過去に戻った立花響   作:高町廻ル

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研究者

 未来は響がいたポイントに走っていた。

 避難誘導の手伝いをしていたのだが、上司から連絡が来たのだ、

 

『未来君!今響君をモニターしていたカメラが反応途絶した!すぐに向かってくれ!』

 

「響ッ……お願い無事でいて…………」

 

 当然危険だからと言って行かないという選択肢はない。

 言われたポイントに着くとそこは爆発があったのかクレーターが発生しており、建物もガラスはすべて破壊され表面は削られていた。

 どう見ても普通ではなかった。

 既に避難は終わっておりゴーストタウンといった状況。彼女はまるで映画の中にいるような錯覚を得る。

 

「響―っ!いたら返事して!」

 

 この状況を作った犯人がまだ潜伏している可能性がある以上一人で大声を出すのは賢い選択ではないのかもしれない。

 それは理屈の話で、感情はなかなかままならないのが人間だ。

 

「これは……ガングニール?」

 

 未来が捜索をしていると落ちているギアペンダントを発見する。

 それを拾う、間違いなくガングニールのペンダント。

 

「弦十郎さん、響は見つかりませんでした。ただペンダントは発見」

『そうか……そちらに他の捜索員を派遣した……』

 

 未来の報告に悔しそうな声が携帯端末から聞こえる。

 未来は可能な限り平坦で冷静な声色を意識していたが内心は当然そうであった。はない。

 ただならぬ事が起きようとしていた。

 

 

 真夜中のロンドン。

 そこでアメノハバキリがボロボロに崩れていく。

 

「な……ん……?」

 

 翼は呆然とする事しか出来ない。

 しかし、歴戦の戦士はここで素早く脚装に内蔵されている剣を取り出して自身のギアを破壊した敵を切り倒すがこれが限界だった。

 ギアからバチッっと火花が噴いたかと思ったらギアが完全破壊され真っ裸になる。

 ギアの身に着けていたものを分解そして収納する機能が不全になっているのだ。

 

「うわっ!」

「翼っ!」

 

 小さな悲鳴を上げて倒れる翼に急いで駆け寄るマリア。

 傍に膝を着くがそこで気が付いた。まだノイズ達と敵のオートスコアラーと名乗ったものが健在であり、それに唯一対抗できる翼は戦闘不能である事に。

夜の寒さがマリアの肌を嫌に刺激する。

 絶体絶命、相手の気まぐれでいつでも命を刈り取られてもおかしくないのだ。相手はニヤリと笑い、キメポーズを決めて余裕しゃくしゃくである。

 

「システム破壊を確認。これでお仕事もひと段落ね…」

 

 そう言うと足をタップさせる。

 次の瞬間ノイズたちの足元に魔法陣が発生して沈んで消えていく。

 

「何ですって……?」

 

 マリアは目の前の光景が信じられなかった。

 わざわざ自分の有利な状況を捨てたからだ。そして相手は一人になる。

 

『帰頭を命じる……』

 

 キャロルからの指示。

 相手にしか聞こえない通信方法で撤退を命じる。

 

「分かりました」

 

 いつでもシンフォギア装者を打ち取れる状況なのに不満を感じるわけでも無くそれに従う。

 持っていた小瓶を下に叩きつけると魔法陣が発生して姿が消えた。

 

 

 ノイズ発生や装者の戦闘によってそれを隠蔽するためにMI5や地元警察、そしてS.O.N.G.の協力組織が橋を封鎖する。

 あの後起き上がった翼、そしてマリアの衣装を一部借りて身に着けていた。真冬であったら凍えて死んでいるような格好だ。

 彼女は自身のギアペンダントつまりアメノハバキリをじっと見つめていた。

今の彼女には聖詠が浮かばない、これが事態を敗北以上の深刻化を表していた。

 マリアもそれは薄々感じていた。

 

「完全敗北、いえ…それ以上に……」

 

 躊躇いながらもそれを口にする。

 

「ギア解除に伴って衣服が再生しません」

 

 つまりギアの明確な破損。

 

