奪う。一瞬でいい、この硬直を脱して後ろに下がれれば。マリアはそれに気が付いてマイクを投げる。それをとっさに飛んでかわすが、着地の際にヒールが砕けてバランスを崩す。その一瞬でマリアは追いつき翼の腹を蹴り飛ばす。本気で蹴られていたら内臓が破裂していた。

 翼はあえてノイズたちのいる観客席に向かって飛んだ。覚悟を決めた、ここで歌女として終わってもこの敵は倒すと。

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

 しかし変身の瞬間中継が切れた。ギアをまとう翼、エクスドライブの影響からか足の装甲に一部変化が表れ、エネルギーを噴出して高速移動が出来るようになっている。

 これまでの鬱憤を晴らすかのように、ノイズの狭間を走りながらも必要以上に細切れにしていく。とっさにジャンプして剣撃波を放ち有象無象のノイズ達を蹂躙。着地するや手を使いコマのように回転しながら足のブレードを生み出し蹴散らしていく。

 

「中継が中断された!?」

 

 ライブ映像が途切れている事に驚くマリア。会場内には放送されている生映像を流すモニターがあったのだが全て砂嵐になっている。

 蹂躙した後、翼はマリアの前に立つ、そして剣を向ける。

 

「ふ……」

「……いざっ押してまいる!」

 

 剣を向けられたのに笑ったマリアに一瞬違和感があったもののすぐさま切り替える。常在戦場それだけだ。

 

 翼が斬りこんで気が付いたのはマントによって体のシルエットを偽装する事で微妙に間合いが取りづらいと言った事だ。どれくらい踏み込めば当たるのか急所や体の幹と節はどこなのか、有効打を模索しながら戦うのだがそれを封じられる。

 なので思い切って踏み込もうとすると、マントが変幻自在にうねり殴り飛ばそうとしてくる。素早く切り払うのだが切った先が分かれて2つの攻撃に早変わりする。剣を盾にしながら食らった勢いを生かして後ろに下がる。

 まさに攻防一体にふさわしい戦術だ。そして何より、

 

「このガングニールは本物っ!?」

「ようやく御墨を着けてもらったわ。そう!これが私のガングニール。何をも貫く無双の一振りッ!!」

 

 そう言ってマリアはマント回転させてコマのように回転させながら翼に襲い掛かる。早い上に攻撃しながらもカウンターを防いでいる。剣で受けるには厳しい状況。パワーで劣るが翼は背中に大剣を生み出して壁として使い背を預ける事で何とか持ちこたえる。

 するとマリアのインカムに連絡が入る。

 

『マリアお聞きなさい…フォニックゲインは現在22パーセント付近をマークしています』

(まだ78パーセントも足りてない!?)

 

 一瞬の動揺を見逃さなかった。力が弱まった瞬間に力を入れて跳ね返す。そして2つの剣を合体させて薙刀に変形させる。足のブースターに力を入れて一直線に突撃する。回転させた薙刀の先端から火が噴いて火輪となりマリアにぶつけようとする。マリアもこの一撃を受けるのは不味いと思ったのか退避を図る。

 しかし、とん…と突然背中に何かが当たる感覚。後ろを見ると自分の肩ほどの大きさの大剣が壁となって退路を塞いでいた。翼がこの硬直を作るために先ほど動揺した瞬間に仕込んでおいたのだ、あとはそこに誘い込むだけだった。

 

「しま―」

 

 しまったと思った時に目の前に敵はいて回避という選択肢は奪われていた。とっさにマントで受けるがその上から攻撃が叩き込まれる。剣の威力と大剣に叩きつけられた分の2倍の衝撃がマリアを襲う。大剣は割れて折れた。

 

「がはっ……」

「話はベッドで聞かせてもらう!!」

 

 トドメだと、再度攻撃を加えんとする。先ほど一撃で怯むマリアに防ぐ術は無い。

 無いはずだった。翼の背後から電動ノコが複数飛んでくる。とっさに防ぐが別方向から鎌の先端が飛んで来る。防げないと思い。体の急所に剣を生み出しあてがい防ぐ。

 

「ああっ!」

 

 とはいえダメージは免れないが。直撃であればダウンだったためましだ。

 

