「せっかくみんなでお泊りだと思ったのにー」
弓美がそうぼやく。
さすがに家主不在の家に泊まるわけにはいかない。
二年生組が会話をしていると、切歌と調が声をかける。
「じゃあじゃあ先輩方!あたしたちはこっちなのデース!」
「誘ってくれてありがとう……」
切歌は敬礼して挨拶をする。
調も軽く会釈してそう言う。
「失礼するデース」
「ばいばーい!」
そう言って二人は別れる。
帰り道信号を待っている2人にクリスが言った言葉が脳裏をよぎっていた。
『2人は留守番だ!リンカーもなしに出動なんてさせないからな!』
お互いうつむきながら喋る。
「考えてみれば当たり前の事……」
「ああ見えて底抜けにお人よし揃いデスからね……」
クリスと言い響と言い二課の人間はあまりにも甘すぎていつも貧乏くじを引いている。そのことを残念に思う反面、羨ましくもあるのだ。
フロンティア事件の後F.I.S.の装者を引き取ったのは敵対したはずの二課の面々だった。保護観察が名目だとしても自分たちに良くしてくれたのは間違いなかった。
F.I.S.に所属していた頃には考えられないくらい楽しい毎日でだからこそその人達の力になりたいのだ。何とかなりたいのだ。
自分たちはシンフォギアを持っている。でも力を考えず振り回すだけでは世界を変える事は出来ず、そして大切なものを守る事は出来ない。
そしてもう一つ思うのは、未来は本来はこの日常側に生きる人間だったのに何故異常な世界に飛び込んだのだろうかとも考える。
でもきっとそれは聞いてはいけない事。
するとそこに周辺火災の続報が入る。
二人はふと先輩たちが言っている現場なのでパブリックビューイングを見ると、突如空中で爆発が起こる。
それはただ火が燃え広がったわけでは無い。
「今のっ!」
「空中で爆発したデス!」
確信した。これはただの火災では無いと。
◎
クリスはヘリから降りていた。
『響ちゃんのおかげで救助活動は順調よ』
「へん、アイツばっかり良いかっこさせるかよっ」
そうやって響の活躍に安心していると、クリスの耳に何かを弾く様な音が聞こえる。
衝突音がするとヘリが爆発そして墜落をした。
「な……くっ!」
クリスはとっさに辺りを見回すとモノレールの線路の上に立つ人影をとらえる。
恐らくだがクリスの勘が告げる、あれは敵対者だと。
月夜に照らされるのは上半身は黄色の服に黒のズボンの女性。
「この仕業はお前か…?」
クリスの問いかけにじっと見つめている相手。
あまりにも反応がないためマネキンと話しているのではと錯覚してしまいそうになる。勿論モノレールの上にそれを置くなどあり得ないのだが。
しかし、沈黙を破ってコインを弾き飛ばしてくる。
どうやら置物では無いらしい。
「こちらの準備は出来ている」
「抜いたな?だったらやらせてもらう」
『Killter Ichaival tron』
イチイバルをまとったクリス。戦闘の準備は完了している。
容赦なく先制攻撃とボウガンを使った矢型のエネルギーを乱射するがそれをかわされる。かわし方がおかしいのだ。人体の関節を無視して滑るように躱してしまう。
(こいつ……人間の動きじゃねぇ!人外そのもの!?ならやりやすい!)
