だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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極悪の花見ました。

そしたらこんな話ができました。


不器用な弟

「馬鹿なんですか貴方達は?」

 

 

新しく作った練兵場で、シンと誰かが殴り合いしてるって連絡が来たんだけど、行ってみたらシンとその誰かはお互い上半身裸でガードもせずにボッコボコに殴りあってんのよ。

 

もう周りはやんややんやと大騒ぎで二人を煽ってるし何事と思ってさ、殴り合ってる二人の会話聞いたらやれユリアへの愛はこんなもんじゃないとか、ユリアへの気持ちはこの程度なのかとか……一人の女性をめぐってのバトル(物理)をこんな所でやってるわけさ。

 

もうこんなの酒の肴にしそうな奴がいそうな場所でやったら……もうそれはそれは食いついてね(あの傾き者はホントにさぁ……)。

 

そして気がつけば大盛り上がりで一時間も殴り合って、結果はシンの相手が数秒長く立ってそいつの勝利って事になったんだけど、殆どダブルノックアウトで周りの奴等に担架で新築した病院に二人とも運ばれた訳なんだ。

 

そんでそれに呆れた俺が気が付いた二人に開口一番に言ったセリフが冒頭のやつである。

 

 

「いやーシン殿の強さは拙者はよく知っているでござるが、最近では特に気合の入った熱い戦いでござった……恋とは良いものでござるなあ」

 

「ケッ!そのままくたばってくれたら俺様は清々したのによ!」

 

「ジャギよ、その辺にしときなさい」

 

「それでトキ先生?二人の状態はどうなんですか?」

 

「ええ代表……まあ技も使わない殴り合いですから青あざだらけですが口の中を切った程度ですし、二、三日ほど休めば良くなりますよ」

 

「うえー……あんだけ殴られて口の中切った程度なのかよ」

 

「バット君の言うとおりですよ。拳法家ってほんと頑丈ですよね」

 

「そういう者ですよ拳法家は」

 

 

二人の怪我の具合を見ているのは皆ご存知北斗の拳での北斗神拳継承候補だった四兄弟の次兄トキ。

 

そしてヤジを飛ばしたのがその四兄弟の三兄ジャギで二人のタフさに呆れているのが北斗の拳でお馴染みのバット君である。

 

ぶっ倒れたシンとその誰か…まあケンシロウなんだけど何処かいづらそうにモゾモゾしていた。

 

 

「シン……貴方仕事サボって何やってんですか」

 

「いや代表……これには男として引けないわけがあったわけで」

 

「それは責任者としての仕事が終わってからでもいいでしょう?」

 

「ぐむぅ」

 

「……俺が呼びつけたのだ、俺に責任があってシンの事は怒らないでほしい」

 

「だったら最初からそういう手順を踏んでいってからでも遅くはないんですよケンシロウさん?」

 

「う、うむ……」

 

「お前のせいで呼びつけられる俺の気持ちも考えろよケンシロウ」

 

「お前は呼んでないのに来たんだろうがジャギ。また堆肥作りするか、ん?」

 

「俺だけあたりが強いよなお前!?」

 

「うるさいジャギ、仕事に戻れ」

 

 

チキショーと叫びながら持ち場に戻るジャギに何処か信じられない顔でケンシロウは見送っている。

 

まあそうだろうな、あのジャギが人の言うことを聞くなんて。

 

と言うのもジャギが変わった切っ掛けなんて本当に運命の悪戯としか思えない出会いからだったんだよな……。

 

ジャギとの出会いは実はかなり前に遡る。

 

あの日俺はダム周辺の工事が一段落すると共に、このダムの半径三キロ周辺を聖域化というか俺以外の人間がいたら追い出そうと計画したわけなんだよ。

 

すると何とダムの三キロ圏内のちょっと外側の廃墟にモヒカンだらけの結構デカイ組織が存在していてね、何かバンダナ巻いた女子大生位の女の子を寄ってたかって犯そうとしてたわけ。

 

それを流石に見捨てるのはどうなのって話だから、作ったばかりの偽装ロボットと一緒にそのモヒカン達をボコボコにして女の子を救助したんだよね。

 

んでまあ助けた彼女を彼女の兄貴の店に送ったんだけど、兄貴は片腕ぶったぎられてるわ店滅茶苦茶だわで大変な事になってたんだよ。

 