「まさか翼のシンフォギアは……」

「ああ……アメノハバキリは手折られたという事だ……」

 

 夏なのに極寒の地に放り出されたような重く寒い沈黙が辺りを包む。

 そこで車がマリアと翼を取り囲む。マリアを護衛と言う名目で付け回す連中だ。緒川の足止めもさすがにこの辺りが限界だった。

 車から降りると黒服たちは拳銃を向ける。やはりそれは守るべき相手に向けて行う行為ではない。

 

「状況報告は聞いている。ただマリア・カデンツァヴナ・イヴ、君の行動制限は解除されていない」

「……………………」

 

 相手の今の深刻な状況をまるで理解できていない頭の固いお役所仕事じみた対応に黙るマリア。

 そして翼の付けているインカムを外して自分に付けると、

 

「風鳴司令、S.O.N.G.への転属を希望します」

「マリア……」

 

 マリアの発言に若干だが驚く翼。

 

「この状況に偶像のままではいられません」

 

 

「ぐあっ!」

「クリスさん!」

 

 ギアを破壊されたクリスは小さな悲鳴と共に倒れる。

 それに慌ててエルフナインが駆け寄る。

 それを認めると遠くにいた黄色の服の女性が目の前まで飛んでくる。もう既に相手は自身の勝利を確信しているのだ。

 

 世界の解剖のために作られた技術をノイズそして兵器として使えばシンフォギアの防御フィールドを貫くのはたやすい。

 エルフナインはノイズたちに囲まれるこの窮地に、クリスの盾になるように構える。

 彼女にこの状況を打破できる便利な能力は備わっていない。そういう風には出来ていない。

 絶体絶命の体現とも言える状況。

 

「させないデスよ!」

 

 沈黙を切り裂く声。敵が声のした方向を見やると、そこには切歌がいた。

 何故かビアガーデンか何かの宣伝用の旗を身に着けて。

 そして唱える。

 

『Zeios igalima raizen tron』

 

 切歌はギアをまとい素早くノイズ達に向かって鎌の刃をブーメランのように投げ飛ばす。

 分解は脅威だがこちら側の攻撃が当たらなかったり効かないわけでは無い。当たった先から分断されて消滅していく。

 

「ッ…」

 

 一瞬切歌の顔が苦痛に歪む。

 リンカーなしでの戦闘行為は本来の力を出せないどころか後遺症を残す可能性があるため褒められた行為ではない。

 痛みをこらえて鎌を横薙ぎに振り回して駒のように回転して雑魚散らしを行っていく。

 

「派手にやってくれる……」

 

 敵は切歌の立ち回りに感心しているようだ。

 しかし手は出さない、やろうと思えば出来るのにだ。

 ちなみに今二課本部ではリンカー無しで立ち回るものだから苦い顔をしている、それと同時にこれしか現状を打開できる可能性が無いため歯噛みもしている。

 するとエルフナインとクリスの傍にいたノイズが爆散、切歌の立ち回りで注目されていた一瞬を狙って小型ノコを飛ばして倒したのだ。

 分解が脅威だが倒せない事はなかった。

 二人はエルフナインとクリスを布で包んでその場を離脱する。

 

「いた……」

「調っ!」

 

 リンカーを使わない運用のバックファイアに悩まされる調とそれを心配する切歌。

 

「大丈夫!今はそれよりも……」

「分かってるデス…」

 

 2人は可能な限り敵から距離を取るために疾走する。

 追撃も想定していたのだが何故か相手は追いかけてはこなかった。

 

 

 戦果の報告に入るS.O.N.G.。

 

「調ちゃんと切歌ちゃん離脱、クリスちゃんと保護対象の無事を確認」

 

 友里の報告。

 それは人的被害なら大成功と言えるものだが、そんな空気は指令室には漂わなかった。

 弦十郎の目にはエルフナインと名乗る少女と錬金術師キャロルの相貌がそっくりである事がやけに気になった。

 

 

 切歌と調の2人が逃げ続けているといつの間にか朝日が出ていた。がむしゃらで時間の感覚がなくなっていた。それに気が付くとその場で止まる。

 2人は無力感にさいなまれていた。

 逃げるしか出来なかったこと、恐らく相手は手を抜いていた事がだ。

 

