過去に戻った立花響   作:高町廻ル

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襲撃

「響さんがそんな事を……」

「うん。新しいものだけじゃなくて今あるものにも目を向けたらどうかって」

 

 エルフナインと未来は賢者の石対策について話し合っていた。

 モニターに賢者の石を扱う錬金術師たちの映像、そして手元にはチフォ―ジュシャトーのデータがある。

 すると部屋の扉が開く。

 

「異端技術に関する資料らしい資料はかき集めてきたつもりだ。他にも必要なものがあったら言って欲しい」

 

 弦十郎は本部の潜水艇内にあった資料をかき集め、それらを台車に乗せてエルフナインと未来の前に運んできた。

 部下に指示を出せばいい所を、まずは自分から身を切り足を動かすところが彼の厚い人望の所以だろう。

 

「…はい…ありがとうっ…うわっ…!」

「ちょっと!」

「大丈夫か!」

 

 エルフナインがふらついて資料にもたれかかってしまい一部資料が地面に落ちてしまう。

 

「根を詰め過ぎちゃいないか……?」

「ご、ごめんなさい……」

 

 弦十郎はエルフナインの肩に手をかけて心配そうに声をかける。

 彼女は責任感が強く背負いすぎな気がある。

 

「でも…キャロルから貰った体です…二人で一人…だから二人分頑張らないと…」

 

 俯きながら答える。

視線がふと落としてしまった資料へと向かう。そこには響の体から採取された融合症例時代の鉱物が。

 

「これは……」

「それは響の融合症例の時の副作用だね」

 

 それを手に持ってエルフナインは凝視する。未来は何を見ているのか気になってそれに顔を寄せる。

 

『新しいものじゃなくて過去にも目を向けたらどうかなって今ある物の中にその…解決策…みたいなものがあると思うだ…』

 

 それは未来から伝えられた響からの伝言。

 

「…あっ…この方法なら……!」

 

 

 錬金術師たちは隠れ家の屋上にある屋外プールを借り切ってそこで話し合っていた。

 アダムは女性幹部の前だと言うのに全裸でそれに入っている。傍にはティキがいる。

 プールサイドの傍に幹部三人はいたのだがプレラーティだけはアダムに背を向けている。彼を視界に入れる事すら不愉快なのだろう。

 

「確かに言ったはずだよ、僕は。シンフォギアの破壊をね…」

 

 アダムはワイングラス片手に幹部たちを咎める。

 

「申し訳ありません」

「ふん…前はいい所で邪魔したくせに……」

「いけ好かないワケだ」

 

 サンジェルマンはあくまで上司に恭しい態度だが、他二人は不愉快そうに唸る。しかしアダムは特に咎める事をしない。

 

「きこえているわよさんきゅうれんきんじゅつしども!アダムのわるぐちなんてゆるさないんだからっ!」

 

 ぷんすか!といった擬音が似合う感じで片手を振り上げて怒るティキ。

 アダムはグイッとグラス内のワインを飲み干して立ち上がり、プールに足だけつけて遊ばせているティキの傍まで歩いていく。

 

「…………アスペクトはついに示された。ティキの描いたホロスコープもね…」

「ならば……祭壇設置の儀式を……」

 

 サンジェルマンはそう言う。

 アダムはティキのわきの下を掴んで持ち上げて飛行機のように高い高いをする。

 

「この手でつかもうか、神の力を」

「や~んティキとんでっちゃーう!」

 

 ティキはアダムに構ってもらえて楽しそうだった。

 そんな二人から視線を外したサンジェルマンはふと漏らす。

 

「…完全世界の実現の為に……」

 

 アダムはティキを連れて行くとその場から去っていった。

 

「嫌味な奴。あんなのが結社を統べる局長ってんだからやりきれないわね……」

「……そうだね…だけど私達がついて行くのはあいつでも結社でもないワケだ…」

 

