過去に戻った立花響   作:高町廻ル

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誰だって当事者になってしまう

「化学兵器プラントは緒川さんにお任せしてこちらは逃亡した管理者を追跡中」

 

 翼とクリスはステファンと名乗った少年の運転するトラックの荷台に乗って彼の住む村へと移動をしていた。仮に逃げた逃亡者が向かうとしたらそこだからだ。

 

『こちらは藤尭さん友里さんの両名の救出のため最後のリンカーを使いマリアたちが敵錬金術師と交戦中』

「マリア達がっ…」

 

 翼は端末越しに聞こえる未来の報告に驚きを内包した声を出す。クリスもその様子を見て驚いた表情をする。

 

『ああそうだ。緊急事態のため最後のリンカーを使用した』

 

 弦十郎が報告に追加情報を付け足す。

 

「ですがあのリンカーは個人に合わせて調整されていない以上あまり長くは持たないはず……」

 

 翼は理解できている。モデルKはプロトタイプで長く効果が持たない無理筋の運用。だからこそ緊急事態のこの場面で使ったのだと。そして何より翼とクリスが他の任務で動けないからこその使用局面だと。

 

『ウェル博士のチップに記録されたリンカー製造のレシピ……その解析はボクの仕事なのに…いつまでもぐずぐずしてるから…』

 

 エルフナインは俯きながら言う。

 するとポンと頭に手が添えられる。それに驚くエルフナイン。

 

『あ、えっなんですか…?』

『きっとその努力は無駄にならない。だから今は俯くんじゃなくて前向いてマリア達が戦う事から目を逸らしちゃダメだよ』

 

 未来が席から立ち上がって頭に手を添えて優しそうに言う。

 その言葉に勇気を貰ったエルフナインは顔を上げて敵と向き合うマリア達を信じて見つめる。

 

『よしマリア!全力で逃げて!!』

 

 さっきまでの戦う事から目を逸らすなとは何だったのかと未来は即時撤退するように告げる。

 

 

「ようやく会えたわね…パヴァリア光明結社!何を企んでいるの!?」

 

 マリアはそう言って短剣を逆手に持った左拳を向ける。それ続いて切歌と調も武器を構える。

 

「革命よ。紡ぐべき人の歴史の奪還こそが積年の本懐!」

 

 蛇型のバケモノを連れるサンジェルマンが言い放つ。それがこの場での火ぶたを切った。

 しかし、

 

『よしマリア!全力で逃げて!!』

「え……ええっ!?」

 

 未来の声が聞こえたかと思ったら早く逃げる様に告げる。その声にマリアは素っ頓狂な返しをしてしまう。

 確かに非戦闘員である友里と藤尭がいる傍で戦うのは危険で、そもそも二人を救出の為に飛びだしたので指示には間違いがない。

 しかしだ、最後のリンカーを投与しているという事は、これから先はリンカーを使えずに戦う事が厳しくなるという事だ。

 そして目の前には今回の騒乱を裏で糸を引いていたと考えられるパヴァリア光明結社の刺客であろう人物が三人も目と鼻の先にいるのだ。そのそばには彼女たちの切り札らしきバケモノが。

 ここで無理を通しても戦って討ち取りたいと考えるのはわがままな一面があるとしても攻めることは出来まい。

 

『グゴオオオッツ!!』

 

 蛇は咆哮を上げながらもマリア達を食い殺さんと咢を向けて飛び込んでくる。マリアはそれを避けながらも交錯の際に切り裂いてみせる。

 

(これは……)

 

 マリアには直撃させたが通った手ごたえが無かった。事実相手はピンピンしている。表面を少し撫でた程度で刃が止まっている。

 

「あぁっ」

「攻撃が効いてないデス…」

 

 調と切歌もマリアの微妙な表情の訳に気が付いて唸った。敵はスピードを緩めることなく突っ込んでくる。

 調は友里を切歌は藤尭それぞれを抱えて退避する。蛇は地面にキスをしたかと思いきやそのまま岩盤に潜り込む。そうとう歯が硬く勢いがあるのか地面に大きなひびは入らない。シンフォギアとはいえそれを正面から受けるのは危険。