相手が人ではないと確信しさっきよりも三倍の質量で攻める。この量であれば逃げて避ける事は出来ない。かわすスペースを与えない。
しかしそこで相手もコインを乱射して的確に弾いてくる。自分に当たるものだけを的確に。
クリスはならばと思い、腰のアーマーを開いて小型ミサイルを撃つ。しかし相手に直撃させるのではなく足場を崩すための牽制。
「なに?」
相手は一瞬硬直してしまう。
今まで自分に当たる攻撃を重点的につぶしていたため、当てる気のない攻撃に驚いてしまう。
モノレールの足場が爆散消滅した事で体勢を崩す。どうやら敵には便利な飛行能力は備わっていないらしい。神獣鏡のように常時浮いていればこの作戦は通用しなかった。
この好機は逃さないとクリスはありったけのミサイルをぶつける。さらに追撃とガトリングガンで執拗にすり潰しに行く。
攻撃の直撃はさせたがクリスの顔色は良くならない、相手があの程度でやられるわけがないと短い時間での手合わせで理解できたからだ。
「さっさと出てこい!やられてねーだろっ!!」
すると土煙が晴れるとコインを使った防御結界が張られていた。
クリスは出来る限り攻撃力の高い技をチョイスしたのだ。それでも無傷と言うのはシャレにならない。
相手もコインを弾いて反撃をしてくる。クリスはとりあえず後退して作戦を練り直そうとクレバーに徹しようとする。
「敵だ!敵の襲撃だ!そっちはどうなってる!?」
とりあえず響に現状を報告する。
しかし直後に周りの影が濃くなる。
「…………?」
影が濃くなるという事はどういう事だと思考が停止する。
とここでクリスに声がかけられる。
「危ない!!」
「ッ!?」
その一言でとっさに硬直を脱して上を見上げる。
ボート四隻が宙に浮いていたのだ、厳密には自由落下している。
「は……?なん……」
余りにも非現実的な状況だった。
一瞬世界が無重力にでもなったのかと勘違いしてしまう。
しかし、さすがに修羅場をいくつも乗り越えてきたクリスはとっさに身を投げ出して逃げる。声がかけられなかったら押しつぶされてぺしゃんこだ。
辺り一帯が大爆発に巻き込まれる。
「私に地味は似合わない……がこれは派手すぎる……」
敵はそう遠くに向かって呟く。
どうやら何かしらが先ほどのボートの投擲を行ったのだ。それは爆風に掻き消えてクリスの耳には届かなかったが。
クリスは先ほどのボートたちの爆発に紛れて隠れていた。結果オーライだがとりあえず戦闘のブレークタイムを作る事が出来た。
「いったい何なんだ、コインを投げるかと思ったらボートを瞬間移動か?いや違うな瞬間移動できるならもっと簡単に攻撃を躱せるはずだ…物質限定のアポートか?」
先ほどまでの交戦をもとに自分なりの分析をしていくクリス。
そんな思考にふけっていると背後に周られる。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…大丈夫……ってうおっ!」
そこにはきわどい下着にフードを被った十歳くらいの少女がいたからだ。
その恰好はクリスの羞恥センサーにビンビンに反応してしまう。背後に周られた事よりも相手の格好に反応する当たりよく分からない感性だった。
「な、何て格好ををっ!」
「あなたは」
クリスは機密であるシンフォギアをガッツリみられている事に気が付いた。
「わ、私は怪傑うたずきん!日本政府とも国連とも」
「イチイバルのシンフォギア装者の雪音クリスさんですよね?」
誤魔化しにかかっていたが自身の肩書と名前を言い当てられて一段相手に警戒心を上げる、それとともに先ほど自分に注意喚起した声だと気が付く。
「その声さっきあたしを助けた……」
先ほどの恩人だと気が付いた。
すると相手はフードを脱いで名乗る。
「ボクの名前はエルフナイン。キャロルの錬金術から世界を守るため皆さんを探していました」
◎
顔が絶望に染まる響など無視してキャロルは攻撃を加えようとする。
「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術は世界を壊し万象黙示録を完成させる」
「っ!待って話をさせっ!?」