 カリオストロとプレラーティは自然とアダムの悪口に花を咲かせ始める。

 二人の視線はサンジェルマンに向いている。その視線を感じて感謝の念を伝える。

 

「ふたりとも……」

 

 カリオストロは話す。

 

「これ以上アダムにデカい顔させない為にも本気出さなくっちゃね?」

「しかし……私は祭壇設置の儀式に取り掛からなければならない……」

 

 サンジェルマンは自分に与えられている任務を口にする。つまり自分の事は戦力の頭数に入れることは出来ないと伝える。

 プールに映る光がサンジェルマンの瞳を揺らす。

 プレラーティが気丈にもそれに答える。

 

「なら…シンフォギアの破壊はこちらに任せて欲しいワケだ……」

 

 

 装者達とブリッジの銃後のメンバーはエルフナインの部屋に呼ばれていた。

 エルフナインがモニターに響からかつて採取できた鉱石を表示する。友里はそれを見て呟く。

 

「これは……」

「以前ガングニールと融合しいわば生体核融合炉と化していた響さんより生成されたガーベッジです」

 

 エルフナインは画像に示した物体の説明をする。

 

「あー…あのかさぶたね」

「かさぶたって…これで響死にかけてるんだよ?」

 

 響は努めて驚いたような演技をする。一方で未来は呑気な返答をする響に呆れたように言う。

 翼はその光景を尻目にエルフナインに問う。

 

「とはいえあの物質にさしたる効果は無かったと聞いているが?」

「世界を大きな命に見立てて作られた賢者の石に対して、このガーベッジは響さんという一人の小さな命により生み出されております。つまりその成り立ちは正反対といえます」

 

 エルフナインは翼の問いに答える。そして具体的にどう活用するのか追加で説明を加えていく。

 あと実はこの時響は何度も自分の体内から生まれたそれを「ガーベッジ」つまりゴミだと言われて微妙な感じなのだ。これから役立つと言うのにだ。

 

「今回立案するシンフォギア強化計画では、ガーベッジが備える真逆の特性をぶつける事で賢者の石の力を相殺する狙いがあります」

「つまりは対消滅バリアコーティング!」

 

 藤尭がエルフナインのやりたいことを分かりやすく言い換える。

 

「そうです。錬金思想の基本であるマクロコスモスとミクロコスモスによって導き出された解答です」

 

 エルフナインが錬金術師以外には伝わりにくい単語で説明を絞める。

 

「誰か説明して欲しいけれど……」

「その解説すら分からない気がするデース……」

 

 調と切歌は全くちんぷんかんぷんだった。ここで質問をすると会議の邪魔になる事だけは分かっていたので大声は出さない。

 

(そう言えばこの後、愚者の石とか言われるんだよな…まぁあのネーミングがストレートで分かりやすいしいいか……)

 

 事前に先手を打って自分からカッコいい名前を付け、愚者の石と名付けさせないようにするかとも思った。だが分かりやすいネーミングだし、別段愚者の石でも問題は無いのでそのままにすることにしたのだ。

 しかしだ。

 

「……………………」

 

 クリスはじっとモニターを見つめて黙っている。特段口を開くつもりはなさそうだった。

 響は黙っているクリスを不審に思う。話を聞いていないわけではなさそうだが、どうやら相手は目の前の物質よりも何か大切な考え事をしているようだった。

 仕方ないので響は自分から切り出すことにした。

 

「…………ガーベッジだと本当に役に立たないように感じるので名前とか付けませんか?」

「うん?まあそうだな名前がゴミでは頼りなく感じるな。例えばどういうのがいいだろうか……」

「そうですね…賢者の石に対抗する存在なので、愚者の石あたりでどうですか?」

『……………………』

 

 弦十郎の問いに響は答えたのだが辺りが微妙な雰囲気に包まれる。全く笑えない、自虐にもほどがあった。

 マリアは優しさなのか愚者とは言わずにその保管場所を問いかける。

 