 

「やっだぁ~ちょこまかと~っ」

「だったらこれで動きを封じるワケだ」

 

 カリオストロは人差し指を口に添えてぶりっ子ポーズ、プレラーティはそう言ってアルカノイズを召喚する結晶をその場に撒き散らす。

 装者達の周りに召喚されて包囲される。相手は既に友里と藤尭をターゲットから外している。当然のマリアの短剣、調のヨーヨー、切歌の鎌の錆になるだけなのだが相手の目的はアルカノイズを使っての殲滅ではない。

 地面が薄く光っていると感じたらその瞬間にマリアの足元から先ほど地面に潜り込んだ蛇が飛び出してくる。とっさの反応で初撃は飛んで逃げたのだがこのままではあの巨大な咢に飲み込まれてしまう。

 そう判断した二人は飛び上がって空中で調は二つのヨーヨーを合体させて巨大な二つの刃を生み出し回転させて投げ飛ばす、切歌も鎌を振って刃をブーメランのようにして投げ飛ばす。二人の息ピッタリの攻撃は同時に直撃して少なくないダメージを与えるはずだった。しかし、

 

「決まったなどど思っているワケだ……」

 

 プレラーティはほくそ笑んだ。

 煙が晴れても蛇はなんてことはなく無傷でいたからだ。

 

「効いていない!?」

「ノイズと同じく位相差何とかデスか!?」

 

 手ごたえの無い事に驚いた声を出す。

 仮にもあれは錬金術師が生み出したもの、ならシンフォギアの位相差障壁を調律する機能が効果を成さないのはおかしいのだ。

 マリアは何かしらの種があってダメージを減衰させていると判断をする。

 

「それを上回る一撃を加えればいいだけ!」

 

 そう言ってマリアは左の籠手から短剣を生み出し自分の周りを回転させる。自分の体を中心として台風のように風を生み出すと、それにフォニックゲインを付与させて威力を上乗せして蛇の咢にぶつける。直撃して口をえぐり取りもう噛みついたりする攻撃は行いないようにする。

 

「なに…?」

 

 攻撃を加えた本人は直後に間抜けな顔をしてしまう。突如敵の体が輝いたかと思うと姿がブレて傷が完治してしまう。

 

「再生…?」

「いや違う……これは……」

 

 友里が呆然と呟くが、藤尭はすぐに真実に気が付いた。

 

「無かったことになるダメージっ」

「実験は成功したワケだ」

「不可逆であるはずの摂理を覆す埒外な現象……ついに錬金術は人知の到達点、神の力に到達した……」

 

 パヴァリア光明結社の幹部たちは歓喜を抑えられないと言った感じで口にする。

 マリアは自分たちの不利を察知して錬金術師本体に短剣たちを投げ飛ばす。

 

「今のうちに逃げるわよ!」

 

 マリアの指示に誰も拒否はしなかった。

 

「逃がさないわよ?」

 

 カリオストロはそう言って防御壁で簡単にシンフォギアの攻撃を防いでみせる。マリアからすれば腹立たしい事この上ないが今はこれでいいのだ。

 しかし、防ぎ損ねた一本が彼女の頬を掠める。

 

「いったあ~ぃっ顔に傷がぁっ!やだもぉーっ!」

 

 くねくねして自分の失態に歯噛みしていた。

 その間にも五人は走っていた。

 

『こちらの逃走経路通りに移動してください』

「いや無茶だって!下は崖だよ!天国が逃走経路なの!?」

 

 未来は指示を出すがその先は崖下だった。とっさに藤尭は死ねと言われているのかとつっこんでしまう。

 

「蛇のようにしつこい!」

「実際途轍もない蛇やろうデス!」

「どうすれば……」

 