「私達どこに行けば……」

 

 調のつぶやき。

 家族や仲間の為に戦いたい。でも一度失敗した身で何をすればしたらいいか分からないのだ。

 結果だけ見れば2人の行動は最終的には月の落下を防いだ、それは間違いない。

 

「行けるところまでデス」

 

 切歌はそう言うがどこまで行けるのか分からなかった。

 そもそもそう言って暴走した結果が今のマリアの状況なのだ。

 力を振るうだけでは望んだ結果にはならない。

 

 レセプターチルドレン、フィーネの転生先の器として集められた子供たち。2人が連れてこられたのもそれが理由。

 そこでは聖遺物の研究もおこなわれていた。シンフォギアを使える存在を生み出すために危険で非人道的な実験も行われていた。

 ある日適正を認められた2人は歓喜したのだ、シンフォギアという嫌なことや辛い現実を吹き飛ばせる力なのだから。

 ルナアタックという人類の危機にもその力で多くの人を救えたらと考えていた、恩人のナスターシャを助けたかった。

 しかし、状況に流されて力を振るった結果ナスターシャの死と共に事件は終焉した。それは決して望まない結果だった。

 

「うっ…………」

 

 クリスが目を覚ます。

 抱き抱えていた切歌はその声が耳に届く。

 

「大丈夫デスか!?」

 

 切歌からは安堵と心配が。

 

「大丈夫なわけないだろ!!」

 

 クリスの叫び。

 ここで助けてもらったのに声を荒げるのはみっともないというのは嫌と言うほど自覚していた。

 悔しいのだ手も足も出なかったことと、守るべき後輩に助けてもらったことがやるせなさを増幅させてくる。

 

 誰も何も言えない沈黙だけがその場を支配する。

 空はこんなに明るいのに暗い。

 

 

 風鳴翼は物憂げな顔で飛行機の外を見ていた。マリアと緒川も心配そうにそれを見ている。

 彼女に思い出されるのはブレイザー氏との会話。

 

 

『日本に戻ると?』

『世界を舞台に歌う事は私の夢でした、ですが……』

『それが君の意志なら尊重したい、だがまた夢を追いかけると約束してくれないか?』

 

 

 シンフォギア装者である事は機密である以上話せない。しかし、それでも我儘を認めて送り出してくれた。

 するとぽーんっと着陸態勢に入る事を告げるアナウンスが、懐かしの日本はすぐそこだが感慨にふける余裕など翼達にはない。

 

 空港に着いた一行。

 明るい話題など無いのでうつむきがちに歩いている。

 するとおーい!と声がかけられる。

 その方向を向くとクリス、未来、調、切歌が迎えに来ていた。

 しかし、そこには立花響はいない。

 説明は既に受けている。錬金術師が攻めてきたあの日から立花響は行方不明になっている事を。

 

 

 今現状いる装者は本拠地の潜水艇に集結していた。

 

「現状全員は揃ったな……」

 

 弦十郎の一言に空気が沈む。

 当然だいつも天然なのかカラ元気なのか分からないがとにかく明るいのが特徴の響がいないのだから。

 

「弦十郎さん、では私から」

「頼んだ」

 

 未来はそう言って前に出る。

 持っていたタブレットを操作すると大き目のモニターにアメノハバキリとイチイバルの現状の資料が映される。

 ここにある情報のほとんどは装者達には理解不能だった。何せ難しい単語が羅列されており、分かってもらうための優しさは備えていないのだから。

 

「コアになる聖遺物は無事ですが、力として固着させる部分が破損してます」

「セレナのギアと同じ……」

「そうですね」

 

 皆に分かりやすいように未来はかみ砕いて説明をする。

 マリアは形見を取り出して呟く。未来はマリアの認識は間違っていないと肯定の意を伝える。

 

「勿論直るんだよな?」

 

 クリスがやや強張った顔で明るげに言う。

 本人は嫌な予感がしているんだろうと思われる。

 