「危機一髪」

「まさに間一髪だったデスよ」

 

 倒れた状態から状態を起こすと、3人を見やる。

 

「装者が3人!?」

 

 まさかここで相手に援軍など考えてもいなかったので目を見開く翼。そもそも自分のアメノハバキリ、イチイバルそしてガングニール以外にもシンフォギアが存在する事に驚きを隠せない。

 

「……調と切歌に救われなくてもあなた程度に後れを取る私じゃないんだけどね」

 

 これは半分強がり、半分本心だ。まだマリアは槍のアームドギアを出していないのだから。倒れて座っている翼を見下ろしてそう喋る。

 

「貴様みたいなのはそうやって見下ろしてばかりだから勝機を見落とす!」

「…………?ッ!上かっ!?」

 

 翼の不敵な言葉。彼女の視線を察知して上を見る。

 空には響とクリスが飛び込んできていた。クリスはガトリングガンを乱れ撃ちしてとっさにその場から相手を引き離す。調と切歌は逃げるがマリアはマントで防ぐが響がその上から叩き潰そうとする。とっさの判断で相手はかわすが、地面を殴った手をパーにして逆立ちのまま響はマリアの胸元に蹴りを放つ。倒すのではなくペンダントを引きはがすため。チリッっとわずかに掠るが失敗に終わる。

 

「チッ……」

「ッ!」

 

 作戦の失敗に顔をしかめる響。響の執念に驚くマリア。マリアはすぐさま反撃を図るがそれを素早く避けて翼を抱えてステージから距離を取る。

 ステージの3人とステージ外の3人という構図になる。

 響が口火を切る。

 

「戦いはやめようよ。今日であった私たちが争う理由なんてないよ」

 

 案の定調は響の言葉を聞いて彼女を睨みつける。何故にらまれるのか響は一応は知っている。

 しかしまぁ立花響は何故か初見で人に嫌われる才能がある。翼しかり、調しかり、そしてキャロルにも。

 

「そんな奇麗ごとをっ!」

「…………」

「綺麗ごとで戦うやつの言う事なんか信じられるものかデス!」

「…………」

 

 2人の苛烈な言い分を黙って受け止める響。傷ついて動揺する事は無いがそれでも何も感じないというわけでは無い。

 そして調があの言葉を口にする。

 

「話せばわかりあえるよ」

「偽善者……この世界にはあなたのような偽善者が多すぎるッ!」

「…………」

 

 昔であれば響は動揺で何も出来なくなっただろう、しかし今は自分が望むものや調の背負うものも分かっている。だから動けなくなるような無様な真似だけはしない。

 もう話すことは無いと言わんばかりに調はツインテール型のヘッドギアから小型のノコを響に向けて飛ばす。それを響は両手にフォニックゲインを溜めて装甲の強度を上げて全弾叩き落とす。

 響はエクスドライブの影響で腕の装甲の厚さが可変するようになった事と脚部の装甲のパワージャッキーが強化されている。戦闘とは関係ないがマフラーも追加されている。

 

「ッ!?」

 

 相手の顔が驚愕に包まれる。こうもあっさり防がれるとは思ってなかったからだ。

 クリスはそんな動揺を逃さずガトリングガンをステージに向かってぶちまける。すぐさま動揺から脱して敵はかわすが、追撃の銃弾の餌食は切歌に集中する。鎌を回転させてラウンドシールドにしてクリスに突貫する。クリスは近接に弱い、相手はその弱点を把握して攻撃してきている。

 

「近すぎんだよっ!」

 

 愚痴るクリス。相手は手加減などしないが。

 翼とマリアも戦闘開始するが状況はこう着している。先ほどと違い2度も同じ不意打ちは通用しないため再び攻防一体のマントに翻弄されている。

 

 調は響に対してツインテールの先端に巨大回転ノコを生み出して斬りかかる。その全てを見切られて寸前でかわされることに彼女は焦りを感じる。距離を詰めてもギリギリでかわされ、距離を取っても遠距離技は弾き返される。響は反撃しない、いつでもやろうと思えばできるのに。

 

「私たちが戦う理由はないよ!」

「それこそが偽善」

 

 腹の立った響はここで彼女をえぐる一言をつい言ってしまった。

 