 装者三人は攻撃が無効化される相手に苦慮していた。ダメージは当たるが瞬時に無効化されるのでは攻撃しても無駄になってしまう。リンカーもフォニックゲインも人である以上は限りがある。

 

『タイミング来ました!』

『飛び降りてください!』

 

 エルフナインと未来が装者に2人を抱えて飛ぶように言う。

 

「きゃああああっ!!」

「ひぎゃあああっ!!」

 

 シンフォギアを持たないメンバーは高所落下など慣れていないので叫び声をあげる。下には貨物列車が通っておりその屋根に着地する。

 それでも敵の蛇は降りて追撃を図るが突如として光の粒子となって消滅した。

 

「消えた……?」

 

 マリアは呆然と呟く。相手が自分を見逃す理由が見当たらなかったからだ。

 妙な気持ち悪さが消えることなく救出任務は成功をおさめた。

 

 

「この先が俺の村です!軍人たちが逃げ込むとしたらきっと…」

 

 ステファンと名乗った少年とともにクリスと翼は目的地に向かって走る。

 彼の誘導通りに向かった先にあった風景は広場をアルカノイズを召喚して村の住人を囲って占拠するプラントの責任者の男だった。

 相手は醜悪な笑みで一人の少女を右腕で首を軽く締めながら、

 

「分かっているだろうな?おかしな真似をしたら……」

 

 そう言ってアルカノイズに囲まれた住人の方を向く。そして左手で握っている杖のようなものはアルカノイズを召喚操作できるアイテムだと予測される。

 

「こいつら全員アルカノイズで分解してやる」

 

 人質が有効と確信してから醜悪な笑みを浮かべて要求を翼とクリスにぶつける。

 

「要求は簡単だ……俺を見逃せ!さもなくば出なくてもいい犠牲者が出るぞ…お前らも!余計な手出しをしたら」

 

 そこで男の言葉は途切れることになる。

 どこからともなくサッカーボールが飛んできて男の後頭部に直撃したからだ。

 いつの間にか装者二人の傍から消えていたステファンが移動して狙える位置にいたのだ。

 

「ステファン!?」

 

 クリスは呼吸が止まるその声に聞き覚えがあったからだ。その声を辿ると見覚えのある顔立ちが。

 

「あ…………」

 

 クリスは自分の過去を想起してしまう、しかしこの硬直が1つの命運を分けた。

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

 翼はアルカノイズを操る男がヘッドショットを食らって怯む隙を見逃さずにギアをまとって敵たちを刀の錆にしていく。

 

「うっぐううっ……」

「いくよ!!」

「えへぇっ!?」

 

 それまで人質に取られていた少女の手を取ってプラントの工場長から距離を取ろうとするステファン。

 

『ッ!Killter Ichaival tron』

 

 クリスもこの段階になってやっと硬直から抜けてギアをまとう。そして人質の周りにいたアルカノイズをボウガンで一掃していく。

 

「きゃあっ!」

「何だ!」

 

 女の子の悲鳴が聞こえ、その方向をクリスが見るとそこにはアルカノイズに隙なく囲まれたステファンと悲鳴の主が。

 

「ッ!いいから君は逃げて!」

 

 男の子として勇ましく言葉を紡ぐがその瞬間、彼の足に分解器官が絡めとられる。触れた先から彼の足から赤い霧が生まれていく。

 

「うわあぁ…………」

 

 今ステファンにはこの現象がスローモーションに見えているのだろうか、恐怖に塗られながらも冷静に自分の命の残り時間をじっくりと感じているはずだ。

 

「ッ!クソッタレがあっ!!」

 

 クリスはそう叫んで彼の足を矢で貫いて切断する事で分解の侵食を防ぐ。

 ステファンの叫び声が夜を切り裂いた。

 

 

 翼の視線の先には縄で締め上げられたプラントの工場長がいた。

 

