だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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皆さん感想有難うございます。
返信は満足に出来ませんが全て目を通させて貰ってます。


科学の力はこう使う

その日ダムの村改め、ダムの町に心強い仲間が加わることになった。

 

大型ショベルカーにブルドーザー、そしてクレーン車が各数台である。

 

ピッピッピ!

 

プー!

 

ポッポー!!

 

細かい電子音と簡単な感情を表す電子パネルを付けたそれら重機は、なんと無人で動くように人工知能が搭載された特注品らしく、エンジンには世紀末前にすら開発されていなかった大出力のプラズマバッテリーが搭載されていると代表に説明された町の人は頭に?マークが浮かぶことになった。

 

 

「まあ簡単に言えば人の言うことを聞く大型重機だと思ってくれて構いません。意思疎通もできますしこれで周辺の廃墟の解体作業が進めやすくなるはずです」

 

 

代表の科学技術と機械に対する造詣の深さがある程度知れ渡るようになってから、代表は余り自重せずに発明品を提供してくれるようになり、そして現在は使えなくなっていた家電や機械を修理するようになり、この町の工作機械や加工品の製造力は飛躍的に発展していくことになる。

 

そしてこの意思持つ重機達はダムの町で大活躍することになった。

 

 

「ユンボ! ここの解体頼む!」

 

 

ピッ!

 

 

「ブルはここの整地だな」

 

 

プー!

 

 

「レーンはコンテナの移送を頼んだぞ」

 

 

ポー!

 

 

町の人の指示に従う彼等は従来の重機と違い化石燃料ではなく電力駆動のせいか、静かに仕事を行い排気もないために人口密集地でも文句を言われずに作業出来るので、騒音や排気による苦情なく工事を進めることが可能だった。

 

こうしてある程度の耐震性を持たせた集合住宅を大量に作ったダムの町は大量の人の流入を受け止めると、代表にとっては嬉しい副次効果が生まれることになる。

 

仕事で金属加工していた人間や工場で機械製作していた者など、ある程度の技術や工学知識を持つものが現れたのである。

 

これに気が付いた代表は早速技術者をかき集め、工作機械を大量に提供して世紀末後から稼働しなくなった家電や乗り物の修理を任せるようになっていった。

 

こうなるとダムの村には修理された工業用品が大量に出回るようになる。

 

こうしてシンの襲撃から半年も経つと冷蔵庫・洗濯機・さらには代表が問題ないと判断したロボットのパーツや工芸品の修理や製造が始まり、ダムの町は一部の文明レベルが世紀末前まで追い付くことになったのだった。

 

 

 

side 世紀末救世主

 

 

「おいケン見てみろよ! あれってもしかして冷蔵庫だよな!……それにあちこちから旨そうな匂いが漂ってきてやがる」

 

 

風の噂で聞いたシンの率いた軍が敗れた村の話を聞き、俺はユリアの居場所を聞くためにその村に向かったのだが、聞いていた話とは大きく違う村の発展ぶりに面食らう。

 

ここに向かう前にシンの拠点だった町に向かい、ユリアがいないことに肩を落とす暇もなくここに向かったが、ここに向かう道中は驚くことばかりであった。

 

この場所に近づけば近づくほど治安が回復し、途中の村や町にはそこでしか作っていない特産品という物が存在していたからだ。

 

ある村はジャガイモや玉葱を育て、ある村は大量に飼育している羊の毛の加工品を売っていた。

 

町の方には幾つかの修理された家電が売られていたし、何より驚いたのは一部の町では紙幣で取引できるものがあるということだった。

 

これもその噂の町で行っている事らしく、交換レートは世紀末前とは全く違うが、このダムの町で交換できないものはないと言われるほどの盛況ぶりだ。

 

 

「すげえ! 途中の町でも見たけどあんな大きな発電装置なんて見たことないぞ!」

 

 

周囲に漂ういい匂いもここの名物らしい鳥肉を使ったものなんだろう、豪快に網焼きで作っている屋台を通りすぎてバットが興奮していた発電装置をチラリと見た。

 

確かに途中の町で見たものより二回りは大きいそれは、周囲に何人もの男たちがせっせと機械を弄っている光景と一緒に見えていた。

 

ある程度の電気が行き渡っているのか電灯すら使う一画を越え、俺は目的の場所に到着する。

 

 

「こりゃ驚いた……おいケン見ろよ!あいつら皆銃持ってるぞ!おっかねえな」

 

 

石と鉄筋で作られたその建物は二階建てで綺麗に白で塗られ、この世紀末の世界で信じられない程の文明を感じる建物だった。

 

ひっきりなしに人が出入りし、その建物の側には武装した男達が置物の様にじっと観察していた。

 

ここに奴がいるのか……。

 

建物に入り、ご案内と書かれた立て札に進み、受付の男に用件を言付けた。

 

 

「ここにシンという男がいるはずだ、ケンシロウが来たと言えばわかる」

 

 

男は俺の顔を見たあとチラリと胸の辺りを見て。

 

 

「わかりました。少々お待ちを」

 

 

そう言って男は二階に上がっていく、そして暫くして。

 

 

「来たかケンシロウ」

 

 

ユリアを拐ったあの時と違う、理性ある瞳で此方を見ているシンを見た俺の一瞬膨れ上がった自分の怒りが解き放たれる瞬間。

 

 

「ユリアの事だろう、此方で話そう」

 

 

そう言って俺の横を何の警戒もせずに通りすぎ、シンは建物の外に出ていった。

 

シン……お前はここで何があったんだ?




シンの受けた手術は簡単に言えば逃走防止と反逆防止のものです。

主人公は記憶を消せますが人格云々を変えることは出来ません。

ただし此れからも科学力限界突破で自信の科学技術が発展していけばできる可能性があります。

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