「櫻井理論が開示された事で各国の異端技術研究は飛躍的に向上しているわ……」

「それでも……了子さんがいなければ……」

 

 友里と藤尭が今の世界情勢とギアはもう施しようがないというネガティブな事を口にする。

 周りもそれを聞いて悲痛な表情になるが。

 

「出来ますよ?修理するだけなら。それを伝えるためにわざわざ挙手をしたんですから」

『え……』

 

 未来はあっけからんとそう言う。

 そこにいた皆がぽかんとする。何を言っているのか分からないといった感じだ。

 どうやら伝わってないと思ったのかもう一度同じことを口にする未来。

 

「だから出来るんですってば前と同じ状態にするだけなら」

「ほ、本当かよ!?」

 

 未来の発言に詰め寄るクリス。

 ここに来て見えた光明に飛びついた。

 

「ええ、今年の四月に釈放されてからずっと弦十郎さんに裏で流してもらってた櫻井理論の資料と二課にいた時の櫻井了子さんのデータを受け取ってたんです。それを毎晩研究解析していたんですよ……ふわぁ…………」

 

 眠たいのかあくびを最後にしたため締まらないがとにかく未来は時間の許す限り研究をしていたのだ。周りも驚いていたが歓喜が表情の成分に含まれ始める。

 この世界の小日向未来は響の歴史改編の影響を一番受けた存在だ。結果として性格や信条の変化だけでなく、装者としての卓越した戦闘技術と聖遺物を扱う頭脳を手に入れた。

 

「しかし凄いわねどうして研究をしてたの?」

「神獣鏡のシンフォギアを自作するため」

 

 マリアの問いに答える未来。

 神獣鏡のギアは響との戦いで力を固着させる部分の大半をバラバラにされてしまった。修理しようにもそれをする為の知識が足りなかったのだ。

 現在も完全体を自作できる領域までは行けてないのだが。

 一応F.I.S.のヘリにスペアのステルス用の神獣鏡のギアペンダントが内蔵されていた。

 しかしヘリが運よくフロンティアから落下していて様々な機材や聖遺物は残ったが、ペンダントはその際にどこかに紛失した。

 

「では今すぐにでも……」

「翼さん待ってください。直すには大きな問題が残っているんです」

 

 翼の提案を止める未来。

 みなも何故?と言った感じだ。ここで修理する事を出し渋るとは思わなかったからだ。

 

「簡単に説明するとギアを修理しても相手の分解を防ぐ手段がないんです。直しても焼け石に水なんですよ」

「それは……」

 

 淡々と事実だけを述べる。

 それは盲点だったと皆が唸り、浮かれた空気が再び重くなる。

 いくら直しても一撃でも攻撃を食らえばまた分解される。次に食らえばコアごと破壊されるかもしれない、いや命を奪われるかもしれない。

 

「では現状戦える装者はいないという事か……」

 

 弦十郎の一言に反発する二人。

 そうは問屋が卸さねえと言った感じで。

 

「そんなこと無いデスよ!」

「私達だって…!」

 

 二人は必死に意見を述べる。

 ここだと思ったのだ、自分たちが恩報いるならば。

 しかし、

 

「ダメだ」

「どうしてデスか!」

 

 弦十郎の否定に声を荒げる切歌。

 未来が否定を補足する。

 

「リンカー無しでギアをまとったら体に後遺症が残りかねないからね」

「っ……」

 

 悔しそうな表情をする切歌。

 だが調はふと施設にいた時の事を思い出していた。未来はウェル博士に気に入られており何かと教授されていたことを。

 

「未来さんはリンカーを作れないの?ウェル博士に色々と教えてもらってたよね?」

 

 調は藁にも縋る気持ちで問いかける。

 しかし、

 

「ごめんね……確かにリンカーについて教授してもらったけど難しすぎて完全には理解できなかったんだよ。生理的に無理だったけど…あの人は間違いなく頭に超が十個は付く天才だよ。人体と聖遺物、全く異なる哲学を抱えた二つを繋ぐ薬品を作ったんだから……」

 

 未来は調に対して申し訳なさそうに答える。

 もう一つ、ウェル博士は資料をほどんど残さなかったため研究が頭打ちになっているのもある。

 