それでアンナちゃんの兄貴の腕の治療をしながらどうしますか?って話になってね。ダムの三キロ外側なら水も引いてあるんで住むにはいいですよって彼等に提案したんだよね。

 

そしたら妹が助かって嬉しそうだったアンナちゃんの兄貴が

 

 

「今の俺の妹みたいに助けが間に合う奴等がいない世の中で、俺らだけ幸せになるのは納得がいかねえんだ」

 

 

って言われてね。

 

だから厚かましいお願いだと解っちゃいるが、間に合わせたあとの奴等を助けてくれねえかって凄い真面目な顔で土下座されちゃったのよ。

 

チームのトップが片腕ぶったぎられてんのに他人の為に頭下げてんだよ?断れねえじゃん。

 

その後世の中を放浪するアンナちゃんの兄貴が方々で助けたり噂を広めたりしてやって来た人達がダムの外側の村の始まりだったんだよね。

 

そんでまあ彼等が定期的に村にガソリンの補給に戻る時に置いていったのがこのジャギだったんだ。

 

最初彼と会ったとき、もう頭が爆発するんじゃないかってぐらい頭が膨れていた。

 

それを彼は自分で何とか押さえ込んでいる状態でさ、頭が膨張する激痛で気が狂いそうな状況だったんだ。

 

泣きそうなアンナちゃんと一緒になんて酷い……そう言いながらも、俺はいい実験台が来たなって閃いたんだよ。

 

取り敢えず触診するフリをしながらジャギの頭部で暴れる破壊エネルギーの資源変換を試みたんだ。

 

結果は成功して、いきなり頭が萎むとヤバそうだからちょっとずつちょっとずつ資源変換をやって、ジャギの頭の爆発を阻止したわけなんだ。

 

もうアンナちゃんが治った時号泣してね、何度も何度も頭を下げてるんだよ。

 

そんでその横でポカンとしていたジャギが「どうやって技を解いたんだ?」って凄い顔で睨んでくるわけ。

 

んなもん教えるわけないじゃん?

 

助けてもらってなんだその態度はって俺が言うと、ジャギが急にキレだしてね。

 

そんでそれ以上にブチキレたのがアンナちゃんだったんだ。

 

もう殴る蹴るの大暴れで大泣きして、これにはジャギも大弱りで。

 

俺は女って強いわってしみじみ思ったもん。

 

んで結局有耶無耶になった流れでジャギとアンナちゃんはこの外側の村で住むようになったんだ。

 

するとこのロクデナシは暇さえあればバイク乗り回しているわ、ダラダラしていたと思ったらケンシロウが云々と思い出したようにキレるから言ったわけですわ。

 

 

「お前兄より優れた弟はいないってよく言うけどさ、お前が継承者になったらラオウとトキからするとお前が兄より優れた弟になるんだけど、そこんとこどうなん?」

 

 

そう言ったら

 

 

「……うるせえ!」

 

 

って言って逆ギレ以降ジャギは弟云々の事は言わなくなったけど、その時俺は確かに兄より優れた弟じゃねえなこいつ……ってジャギを見て思ったよ。

 

結局この馬鹿は何か仕事を与えないと駄目だって事で最初は堆肥作り。

 

そんなにバイク乗りてえならアンナちゃんの兄貴についていかせたり、帰ったら堆肥作り。

 

巡回の仕事をさせてそのあと堆肥作り。

 

そんな毎日を過ごしてアンナちゃんとお揃いのバンダナをした男はさ、胸に七つの傷をつけずに見た目の大きく変わったジャギとして爆誕したわけなんだけど……。

 

すげー原作ブレイクした気がする……というかアンナちゃんとかジャギの話で出てきたっけ?

 

そこらへんわかんないんだけどアンナちゃんがいるならジャギも馬鹿はしないから安心して村にいさせることが出来る。

 

まあ今はジャギも押さえ込める戦力も増えてるし俺はもう気にしてないんだけどね。




因みに主人公は極悪の花を知らないのでアンナちゃんがどれ程ジャギにとってのキーパーソンかは知りません。

そして最初の堆肥作りで現場監督をしているのがジャギです。

村のならず者の説得(物理)にも駆り出されてますし、シンの襲撃には村の皆の避難誘導もしています。
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