過去に戻った立花響   作:高町廻ル

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嘘つき

 新学期、響達は九月一日の始業式を迎えていた。厳密には響を除いたクリス、切歌、調、未来の四名だが。

 

「おいあのバカはどうした?」

 

 クリスは式終了後、同室の未来に響が何故いないのか尋ねる。

 

「体が痛くて立てないらしくて今日は休むって言ってた。今日が期限までの課題は代わりに出して欲しいって……ふはぁ…………」

 

 彼女はあくび交じりにクリスに質問を返す。

 失礼極まりない返答だがもうクリスもなれたものでいちいち怒らなくなっていた。

 

「そうか…まぁ…病み上がりで無茶をしたからな……」

 

 クリスも響の欠席の理由になるほどと言った感じで返す。

 響の体調はまだ万全ではない、それを押して飛び出したのだ。その体にガタが来てもおかしくはなかった。

 

「心配デスよ……」

「私たちのためあんな無茶をして……」

 

 後輩二名も心を痛めていた。自分たちが足手まといになってしまったからこそ響が無茶をしたのだと。当然響はそんな事を考えてなどいないが。

 

(あ、この流れはまずそう)

「あ、そう言えば翼さんとマリアって今日帰国だったかな……」

 

 未来は空気が悪くなったのを察して別の話題を出す。

 

 

「なぁにをやっとるんだ響君!!!!」

「どひええっ…」

 

 どかーんとどでかい雷が落ちた。

 現在本部の潜水艇のブリッジには装者全員が集まっていた。そして現在の話題の中心は響が単独でコッソリと飛び出した事だ。

 

「で、でも立花響のおかげで私たちは助かったわけですし……」

「そうデス!響さんのおかげデス!」

「う、うんそうだよ!」

 

 マリア、切歌、調の三人の精一杯のフォローが入る。

 内心では病み上がりの響の助けが無ければ問題解決が出来なかった己の力のなさを感じていたがそれは空気を読んで表には出さない。

 弦十郎は擁護意見を述べる相手に視線を向ける。

 

「確かに響君の行動は事態を好転させるのに最高の一打だった、それは認めている」

 

 相手は素直に響の功績を認めた。しかし、

 

「だが、組織の長として皆の命を預かる者が結果論で部下の勝手を簡単に許したらその組織は崩壊してしまうだろう?」

『……………………』

 

 マリア達は弦十郎が放ったその言葉に黙り込む事しか出来なくなる。

 かつてのF.I.S.は装者達がお互いに相談もせずそれぞれ自分勝手に行動した結果、ナスターシャを失いそして崩壊した組織だからだ。

 暗くなった空気を換えるために、エルフナインが気を遣ってモニターにあの蛇「ヨナルデパズトーリ」の動画を映し出す。

 

「目下最大の問題はこのエネルギー体です」

 

 マリア達の攻撃を全て防ぐか無効化した相手だが響の一撃は問題なく通った。

 

「映像で見たが立花の攻撃は問題なく通っていたな」

「バカニウムとかが効いたんじゃねぇ?」

 

 翼の疑問符とクリスが謎の新物質を発表する。

 クリスはステファンの件から多少は時間が経ったおかげなのか、頭が冷えて表面上この場では平静を保っていた。内心は荒れに荒れているはずだが。

 ステファンの件は現地の人がアルカノイズに巻き込まれたとしかあの場にいないメンバーには報告していない。翼とあの時ブリッジにいた面々はクリスをおもんばかってか詳細な情報は伏せている。

 

「…………そうですね。かみ…あっ…!…例えば直接打撃とか衝撃波の類なら効くとかですかね……」

 

 響は「神殺し」を口にしようとしたがやはり喉が詰まって止められてしまう。

 彼女の声が一瞬だけ詰まった事に皆は不審がったが、その後の意見にはさもありなんといった感じだった。

 

「学生の諸君は潜水艇と共に一度先に日本に一緒に帰ってもらう。緒川に翼とマリア君はこちらでバルベルデの警戒と捜査に当たってもらう」

『了解!』

 

