だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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皆さんの感想、誤字脱字報告有難うございます。

全て目を通すよう頑張っていますが、仕事もございますので感想が遅れる事はご了承下さい。


後始末とわかってたこと

あっっぶね!!

 

やっぱり拳法家って無茶苦茶だよ!

 

何であのケイジの朱槍と素手で打ち合えるんだよ!

 

あの朱槍赤く塗ってるけど高硬度の特殊合金で出来てんだよ?

 

鉄切るための工業用金属でできてるからケイジのパワーなら鉄板とか余裕で断ち切る代物なのに何なのこの人!?

 

それに此方まで飛んできた挙げ句纏めて偽装ロボットぶっ壊すとか人間じゃねえよ彼!

 

これに勝つケンシロウって何なの?マジもんの化け物なの?

 

シンが此方に飛んできたときマジで終わったと思ったもん!

 

ホントに咄嗟の閃きで対拳法家仕様の俺の側にいた二体の内の一体にユリアに化けてくれ(・・・・・・・・・)って言って騙せなかったら俺の胸に七つの傷なんて猶予なく指が体を貫いてただろうな。

 

 

「だ、代表?……」

 

 

気を失ったシンの前で俺が恐々としていると、ウゾーがこちらを窺うように話し掛けてきた。

 

それと今回の迎撃に参加した村の人も此方を窺うように見ている。

 

 

「ウゾーさん、今回の被害を教えて下さい」

 

「あ、ああ今回は村の奴等が三人殺られた、あと半分くらいが負傷してるけど死にはしないってよ。それと代表の所の……」

 

 

ウゾーが言い淀んでいるとユリアの振りをしたコードネーム銀が説明してくれる。

 

 

「此方は六割近くの兵士が破壊されたようです」

 

「そうか……あと銀、もうユリアさんに化けなくてもいいんだよ」

 

「了解です」

 

 

俺がそう言うと彼女は体表が銀色に変質して次第に地味な顔の女性に変身していった。

 

その女性の顔を見てウゾーはびっくりしている。

 

 

「こ、この人達はやっぱり人間じゃないのか?」

 

 

ウゾーの言葉のあと、そこにいる全員が俺の顔を見ている。

 

今までずっと隠していたことだ……出来るだけ秘匿したくて色々やっていたんだけど、俺の考えている何段階も上の強さを持った拳法家のお陰で考えていた計画がかなりご破算になってしまったなぁ……。

 

 

「だ、代表?……」

 

 

予定では誰も死なず、ロボットも人がする怪我ぐらいでこんなあからさまな破壊はされないと思ったんだけどなあ……。

 

 

「だ、だい、代表?……」

 

「ん?……ああすいません、ちょっと考え事を」

 

 

かけられた声にこれからの考えを棚にあげ、ウゾー達を見る。

 

……何で皆こっち見てビクビクしてんだ?

 

 

「まあロボットの事は隠してたことなんですけど、取り敢えず怪我をした人の手当てや死んでしまったかたの処遇を決めましょうか」

 

 

その言葉に皆があからさまにホッとした空気を出して行動を始めたんだけど、なんだったんだろうあの空気?

 

 

 

 

 

side 三人称

 

 

彼等は代表の態度にあからさまにホッとすることになった。

 

代表は躊躇わない……それに気付いたのはならず者達の襲撃が始まってから段々と解ってきたことだった。

 

村の事に対しては代表は殆ど関心がなく、何か問題が起きなきゃ勝手にやってくれというスタンスを貫いてるが、代表が決めたルールを破った者に対しては恐ろしいほどの苛烈さをもって対応する事がある。

 

ある時降伏して村に入ったあるならず者が、バレなきゃいいだろうとダムの三キロ圏内に入った事があった。

 

その時は巡回していた皆が人だと思ってた機械人形に見つかって捕まったが、代表は躊躇いなくそいつの処刑をしようとしたのだ。

 

村長達村の人間は余りの即断即決ッぷりにそれはあんまりじゃないかと意見を述べると。

 

 

「ならば死ななければいいですね?」

 

 

そう代表は言ってそのならず者をダムの方に連れていってしまったのだ。

 

そして一週間後……そのならず者はダムの所で教育された以外の全ての記憶を失って帰ってきたのである。

 

代表は躊躇わない……彼は面倒臭がりだから少しの問題の種も残さないし、なあなあでは済ませない。

 

そんな代表がひたすらに隠してきた秘密の一端だ……周りの人は黙っている代表の顔を見ていて、自分達がまな板の上の鯉になってしまったような気分に陥っていた。

 

だが代表は結局秘密を知った彼等に行動を起こさないことを決めたようである……面倒臭がったのかもしれないがその心の内を代表は口にすることはなかった。

 

そしてこの時をもってダムの村の外側に、ダムの内側の秘密の一端が知られる事になり、それはまた村の外にまことしやかに伝わっていき。彼等の耳に入ることになる。

 

 

 

「機械の人形の軍隊だってぇ?……手に入ったら俺の時代が来るぜぇ」

 

 

ある犬の名前のならず者に

 

 

「其だけの力があるならわしら一族が有効活用してやろうではないか」

 

 

ある一族の族長に

 

 

「機械の兵士と重火器か……是非手に入れたい」

 

 

神の国という理想国家を目指す軍人に

 

 

「シンが拳法家ですらないものに負けただと?……所詮は愛に狂った男ということか」

 

 

将星の星を背負う男に

 

 

「……南斗乱れた時、我ら兄弟の邂逅も近づいているということか」

 

 

乱世に現れし拳王に

 

そして……

 

 

「シンが敗れただと? 」

 

 

恋人を追いかける世紀末の救世主に。

 

だが世界を動かす彼等ではない弱き者達はその話に希望を見出だした。

 

弱者が奪われず、機械の兵士が秩序を保つ村にそれを指揮するもの……救世主がいるのだと。

 

人はすがる、救世主に。

人は願う、救世主を。

 

そして人は解りやすい救いの場所に向かうのだ。

 

かの村……救世主が住まう村へ。




何か途中打ちきりみたいな話の区切りですがお話は続きます。

キャラクター紹介

コードネーム【銀】

モデルはターミネーターよりT-1000型
作者が顔と体格を変えれる機械兵士って言うとこいつしか浮かばなかった為の採用である。

戦闘力はっきりいって北斗の拳基準では低いが、その再生能力と液体金属という特性を生かした肉壁として常に主人公の盾として活躍する予定である。

なおユリアに化けれたのは、主人公が間近でユリアを観察したいが為にユリアのデータを記憶させていたからである。

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