「偽善偽善って…そうやって他人を言葉で貶めてもっ!!あなたのやってることが正しくなるわけじゃないっ!!!!」

「ッ!?」

 

 響からの初めての口での反撃に分かりやすく動揺する。

 これは調のウィークポイントだ。響のやっている事は誰からも認められて崇拝されるわけでは勿論無い。だが響が間違っているというのならソロモンの杖を使い、多くの人を恐怖に震え上がらせ、そしてそれに手を貸しているお前は何様なのだと。お前は真なる善人だとでも言うのかと。

 そして最初に綺麗ごとと吐き捨てたが、見方を変えれば響の生き方や言葉が綺麗で羨ましいとも取れるのだ。自分に無いものや劣っているものは小さな事でも人は目についてしまうのだから。

 

「う、うわああっっっ!!」

 

 調は叫びながら大型ノコ2枚を響に投げつける。響は地面のコンクリを掴んで引っぺがす。真っ直ぐ盾にするのではなく斜めにして軌道をずらす事でノコは明後日の方向に飛んでいく。

 

 突如会場の真ん中が光り輝く。そこから出てきたのは巨大なブヨブヨとしたノイズ。

 

「いぼいぼ気持ち悪い!」

「増殖分裂タイプ……」

「こんなの使うなんて聞いてないデスよ!」

「マム…………分かったわ……」

 

 響のストレートな感想に対して、F.I.S.三人娘は驚いていた。恐らく計画に組み込まれていない事。マリアはナスターシャからの指示を受けて槍のアームドギアを生み出す。

 

「アームドギアを温存していただと!?」

 

 翼は驚く、響のように使えないかマントがそれだと思っていたのだから。

 マリアは槍の先端をノイズに向ける、すると槍の先にエネルギーが収束されていく、限界までたまったそれをノイズに向かって放出する。それはノイズに直撃してそこ体をバラバラに砕け散らす。

それを確認して3人は逃げ出す。

 

「おいおい!自分らで出したノイズだろ!?」

「ここで撤退だと!?」

 

 しかし砕け散ったノイズたちが増殖分裂してさらにその体積を増していく。翼は剣で一撫でするがあっさり復活して体積を増していく。これを見て結論づける。

 

「こいつの特性は増殖分裂」

「放っておいたら際限ないってわけか……そのうちここから溢れ出すぞ!」

 

 クリスは目の前の敵の危険性を口にする。

 会場周辺にはまだ観客もいる。そして、いたずらに攻撃を加える事は出来ない。となると取れる手段は限られてくる。

 

「絶唱しかないです。未完成でもあの技しかありません」

 

 危険は承知。3人の意志は統一されている。手を繋ぎあって絶唱を唱える。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl』

 

 S2CAトライバースト、響が他者の絶唱を受け止め集めて増幅させる無理筋な力の運用。

その時ライブ会場から巨大な閃光が溢れてノイズ達を消滅させた。

 

 

 会場から溢れ出すフォニックゲインの奔流を逃走した3人は見ていた。

 

「なんデスか!?あのトンデモは!!」

「綺麗……」

「こんな化け物もまた……私たちの戦う相手……」

 

 

 3人は今更ながら相手取る脅威を感じていた。

 しかし、彼女らの発生させたフォニックゲインはネフィリムを起動させる事に成功した。天より落ちた巨人を目覚めさせる。

 

そして―

 

『偽善偽善って…そうやって他人を言葉で貶めてもっ!!あなたのやってることが正しくなるわけじゃないっ!!!!』

 

 そして調の胸に僅かにだが刺さる痛みを残しながら。

 

 

「はぁーっ……」

 

 響は座り込み息が上がっていた。心なしかしんどそうに見える。絶唱をまとめた疲労だけではない。ガングニールの侵食が悪化しているのだ。

 

「おいおい大丈夫かってすげー熱じゃねーか!絶唱の負荷を調節できなくてか?あ、いやそういえば調子悪いって言ってたよな?」

 

 なんだかんだ親身になって心配してくれるクリスは優しいと思う。それに嬉しさと本当の事を言えない苦しさを響は感じながら。

 

 もう既に消失へのカウントダウンは始まっている。

 

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