「…………それでその石は何処に?」

「一通りの調査を終えた後…無用不要なサンプルとして深淵の竜宮に保管されていたのですが……」

 

 申し訳なさそうな友里の言葉。

 それにクリスはハッとして俯く。深淵の竜宮はかつてクリスがオートスコアラーのレイアを倒す際に暴れまわった事で外壁が破壊されて現在水没しているのだ。

 クリスの行いがもしかしたら賢者の石への対抗策が潰えてしまうかもしれない、それが彼女の中に毒として残る。

 

「……」

 

 響は内心その思いを感じ取ったが、それを指摘できようはずもない。

 

 

 現在S.O.N.G.は作業用の足場を深淵の竜宮のある場所の上に用意して、小型の作業用潜水艇で引き上げたものをその場にぶちまけて例のガーベッジつまり愚者の石を探していた。

 砂漠の中から一粒の金をさらうような作業。これから気の遠くなる地獄の長丁場が始まろうとしていた。

 

 マリアと翼そして響は潜水艇に乗って愚者の石があるであろう場所をサルベージしていた。響は一応錬金術師たちが邪魔する可能性は伝えた。

 響は地上に残るのではなく潜水艇に乗ったのはもしかしたら実際に現場を見れば前に見つけた場所が分かるかもと思ったのだが、そこまで優れた記憶力は持っていなかった。

 お目当てのものがこの場にある事だけは分かっているのがせめてもの救いだった。

 

 一方でクリス達地上でのお留守番組はモニター越しにぐちゃぐちゃになっている元深淵の竜宮を見ていた。

 

「あちゃー……」

「思った以上に……」

「ぺしゃんこだね……」

 

 切歌、調、未来は燦々たる状況にここから一粒の石を見つけるのかと頭が痛くなっていた。

 一方でクリスは大きなリアクションは出さなかったが頭の中では色々と考えていた。

 

(あの時……)

 

 脳裏にはレイアをミサイルで倒した際に施設ごと破壊した自分が。

 

(バルベルデの時も……)

 

 脳裏には自分の油断でステファンがアルカノイズの攻撃を受けて足を切断した自分が。

 

(今思えばもっと冴えたやり方があったんだろうな)

 

 何が正しかったのか、クリスは何を間違えたのか。それは誰も答えてはくれない。

 もう終わってしまった取り返しのつかない過去を想起していた。

 

 

 マリアの運転する潜水艇から吸い上げた泥を探知機で探していく。クリス達以外にも今回の回収作業を手伝う別部門のスタッフも駆り出されていた。

 いくら泥に探知をかけても一向に反応を示さない事にクリスは途方もない疲労感を感じていた。

 

「こんなんで本当に見つかるんだろうな…」

 

 そうぼやいていると。

 

「うわああああっ!!!!」

 

 突然悲鳴が聞こえて装者達は振り向く。

 アルカノイズ達がその場に出現していた。つまり錬金術師に捕捉されているという事。アルカノイズの一体が男性を分解して赤い霧へと変える。

 すぐさま装者は戦闘準備に入る。

 

『Zeios igalima raizen tron』

 

 切歌たちはそれぞれの武器アームドギアを使い屋内への逃走経路を切り開いていくのと追走してくる敵を薙ぎ払っていく。

 そして切歌は大き目のジェスチャーで逃げる様に誘導する。

 

「大丈夫デス!落ち着いて避難を!」

「大丈夫何て簡単に言ってくれるじゃなぁい!このお気楽系女子!」

 

 既にファウストローブをまとったカリオストロが作業場を飛び越えて切歌へ向かって行く。

 

「誰がお気楽デスとォ!」

「決まってるでしょぉ!!」

 

 切歌の反論にカリオストロは手にエネルギー波を生み出して対象にぶつけようとする事で答えた。

 攻撃を切歌はとっさに屈んでよけるが避けた先に避難していた男性スタッフたちがおり直撃して帰らぬ人となる。

 