風をまとった攻撃達が響に降り注ぐ。
しかしそれは間違っても死なないように手加減されている。
響はそれを知っている。とはいえコンクリートを剥がす一撃なので腕で頭を守って体を丸めて気絶だけは避ける。
「……なぜシンフォギアをまとわない?戦わない?」
「私はここにあなたと話しに来たから。そもそもあなたと私が戦う理由が分からないだから話そうよ」
響はキャロルに対してどうしても戦う事は出来ないとにかく話したかった。
あの時何故助けてくれたのか知りたかった、今目の前にいる彼女が知っているはずも無いが。
キャロルは問いに対する響の言い分に不快そうに眼を閉じて、そして陸橋から降りる。
「理由を言えば受け入れるのか?」
「当然受け入れないよ。私はどうしてもあなたに話さないといけない事がある。だから戦わない。そんな牽制を何度も繰り返しても私は拳を握らない」
またも響の発言に不愉快そうなキャロル。
目の前にいる装者はあまりにも異常なメンタリティーを備えていた。そして初見の攻撃を牽制だと言い当ててみせた。何よりこの異常な状況に対して大きな動揺が見られない。
キャロルは戦う理由らしきものを口にする。
「俺には戦ってでも欲しい真実があるだから戦え…!」
「嫌だ!」
既に怒りが爆発する寸前だが依然として響は不戦の構えを取り続ける。
戦ってでも欲しい真実と言うのはキャロルの行動原理だ。
それを響がふと呟く。
「戦ってでも欲しい真実か……」
「そうだ、お前にもあるだろう。だからシンフォギアで戦って見せた!」
キャロルは響の独り言に近いつぶやきを質問と受け取ったらしい。畳みかける様に言葉を重ねる。
「戦う理由か、でもね理由があれば暴力を振るう事が正当化されるわけじゃないよ。私もどんな理由があってもシンフォギアで他人を攻撃した事を正当化したことはただの一度も無いよ」
キャロルに動揺らしきものが走った。
そんな返しをされるとは彼女は思っていなかったように見える。適当な善人論や偽善論でも振りかざすと思っていたのだろう。
「戦え……」
「嫌だ話そう」
そう言って響はガングニールのギアペンダントを首から外す。
徹底的に不戦の意志を貫こうとしている。
それを見て相手はさらに苛立つ。
「戦えっ!!」
「嫌だ!!」
お互いに譲れない意思があった。
キャロルの周りが強く発光して辺りに爆発が起きる。それはS.O.N.G.の監視カメラを破壊してしまう。
響の周りが吹き飛ばされるがギアをまとっていない響は多少の負傷はあったが何故か無事だ。キャロルは目的があるため装者を殺せないのだから当然の結果。
「キャロルちゃんの…暴力を使った言い分は終わったね……なら話そうよ」
「ッ!何なんだお前は!!」
響の揺るがない頑なな態度にキャロルの苛立ちも最高潮だった。それはあまりにも上手くいかな過ぎて。
「…そこまでして……戦うしかないと思う理由は何なの?」
響は断片的にしかキャロルの事を知らないだからもっと知りたかった、だから話す事だけは諦められないのだ。
前の世界でこぼしてしまった何かを知りたかった。
ここでキャロルは響の頑固さに少しだけ折れた。
「…………父親から託された命題だ。お前にもあるだろう」
「命題か……」
キャロルは父親の遺言に沿って動いているというわけだ。
この事は響も知っている、詳しい内容までは把握していないが。
「キャロルちゃんの……お父さんは…今のキャロルちゃんを見て……喜ぶのかな……胸を張って自分の……娘だって言えるのかな……?お父さんがその命題をくれた時…今のキャロルちゃんみたいな顔を…してたのかな……?」
「お前に何が分かる!」
キャロルは響の発言に噛みついたがその時には響も力尽きたのか気絶していた。
彼女は明らかに乱されていた。
ここまで感情を表に現出させられたのはそれこそ数十年単位での出来事だったのだ。
「めんどくさい奴でしたねー」
すると突然現れた青いメイド服を着たオートスコアラー。
「見ていたのか……性根の腐ったガリイらしいな……」
「マスターがそう作ったんじゃないですかー」
キャロルは慌てて俯いて動揺を隠す。
たとえ身内でも見られたくなかったのだろう。