 

「立花さんは休みですか小日向さん?」

「はいすみません……実は怪我が悪化して病院に行くそうで今日は欠席だと言ってました……」

 

 教師に未来の隣が空席になっている理由を聞かれる。

 実際は部屋で休んでいるのだが、病院に行くと言った方が相手は突っ込みづらいだろうと考えてアドリブを入れる。

 学校には響がキャロルに攫われた一件は今年の七月に家の法事で田舎に帰ってから階段でこけて骨にひびが入ったという理由をでっちあげている。実際にS.O.N.G.の息のかかった病院でカルテをでっちあげる徹底ぶりだ。

 

「そうですか、ずる休みでないのならいいんですが……」

「あ、響の提出課題は預かってきました」

 

 案の定怪我の治療が理由の公欠だと伝えたら簡単に引き下がる教員。

錬金術師から世界を守るのも簡単ではなかった。

 

 

「んじゃビッキーは任務で無理して怪我が悪化したんだ?」

「うんそうだね。あの時はそれが最善策だったけどやるせないよ。リンカーが完成するか、せめて神獣鏡があればもっと響に無理させずに済んだんだろうけど……」

 

 創世の言葉につい俯いて答えてしまう。

 今は水泳の時間、九月だが近年の温暖化と室内プールのため今月いっぱいまで水泳の授業は行われる。

 

「でも響さんは小日向さんのそんな顔見たくないと思います…」

 

 詩織が暗くなってしまう未来に精一杯のフォローをする。

 

「そうかな、そうだといいな」

「んま響はあれでしょ、何だかんだサボれてうれしーとか考えてるわよ」

 

 弓美の一言に未来はふっとなってしまう。

 

「では次、小日向さん」

「あ、はい!」

 

 体育教員に呼ばれてすぐさま立ち上がる未来。今は授業で二十五メートルのタイムを計っている真っ最中なのだ。

 未来は飛び込みからの全力でスクロールを敢行した。

 

 

 どこかの国のどこかの砂浜の傍に建てられた煌びやかな別荘。

 その一室は蝋燭だけで明るさが確保されており薄暗く、これから魔女が何かしらの黒魔術をすると言われたら納得できる雰囲気作りだった。

 そこにサンジェルマンと彼女の目的であるティキが安置されていた。ティキの胸部装甲がパカッと空いて何かをはめ込む空洞が見える。

 

(ティキは惑星の運行を製図として記録するために作られたオートスコアラー。機密保護のために休眠状態になったとしても、アンティキティラの歯車により再起動しここに目覚める)

 

 サンジェルマンが石に術式をかけるとそれが爆散して内部にあった歯車が飛び出してティキの胸の中にはめ込まれていく。

 それまで頭部にはめられていたバイザーの一部が外れはめ込まれていた球体が宙に浮く。それが青白い光を放ちプラネタリウムのように星々を部屋一帯に光り輝かせる。そして魔法陣を投影したかと思ったら再びバイザーに球体が戻りはめ込まれる。

 

「うっ…う……」

 

 ティキからうめき声が聞こえたと思ったら、体が錆びている物を無理矢理動かすようなぎこちない動作で上半身をあげる。

 ティキは自ら顔のバイザーを外して顔を御開帳する。紫の瞳をしていた。

 

「ふぅ……」

「久しぶりね…ティキ…」

 

 目覚めたオートスコアラーに挨拶をするサンジェルマン。相手はその声の方へ向くと最初はポカンとした後、

 

「サンジェルマン!?」

 

 ティキは旧知の相手に会ってようやく自分の置かれた状況を理解したようだ。

 

「はぁ~っ!よんひゃくねんちかくぅけいかしてもサンジェルマンはぁサンジェルマンのままなのね!」

 

 胸に手を当てて演技臭い手振りをしながらベッドから完全に起き上がった。

 

「そうよ、時は移ろうとも何も変わってないわ」

 

 サンジェルマンのその言葉は容姿に限った話ではなく、彼女の壊れそして折れそうになった心を支えてきた、叉は立ち上がらせてきた信念と義も変わってないという意味も内包している。

