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シンを下してから一ヶ月……ダムの村は爆発的な人口増加に見舞われていた。
原因は色々あるけど、まずシン達KING軍がここに進軍するために拠点からダムの外側の村までの間の途中の村とか町とかをヒャッハーしていき、生きていけないと逃げてきた人が増えたのが一つ。
そしてあの悪逆非道なKING軍を壊滅した奴がいると人々が救いを求めてきたのが一つ。
そしてサザンクロスシティになる筈だった町から逃げてきた人がやって来るようになったのが一つ。
……全部シンが悪いじゃねえか!
もうやなんだけど!こちとら壊れた偽装ロボットの修理とか増産を一人でやらんといけないから忙しいってのに、村にいく度にやれ人が増えましたとか、やれ食料の生産が追い付かないとか勝手にやってくれという感じなんだけど?
……まあ感謝されるし、やっぱり目の前に飢えた子供とかいたらなんとかせんとなぁ…と、思ってやっちゃうんだけどね。
そんでまあどうするかという話になって、まずは人が増えたために必要になった現場監督を増やさないと駄目だよねって話になったんだ。
そんでまあ遊ばしておく人材はねえってことで捕まえてるあいつを説得することにしたんだよ。
KING軍襲来から五日後
「残念ですがシン、ユリアさんはもうあの町にはいません」
「なん!だと?」
俺の言葉に拘束されたシンはそんな馬鹿な!みたいな顔をしてビックリしている。
俺がそんな馬鹿なって言いたいよ。恋人の胸に七つの傷つけて俺に乗り換えろ!……なんて奴を待つわけないでしょうに。
「貴方が敗れたという噂が流れた時、何者かがユリアさんを救出したようですね」
まあドローンで監視してたから知ってるけど、青髪と赤髪と大柄なお爺さんが救出に来たから多分五車星の三人だろうな。
「心当たりはありますか?」
「……恐らくは五車星のリハク達だろう。あれらは常にユリアの身を案じていたはずだからな。南斗の拠点の何処かに匿ったんだろうさ」
レクター博士みたいな格好のシンが項垂れた。
まあ拘束しなくても問題ないように手術してるけど、取り敢えず抵抗したからはいボカン!ってやるには惜しい人材だからね。
「まあ今の貴方にユリアさんをどうこう言う資格はないですし、そう遠くない日に貴方の手からユリアさんがこぼれ落ちるのはわかっていた事でしょ?」
「……どういう意味だ?」
そう言ってシンの殺気が膨れ上がり、拘束具がギチギチと悲鳴をあげている。拳法家ってほんとおっかねえわ。
「心当たりが無いとは言えないでしょう、ユリアさんを欲する人を。貴方に敗れたケンシロウ、そして今や拳王と名乗るあの男もユリアさんを求めていたはずだ」
俺の言葉にシンの殺気も萎んでいく。理解したんだろうな……あのラオウに自分が果たして勝てるのかと。
「五車星がユリアさんを匿ってくれるなら、まずユリアさんの当面の安全は大丈夫でしょう。ですので貴方は暫く私の仕事を手伝って貰います」
「何故俺が貴様の手伝いをしなければならん」
「敗者が勝者に従わないのなら、何をされても文句は言えないですよね」
シンの態度に俺は早速トレーにおいた針のない射出タイプの注射器を手に取った。
「安心してください、ユリアさんの記憶も何もかも失って、新しい貴方としての生活が待ってますから」
「まてまてまて!それをどうするつもりだ!?」
「痛みなんて無いですよ?針のない最新式の注射器です」
「だから待てと言うに!」
「敗者が勝者の話を聞かないのに何故勝者が敗者の話を聞くとお思いで?」
「…わかった!お前の話を聞くし手伝うことも了承したから殺すならともかく記憶を消すのはやめてくれ!」
……ッチ、これで抵抗するなら躊躇いなく出来たものを。
「あの時から思っていたが貴様は中々に性格が悪いぞ」
「恋人乗り換えさせた屑野郎は言うことが違いますね」
ぐむぅ……とか言ってるシンはほっといて、俺はどうこいつを安全に使うか考えるのだった。
そんであの日から幾つかの手術を受けたシンは、早速村に送って拡張計画の現場監督として使うことにしたのであった。
そんでもう一月たったんだが……。
「シンさん!また石材の準備お願いします」
「わかった、午前中に終わらせよう」
「シンさん、また物々交換の事で揉め事が……」
「レートは決まっているだろう?従えないなら突っぱねればいい。暴れたら治安兵を送る」
「シンさーん!また新しく入植希望者です!」
「名前と人数構成を書かせろ!あと何が出来るかも聞いておけ!」
流石は暴力でとはいえ町を運営していた男、最初はあのシンが管理職になることに村の人は抵抗はあったんだけど、人を使うことに慣れているせいかすっかり村の運営責任者になっちゃったね。
「村長、家畜の飼育はどうですか?」
「おお代表!……現在はあちらこちらから集めて増産を進めていますが、軌道に乗るのは年単位はかかりそうですな」
シンの仕事ぶりを見たあと、今や町レベルに膨れ上がった村の村長は畜産の責任者として頑張っていた。
こうして増えた人に対応するために幾つかの責任者を作ったんだけど、うまく機能しているようで安心したよ。
「ウゾー殿もケイジ殿やブルー殿とうまく連携して治安兵を指揮してますし、何とか増えた人の問題も解決しそうですな」
「ええ、後は新たな人のための住居ですか」
「はい……やはりダム付近の建物は使いきりましたからな。新しく新規の住居を建てないと増えていく人に対応しきれません」
「まあ、そう言われることはわかっていたので準備してきましたよ」