「プラントの管理者を確保しましたが……民間人に負傷者を出してしまいました」

『分かりました。では詳しい傷の具合を教えてください。その場で可能な処置方法と現在対応可能な病院を探します』

 

 翼の報告に未来は素早く対応する。

 ステファンの傷は右足が膝より上がザックリ切断される無残なものだった。激痛で彼自身意識を失う事も出来ずに汗を流して悶え苦しんでいる。気絶出来たらどれだけましだっただろうかと。

 担架に乗せられているステファンの傍には姉と思わしき女性がいた。

 

「ステファン!!どうしてこんなっ……!」

 

 まるで弟の傷は自分のものだと言わんばかりに苦悶の表情をしている。

 

「ソーニャ……」

「ッ!クリス……」

 

 その声に相手は誰か気が付いたようだ。

 

「あなたが弟を……あなたがステファンの足をっ!!」

 

 ソーニャは頭ではそれだけはクリスに向かって言ってはいけないと分かっていた。

彼女は厳密にはクリスに怒っているのではない、ただ理不尽な世界に対して怒りの咆哮を向けていたのだ。そう、かつてのクリスのように。

 

「あぁ…撃ったのは…このあたしだ……」

 

 クリスはその激昂に対して素直に認めた。

 そして彼女の脳裏には、

 

『クリスちゃん…くれぐれも気を付けてね…特に民間人の安全とか……』

『余計な詮索はしない…辛い事も忘れるな、切り捨てろとも言わない…が今だけは前を見ろ、そうでないと足元を掬われるぞ』

 

 かつて掛けられた響と翼の忠告がやたらと耳にこびり付いていた。何故真正面から受け止めなかったのかと。

 ステファンの足はアルカノイズだけでも、直接切り落としたクリスだけでなく、ソーニャを見て動揺しギアをまとうのが遅れたのも原因の一つだ。

素早くシンフォギアをまとってアルカノイズを操るあの男を拘束していればこうはならなかった。

 

 

「観測任務より帰還しました」

「ふぃ~っ……やっぱりここが一番だぁっ…安心できる…」

 

 友里のハキハキとした報告と藤尭の五歳は老けたように感じる報告。

 この場にはあの蛇のバケモノから逃げかえってきた五人と制圧任務を完了させた緒川がブリッジに集まっていた。

 

「だが今夜は眠れそうにないぞ」

「ええ、死ぬ思いをしてまで手に入れたデータサンプルもありますしね……そのつもりです」

 

 弦十郎の発破にやや元気は無いが何とかカラ元気を振り絞って答える。

 

「しかし無敵の怪物か……パヴァリア光明結社を表舞台に出せたとはいえ一筋縄ではいかないようだ……」

「心配ない」

「次があれば必ず……あ……」

 

 弦十郎のボヤキに反射的に調と切歌が答えるがマリアはそれを視線で咎める。

 あからさまにエルフナインが気落ちしていたからだ。

 

「ごめんなさい……リンカーが十分にそろっていれば次の機会なんていくらでも作れるのに……」

 

 分かりやすくしょぼくれるエルフナイン。悪いわけではないが責任感が強すぎるきらいがある。

 

「あぁ…いやぁ…そんなつもりじゃなくてデスね……」

 

 切歌は慌ててフォローに入るが、その気遣いがどんどんエルフナインを追い詰めていく。調もあわあわとしているが何も声を出せないようだ。

 

「やっぱりボクにレシピの解析は……」

 

 しょぼくれの極致にいるエルフナインだがすぐに復帰することに。

 マリアが傍に近づくと腰を折って目線を合わせる。そして頬を軽くつねってふにふにと無理矢理に破顔させる。

 

「う…ん…ぁッ……!!」

 

それに気が付いてエルフナインが動揺して赤面する。

 

「な、何をするんですかぁっ!?」

 

 すぐさま顔を逸らして熱くなった頬を両手で抑える。

 

「ボロボロで帰還してもまだ負けたとは思ってない」

 