「あらら…誰のせいかしら?」

 

 今さっき人を殺したとは思えない口調で相手を挑発するカリオストロ。

 激昂した切歌は一直線に敵へと突っ込むがエネルギー波に当てられて後方に吹き飛ばされクリスにぶつかってしまう。

 それを見て慌てて調は声をかける。

 

「切ちゃん!クリスさっ!?」

 

 横からけん玉の球がぶつかって調も吹き飛ばされてしまう。

 錬金術師はカリオストロ一人ではない、油断が招いたダメージ。

 先ほど調にファーストアタックを加えたプレラーティは球を剣の部分に戻すと、余裕綽綽に言った。

 

「ダインスレイフを抜剣出来ないシンフォギア装者なんてちょろすぎるワケだ」

「ここでぶち壊されちゃいなさーい!」

 

 カリオストロもそれに続く。

 ここで相手の妙な言動に気が付いた。まるで狙いはこの施設ではなく。

 

「連中の狙いはシンフォギアの破壊……」

「愚者の石ではないのデスか…?」

 

 クリスと切歌は聞こえないボリュームで話す。

 二人はてっきり相手は逆転の策である愚者の石に感づいてここを攻めてきたと考えていた。

 倒れていたクリスは立ち上がり言う。

 

「…だったら派手に行くぜぇ!」

 

 ここで下手に施設を守ろうと消極的な行動をすると、逆にここに大切なものがあると悟られてしまう。そう思いクリスはミサイルポッドから爆弾たちを連射して攻撃していく。

 

 

 ここはマリアの操作する潜水艇内。

 

「水上施設が攻撃を受けている!?」

「何だとっ…!」

「…………」

 

 地上施設に錬金術師が現れたという報告に驚くマリアと翼。響はやはり来たかといった感じだ。

 当然今すぐにでも浮上して戦闘に参加をするべきだと考える。しかし友里はそれを止める。

 

『そのまま作業を続けてください!』

『奴らは愚者の石の事を知らないようだ。回収作業の事を知られれば邪魔されかねない』

 

 弦十郎は作業を続ける理由を伝える。

 当然はいそうですねと納得できるはずもなく翼は異議を唱える。

 

「しかし賢者の石によって抜剣が封殺されている状況では……」

『ユニゾンです』

 

 緒川が戦力面での懸念を解消する手段を伝える。

 

『調さんと切歌さんの歌を重ねれば……』

『抜剣せずとも対抗出来るっ!!』

 

 

 クリスは通信でユニゾンを聞いてから、倒すのではなく敵の一人を足止めとフォローに徹する事に切り替えた。

 

「だったら埒をこじ開けるっ!」

 

 そう言ってガトリングガンをカリオストロへと撃ち込んでいく。

 カリオストロは水の障壁を生み出して簡単に防いでくるが、そこでクリスは撃ち込みながらも前進していく。すると距離が縮まった事であたる威力が上がり障壁が解除される。接近した勢いのままほぼゼロ距離まで近づくと武装を弓に変換して思いっきり引く。

 

(ベーゼ可能なゼロレンジッ!だけどあーしの唇は安くない……)

 

 クリスが矢を離して撃ち込むが簡単に上体を後ろにそらして躱すが、カリオストロの目の前に緑が通過した。

 カリオストロはつい反射的に叫んでしまう。

 

「ドッキンハート!?」

 

 クリスの狙いは弓による攻撃ではなく弓に切歌を乗せて調のもとに運ぶ事だった。昔の彼女ならあたしがやるとムキになって突っ込んでいたはずだ。

 

 一方で調はプレラーティに歯が立たず苦戦を強いられていたが矢とそれに乗った切歌が迫ってきているのを見て慌てて後方に下がる。

 

「さーてっ!いっちょやらかすデスよ!」

「切ちゃん!」

 