「思い出の採集はどうなっている?」
「順調ですけどミカちゃんが大ぐらいなので足りてませーん、うええええん」
催促してくる上司に対して分かりやすいウソ泣きをする。
さらりと無視をしてキャロルは倒れた響をじっと見つめると、
「ガリイそこの女を連れていけ」
「マスター?どうされましたか?」
キャロルの指示に驚くガリイ。
他者に必要以上に興味を持つことなどほとんどないからだ。
「アイツの発言は少し引っかかる、俺手ずからやつを暴いてくれる」
「はぁそーですか分かりました」
キャロルの命令には従う。
主従関係はしっかり守るのがオートスコアラーだ。ガリイは響の周りに魔法陣を展開して連れて行く。
キャロルは言えるはずもない。響の必死な問いかけが過去に父親を助けて欲しいと懇願する自分に重なったなど、そして話し合いを拒否する自分が魔女狩りをする奴らに見えた気がしたなど。
◎
「聞いてたよりずっとしょぼい歌ねぇ……確かにこんなんじゃやられてあげられないわ……」
翼は真っ直ぐ斬りかかるがあっさりと弾くが敢えて剣を宙に手放す。
これでいい。手放した剣はそのまま巨大化して廊下を埋め尽くす。
「やったの?」
「いや……あの程度では……」
マリアは翼の手を取ると素早くその場からの逃走を図る。
そのまま玄関ロビーを出る。ライブ開始時と違い辺りはすっかり暗くなっていた。
そこにはアメリカの監視員が現状の把握に努めていたのだが、マリアを見るとすぐさま止まるように言う。
「エージェントマリア!あなたの行動は保護プログラムにて制限されているはず!」
「今は有事よ!」
マリアは政府の意向など知った事かと言った態度だ。
今の彼女は人命を優先しているのだから。
「車両を借り受けるわ」
「そんな勝手は許されない!」
マリアがタクシードライバーに足つまり車を要求する。
しかし黒服たちは止まるように拳銃を向ける。もともと護衛と言う話だというのに脅しにかかっている。所詮は護衛など建前でしかないのだから。
突如発砲音が鳴ると弾丸が黒服たちの影に打ち込まれる。
すると、
「な、んだっつ!?」「体が動かん…!」
突如体が止まり戸惑いと焦りの声を上げる。
どうやら今のは緒川がやった事だ。銃弾を陰に撃つだけで影縫いを発動させて動きを止めるのは人外の技としか思えないが。
「緒川さん!」
翼は名前を呼ぶことで感謝を伝える。
相手もそれが伝わったのか頷いて返す。
マリアが車を運転してライブ会場から逃走を図る。
翼は車の中で緒川と連絡を取っていた。
先ほどは焦って会場から距離を取るためにゆっくりと話せなかったからだ。マリアは法定速度を無視して運転をしている。
『翼さん!何があったんですか?』
「すみません。マリアに考えがあるようなので……そちらはお任せします」
そう言って連絡を切る。
マリアは顔に険しさを残している。
「いい加減説明してもらいたいものだ……」
「……思い返してみなさい……」
『待ち焦がれていましたわ……』
あの時オートスコアラーと名乗った存在はそう言った。
つまり今回敵はは翼を狙って行動を起こしたという事だ。
「この状況で被害を抑えるにはあの場を離れるしかない」
「だからこそ皆の協力を取り付けて……」
翼の意見に黙り込むマリア。
彼女の脳裏には国連の役人が米国をゆするために交換条を出してきた事を思い返していた。人質には一緒に行動したF.I.S.の装者の個人情報。
マリアはテロ組織の野望を食い止めるための国連のスパイという事に表向きはなっている。汚い大人たちの保身の為に。
そのことを思い出して歯噛みしてしまう。
翼もそれを知っているため何も言えなくなる。
2人はいつの間にか橋の上を走行していた。ふと前を見ると剣で押しつぶしたはずの敵が無傷でいた。
オートスコアラーと名乗った相手が。
「マリアっ!」
「ッ!?」
マリアは車を敢えてアクセルを踏んで轢こうとするがそんなものは脅しにもならない。
敵にすれ違いざまに剣で横一線にされる。
マリアと翼はとっさに座席シートを倒して鼻先ギリギリを刃が通過するが真っ二つだけは避ける。しかし車に綺麗に天井が切り取られてしまう。