 

「つまりっ…いまもまだじんるいをしはいのくびきからときはなつためとかなんとか、しんきくさいことをくりかえしているのねっ?よかったっげんきそうで」

「…………お前も変わらないのねティキ……」

 

 相手に悪意はなくただ相手の立場になって話す気遣いが初めからプログラミングされていないだけなのでサンジェルマンが苛立つことは無い。気にするだけ無駄だし、教えても改善するような学習能力は備わっていない。

 

「んう~んん~っ?ところでアダムは?」

 

 手を眉のあたりに平行に添えて何かを探しているポーズ。ティキのご所望はアダムという相手のようだ。

 

「だいすきなアダムがいないとあたしはあたしでいられないぃ~っ!」

 

 手で肩を抱いてやんやんとわざとらしいポーズを行う。

 ジリリリッ!と突然鳴りだす黒電話、厳密には紫に塗られているが。それがベランダの手すりに無造作に置かれていた、電話線が付いておらずまっとうな方法で動いているわけではない。

 サンジェルマンは電話が鳴った事に驚いてはいたが、電話がある事自体には驚いていないらしい。

 ティキと呼ばれるオートスコアラーは四百年ぶりに目覚めたからなのか、己の知識に無い物体が鳴りだす事象に興味津々そうだった。

 

「……」

 

 サンジェルマンは黙って受話器を取る。

 

「局長…」

 

 受話器を取って耳に当てた瞬間に相手の名前を呼ぶ。取る前からこのようなことをする人物の当ては分かっていたのだ。

 

「えっ!それなにっ!もしかしてアダムと繋がってるのっ?」

 

 局長と聞いた瞬間にティキが反応して相手から受話器を取る、それに対してサンジェルマンは特に不快には思わない。

 奪った相手は見よう見まねでそれを耳に当てるが持ち方が逆になっており口の方から声が聞こえる。

 

「アダムっいるのー?」

『久しぶりに聞いたよ、その声を』

「やっぱりアダムだっ!」

 

 ティキはアダムと呼ばれる男性の声を聴くと、受話器のどちらから相手の声が出るのか、そして声を届けるのはどちらなのかを理解して正しい持ち方に直す。

 

「あたしだよ、アダムのためならなんでもできるティキだよっ!」

『姦しいなぁ…相変わらず。だけど後にしようか、積もる話は』

「アダムのいけずう…つれないんだからぁ…そんなところもすきだけどねっ…ん…」

 

 温度差の激しい会話だがティキは特に気にした様子は無い。最後にサンジェルマンに受話器を渡したが一瞬だけ不満そうだった。好きな相手が他の女と話したいと言ったのだから嫉妬だろう。

 受話器を受け取るとすぐさま耳に当てる。

 

「申し訳ありません、局長。神の力の構成実験には成功しましたが……維持にはかなわず喪失してしまいました……」

『やはり忌々しいものだな…フィーネの忘れ形見…シンフォギア……』

 

 サンジェルマンは現状報告を行う。アダムはそれに対してただシンフォギアやフィーネへの忌々しさ以外にも何かを感じているようだ。

 

「疑似神とも言わしめる不可逆の無敵性を覆す一撃……」

 

 サンジェルマンはあの時飛び込んできた響が神の力を拳で砕いて見せた事を思い出していた。不可能を可能にした不可思議なあの力は無視のできるものではなかった。

 

「そのメカニズムの解明に時間を割く必要がありますが……」

 

 彼女の提案は至極当然のものだった。ガングニールそのものに秘密があるのか、シンフォギアには隠された機能が存在するのか、神の力には何かしらの致命的な抜け穴があるのか。それを解明しない限り主戦力として使っていく事は難しい。

 しかしだ、

 

「無用だよ……理由の解明は……」

「っ…!」

 