 その場に着地した切歌は調に手を差し出しながらそう言う。その手を取って調も答える。

 先に切歌が鎌を振り回してプレラーティに詰め寄っていく、そして鎌を振り回して回転して駒のような軌道で体当たりを敢行する。

 それも相手は防いでカウンター気味に入れてやろうとするがその切歌の攻撃のブレイクタイムを狙って調はヨーヨーを投擲して反撃の隙を与えない。投げた二つのヨーヨーが合体して大型の回転ノコへと変形してプレラーティを切り刻もうと迫る。相手は躱すが調もグイッと思いっきり引っ張って追撃していく。それをけん玉で弾いて防ぐが自分の体調ほどの得物なためバランスを崩す。

 そのタイミングで切歌は鎌の刃を投げつけて追撃する。相手は慌てて横に逃げるがバランスを崩す。

 苛烈な連撃を前に限界が近く、また相手が想定をはるかに超える出力なことに焦るプレラーティ。だがこの状況でも彼女には譲れない思いと恩があった。

 

「うだつの上がらない詐欺師まがいだった私達に…完全な肉体に真の英知…そして理想を授けてくれたのは…サンジェルマンなワケだ…!だから彼女の為に負けられないワケだっ!!」

「プレラーティ!?」

 

 カリオストロが慌てて援護に向かおうとするがクリスがそれを許さない。矢を放って近づかせない。

 プレラーティは吠える。錬金術師は世界と繋がるために理想を追い求めそれに命をかけて準じる。

 例えどんなに達成困難で他人から笑われても胸に信じ、そして掲げた理想からだけは逃げてはいけないのだ。そうでなければ錬金術師になった意味が無い。

 

「楽しい事や気持ちいい事だけでは理想にはたどり着けないワケだぁっ!!」

 

 そんなプレラーティを見て切歌と調は上空に飛び上がって最後の仕上げにかかる。

 切歌の巨大化した鎌の先端にヨーヨーが取り付けられて大きな回転ノコが搭載されたスタッフが完成する。

 それを容赦なくプレラーティへと叩きつける。相手もけん玉の球を射出して対抗していく。最初は鍔ぜりあうが、二人のアームドギアのフォニックゲインが勝りプレラーティを吹き飛ばした。

 海面に吹き飛ばされるとそこから光の柱が飛び出してきた。恐らくファウストローブが装着者のダメージ超過で解除されたのだ。

 

「ここまでにしてあげるわ!」

 

 カリオストロはプレラーティがやられたとみるやその場からの撤退を選んだ。

 

 

 錬金術師たちを退ける事に成功して装者3名は休んでいた。

 すっかり時刻は夕方になっていた。

 

「重ね合ったこの手は……」

「絶対に離さないデス……」

「そういう事は家でやれ……」

 

 疲れているのでクリスの突っ込みにハリが無い。

 

 

 ティキはプールの上でぷかぷかと浮きながら目から光を放射して辺りをプラネタリウムのように照らしていた。

 アダムはプールサイドのリクライニングチェアに腰掛けてワインを片手にサンジェルマンに話しかける。

 

「順調に行ってるようだね祭壇設置の儀式は」

「はい。ですが中枢制御に必要な大祭壇設置に必要な生命エネルギーが不足しています」

 

 サンジェルマンは事務的な返答をする。

 

「じゃあ生贄を使えばいいんじゃないかなぁ…あの二人のどちらかを……」

 

 アダムのその言葉にサンジェルマンの表情が凍る。

 

「十分に足りるはずさ、祭壇設置の不足分だってねぇ……完全な肉体より錬成される生命エネルギーならば」

「局長…!…あなたはどこまで人でなしなのかっ……!」

 

 サンジェルマンはアダムの意見そのものは強くは否定できなかった。

 彼女自身自分の目的の為に何の罪もない人を手にかけたのだから、生命エネルギーを身内で賄おうと言ったアダムの方がマシなように少しだけ思えてしまった。

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