 マリアの一言にエルフナインが立ち直り振り返る。

 現在精神的に追い詰められているエルフナインにとって意外過ぎる言葉だったのだろう。

 周りにいる弦十郎は全員が彼女を咎めるなどあり得ない、皆が笑顔でエルフナインを見つめていた。

 

「誰も悪くないんだからエルフナインが謝る必要は無いわ」

 

 一番伝えたいことをはっきりと告げる。2人もそれに乗っかる。

 

「そうね……私たちはまだ諦めてないもの」

「ごめんなさいよりも応援が欲しい年ごろなのデス!」

 

 調は笑顔でそして切歌は腰に手を当てて堂々と言う。

 

「ごめんなさいより欲しい……」

「そう」

 

 エルフナインの戸惑ったような声にマリアは頭を撫でで肯定の意を返す。

 彼女は少しだけ視線を下に下げて何かを考え込んでいた。前とは違い俯いて苦しんでいるのではなく、いま先ほどまでのやり取りで入力されたデータを己の中に納得、そして理解できる形で落とし込もうとしている。

 

 ちなみにリンカーが出来てなくて凹んでいた未来は友里があやしていた。

 

 

「まーあの子たちを追いかけるよりもティキの方が優先よねぇ」

「神の力は確認できた。私達はこちらが本命だからな」

 

 マリア達の追跡を中断したサンジェルマンたちは再びオペラハウスの地下倉庫に再び移動していた。

 カリオストロがティキと呼んだ結晶に包まれた人形を見ながらサンジェルマンは四百年前の出来事を思い出していた。

 

 遥か昔にフィーネが生み出した異端技術、それはバラルの呪詛を克服するために生み出した二つのアプローチ。

 歌を使って世界と繋がろうとし、錬金術は万象を知り世界と調和を試みた。

 パヴァリア光明結社はその錬金術の情報を拾い集めて独自の研鑽と研究を行い独自の技を編み出してきた。

 だからこそ異端技術の独占をして己の優位を保とうとするフィーネとの激突は避けられなかった。戦いの中で神の力を我が物にするため必要なティキをフィーネの一撃で失う。結果として世界の歴史の裏側からも追い立てられてしまう。

 

「シンフォギア達にフィーネは討ち取られ現状不在。そして米国政府を失墜させたこの機を私たちは逃すわけにはいかない。やっと回天の機を繰り寄せた……」

 

 パヴァリア光明結社がF.I.S.の一部職員を扇動してフロンティア事変に裏で加担したのは、米国の失墜、全てこのためだった。

 

「あとはこの人形をお持ち帰りすれば目的達成なワケだ」

「それはそれで面白くないわ……」

 

 プレラーティは改めてこの地に来た目的を簡潔にまとめる。カリオストロは絆創膏を張って処置をした頬をさすって憮然としている。

 目的を達したらすぐさま引き上げるのは当然なので、やられたまんまなのは気に入らないのだろう。

 

「天体運航観測機であるティキの奪還は結社の計画遂行に不可欠。なにより……」

「この星に正しく人の歴史を紡ぐために必要なワケだ。そうだよね?サンジェルマン」

 

 サンジェルマンの言葉にプレラーティが付け足し、そして問いかける。

 

「人は誰にも支配されるべきではないわ」

 

 改めて彼女は己の中にある、譲れない信じるものを口にしてそして強固なものへとしていく。

 

「じゃティキの回収はサンジェルマンにお任せして。あーしは頬っぺたのお礼参りにでもしゃれ込もうかしら?」

 

 そう言ってカリオストロは物置から出て行こうとする。

 

「ラピスの完成を前にしてシンフォギア装者との決着を求めるつもり?」

「勝手な行動をするワケだ…」

 

 彼女の勝手を残りの二人が咎める。今は彼女たちにとって戦う盤面ではないのだ。

 

「ヨナルデパズトーリがあれば造作も無い事でしょう?…いままで散々嘘をついてきたからね…せめてこれからは自分の心に嘘をつきたくないの……」

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