 アダムの吞気過ぎるとも思える返答にこれまでずっとポーカーフェイスを保っていた彼女もその顔を崩さざるを得なかった。

 サンジェルマンはこれまでアダムの勝手さ、秘密主義ぶりにはほとほと手を焼いていた。しかし何百年いや千年とかけた結社を挙げた計画にひびが入るかもしれないこの状況で、その原因究明をなあなあにするなど考えられなかったのだ。

 

「シンプルに壊せば解決だ、シンフォギアをね」

「了解です…」

 

 アダムの指示に納得は出来るが腑には落ちないサンジェルマンだったが、破壊作戦は内容として妥当だと感じ了解をする。

 

「プレラーティとカリオストロが先行して討伐作戦を進めております。私も急ぎ合流します」

 

 

 翼とマリアはプライベートジェットで日本への帰国の途についている。

 翼はぼんやりと雲とその下にある日本の大地を見つめている。一方でマリアはお気に入りの雑誌に目を通している。付き人の緒川は別室で待機している。

 二人の傍にはバルベルデで入手することが出来た機密データの入った特殊なマシンを厳重に保管したケースがあった。

 

『当機は間もなく着陸態勢に入ります。安全のためシートベルトの確認をお願いします』

 

 世界を駆けまわる二人にとっては日常茶飯事の機内アナウンス。

 ピリリ…と二人のS.O.N.G.用の端末から通信が入る。

 

『?』

 

 端末を手に取った二人だが、飛行機は既に着陸態勢に入っている。何を連絡する事があるのか分からなかったのだ。

 

「はい翼です」

『翼!今響君がそのプライベートジェットが到着する空港内で錬金術師と戦闘を行っている!!』

 

 翼の返事もそこそこに弦十郎が現状を説明する。

 

「な……」

 

 当然翼は唖然としてしまう。ふと周りを見るとマリアと目が合う。彼女も同じ事を聞いたのだ。

 そして慌てて窓の外を見るが肉眼で空港の状況を目視できるはずもない。

 

『今からギアをまとって援護に向かってくれ!ほかの装者の達も既に救援に向かわせている!』

 

 翼とマリアはシートベルトを外す。翼が外に繋がるドアを開けてケースを持ったマリアを抱えて宙に体を投げ出した。

 

 

「あの米粒みたいなのが装者の乗っている飛行機ね」

「あそこなら相手は無防備なワケだ」

 

 カリオストロとプレラーティは管制塔の上で観察をしていた。この場所に来た目的は計画遂行の邪魔になりかねないシンフォギアの破壊かもしくはその装者を殺害する事だ。

 そして手をかざしてアルカノイズを召喚しようとするのだが。

 

「させないよ」

『!?』

 

 誰かが背後から声をかけて慌てて声から遠ざかるように飛んでから相手を見やる。

 そこには既にガングニールをまとって臨戦態勢を整えた響がいた。

 

「ど、どういうワケだ…?何故ここにいる?」

「どうやってあーしたちの行動を先読みしたの……?」

 

 この場所に錬金術師達がアルカノイズを召喚する前にいるという事は、自分たちの場所も目的もその手段も完全に読まれたという事だ。それに気が付いてあからさまに動揺する錬金術師二名。

 二人には想像すらも出来ない方法で響は先回りしたのだがそれを口にすると喉が詰まって話せなくなるので説明不可能だ。

 

「今すぐに投降してください。最低でも引いてくれるとありがたいです」

 

 響が降伏するようにやんわりと告げるが、相手がはい分かりましたと答えるわけも無く。

 カリオストロの手から青い光球が射出される。交渉は決裂した。響は腕の装甲を厚くしてそれをかわさずに受けながら突進してくる。攻撃が足や腹を掠めてもお構いなしだ。

 

「なあ…!」

 

 攻撃を敢えて躱さずに真正面から受ける、そんな捨て鉢な戦法を取ってくるとは思わずに一瞬だけ硬直してしまう。行動を先読みされた事への動揺と、以前にマリアは全てかわしただけに響も無意識下でかわすだろうと考えたため硬直してしまう。

 そしてガン!と相手の生身と装甲がぶつかる鈍い音がしてカリオストロの上体を怯ませる。

 