「現状私がリンカーを作っても天羽奏さんが投与していたプロトタイプ以下の性能しか出せないと思う……」

 

 未来の申し訳なさそうな一言にピクリと反応する翼。

 薄々気が付いていたのだろう、奏の投薬データが海外に流れていた事に。

 申し訳ないというのは天羽奏のデータを横取りしていた事と作れない事に対してだ。

 弦十郎は暗くなった雰囲気を変えるため提案する。

 

「まずは彼女に話を聞いてみないか?エルフナイン君にだ」

 

 

 エルフナインの居場所になっている一室。そこに装者や弦十郎は集まっていた。

 彼女の容姿を考えたらもっと厳重な場所に閉じ込めてもおかしくは無いが、この組織の性質とその長の気質を考えたらそうはならない。

 

「響をさらったキャロルの意図に心当たりはない?」

「すみませんボクにはちょっと……」

「そっか……ごめんなさい」

 

 未来の質問に対して相手は申し訳なさそうな表情をする。

 彼女はそれを見て申し訳ない事をしたととっさに謝る。

 そして改めてエルフナインは自己紹介を始める。

 

「ボクはキャロルに命じられるまま巨大装置の建造に携わっていました」

 

 彼女の一言に何とリアクションを取っていいのか分からなくなる一行。

 巨大装置と言われてはいそうですかと理解できるはずもない。

 説明は続く。

 エルフナイン曰く、データベースにアクセスをしたら自分の携わっている装置が世界を錬金術で分解解剖にすることを知り、それを止めるために脱走をしてきたという話だ。

 シンフォギアを分解したようにその力を世界規模で発動しようという考えだ。

 

「装置に携わっていたという事は君もまた錬金術師なのか?」

 

 翼はエルフナインに質問をする。

 彼女の返答次第でもしかしたら分解への対処法を見出せるかもしれないからだ。

 

「……はい」

 

 申し訳なさそうに肯定の意を述べる。

 彼女の内心には肯定と否定の二つがあるのだろう。

 

「ですがキャロルのようにすべての知識と能力を統括しているのではなく、ごく一部の限定した目的の為に作られたにすぎません。なので必要最低限の錬金知識しかインストールされていません」

 

 要は一枚の資料をプリントアウトするには、元となるデータやそれを入力するためのPC本体、プリンター、ケーブルなどたくさんの装置を活用して結果を出す。

 エルフナインはその装置の一部でしかないという事だ。

 マリアは説明に引っかかる部分があった。

 

「インストールと言ったわね?」

「必要な情報を脳に転送複写する事です。……残念ですがボクの知識に計画の詳細はありません」

 

 マリアの問いに相手は丁寧に返す。

 そして、話を繋げる。

 

「ですが、世界解剖の装置チフォ―ジュシャトーが完成間近だという事は分かります!お願いです!力を貸してください!そのためにドヴェルグダインの遺産をもってここまで来たのです!」

 

 大人しそうな小動物的な雰囲気をまとっていたエルフナインが声を強くして主張した事で僅かに全員が鼻白む。

 すると未来が気になった事を質問する。

 

「ドヴェルグダインの遺産?」

「……アルカノイズに……キャロルの錬金術に対抗しうる聖遺物、魔剣ダインスレイフの欠片です」

 

 

 エルフナインからもたらされた情報。それを吟味したうえで一旦彼女抜きで話し合う一行。

 前方のモニターには彼女の身体的データが表示されていた。

 友里と藤尭が口を開く。

 

「エルフナインちゃんの検査結果です」

「念のために彼女の……えぇ彼女のメディカルチェックを行ったところ……」

 

 二人とも何か言いづらそうだ。

 しかし意を決して友里が続ける。

 

「身体機能や健康面に問題はなく、インプラントや催眠の痕跡はなく……怪しい所は見られなかったのですが……」

「ですが?」

「…………彼女に性別が無く本人曰くホムンクルスであり怪しいものではないと…………」

 

 その説明を聞いた皆の心は1つだった。

 

((((((あ、怪しすぎる))))))

 

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