その時マリアはギリギリ躱せて翼は余裕でかわせたのは秘密だ。
顔をしかめる翼。このままでは多くの被害が出るとしてここを翼は決戦の場と決めた。
『Imyuteus amenohabakiri tron』
マリアを抱き寄せて車から飛び降りる。彼女を降ろすと剣を構える。
そして敵に向かって斬りかかるがあっさりと受け止められる。
「剣は剣でも私のは……」
触れた傍から翼の剣が破壊されてしまう。異常な光景。
「何だこの手ごたえは……」
翼は剣の具合に違和感を、力で破壊されたわけでは無い、触れたら勝手に砕けて朽ちたように感じたのだ。
「その剣……」
翼が集中力を乱したなどの理由が無いのなら相手による外的要因である可能性が高かった。それは間違いないのだが。
「ならばっ!」
翼は大きめの剣で再度斬りかかりに行く。
それもあっさりと受け止められるが崩れた刃の中から細身の刀が出てくる。
「な……」
これには相手も驚いたようで動揺を口にする。
大きな外見は刀に大き目の刃を外付けしていたのだ。触れた外の部分だけが破壊される。
一瞬の隙をついて刀を振りぬくが相手は後方に下がったため服を薄っすらと切るに留まる。
「この奇策でも届かないか……」
「あなたの歌…興味がわきましたよ」
翼の悔しそうな声に対して嬉しそうな相手。
すると手から石のようなものを取り出して地面に投げる。するとそこからノイズが出てくる。
「な……そ、んなノイズが……どうして!?」
マリアもこれには驚いた。
ノイズが消滅する瞬間は自分自身が目撃したのだから。
そしてそれは絶滅宣言すら視野に入っていたのだから。バビロニアの宝物庫もソロモンの杖も一兆度の高熱で消滅したのにだ。
何故か周りが夜なのにさらに暗くなった気がした。
しかし翼はノイズが出ようと慌てなかった。もう既にいくら数をそろえようが彼女にとって強敵ではない。
素早く剣を携えて群れに突入する。
やはり圧倒、一騎当千だった。
ただのノイズでは翼を止める事など出来ない。
誰もがそう思っていた。いや思いたかった。
敵に突き技を放とうとしたときノイズの光っている部分に触れると突然動きが止まった。
剣が振れた先からバラバラになって砕けていくのだ。その先から押し込まれていく。そして攻撃がギアペンダントに直撃するとギアがバラバラにされていく。
「な……にが……」
ただ呆然とするしか出来ない。
みるみるシンフォギアは体から剥がれていく。
◎
エルフナインを連れて逃走するクリス。
相手の力が分からない以上下手に立ち回るのは上手くない。
「何だって!あのバカがやられた!?襲撃者にか!?」
『カメラが壊れたから確認できてないけど状況からして負けた可能性が高いわ!』
クリスは驚く。
響は何だかんだで最後には勝つだろうと思っていたからだ。
同時に自分と戦った黄色い服の女は相当な戦闘能力を有していた。もしかしたらとも思ってしまうのだ。
(錬金術ってのはシンフォギアよりも強いのか!?)
「こっちにも252がいるんだ、ランデブーの指定は…」
ここで謎の球体がクリスに向かって放たれる。
「なんだこれは……」
クリスは攻撃を躱したが、かわした地点に当たった攻撃が異常だった。
高熱で穴が開いたわけでは無く、触れた先がボロボロと崩れていたのだ。それは今までクリスの見たことの無い現象だった。
今与えられた情報にクリスの頭は爆発寸前だった。短時間で培ってきた常識が塗り替えられすぎる。
ふと周りを見るとノイズがいた。
「どうしてノイズがいるんだよ……」
クリスは呆然としていられない。
しかし彼女はノイズに怯むわけにはいかないのだ。すぐに気を取り直してガトリングガンを構える。そして接近させないように立ち回る。
「今更ノイズが通用するかよ!!」
クリスは余裕だった。
今更ノイズに手間取る事は無い。
攻撃を躱しきれない分は銃身で受ける。しかし、これが間違いだった。
攻撃が触れた先から崩れ始めたのだ。銃身を突破してギアペンダントに攻撃が直撃。
「うわ……」
クリスのまとうギアが崩れていく。それに対して間抜けな声しか出せない。
ノイズだと舐めた代償が今2人を襲っていた。