「ぐうっ!」

「カリオストロ!このっ舐めるなってワケだ!」

 

 プレラーティはカリオストロが不意を打たれたとはいえ攻撃を食らった事で代わりに反撃をと光球を生み出して投げつけようとするが、響は上体がのけぞったカリオストロの手を取るとプレラーティに向かってその体を投げつける。

 

「これはっ…!」

 

 響とプレラーティの間にカリオストロが挟まれてしまい攻撃が出来なくなってしまう。

 彼女は一瞬でその投げた体で出来た死角を使って距離を詰めて、そしてプレラーティにブローを入れようとする。相手はとっさにカエルの人形をクッションにして後ろに飛んで受け切ってみせた。

 カリオストロとプレラーティは立ち上がり冷静さを取り戻して響を睨んでいた。

 

「やってくれたワケだ」

「あーしもちょ~っと本気出そうかな…」

 

 パヴァリア光明結社の幹部が響の動きを見て明らかに目の色が変わった。動揺から脱したため先ほどのように不意はもう打てそうになかった。

 

「どっせぇいっ!」

「!?」

 

 カリオストロは飛び込んで響に殴りかかってくる。

 相手が武闘派なのは話と映像で知っていたが実際に体術コンボを決めに来られると実際にはその迫力に押されてしまう。

 相手がファウストローブをまとっていないが、まとっていたらこのラッシュで押し切られていた。よく見ると拳の表面に薄い光の膜をまとって拳の強度を上げていた。

 

(相手は本気じゃないのに…一撃が重いっ!)

 

「そーれっ!!」

「あぐっ!」

 

 敵の一撃に響は頬を殴られてしまう。とっさに後ろに下がって衝撃を和らげるが口の中が切れて血の味がする。

 怯んでも休む隙を相手は与えてはくれない、周りを見るとプレラーティが光の弾を手元に作って討ち取ろうとしてくる。

 それを認めて響はとっさに管制塔から飛び降りる。

 

(どれくらい時間を稼げばいいのか分からないから辛いな……)

 

 響きとてここで幹部二人を相手取って勝てると自惚れてはいない。それに今の交戦で相手は殆どダメージを受けていないのだ。

 パワー不足ならイグナイトモジュールを使おうかと思うが、相手が賢者の石をいつ使うのかも分からないのだ。響は相手がこの時点では賢者の石を実践レベルで使えるものをまだ精製できていないことを知らないのだ。

 なによりファウストローブをまとった錬金術師は装者のユニゾンがなければ退ける事が出来ないほどに強いのだ。

 するとそこで、

 

『響君!もうすぐ翼もクリス君も到着する!!それまで持ちこたえるんだ!』

「り、了解っ!」

 

 連絡が入る。最近無断で行動してばかりなのでついどもってしまう。

 滑走路内を走る響だが、そこに錬金術師の攻撃が加えられて防戦と回避ばかりにならざるを得ない。しかしそこに翼の小太刀を射出する攻撃で錬金術師たちのいた場所を攻撃する。錬金術師は素早くそれをかわす。憎たらしいかな防御壁であっさり防がれるが響への追撃は止む。

 

「立花無事か?」

「た、助かります」

 

 響は翼の視線を受けてついビクッとしてしまう。その目は何故そんな無茶をしたのか後で説明してもらうぞ?と暗に告げていたからだ。

 

(これ以上踏み込むのは危険ってワケだ?)

 

 プレラーティは最初の空中にいる相手をアルカノイズを使って一方的に殲滅する案を掲げていたが予定外が入ったため引いた方が良いと判断をする。

 

「カリオストロここは一旦引く、想定外が入りすぎたワケだ」

「…………すっごーいフラストレーションだけど、楽しみはあれが完成してからね」

 

 錬金術師の二人はそう言ってテレポートジェムでその場から退散した。

 

「…………」

「…………」

 

 沈黙が辺りを支配する。

 

「さてと……なぜこんな無理をしたのか説明してもらおうか?」

「…………」

 

 響はテレポートジェムを分けてもらいたい気持ちになった。

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